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勝ち投手は誰だ?

01/11/06作成
13/12/14更新

◆先発投手が勝利投手になるには5回を投げきらなければなりません。リードしたまま5回未満で先発投手が退き、複数の救援投手がそのリードを維持した場合、誰が勝利投手になるのか頭を悩ますことになります。01年七大戦決勝はまさしくそんな試合でした。
◆七大戦とは、旧七帝大(北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大)が30種目ほどを競う大会です。硬式野球や準硬式野球のほかに、アイスホッケー、ゴルフ、ラクロス、少林寺拳法などもあるようです。持ち回りで開催されており、各種目1位10点、2位8点、3位6点、4位4点、5位3点、6位2点、7位1点のポイント制で総合順位が決まっているようです。


◇七大戦決勝は?

8:30試合開始だと聞いていたので、8:00ちょうどに家を出た。途中でセブンイレブンに寄って、ベーコンレタストマトサンドとカフェラテを買い込んだ。ふと足元を見て、健康サンダルを履いていることに気づいたけれども、そのまま東京ドームまで歩いた。

後楽園の駅ビルから歩道橋を渡ると、そこは25番ゲート前だ。まさかこの時間のこんな試合で25番ゲートが開いているとは思えない。やはりシャッターが閉じられている。

どうせ21番ゲートも開いてないだろう。野球体育博物館前を過ぎて正面の22番ゲートに着いた。ここも開いていない。それに係員もいない。誰かに聞こうと思っても誰もいないのだ。

たしか七大戦の決勝があるはずなのだ。ところが、それらしいお知らせ看板さえない。変更になったのかもしれない。なにしろ中は見えない。ドームだから音も聞こえないのだ。「まあ、いいか」と、あきらめて帰ろうと思ったら、Y氏の姿が見えた。それに選手の家族と思われる2人連れも近づいてきた。

Y氏と私は同じ条件だ。この日この時刻に試合があると聞いて、やって来ただけだ。まあ、「散歩がてら」の私と、わざわざ所沢から来たY氏では、モチベーションが異なるとしても、この際、Y氏と話しても問題は解決しない。選手のご母堂と思われるご婦人に、「8時半からなんですよねえ」と確認した。

試合があるのなら、入口を見つけるだけのことだ。総合案内所を覗きに行ってみたが、やはりまだシャッターが降りている。時間が時間だけに球場係員はどこにも見当たらない。サンダル履きの私はあきらめもつくけれども、選手の家族ともなればそうもいかないだろう。ご母堂らしき人と妹らしき女性が立っている22番ゲート前に戻った。

「この下に関係者入口がありますから、たぶんそこは開いていると思いますよ」と言って、Y氏と一緒に階段を降りた。ご母堂たちがついてこなかったのは、私を不審人物ではないかと警戒したのではなく、入口を探してさまよっていた父御を待っていたからだと思われる(あとで3人一緒に入ってきたからだ)。

非関係者なんです

関係者入口では、「関係者の方ですか?」と尋ねられた。「いいえ違います。縁もゆかりもありません」と正直に言う気にはなれなかった。せっかくここまで来たのだ。いまさら、追い返されては身もフタもない。それに、朝から押し問答もしたくない。私は黙ってうなずいた。

名前と会社名を書かされた。まあ、タダで見られるのなら仕方がない。根が正直だから?偽名は使わなかった。どうやら、私はスパイ向きの性格ではないようだ。持ち物検査がないのは「関係者」扱いだからだろうか。私はコンビニのレジ袋だけだったが、Y氏は鞄を持っていたのだ。

なるほど、記者席には持ち込み禁止のはずのペットボトルがあるわけだ。薄暗い通路を抜けて、スタンドに入った。どこが勝ち残っているのか知らなかった。どうやら京大と阪大のようだ。こういうカードを東京ドームで見られるなら、朝8:30でもそんなに悪くはない。

スコアボードにはもう選手名が入っていた(ただし、審判の名前とHやEの累計は表示されなかった)。場内アナウンスも「つき」で借りていたようだ。ときに学生らしい慣れない声も入ったけれども、大半は「プロ」の声だった。

