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四球で二塁へ、記録は?

02/06/16分割
13/12/14更新

◆このページには、盗塁なのか失策なのか野選なのか、いまだにすっきりと解決していない事例を集めました。
◆従来このページ(旧題「こんなとき、どう記録しますか?(1)」、ファイル名gimon01.html)におさめていた「盗塁2」のケースは08/05/18付でページを分割しました(→「守備側無関心の“盗塁”」)。また、「盗塁1」と「盗塁4」は08/05/31付で分割しました(→「盗塁?時のスタート」)。


◇四球で二塁へ

走者三塁。打者は四球を得た。無防備な二遊間を見越して、打者走者は一塁を回り二塁へ向かった。捕手は、四球目の投球を正規に捕球し保持していたが、二塁のベースカバーがいなかったので、三塁走者に視線を向けただけで、投手に返球した。

女子軟式で実際に見たプレイだ。実は、打者走者が四球で二塁を奪うこのプレイは私がけしかけたものだった。自分でそそのかしておいて、いざスコアをつける段になったら自分が悩むことになったわけだ。これを俗に「墓穴を掘る」と言う。

当時の私は一塁への出塁は「四球」、二塁への進塁は「野選」を記録したが、ディレード・スチールの変形だから二塁進塁は「盗塁」でもよさそうだ。

私が「盗塁」を記録しなかったのは、安全進塁権の行使である一塁への進塁と連続したプレイで二塁に達したからだ。一塁ベースで立ち止まったあとに二塁に向かったのであれば、私も「盗塁」を記録する。まあ、「四球で二進」が許されるなら、それが一番しっくりくるかもしれない(事実上「野選」になる)。

高校野球で類似のプレイを見た人がいる。四球の直後、キャッチャーが監督から怒られていて、ベンチを見ているうちに打者走者が二塁に達したそうだ。このときはキャッチャーに「失策」が記録されたそうだが、私が見たプレイではキャッチャーに非はないと思われる。

キャッチャーは、打者走者が二塁に向かっていることを認識したあとも送球しなかった。二塁送球を受けてくれるベースカバーの野手がいなかったからだ。

進塁を防ごうとするプレイを見せなかったことがキャッチャーの「失策」だとすれば、定位置で立ちすくんでしまったセカンドやショートにもし送球していたら、キャッチャーは「失策」を免れることになるのだろうか?

ルールブックの記述は次のとおりだ。

08年版 『公認野球規則』

10・07 盗塁
 走者が、安打、刺殺、失策、封殺、野手選択、捕逸、暴投、ボークによらないで、1個の塁を進んだときには、その走者に盗塁を記録する。この細則は次のとおりである。
 <略>

標記の事例は「安打」ではない。誰もアウトになっていないので、「刺殺」でも「封殺」でもない。「捕逸」や「暴投」、それに「ボーク」は絡んでいない。打者走者の二塁進塁には、「失策」か「野選」あるいは「盗塁」のいずれかを記録することになる。

限界?

記録上の問題は別にして、実戦面での責任の所在はベースカバーを怠った二遊間にある。そういう意味では、セカンドとショートに2分の1ずつのEをつけたいところだ。

一・二塁間のゴロでファーストが抜かれてセカンドが追いついたとき、ピッチャーがベースカバーを怠っていたために打者走者が一塁に生きた場合、記録上は安打だが、実戦的な意味合いではピッチャーの怠慢が指摘されることになるだろう。

ここに記録の限界があると言えそうだが、そうした限界があることを承知のうえで、スコアラーは何らかの記録を残さなければならない。やっかいな話だ。

かつてファイターズに在籍していたデイエットが一塁走者のとき、打者の四球で一挙に三塁まで達したという事例があり、このときは「盗塁」が記録されたそうだ。だとすれば、私が見たプレイも「盗塁」でいいのかもしれない。

▲これは伝聞情報です。何年何月何日の対○○戦と確認しているものではありませんので、ご注意ください。おそらく「王シフト」のように三塁を空ける守備だったのではないかと思われますが…。

外野に抜けるヒットを放った打者が、同じように二塁のベースカバー不在を見て、そのまま二塁に駆け込めば「二塁打」が記録され、「単打」と「盗塁」にはならない。

原理的には同種のプレイなのに、ヒットのときは「盗塁」にならず、四球のときは「盗塁」が記録されるというのは、ちょっと納得できないが、これも記録の限界なのかもしれない。

