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[剽窃]事件の顛末

02/12/20作成
14/02/23更新

◆当サイトのコンテンツが市販されている書籍にパクられたことがありました。「同時進行ドキュメント」のつもりで作成したページですが、おかげさまで短期間のうちに円満に解決しました。同じようにパクられた方には道しるべになるかもしれません。あるいは、備えのつもりでどうぞ。

◆このページの作成当初、書名・社名はそのまま実名を掲げていました。02/12/21更新時より、版元の出版社名を「A社」、書籍名を「B書」、編者を「C会」、制作にあたった編集プロダクションを「D社」として表記しています。


書店にて

02年5月6日に「本に載っていましたね」というメールをX氏より頂戴しました。知らない方でした。まあ、連絡先アドレスとともにWebサイトを一般公開しているわけですから、見ず知らずの人からメールをもらうたびに驚いていては身が持ちません。

覚えはありませんが、何かの雑誌にでも取り上げられたのだろうと思って、その部分には触れることなく、X氏に返信しました。何に載っていたのか尋ねるのも煩わしかったからです。週刊誌なら最新号はすぐに店頭から消えます。わざわざバックナンバーを取り寄せたり、置いてある図書館を調べるのも面倒です。

6月19日にY氏からいただいたメールの中に、「本よりHPのほうがはるかに読み応えがあります」という一節がありました。Y氏とは、以前に1度だけメールのやりとりがあります。私は、一般的社交辞令として流しました。

先の2つのメールに深い意味があることに気づいたのは、11月28日にもらったZ氏からのメールでした。当サイトの「後攻は有利なのか?」のページの冒頭部分を、そっくりの形で載せている本があるとのことでした。出版社名、書名、著者名の3点セットも掲げてありました。

12月18日に神保町の三省堂書店で、問題の本を見かけました。手にとって、最初に開いたページは見覚えのある文章でした。ほぼ同一の論旨のコンテンツを掲げているWebサイトを私は知っています。本の奥付を確認すると、02年4月です。そのサイトは、もっと前からそのコンテンツを掲げています。

そのサイトの管理人さんが書かれた本なのかと一瞬思いました。巻末の「主要参考文献」には、複数のURLアドレスが掲げられていますが、よそ様のURLまで鮮明に記憶しているわけではありません。「何だろう? この本は」――そう思って、目次を開いてみました。

「先攻と後攻ではどちらが有利か?」という項目があります。3ページのうち1ページ目を読んだときは、「私と同じテーマに関心を持っている人がいる」と思っていました。2ページ目と3ページ目には、まさしく私が書いたはずの文章が載っていました。

家に帰って、改めて突き合わせてみると、明らかに剽窃です。「主要参考文献」には、当サイトのURLは掲載されていません。まあ、「ほか」でくくられてしまったのかもしれませんし、「主要」ではないのかもしれません。

しかしながら、ほかのページでも「後攻は有利なのか?」が剽窃されています。目次を含めて190ページのうち、4ページに渡って使われているわけです。「主要参考文献」は書籍11点、雑誌2点、新聞4点、Webサイト8点、計25点です。「主要」なのか「ほか」なのか、線引きとしては微妙なのかもしれません。

これだけなら、アクションを起こすことはなかったと思います。全体を読んでもらえれば、どちらがオリジナルであるかは歴然としています。目くじらをたてるほどのこともありません。

推定が断定に

許せなかったのは、私が推定で書いている部分が断定になっていたからです。

当サイトの記述(当時)

「第1試合が延長になったから先攻をとった」旨の発言をしていた

『B書』の記述

「第1試合が延長になったから先攻をとった」と発言。

これは98年8月の試合です。私はラジオで馬渕監督のインタビューを聞いていました。もちろん、録音などしていませんし、メモもとりませんでした。高校野球ではジャンケンで勝って先攻(後攻)をとったという話がよく放送されます。

