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チーム最少打数21 | コーチの制止を… | キャッチャーが…

コーチの制止を振り切って…

00/11/12作成
13/12/19更新

◆終盤から延長にかけての緊迫した攻防は、「野球を見ている」という気分になれます。西京極球場の試合でした。どうせ新聞が書くはずはありませんし、当事者のWebサイトが扱っていたとしても結果だけでしょう。それなら、私の出番です。


初安打

2回裏、大体大は先頭打者が二塁打で出たあと、次打者が送りバントに失敗して一死一塁になった。別に私はどちらを応援しているわけでもない。どちらが勝ってもかまわない。ただ、このようにバント失敗で自分が一塁に残った打者に対しては、少しだけひいきにすることにしている。「取り返せよ」と言いたいわけだ。次の打者はカウント2−1からの5球目を打った。レフトオーバーの二塁打だった(ライン寄り)。送りバント失敗の一塁走者は、力走して先制のホームを踏んだ。

00/11/05(西京極) 神宮大会関西地区代表決定戦2回戦 2日目第2試合
近畿大 000 000 001 00  =1 野村−●近平
大阪体育大 010 000 000 01x =2 子池−○妹尾

5回表、大体大の攻撃は9番・ピッチャーから始まった。大体大の属する阪神リーグはDH制だ。一方、近畿大(以下「近大」)の属する関西学生リーグは、リーグ戦でDH制を採用していない。この試合は、神宮大会の関西地区代表を決めるトーナメントだ。神宮大会ではDH不採用だから、この試合もDH制は適用されずピッチャーが打席に立っていた。

ピッチャーの子池は、フルカウントからの7球目を打った。打球はレフト前に落ちた。近くの席にいた学生から「初安打」という声がかかった。なるほど、リーグ戦では打たないのだから、たしかに「初安打」なのだろう。

1番打者が送って、一死二塁となった。追加点のチャンスだ。2番打者の緩めの打球を、ショートがほとんどセカンドベースの近くで処理した。この試合に備えて、大体大の投手陣はある程度バッティングの練習はしていただろう。だが、走塁の練習までは手が回らないのではないだろうか。

特段に足が遅ければ話は別だろうが、走者が普通の野手なら、サードを奪えた打球だと私には思われた。まあ、そういう判断を「初安打」の走者に求めるのは酷なのかもしれない。「初安打」の走者は二塁に残った。

続く3番・樫原にセンター前ヒットが出たけれども、二塁に残っていたピッチャーは三塁止まりで、追加点にはならなかった。こういうケースは、本番の神宮大会でもしばしば見られる。ゲームが締まらなくなると思うのだが、いっこうにDHが採用される気配はない。

次打者席

7回表、近大は一死一塁で7番打者が打席に入っていた。宮木球審は鋭かった(実は塁審の安井氏が気づいたらしい)。ネクスト・バッターズサークルの打者が、8番ピッチャーではなく、レガースをつけている9番のキャッチャーであることを指摘した。

キャッチャーがベンチに退いたので、ネクストは無人になった。おそらく、ピッチャーはアンダーシャツでも替えていたのだろう(一緒に見ていたK氏の推測)。なかなかベンチから出てこない。球審は次打者がネクストに入るように催促する。

まあ、暑い日だったけれども、まさか上半身裸では出てこられないだろう。なお、『公認野球規則』3・17【注1】は「次打者席には、次打者またはその代打者以外入ってはならない」と定めている。

この試合は第2試合だった。第1試合もそうだったが、前日まで見ていた社会人びわこ大会とくらべると、イニングとイニングのインターバルが間延びしているような印象を受けた。DHの有無が多少は影響しているのではないかと思わなくもない。

DH制は、DHを必ず使わなければならないということではなく、DHを使うことができるということだ。使うか使わないかはそのチーム次第なのだ。実際、びわこ大会ではDHなしで試合に臨んでいるチームも複数あった。大学野球でもときどきある。

これに対して、非DH制の場合には、DHは一切使えない。自由度という点で、こうした大会ではDH制を採用することが望ましいと私は考える。「24」対「2」なのに、「2」に合わせる根拠は乏しい。(→「イントロダクション」参照)

加盟校で言えば「300超」対「12」だ。いずれにしても桁が違う。プロ野球のオープン戦では、セリーグ同士の試合でもDH制でやっている(パリーグがDHを導入した直後は、セリーグ球団主催のオープン戦では頑なにDHを拒んでいた)。

05年3月、私は立教大(東京六大学)と立命館大(関西学生)のオープン戦を見に行った。両チームとも指名打者を使っていた。ならば、リーグ戦でもDHでいいのではないか。

継投

試合に戻ろう。1点差のまま終盤に入った8回裏、大体大は一死後、3番・樫原がまたしてもセンター返しで一塁に出た。4番打者の初球、捕手の返球時にディレード・スチールを決めた。ディレードのできる選手というのは完全に私の好みだ。

4番が三振に倒れて、二死二塁。今度は5番打者の2球目に三盗を決めた(普通の盗塁)。得点には結びつかなかったけれども、こういう選手がいてくれると見ていて楽しい。

近大は9回表二死無走者から必死の反撃で同点に追いつき、試合は延長にもつれた。10回表、近大は一死一・三塁の勝ち越しのチャンスを迎える。大体大の監督がマウンドに向かい、ピッチャーが左の子池から右の妹尾に代わった。