ソフトのルール

塁間が短いソフトボールでは四球を得た打者走者が二塁を奪うことはさほど珍しくないらしい。ソフトのルールブックには次のような記述がある。

08年版 『オフィシャル・ソフトボール・ルール』

12−14項 盗塁
1.安打、野手選択、失策、フォースアウト、アウト、捕逸、暴投、あるいは不正投球などの理由によらないで、走者が1個進塁したときに盗塁が記録される。
(注) 四球を得た打者走者が二塁へ進塁することも含む。

このような明文規定がある以上、ソフトボールの場合には何のためらいもなく「盗塁」を記録すればよいわけだ。問題は、この打者走者が二塁でアウトになった場合だ。ソフトのルールブックには「盗塁刺(死)」という言葉がない。ソフトには「盗塁刺(死)」の記録そのものがないようだ。

私は、「盗塁」と「盗塁刺(死)」はワンセットだと理解している。ある走塁行為に対してセーフのときは「盗塁」と記録されるなら、アウトの場合は「盗塁刺(死)」でなければならないと考えている。

標記のプレイがもし二塁でアウトだったら、私は「盗塁刺(死)」を記録することにためらいがある。「盗塁刺(死)」という記録がないソフトの場合は、その辺りのモヤモヤを感じなくて済むわけだ。

その後、同種のプレイを高校野球(硬式)で見たことがある。四球を得た打者走者は一気に二塁へ向かい、捕手の送球を利して三塁走者が本塁に突入、守備側は本塁でのプレイをあきらめて打者走者は一・二塁間で挟殺された。→「縫い目の数だけ煩悩はある」

標記のプレイが「盗塁」を記録されるものなら、このプレイは「盗塁刺(死)」の間の得点ということにしかならない。標記のプレイに対して「野選」で処理するなら、このプレイは打者走者の「走塁死」の間の得点だ。

立ち止まった

三塁前の送りバントで一塁走者が二塁に達した。三塁カバーに入ったピッチャーが、タイムをかけずにベースを離れたので、二塁を回ったところで立ち止まっていた走者は三塁を陥れた。

01年の大学選手権で起きたプレイだ。別の場所で見ていた某氏から三進に対して守備側に何か記録したいとのメールを頂戴した。私は「盗塁」を記録していたが、新聞を見ると、その走者に盗塁の記録はない。どうやら「犠打で三進」というのが一般的なようだが、私にはちょっと抵抗がある。

この走者がもし二塁走者ならどうだろう。走者二塁で送りバント、走者が三塁に達したあと、ボールを持ったキャッチャーがタイムをかけずにマウンドに歩み寄り、これを見た走者が本塁を突いた場合、「犠打で生還」を記録すると、打者には打点を与えることになる。『公認野球規則』は次のように定めている。

08年版 『公認野球規則』

10・04 打点
 (c) 野手がボールを持ちすぎたり、あるいは塁へ無用な送球をするようなミスプレイの間に走者が得点した場合に、記録員が打者に打点を与えるかどうかは、次の基準を参酌して決する。
 すなわち、このようなミスプレイにもかかわらず、この間走者が走り続けて得点した場合には、打者には打点を記録するが、いったん止まった走者が、このミスプレイを見た上で、走り直して得点した場合には、野手選択による得点と記録して、打者には打点は与えられない。

▲この条項は07年まで10.04(d)でしたが、08年版では旧10.04(b)と旧10.04(c)が統合された結果、(c)項に繰り上がっています。

ということは、「犠打で三進」したのちに「野選で生還」したのであって、打者には打点を与えないというのが私の解釈だ。これをこのまま標記のケースに持ち込めば、「犠打による二進」と「野選による三進」と記録することもできそうだ。

私のなかでは、一塁走者が「犠打で三進」するのは、バントエンドランのようなケースで、走者が走り続けていた場合だ。今回のように一度立ち止まった場合には、犠打による進塁は二塁まで、三進に関しては別の理由があったという形にしたいと思っている。

その場合、「野選」「盗塁」「失策」が考えられるだろうが、今回のケースは単にタイムのかけ忘れであって、ボールを持っていた一塁手が誰かに送球したわけではない。記録上の「失策」はとりづらい(心情的には大いなる「失策」だが…。むろん、投手の)。

残る「野選」と「盗塁」は、プレイが一段落したあとなら「盗塁」、そうでなければ「野選」ということになるのかもしれない。標記のケースはプレイが一段落しかけていたが、完全に落ち着いたわけではないと解して、「野選による三進」として処理し直した。