5回裏終了時に、スタンドの観客の数を数えてみた。54人だった。Y氏と私のほかに「非関係者」がいたかどうかは定かではない。いちいち聞いて回ることはできない。ひっそりとおこなわれたこの試合は、京大が4対1で勝った。あいにく「○年ぶり○回目の優勝」という類のアナウンスはなかった。

6投手の継投

勝った京大は、4回に先取点をあげて、そのまま逃げ切った。逆転も同点もなかった。京大の先発投手は4回で退き、以後、5人の投手が1イニングずつ継投した。まあ、京大の選手が東京ドームで試合をするチャンスはそうないだろう。一種の「思い出づくり」だろうけれども、それが悪いと言いたいのではない。

01/08/01(東京ドーム) 七大戦決勝
京都大 000 310 000 =4
大阪大 000 000 001 =1

さて、困ったことがある。01年が何回目になるのか知らないが、いくら伝統があろうと、これは練習試合にすぎないのだ。よもやこれを「公式戦」とは言わないだろう。ということは「公式記録」も存在しないはずだ。むろん、新聞には結果さえ出ない。当時の『公認野球規則』は、勝利投手について次のように定めていた。

01年版 『公認野球規則』

10・19 勝投手、敗投手の決定
(a) 先発投手は、最少5回完投した後に退いたこと、しかもそのとき自チームがリードの状態にあって途中タイまたはビハインドになることなく、そのリードが試合の最後まで持続されたこと、などの条件がそろったときはじめて、勝投手の記録が与えられる。
(b) 勝投手を決定するのに、先発投手は少なくとも5回の投球が必要であるという規則は、6回以上の試合にはすべて適用される。試合が5回で終了した場合には、先発投手は、最少4回完投して退いたこと、しかもそのとき自チームがリードの状態にあって、途中タイまたはビハインドになることなく、そのリードが試合の最後まで持続されたこと、などの条件がそろったときにはじめて、勝投手の記録が与えられる。
(c) 勝チームの先発投手が本条(a)(b)項の各項目を満たさないために、勝投手の記録を得ることができず、2人以上の救援投手が出場した場合には、次の基準に従って勝投手を決定する。
(1) 先発投手の任務中に、勝チームがリードを奪って、しかもそのリードが最後まで保たれた場合には、勝利をもたらすのに最も有効な投球を行なったと記録員が判断した一救援投手に、勝投手の記録を与える。
<略>

▲これは01年当時の条文です。08年改正で条項が改められています(→08年改正規則の10.17(b)原注)。

最も有効な投球

日本のプロ野球にはもう少し細かい規定があり、投球回数が最優先されていた(1イニングに満たない差は無視)が、それに照らし合わせることもできない。今回の場合、救援投手は等しく1イニングを投げているからだ。それにプロの規定をアマに適用していいものかどうか、疑問に思わなくもない。いずれにしても、これはもう自分で判断するよりほかにない。救援5投手の投球内容は次のとおりだ。

京大救援投手の投球内容
5回/野*R 6回/河*L 7回/多*R 8回/長*L 9回/相*R
BBBSSFH
SFFBFH
BBH
ニゴ
三直
遊ゴ
BSSK

SKBK
三振
遊ゴ
三振
FBSK
BFBBH
SKBK
三振
左飛
三振
FBKBFK
BH
SKBBBS
三振
二飛
三振
KSBH
KSBBH
BFSH
BSBBSK
左安
中飛
遊ゴ
三振

▲S…見逃しストライク、K…空振り、F…ファウル、B…ボール、H…インプレイの打球

やはり、いくつの条件で複合的に「勝利をもたらすのに最も有効な投球を行なった」投手を決めるしかないだろう。

比較10項目
項目 野* 河* 多* 長* 相*
(1)投球回数 1回 1回 1回 1回 1回
(2)失点
(3)許した走者
(4)奪三振
(5)登板時の得点差
(6)登板時の残りイニング
(7)投球数 16 13 14 19
(8)ボールの数
(9)対戦した打順 7〜9番 1〜3番 4〜6番 7〜9番 1〜4番
(10)相手打者の左右 RRR LRL RLL RRR LRRL

(1)の要素が等しい以上、(2)を優先的に考慮せざるを得ない。したがって、まず相*は除外しよう。(2)でも(3)でも残りの4人は等しい。(4)では差がつくが、私は奪三振の多寡で投手を評価したくない。三振によるアウトも、内野ゴロによるアウトも、フライによるアウトも、何の優劣もないと思っているからだ。

何を重視するのか?