「なぜ、先攻(後攻)なのか」は、戦術上の問題もあるでしょうから、まず表に出ることはありません。監督自ら、聞かれてもいないのに答えたことが私の記憶に刻まれました。

「先攻は有利なのか?」の作成日は01年12月4日です。実際に着手したのはもっと前ですが、それでも98年ではありません。そんな昔の話を1字1句違うことなく記憶しているはずがありません。こんな内容の発言をしていたはずだという意味合いで「旨」をつけました。

この部分は「後攻は有利なのか?」のページの中では、イントロダクションの位置づけにしかすぎません。縮刷版やマイクロフィルムを閲覧するほどのことではありません。ただ、他人の発言だからこそ、ないがしろにはできません。「旨」は不可欠でした。

もう1点、同じような部分があります。

当サイトの記述

先に守るほうが不利だということなのだろう。

『B書』の記述

先に守るほうが不利であるという判断からだった。

私は馬渕監督がきっとこう考えたのだろうと推測しただけです。ところが、まるで馬渕監督に聞いてきたかのような書き方になっています。

許せない点は、ほかにもありました。

『B書』(第1刷) 129〜130ページの記述

高校野球の全データについての平均得点は、春・夏を通して後攻が約0.3点高く、勝敗も後攻が若干多い。したがって後攻が有利であり、それはサヨナラのチャンスの有無と考える人が多いが、実は延長戦における先攻・後攻の平均得点の差がたったの0.3点であることを考えると、後攻が有利とまではいいきれない。あくまでも偶然の範囲内と考えていいだろう。

「0.3点」とは、当該ページで引用した宮津論文に出てくる数値です。再度、引用します。

宮津隆・新行内康慈「野球における統計的解析―ジンクスと国民性―」(野球文化学会編『ベースボーロジー』所収)87ページ

70年もの高校野球の全データについての平均得点は、春・夏を通して後攻が約0.3点高く、勝数も後攻が有意(α=1%)に多い <略> 後攻が有利なのは、サヨナラのチャンスが多いからだと考える人が多いと思われるが、実は延長戦における先攻・後攻の勝敗の差は統計的に有意ではない。すなわち偶然の範囲内なのである。

「0.3点」は延長戦のときの得点差ではありません。「0.3」点とは、延長戦を含めた全試合の1回から8回までの平均得点の差なのです。「延長戦における先攻・後攻の平均得点の差」は、宮津論文はもとより、私のページにも出てきません。

架空の数値をでっち上げてもらっては困ります。だいたい「延長戦における先攻・後攻の平均得点の差」を算出することにあまり意味はありません。「延長戦における先攻・後攻の勝敗の差」は大いに意味がありますが…。あれとこれとを切り貼りするなら、もう少し慎重であってほしいものです。

また、この部分は「剽窃」を裏づけるきわめて重要な部分です。私は宮津論文の記述を「引用」しています。B書では地の文のなかに、この記述が出てくるのです。もちろん、宮津氏の名前などありません。私がパクられたことは、これだけで明白です。

念のために、書店で最初に気づいたほかのWebサイトを開いてみました。突き合わせていくと、やはり剽窃であり、「主要参考文献」には入っていません。

▲学術論文では「引用文献」が「参考文献」になりますが、一般図書の場合の「参考文献」は「読書案内」のような性格を持つことが多々あります。

第1信

版元のA社に電話したのが12月19日の15:30過ぎでした。担当者不在とのことでしたが、すぐにE氏より折り返しがありました。「セットポジション」を検索してもらい、当該ページに案内して、『B書』の何ページに剽窃されていると伝えました。

いきなり指摘されても確認できないのは当然のことですから、とりあえず直接の執筆者からメールをいただきたいと依頼し、今後の連絡は基本的にメールで、と添えました。編者は「C会」となっています。

奥付に記載された3人の経歴を見ると、「現在、フリーの科学ライターとして活動中」「現在は、なんでもライター(得意ジャンル:スポーツ、映画)として活動中」「現在、編集者として仕事中」とのことです。誰が書いたのか特定しないと話は進みません。