走者は二塁ベースを回ったところで、立ち止まった状態で三塁をうかがっていた。「犠打で三進」とすると、何年かあとにスコアを見たとき、再現できないプレイになってしまうおそれが大きい。

「四球で二塁へ」のプレイが「盗塁」と記録されるのであれば、標記のケースも「盗塁」でいいのではないかとも思うのだが…。

◇小森のサヨナラ犠打

『ベースボール・レコード・ブック』99年版(ベースボール・マガジン社)の巻末付録「サヨナラ・ゲーム」の一覧に犠打による唯一のサヨナラの例として掲げられているのが次の試合だ。

89/07/23(ナゴヤ) セントラルリーグ D対S15回戦
スワローズ 000 000 020  =2 内藤−●デービス
ドラゴンズ 000 100 011x =3 山本−○郭

9回裏一死一・二塁、小森のバントが捕手から一塁手に渡り、三進した二塁走者が本塁カバー不在を見て一気に生還したというケースだ。

同年7月24日付『読売新聞』によれば、二塁走者の郭は「三塁を回って一度止まったけど、ホームベースのカバーがいなかったので絶対間に合うと思ったよ」と語っている。実際には「止まった」のではなく、「ゆるめた」だけかもしれない。

ボックススコアでは、小森に打点1がついている。ただし、チーム打点が「2」なので、小森の打点は4回か8回のものである可能性もある。読売の記事とボックススコアだけでは、サヨナラ犠打による打点かどうか断定はできない。

もっとも、『ベースボール・レコード・ブック』にサヨナラ犠打として掲載されている以上、二塁走者の郭は小森の犠打で得点し、小森には打点がついたと解するのが妥当だと思われる。

郭のケースは縮刷版で調べてみて、初めて「サヨナラ犠打」の実態が判明したわけだ。つまり、「犠打で生還」だけでは、やはり容易には再現できないプレイになる。メモを残せばいいと考えるなら、話は別だろうけれど…。

▲当サイトでは「犠打」と「犠飛」を明確に使い分けています。当サイトにおける「犠打」には、犠牲フライは含みません。→「あまり野球に詳しくない方のために」

一塁から三塁へ盗塁

走者一塁で、一塁走者が盗塁。バントシフトを敷いた守備側は三塁カバーが不在になり、一塁走者はそのまま三塁まで達した。

外部リンクです。
おおさかソフトボールの公式記録
 「3−1:盗塁」のページの「平成9年度 事例10」で見かけてギョッとしました。これは野球でも十分に起こり得ます。(02/06/12許諾済)

投球と同時にファーストとサードがダッシュ、セカンドが一塁カバーに、ショートは二塁のカバーに入り、三塁ベースが空いてしまうことは考えられる。二塁に向かう一塁走者は、セカンド、ショート、サードが視界に入る。したがって、あえて二塁にスライディングせず、一連の動作で三塁を陥れることも可能かもしれない。

ほとんど二塁送球をしないキャッチャーなら、別にスライディングする必要もないわけだ。二塁への進塁が盗塁であることに議論の余地はないけれども、三塁進塁は盗塁、失策、野選が考えられる。

さて、三塁進塁に盗塁を記録する場合、二塁盗塁とともに2個の盗塁を記録するのか、それとも1個の盗塁で一塁走者が三塁に達したと記録するのか、という問題が生じる。打者走者がエラーで二塁に進んでも、当該野手には1個の失策が記録されるだけで、2個の失策を記録するわけではない。

まあ、結論から言えば、そのような疑問を抱いた私があさはかだった。前記盗塁の定義には「1個の塁を進んだとき」と明記されている。ソフトのルールでも同様だ(12-14項)。

キャッチャーの送球が一塁方向にそれて、この送球を捕球したショートが体勢を崩し、これを見て二塁ベースにスライディングした走者が、再び三塁にスタートしたような場合、私ならキャッチャーに失策を記録するだろうが、一塁走者が一連の動作で三塁を奪った場合、私も盗塁2個を記録することになるかもしれない。

伝聞情報だが、プロ野球では二塁進塁に対しては盗塁、三塁進塁に対しては野選を記録することになっているらしい。ただ、前記「四球で二塁へ」の事例を盗塁として処理するなら、こちらも盗塁でなければ具合が悪いことになると思われる。