個人的には、(5)(6)を重視したいと思っている。(5)が同じ4点差なら、残りイニングが多いほうが逆転の可能性も高いわけだから、この場合には投げた順番で優劣をつけたい気がする。

(7)(8)は、(5)(6)ほど気にしたくはない。基本的には(2)がすべてだと思っている。ただ、この場合には一応考慮してもいいだろう。やはり、早くバッターを追い込んで、少ない球数で終われば、守っている側としては楽だろうからだ。

(10)は相手次第だからどうでもいいが、(9)はやはり考慮の要素にしたい。同じ3者凡退でも、上位打線と下位打線が同一の評価では納得できない。

というわけで、

(6)では、野*>河*>多*>長*
(7)では、河*>多*>長*>野*
(8)では、河*>多*>長*>野*
(9)では、河*>多*>野*、長*

となる。

1〜3番と4〜6番で優劣がつけられるのかと問われそうだが、この試合の阪大のヒットは、スタメン1番、スタメン2番、スタメン7番、途中交代の1番、の4本だった。したがって、1〜3番を抑えた河*のほうが4〜6番を抑えた多*より「上」にくると評価した。

多*と長*は、(6)(7)(8)(9)のどの要素でも、河*の「上」には来ない。(1)(2)(3)(4)(5)はイーブンなのだ。というわけで、多*と長*にはあきらめていただこう。

消去法の結果、野*と河*が残った。早く投げた野*を勝ち投手にするのか、対戦した打者や3ボールがなかったことなどを評価して河*に勝ち投手を与えるのか、最後はそういう判断になる。

私は、河*を勝ち投手にした。それが適切な判断と言えるかどうか自信はないけれども、「勝利をもたらすのに最も有効な投球を行なった」投手とは、ここを乗り切れば先が見えてくるという局面で投げた河*だと思うからだ。つまり、結果的には(9)の要素で決めたことになる。

▲旧10.19の「勝利をもたらすのに最も有効な投球を行なった」投手との文言は、08年改正により新10.17では「勝利をもたらすのに最も効果的な投球を行なった」投手に改められています。

08年改正規則の10.17(b)原注

08年の規則改正で記録に関する第10章にも手が加えられている。新条項は次のとおりだ。

08年版 『公認野球規則』

10・17 勝投手、敗投手の決定
(a) ある投手の任務中、あるいは代打者または代走者と代わって退いた回に、自チームがリードを奪い、しかもそのリードが最後まで保たれた場合、その投手に勝投手の記録が与えられる。
 ただし、次の場合はこの限りではない。
 (1) その投手が先発投手で、10・17 (b)が適用された場合。
 (2) 10・17 (c)が適用された場合。
 【原注】 試合の途中どこででも同点になれば、勝投手の決定に関しては、そのときから新たに試合が始まったものとして扱う。
 相手チームが1度リードしたならば、その間に投球した投手はすべて勝投手の決定からは除外される。ただし、リードしている相手チームに対して投球している間に、自チームが逆転して再びリードを取り戻し、それを最後まで維持したときは、その投手に勝の記録が与えられる。
(b) 先発投手は、次の回数を完了しなければ勝投手の記録は与えられない。
 (1) 勝チームの守備が6回以上の試合では5回。
 (2) 勝チームの守備が5回(6回未満)の試合では4回。
 先発投手が本項を満たさないために救援投手に勝投手の記録が与えられる場合は、救援投手が1人だけであればその投手に、2人以上の救援投手が出場したのであれば、勝利をもたらすのに最も効果的な投球を行なったと記録員が判断した一救援投手に、勝投手の記録を与える。
 【原注】 救援投手が勝投手として記録されるには、その投手が最低1イニングを投球するか、試合の流れ(スコアも含む)の中で試合を決定づけるアウトを奪うこと、というのが本項の趣旨である。最初の救援投手が効果的な投球をしたからといって、ただちにその投手に勝を与えるべきではない。なぜなら、勝投手は、最も効果的な投球をした投手に与えられるものであり、続く救援投手が最も効果的な投球を行なうかもしれないからである。どの救援投手に勝を与えるかを決定するには、失点、自責点、得点させた走者数、試合の流れを考慮しなければならない。もし、2人以上の投手が同程度に効果的な投球を行なった場合は、先に登板した投手に勝を与えるべきである
(c) 救援投手が少しの間投げただけで、しかもその投球が効果的でなかったときに、続いて登板した救援投手の中にリードを保つのに十分に効果的な投球をした救援投手がいた場合は、前者に勝投手の記録を与えないで、続いて登板した救援投手の中で最も効果的な投球をしたと記録員が判断した投手に勝を与える。
 【原注】 救援投手が1イニングも投げずに2点以上の得点(それが前任投手の失点であっても)を許した場合は、効果的な投球とはいえず、かつ少しの間しか投げなかったと一般的にはみなすべきであるが、必ずそうみなすというわけではない。複数の救援投手から勝投手を選ぶ際には、本条(b)の原注が参考になる。