翌朝、A社のWebサイトに掲載されていたアドレス宛に、このページを作成したことも添えて、次のように送信しました。

12/20 07:46送信 「A社」宛

次の3点につき、ご回答をお願いします。

【A】私は剽窃であると理解しておりますが、貴社の見解はいかがでしょうか? 上記ページでは3点のみの掲載にとどめましたが、そのほかにも指摘できる箇所は多数あります。
【B1】剽窃であることをお認めになる場合、版元として、今後どのような措置をとられるのか、お聞かせください。
【B2】お認めにならない場合、増刷予定の有無をお聞かせください。
【C】128〜130ページ「先攻と後攻ではどちらが有利か?」の執筆者より直接メールをいただきたいと思っております。よろしくお手配いただけるようお願いします。貴社とは直接関わりのないライターでしょうから「○日○時頃○○社に連絡済み」という形でお答えください。

以上、よろしくお願いいたします。

11:51にA社担当者E氏より、12:02にその上司F氏より、12:20にD社のG氏(C会の1人)より、それぞれ「剽窃」を認める返信を受領しました。E氏は11:00まで営業で外出していたそうです。それが真実であろうとなかろうと、私としては常識の範囲内であり、迅速な対応でした。

なお、執筆者からのメールが届いたのは23:39です。お忙しかったのかもしれません。

第2信

結局、20日は計5通のメールを受領しました。この段階で剽窃であるとの共通認識が得られたわけですので、当初掲げていた出版社名や書名等の実名は伏せることにしました。

ところで、宮津論文がなければ、私があのページを作成することはありませんでした。宮津氏の成果を踏まえて、それを展開させたつもりです。それをさらに深めていただけるのであれば、こんなに嬉しいことはありません。

馬渕監督に関する2点が、もし他のソースあるいは直接取材による裏づけのうえで「断定」に変わったのなら、私にとってはビッグニュースです。メモさえ残っていない何年か前の発言をそんなに鮮明に記憶していたとするなら、私は驚嘆すべき記憶力の持ち主ということにもなります。

翌21日の朝に次のようなメールを返信しました。

12/21 09:51送信 「A社」F氏宛

とりあえず、上の2点についての回答をお待ちしております。連休明けで結構です。
<略>
以下、一読者の意見として申し上げます。今回の「C会」のように、その場でこしらえたような任意団体(ですらないかもしれませんが…)が著作者である場合、責任の所在がきわめて曖昧になります。改めて私の書棚を見渡してみても、あまり目につきません。やはり、どこかに胡散臭さを感じてしまうようです。

▲「上の2点」とは馬渕監督の発言等に関わる2点です。

D社を相手にすると、まとまるものもまとまらなくなるおそれを感じたので、窓口はA社一本化で双方にお願いしました。21日から23日はちょうど3連休でした。

連休が明けた24日、15:09にA社F氏より状況報告のメールがあり、18:24には上記2点に関するD社の回答とともに、作業経緯や問題点などの報告も添えられたメールをA社E氏よりいただきました。

絶版

24日20:01のA社F氏のメールで「当該本を直ちに絶版にし,在庫本は断裁する」との回答を得ました。A社は、出版社としてはけっして小規模というわけではありません。社内手続きもあるはずですが、私が電話をしてからわずかに3営業日での英断でした。

私は直接絶版を要求していません。まあ、増刷予定を聞くぐらいですから暗に求めてはいるのですが…。あくまでもA社の自主的判断に基づくものです。私は電話を1本かけて、メールを2通出しただけなのです。

私が「ライブラリー」のページで五つ星を与えているのは、ジョージ・F・ウィルの『野球術』(文芸春秋・刊、芝山幹郎・訳)だけです。その上巻「投球術」編は、ハーシュハイザーの次のような言葉で結ばれています。(306ページ)

では初回にマウンドへ登るとき、ハーシュハイザーは完投する決意を固めているだろうか? 「狙いは完全試合」とハーシュハイザーは答える。「で、ヒットを1本打たれたら1安打ピッチングを心がける。四球を1個出したときは、これ以上歩かせないでおこうと考える。その都度その都度、実現可能な完璧を目指す。過ぎたことはしようがない。でも、未来は無傷ですから」