このケースの三塁進塁を野選と記録するのなら、、四球を得た打者走者が一気に三塁を奪った場合(ほとんどあり得ないケースだが…)、四球と盗塁と野選により三塁に達したという記録になるはずだ。ところが、この場合の二塁進塁と三塁進塁には質的な差異はない。

このページに掲げた3つの事例と小森のサヨナラ犠打は、すべてベースカバーの不在を突いた進塁だ。本来、この4つの事例は同一のジャッジがなされるべき性質のものではないかと思われる。もともと私のなかでしっくりくるのは、盗塁ではなく野選のほうだ。

1球で2盗塁

「盗塁 無関心」で検索していたら、“H新聞のH記者”のブログがヒットした。

蛭間豊章記者のBaseball Inside>見たい! 1球で2盗塁(第379回)
http://weblog.hochi.co.jp/hiruma/2008/01/post-0fa2.html

MLBでは1985年8月1日、シカゴのリグレー・フィールドで行われたカージナルス・カブス戦で起こった。カージナルスは1回、先頭のビンス・コールマンが安打で出塁、2番ウィリー・マギーが四球で一、二塁。3番トミー・ハーの時にコールマンが三塁にスタート、やや遅れてマギーも二塁に向かった。捕手から三塁に送球したが間に合わずセーフ、三塁手がマギーを刺そうと思って二塁送球もこちらも間に合わなかった。これだけでは終わらなかった。コールマンは起きあがりざま本塁に突入、二塁手はあわてて本塁に送球したが間一髪セーフ、マギーもその間に三塁に。当日の公式記録員は、ともに危険を冒してのビッグプレーに、2人に2盗塁づつ付けた。コールマンはこの年のルーキーでいきなり110盗塁を決め、マギーも56盗塁した俊足コンビ。当時のカージナルスのスピード感あふれる野球を象徴するプレーだった。

▲報知ブログのサイトポリシー(http://hochi.yomiuri.co.jp/contents/info/link.htm)によれば、「個別の記事、ページへのリンクは原則としてお断りします」とのことです。トラックバックはOKでリンクはNGとは、どういう論理なのか理解に苦しみますが、示された意向を汲んでリンクしません。はい。
▲コピペしましたので「づつ」は原文のとおりです。念のため。

このケースは継続したプレイではなく、両者ともいったん進塁先の塁に止まった(おそらくスライディング)ものと思われる。したがって、2盗塁を記録するのも理解できなくない。だが、「四球で二塁へ」も「一塁から三塁へ盗塁」もそのまま走り続けたものだ。同じように記録していいものなのだろうか。

さて、蛭間氏はこの記事で先輩の宇佐美徹也氏の著作についても言及している。さっそく調べてみた。

宇佐美徹也 『記録・奇録・きろく』 (文春文庫、277ページ)

 これは走者一、三塁で重盗(ダブルスチール)を企てたとき(捕)→(二)→(捕)とボールが送られ本塁上でタッチプレーが行われる一瞬の間隙をついて、一塁から二塁を奪った走者が一気に三塁までおとしいれてしまうという積極戦法だ。
 これが成功すれば三塁走者には無論本盗が記録され、一塁走者は二盗と三盗、つまり1球で2盗塁をかせげることになる。

文章の流れの関係でタイガース限定となるが、戦前に4回、昭和20年代にも2回記録されているという。ということは、全チームなら1年に1回ぐらいはあった勘定になるだろう。

さらに読み進めていくと、注目すべき記述があった。

 ついでにもう1つ、35〜38年まで阪神にいたマイク・ソロムコは、四球で歩いたその足で、相手の油断をついていきなり二塁を奪ってしまうプレーを得意とした。
 35年5月22日の中日戦で初回二死、大矢根投手から四球を選んでゆっくり一塁へ歩いたソロムコは、投球を受けた捕手江藤の一瞬の油断を見てとるや突然二塁へ走り、あわてた送球をかいくぐって二盗に成功した。
 ソロムコは、さらに6月4日の広島戦、7月17日の国鉄戦、8月16日の巨人戦と、この年“四球で一挙二塁”の冒険プレーに4度成功、失敗は大洋の土井捕手に刺された一度だけだった。

というわけで、すくなくとも1960年当時の日本プロ野球では「四球で二塁へ」は盗塁が記録されていたことになる。


◆事実誤認、リンク切れ、変換ミスなどにお気づきの際は、お手数ですが「3代目んだ」(四球で二塁へ、記録は?)または「メールのページ」からご一報いただけると幸いです。4

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