打順は上位だし、パンフを見ると妹尾はまだ2年生、173センチ68キロの小柄な投手だ。ちょっと荷が重いのかなあと、正直なところ私は思っていた。妹尾はこの回1球だけ投げた(牽制球はない)。

その1球を近大の2番打者が打った。これがなんと1−6−3のゲッツー。一塁側の大体大ベンチが拍手と歓声で妹尾を迎えるのは言うまでもない。10回裏一死後、大体大の3番・樫原は1−2からの4球目をセンター前に弾き返した。樫原は第1打席が空振り三振、第2打席がセンターフライ、第3打席以降はすべてセンター前ヒットだ。

したがって、樫原の打球は例外なくセンターが処理したことになる。ただし、この回は次打者の初球前に牽制球で刺された。近大バッテリーとしても、やられっぱなしでは終わらせられない。

11回表、先頭打者が四球で出て、打席には4番の広瀬が入る。送るか打たせるか、難しいところではある。初球がバントファウル、2球目はバントの構えからバットを引いてボール。3球目はやはりバントの構えでストライク。

追い込まれたところで、バントの構えはしなくなった。4球目ボールで2−2。ここで妹尾は一塁に牽制球を入れる。5球目はボールでフルカウント。6球目、二遊間をゴロで抜けようかという打球に、セカンドの樫原が飛びついた。

二塁カバーに入ったショートにグラブトスして一走封殺、一塁転送もアウト。近大サイドに策があったのかなかったのか、ないはずはないから何だったのか私にはわからないけれども、ちょっと中途半端で悔やまれる結果になったのではなかろうか。樫原の守備には、もちろんファインプレイ・マークをつけた。

サヨナラ

11回裏、四球と守備妨害で一死一塁となり、7番打者の打順だった。一塁走者は8回に二盗を決めている。近大バッテリーは、打者に投げる前に一塁に牽制球を2つ投げた。バッターへの初球は見逃しストライク。2球目の前にもう1つ牽制。2球目に一塁走者は走った。マークをかいくぐって盗塁を成功させた。サヨナラの得点圏走者だ。

7番打者は結局三振に倒れてツーアウトとなった。8番打者の初球はストライク、2球目が一・二塁間を破った。二塁走者は三塁を回る。三塁コーチは止めた。たしかに、いい送球ならアウトのタイミングだと私も思った。しかし、次はピッチャーの打順だ(代打が用意されていたかもしれない)。

アウトカウントも2つだから、たとえタイミングがアウトであっても、ホームを突くという選択があってもいい。『日刊スポーツ』(東京)にスワローズの水谷コーチに関する次のようなコラムが載っていた。

01年9月22日付「We love baseball」

してやったりだったに違いない。「ホント(二塁走者を)回して良かったと思ったよ。金本の肩、広島のデコボコの芝だったし」。16日の広島戦だった。ヤクルト1点リードで迎えた9回二死一・二塁。真中の打球は三遊間を破る。極端な前進守備の金本が捕球。そのとき、二塁走者・岩村は三塁ベースの2メートル手前だが、水谷コーチは迷わず腕を回す。タイミングはアウト。だが、送球は大きく一塁側にそれて貴重な2点目が入った。いちかばちかの本塁突入が、大成功した。

このコラムには失敗例も載っているが、三塁コーチの判断としてギャンブルを選択する場面はあり得る。本塁でのクロスプレイは、野球の試合の中でも面白いシーンの1つだ。走者二塁のシングルヒットというケースで、回すか止めるか自分が三塁コーチになったつもりで見ている人は多いに違いない。むろん、私もそのクチだ。

二塁走者は、三塁コーチの制止を振り切ってホームに向かう。中継に入ったセカンドの送球が一塁側ベンチ方向にそれた。大体大、歓喜のサヨナラ勝ちだった。万歳しながら真っ先にホームベースに駆け寄るのは、制止したはずの三塁コーチだった。西京極球場のナイター照明が威力を増してきた16:50のことだった。


外部リンクです。
陽三の大学野球「ひとりごと」ページ「行かない選択」
 学生時代に三塁コーチ5季務めたという陽三さんが、創価大・堀内コーチのことを書いています。なお、大学野球においては、専任のコーチあるいは監督自ら三塁コーチを務めるチームもありますが、高校野球のように選手が三塁コーチに入るチームも多く見られます。大体大は後者だったように記憶しています。(08/02/08設定)

◆当サイト内には、本塁でのクロスプレイについて、次のページがあります。また、三塁コーチの立つ位置について、サンプルを集めていますので、いつか公開できると思います。遠い「いつか」でしょうけど…。
 →「26イニング目の日没コールド」…同点、18回裏二死二塁でレフト前ヒット
 →「1085日ぶりの雪辱」…同点、6回裏無死一塁でライト線二塁打
 →「オリーブの首飾り」…3点差、6回裏二死二塁でレフト前ヒット
◆二盗・三盗の連続盗塁については「パーフェクト・スチール」のページを、ディレード・スチールについて→「縫い目の数だけ煩悩がある」のページをどうぞ。
◆私はとくにひいきのチームを持っているわけではありませんが、大体大とは相性がいいようです。
 →「2試合連続で0対0の延長戦」…98/06/14対九州共立大戦、01/05/09対大阪産業大戦
 →「土壇場の逆転」…02/11/15対中央学院大戦

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