00年6月の雪印乳業食中毒事件で、企業側が厳しく問われたのは、起こってしまった食中毒ではなく、発覚後の対応の不手際でした。適切に対処していれば、あれほどの被害にはならなかったからです。「無傷」だったはずの未来を自ら傷つけたのです。A社は未来を傷つけませんでした。

ところで、絶版だと言われても私にはそれを確認するすべはありません。そこで、翌25日「貴社Webサイトからの削除をもって、絶版であると解します」と返答しました。即日対応してもらえたようです(別に不信感は抱いていませんでしたから、確認したのは26日でした)。

振り返ってみると、A社はつねに迅速な対応で、こちらが恐縮したくなるほどでした。私は、年内に決着するとはとても考えていなかったのです。また、私が要求していないD社の作業経緯や問題点等の報告が転送されてきましたが、これは再発防止のために独自にD社に要求したものなのでしょう。

▲なお、1年後の03年12月に千代田区内の大型書店で当該書籍を発見しました。私には書店に対して撤去を要求する権利はありません。どのみち、古本屋に出回ったものは回収できないわけです(その後、本当に古本屋で見かけたことがあります。さすがに複雑な心境でした…)。

同じようにパクられた方へ

何が許せないかは人それぞれでしょうが、私が看過できなかったのは剽窃そのものではなく、「改竄」あるいは「捏造」でした(法的には「同一性保持権」の侵害ということになるでしょう)。ですから、私にとっては「絶版」が最終目標でした。

まず、何を求めるのかを決めましょう。刑事罰を求めるのか(著作権法は特別刑法です)、金銭的なもの(損害賠償あるいは不当利得の返還)を求めるのか、謝罪だけでいいのか、段階はさまざまです。交渉ごとに駆け引きはつきものです。最初から100%の要求を突きつける必要はありません。

現に、私は最初のメールでは要求らしい要求をしていません。せいぜい執筆者からの連絡を要求しているだけです。まずは事実を提示して、相手の出方を見てからでもいいのです。逆に、200%の要求を突きつけて、「足して2で割る」で100%に持ち込むという手法もあるのかもしれません。

次に、交渉相手を選びましょう。今回のケースでは、編者である「C会」には、当事者能力がありませんでした(おそらく)。したがって、誰が執筆者であるかを特定する必要がありました。通常、著作権法違反については、出版社と著者の間に「共同不法行為」が成立するはずですので、無理に著者を相手にする必要はありません。

電話でのやりとりは基本的に避けましょう。互いに感情的になってしまいがちです。どうしても「言った言わない」の世界に嵌り込んでしまいます。基本的には文書でのやりとりが好ましいと思われます。その意味では、送信日時が残るメールは便利なものです。

事実認識に争いがある場合、解決は長引きます。今回の場合は、早々に共通認識が得られたため、あとは対応待ちになりました。下のリンク集には反映させませんでしたが、裁判にもつれたケースもあるようです。お互いに煩わしいわけですので、気長に構えたほうがいいのかもしれません。

日頃からの備えも必要だと思われます。著作権法に関する最低限の知識の持ち合わせがないなら、ある程度仕込んでからアクションを起こしたほうがいいと思われます。ただし、3年の消滅時効があること(刑事責任と民事責任では時効の起算点が異なります)にご注意ください。

また、私は「盗作」や「無断転載」ではなく、あえて「剽窃」というあまり一般的ではない(かもしれない)言葉を用いています。意味の通じる相手なら、こちらのほうが効果的だと考えたからです。

以下、関連リンクを用意しましたので、ご利用ください。いろいろなケースがあります。なお、私の場合、最終的には金銭の授受を伴ったことをつけくわえておきます。あちら様は営利目的なのですから、別に私が遠慮する必要はないわけです。