(b)項(c)項の原注は07年までの『公認野球規則』にはなかった。この新条項に当てはめて考えてみよう。新10.17(b)原注には「試合を決定づけるアウトを奪うこと」という「本項の趣旨」が示されている。4投手は等しく1イニング投げて、いずれも3者凡退でおさえた。

やはり、「試合の流れを考慮」して河*を勝ち投手にするか、「同程度に効果的な投球」だったとして「先に登板した」野*に勝利投手を与えるのかという問題になる。先に登板した投手を優先するのは(6)に連なる。

残りイニングが多いほど逆転または同点の可能性は高いのであって、ほかの条件がまったく等しいなら、早い回に投げた投手が勝ち投手としてふさわしい。たとえば初回の“スミ1”で試合に勝ったとして、3人の投手が3イニングずつ投げていたら、許した走者の数に大差がない限り2番手投手に勝利投手を記録すべきだと私は考える。

したがって、上の七大戦のケースでは、野*に勝利投手を与えるという考え方も“あり”なのだ。まあ、私は熟慮の結果、下位打線の3人をおさえた野*よりも、1番から3番までを9球で片付けた河*のほうが勝利投手として適当だと判断したわけだ。

東京六大学の事例(03年春)

プロと違ってアマには、セーブやホールドの記録が与えられない。アマの事例を集めていきたいと思う。と言っても、ある程度詳細な記録を入手できるケースは限られてしまう。

03/04/13(神宮) 東京六大学リーグ春季第2週 2日目第1試合 12:00〜14:59
慶応大 013 000 001 =5 参鍋−川口−小林康−○清見
法政大 011 000 100 =3 ●松本祥−荒瀬−中野−下敷領−山下哲

慶応の投手成績は次のとおりだ。

慶応大の投手記録
 投手 球数 打者
参鍋 2 2/3 38 13
川口 2 1/3 31
小林康 1 2/3 38 10
清見 2 1/3 31

1失点の3番手・小林は、排除できるだろう。2番手の川口と4番手の清見は、失点、自責点、投球回数が等しい。被安打数では川口が1本少なく、奪三振では清見が1個多い。そうした点からすると、川口のほうが勝利投手にふさわしいのではないかとも思える。

だが、勝利投手は清見についている。どうやら川口がリリーフしたのは2点リード・走者1人の場面であり、清見は1点リード・走者2人の場面で登板したらしい。よりシビアな局面で投げていたのは清見であるという判断が働いたのだろう。

こちらのケースは、新条項で言う「試合を決定づけるアウトを奪うこと」がはまるのではないかと思われる。


◆ファイル名(dai16…)でおわかりのように、このページはもともと「大学野球」のカテゴリーに含めていました。05年3月に「スコアとルールのページ」に移し、07年9月に「スコア」と「ルール」を分離しました。08年規則改正に伴い「08年改正規則の10.17(b)原注」の項目を追加しましたが、同時に従来このページに収めていた「地方リーグのコールド規定」は「イントロダクション」のページに移しました。

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