外部リンクです
どうなった!無断掲載本の話
 掲示板への書き込みを発言者に無断で出版した事件もあったそうです。大手出版社に対して「相手がプロである以上、金銭での解決が当然」として、そのような決着をみるまでの経緯が記されています。(02/12/23許諾済、14/02/01デッドリンクにつき解除)
■aiko's Another World無断転載
 サイト上で公開した顔写真、氏名、年令、職業等を無断掲載した雑誌があったそうです。(02/12/22通知済、14/02/01デッドリンクにつき解除)
■Cheeky's Garden★英国党宣言『ミニミニ大作戦』無断転載問題について
 無断転載の相手方がド素人さんである場合、理不尽な反撃に合うこともあるようです。(02/12/23許諾済、14/02/01デッドリンクにつき解除)
球探 日本プロ野球史探訪倶楽部観客動員の推移…観客動員転載問題の顛末
 コンテンツの一部を活字メディアに無断使用されたとき、個人サイト運営者は自らがオリジナルであることを証明することが困難な場合があります。そんな場合の対処法としては、当該メディアに謝罪文を要求して、それを掲げておくという手法は有効だと思われます。パクられた側がパクったと思われては泣くに泣けません。(02/12/24許諾済)
著作権のひろば
 「著作権侵害を指摘する前に」というページがありますので、勢いだけで突っ走る前にお読みください。「著作権を考える童話」もあります。著作権の歴史や基本項目の解説があるのは当然のことです。やたらと別ウインドウが開くのが気になったりしますが…。(F未通知、04/11/10設定)
水晶宮海外ファンサイト事情著作権条約と著作権表記
 イラストや写真の場合、海外でパクられてしまうこともあるようです。(F未通知、02/12/22設定)
ソックリ広告博物館
 博物館の扉をクリックすると「恥の殿堂」に入場できます。(F未通知、07/08/21設定)
「鷹の巣」の自宅サーバー>自宅サーバー雑学
 「盗作Webページの見破り方」の項目をおすすめします。私も盗作ページにはリンクしたくありませんので、判断材料の1つとして使わせていただきます。本件とは関係ありませんが、「正義な話」もご一読ください。(04/07/21通知済)

今後、同じようなことがあったときは

今回のようなケースは、今後も起こりうることだと思われます(起こらないに越したことはありませんが…)。その際、Webサイト管理者として、連絡がほしいのかほしくないのか、本来ならここに掲げておくべきだと思われますが、程度の問題もあるでしょうし、一概には言えません。

知らなければ何もなかったことになります。また、知ったところで、黙認するのも権利の1つです。Y氏は書店で立ち読みしたそうです。無料で閲覧可能なWebサイトにより詳しい情報があるのに、そのさわりだけを載せている本をわざわざ買う気にはなれなかったとのことです。無断転載であるとは気づかなかったそうです。

Z氏は以前に数冊まとめ買いして、しばらく読まずにいた本を、オフになって読んでいるうちに気づいたということでした。「主要参考文献」に当該ページのアドレスがなかったことや、ほかにも無断転載と思われるページがあったことを不審に感じて、連絡していただいたようです。

当サイトの著作権法絡みの項目もご覧になっていたようで、私のところにだけ連絡したということでした。迷惑だったとか、余計なお世話だったとか、そんなふうには思っていません。私も、その本が手元にあれば、事実関係だけは伝えただろうと思います。

私自身も私の一件が一段落したあとで、他のWebサイト管理者宛に連絡しました。当初、このページで両者を比較していましたし、「被害」は私より大きかったわけですから、当然のことです。

まあ、結論的には、ご連絡をいただいたほうがいいのかなと私は思っています。ただ、相手方に対してどのように対応するかは、私の一存で決めることです。いつでもバトルに持ち込むとは限りません。

◇Web上のパクリ

「後攻は有利なのか?」は、幸いにもかなり長文のファイル(当時139KB)でした。その一部が使われたわけですから、どちらがオリジナルであるかは、客観的にも容易に判別可能でした。

さて、ネットの世界でのパクリは、いわば日常茶飯事であり、いちいち対応できるものではないと私は考えています。私自身は相手方に直接メールしたことはありません。無断転載を認めるわけではありませんが、そういうWebサイトは、どうせよそからも無断転載しています。

同じジャンルなら、どちらがオリジナルであるか、たいていの閲覧者は気づいています。フレーズ検索をかければ、いやでも目につきます。いずれは自然淘汰される運命にあるのです。あまり相手にしたくありません。とはいえ、わが身に降りかかる災難には自分で対処するしかありません。私は次のように対応したことがあります。

実際には2〜3カ月で削除されました。対応は人それぞれです。これがベストだと言いたいわけではありません。ただ、「東芝クレーマー事件」のようにWebサイトは武器にもなります。有効に活用すべきだと私は思っています。

ずいぶん前ですが、ある複数のキーワードでGoogle検索したところ、これはパクリに違いないと思われるほぼ同一のページがヒットしました。2つの酷似したWebページA・Bが存在する場合、次の4通りの可能性が考えられます。

私はオリジナルと思われる側の掲示板にその旨を投稿しておきましたが、反応はありませんでした。スルーするのも対応の1つです。

蛇足

ところで、『B書』には次のような誤りがありました。(74ページ)

日本では、パリーグがDH(指名打者)制を取り入れている。これは、本来はピッチャーの打順に、バッティング専門の選手を入れることができる制度だ(厳密にはどの選手の代わりに入れてもかまわない)。

「どの選手の代わりに入れてもかまわない」という部分は、「ピッチャー以外の野手に対しても指名打者を使うことができる」という具合に読めます(私の読解力ではほかの解釈ができません)。しかしながら、これは事実に反します。『公認野球規則』には次のような記述があるからです(詳しくは「指名打者ルール」参照)。

6・10 リーグは、指名打者ルールを使用することができる。
(b) 指名打者ルールは次の通りである。
 先発投手または救援投手が打つ番のときに他の人が代わって打っても、その投球を継続できることを条件に、これらの投手に代わって打つ打者を指名することが許される。<略>

野球のルールにおける指名打者は、投手以外の野手に代われるわけではありません。投手以外の野手にも指名打者を使えるのはソフトボールです(もちろん1人だけ)。勝手に新しいルールをつくられては迷惑です。

Webでキーワード検索すると下位ページがヒットします。そのページだけでは、野球の話なのか、ソフトボールの話なのか、わからないことが多いのです。おそらく「指名打者」で検索して、ソフトのページをご覧になったのでしょう。よく確かめもせずに、それを野球のルールだと信じ込んでしまったものと思われます。

誤りはほかにもありました。(156〜157ページ)

 ところで、球団は、何人の新人選手を、獲得することができるのであろうか。一部分規制が緩んだため、二軍においておくだけなら何人も獲得していいことになっている。しかし、ルーキーの一軍枠は、打者2名、投手2名の4名までである。
 かつては、ドラフトでもテストでもなく入団できる、ドラフト外入団という制度があった。
 ドラフト指名枠が打者4人、投手6人だったため、欲しい選手が指名しきれないことがよくあり、他にテストを設けたのだ。

ほとんどの野球ファンなら、すぐに間違いだと気づくでしょう。購入前に気づけばこんな本は買わないでしょうし、購入後ならババをつかまされたとホゾを噛むに違いありません。ルーキーの「一軍」枠に人数制限があるという話は聞いたことがありません。外国人選手枠との混同だと思われます。

また、ドラフト指名枠に打者・投手別の制限があったという話も初耳です。だいたい、投手で入団した選手が野手に転向するケースはとくに珍しいわけでもありません。ドラフト指名時に打者・投手別の人数制限を設けても意味がないのです。

後者については、単純な誤植や勘違いとは思えません。これもおそらく剽窃なのでしょう。ガキのつくったWebサイトには、この手の話がたくさん転がっています。騙されるのは勝手でしょうが、金をとってまで流布することではありません。少し調べればわかることです(調べなくても気づきそうなものですが…)。

まあ、その程度の本を私が書いたと思われたのだとしたら、それが一番やるせない話ではあります。

5年後の回想

▼以下、ブログ「3代目んだ」に08/05/22付で記載したものを移記します。内容的には重複する部分もありますが、「事件」から5年後に振り返ったものです。

私の“事件”は5年前のことです。私は神保町の書店で、ある本を手にとりました。その出版社の本は高校時代にお世話になったことがありますが、野球の本を出すような出版社とは思えませんでした。

その本には、あるWebページの記述がほとんどそのまま掲載されていました。それどころか、私が書いたはずの記述も活字になっているではありませんか。家に帰った私は、その本と「セットポジション」を突き合わせました。

「主要メディアのリンクポリシー」のページには「瓜ふたつ」という項目があります。2つの新聞社のリンクポリシーがそっくりでしたので、一致する部分をマーカー表示したものです。どちらがどちらをパクったのか私は知りませんけど…。

この手法は昨日付のエントリー「振り逃げ時の打点」でも使いましたが、もともとは02年12月に“開発”したものです。今では比較は削除しており、社名その他も匿名にしてありますが、その時点ではすべて実名です。私は“戦場”をWebに求めました。

もし、あのとき、A社が剽窃を認めなかったとしたら、今でも“動かぬ証拠”とともに実名掲載が続いているわけです。このダメージは地味でも深刻です。ライターはペンネームを変えるだけで済みますが、出版社はそういうわけにもいきません。結局、実名掲載は1日足らずでした。

「…顛末」のページに書かなかったことが幾つかあります。謝罪金を支払う旨の意向は早々に示されましたが、私は「絶版」が“目標”でした。 とはいえ、私は買う必要のない本を買ったのですから、その補填を求めるのは当然の権利というものです。1207円だけは回収しなければなりません。

というわけで、私の金銭的要求は次のようなものでした。

02/12/25送信 「A社」F部長宛

絶版の履行を前提に、ということになりますが、刑事告訴権は放棄します。もともとたいした実害もありませんので、金銭を要求するつもりはありませんでしたが、実費相当額¥1207だけは回収させてください(せこい話ですが、振り込み手数料貴社負担でお願いします)。
経理上、現金の振り込みが困難でしたら、『▲▲』もしくは『△△』のいずれかに図書券(交通費プラスちょっと「あれっ?」と思いますのでその分です)でも添えて、送っていただければ結構です。
<略>
以上の諸点、書面にしたほうがよろしければ、貴社の法務部門でお願いします。業界用語まで正確には使いこなせませんので。

『▲▲』と『△△』は、問題の本と同じシリーズのものです。品切れを考慮して2点を指定しました。結局、翌26日にA社近くにあるホテルのカフェで、役員さん、F氏、E氏との面会に応じて、図書券1万円分に『▲▲』と『△△』、それにお薦めの別の本もいただきました。

私としてはこれで全面解決のつもりでしたが、年明けの1月半ば過ぎに、編集プロダクションD社からウン万円の現金と謝罪文を受領しました。このD社に関しては、私は今でもいい感情を持っていませんが、問題点を追及しても私には得るものがありません。

いずれにせよ、最終的に金銭授受を伴う形で決着したことは、類似案件のための実績づくりにはなったはずです。先を歩いた者としては(歩かされただけですが…)、できるだけ道を開いておく義務があります。

▲ブログで「その本は返却されたのですか」とのコメントをいただきましたが、お返しするのも失礼ですので返却していません。私が支払ったのは、1207円の書籍代と書店やホテルまでの交通費(どちらも2駅ですが…)、それにこの件に関して費やした時間と不愉快な感情です。受け取ったものは、現金ウン万円と1万円分の図書券、3冊の書籍、それに謝罪文でした。考えようによっては丸儲けなのかもしれませんが、収支としてはイーブンだろうと理解しています。


◆事実誤認、変換ミス、リンク切れ等にお気づきの際は、お手数ですが「4代目んだ(剽窃がいっぱい)」または「メールのページ」からご一報いただけると幸いです。

★07/03/15校正チェック済、ケなし、順OK
★08/05/22HTML文法チェック済(エラーなし)、14/02/02(エラーなし)



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