セットポジションスコア
併殺打≠併殺 | こんなとき(2) | (チェンジ)

こんなとき、どう記録しますか(2)

00/08/15作成
13/12/14更新

◆私は91年からスコアをつけるようになりました。今でも解決していない疑問もありますし、少しは目が肥えてきたために生じてきた疑問もあります。グレーゾーンに属するプレイや、必ずしも正解は1つではなかろうと思われるプレイもあります。そんな事例を集めていました。
『公認野球規則』第10章は08年改正によって大幅に手が加えられています。このページでは07年規則を掲載していますのでご注意ください。なお、このページは再編中ですが、サヨナラ野選はこのファイルに残します。



05/03/20更新(01/06/23作成)

◇失策1

走者なし。ショート方向へゆるいゴロが転がった。三塁手がカットして、スローイングのためのステップを踏んでいるとき、ボールを握ったままうずくまるようにして倒れ込んだ。なにやらアクシデントが発生したらしい。その三塁手は肩を担がれてベンチに下がり、試合からは退いた。

01年の大学選手権だった。何のアクシデントがあったのか、報道量のすくないアマチュア野球では、残念ながらよくわからない。スコアボードには「E5」と出て、翌日の新聞もその三塁手に「失策」がついていた(ほかに守備機会なし)。私は「安打」を記録した。

H/E、あるいはWP/PBというのは、文章化するにはなじまないけれど、このケースなら、なんとか行けそうだ。類似のケースとして「佐野事件」のことが気になった。

外部リンクです。
私を野球に連れてって
「事件15」のページに佐野事件に関する記述があります。佐野事件をご存知でない方は参考までにどうぞ。(01/06/17許諾済)

一死一塁で飛球を追って川崎球場の外野フェンスに激突した佐野は、ボールを握ったまま意識を失っていたそうだ。レフト線審はボールの確捕を確認してアウトをジャッジをした。駆け寄ったセンターの池辺は、ただならぬ事態にボールをほったらかしにしたまま担架を要求したという。


結局、一塁走者は生還した。このときの記録は、当初は「失策」で、後日「野選」に訂正されている。ただ、佐野事件の場合は、走者の進塁に対する記録であり、標記のケースは、打者が一塁に生きたことに対する記録となる。そうすると、話としては、ふりだしに戻りそうな気もしなくはない。

捕球して、送球に移る間に滑って転んだらどうなるのか、という単純な話ですみそうだ。悪送球を伴うなら、「失策」でもさほど問題はないだろうが、標記のケースは送球ができなくなったわけだから、ファンブルでもなく、マフでもなく、悪送球でもない(「muff」を「落球」ではなく、広くとらえれば話は別)。

たとえば、外野フライに対して、一歩目のスタートでつまずいて転んだ結果、打球に追いつけなかった場合、ヒットが記録されるのが通常だろう。ゴロを捕球した後に滑って転んで送球できないなら、ヒットでいいのではないかと私には思われる。

『公認野球規則』10・13本文で言う「ミスプレイ」には該当しないと私は解釈したい。打者走者が二塁に進んだ場合の二進については、佐野事件に倣い「野選」とする。

なお、「事件15」のページには、佐野事件と似たケースも紹介されているが、そちらの記録は「犠飛」で打者には打点がついているようだ。


05/03/20更新(01/04/30作成)

◇ファウルフライ落球

N氏より、おおむね次のようなメールが届いた。「高校野球で、一塁横の平凡なファウルフライを一塁手が落球したとき、スコアボードではEがつかず、翌日の新聞にもその一塁手に対して失策は記録されていなかったが、このようなケースでは10・13(a)に基づき失策を記録すべきではないのか」というものだ。

ルールブックの関連条項は次のとおりだ。

07年版『公認野球規則』

10・13 打者の打撃時間を延ばしたり、アウトになるはずの走者(打者走者を含む)を生かしたり、走者に1個以上の進塁を許すようなミスプレイ(たとえばファンブル、マフ、悪送球)をした野手に、失策を記録する。
 【付記1】 はっきりとしたミスプレイをともなわない緩慢な守備動作は、失策とは記録しない。
 【付記2】 次のような場合には、記録員が失策を記録するにあたって、野手がボールを触れたか否かを判断の基準とする必要はない。たとえば、平凡なゴロが野手に触れないでその股間を通り抜けたり、平凡なフライが野手に触れないで地上に落ちたようなときには、野手が普通の守備行為をすれば捕ることができたと記録員が判断すれば、その野手に失策を記録する。
 【付記3】 頭脳的誤り、または判断の誤りは、失策と記録しない。ただし、本規則で特に規定された場合を除く。
 (a) 野手がファウル飛球を落として、打者の打撃の時間を延ばした場合は、その野手に失策を記録する。――その後打者が一塁を得たかどうかには関係しない。
 【注】 野手が普通の守備行為でなら捕えることができたと記録員が判断したときだけ、失策を記録する。(10・14e参照)

10・14 次の場合には、失策を記録しない。
 (e) 無死または一死のとき、三塁走者がファウル飛球の捕球を利して得点するのを防ごうとの意図で、野手がそのファウル飛球を捕らえなかったと記録員が判断した場合には、その野手には失策を記録しない。

▲10・13の「ファンブル」は05年版まで「ハンブル」でした。

プロ野球ではファウルフライ落球に失策が記録されることがある。東京六大学リーグでもファウルフライ落球に対して失策がつくようだ。ただ、一般的にアマチュア野球では、ファウルフライの落球に対しては、比較的ルーズだと思われる。


私自身はスコアボードにEがつかなくても、失策を記録したことが数回ある。私なりの基準としては、野手の足が完全に止まっていること、風の影響を受けないイージーフライであること、太陽や照明、ドームの天井などによる「失球」ではないこと、足が止まった位置とボールの落ちた位置が著しく離れていないこと、だ。

これらの要件を満たしているときには、スコアボードがどうであろうと、私は「失策」を記録している。ただし、公式記録とは異なるジャッジをした旨付記する。

それをどのように記入するかについては、参考になるものがないので、ファウル(私は「V」)の横に(私のスコアカードのボールカウント欄は縦長)、たとえば「3E」と書き込んでいる。

前掲『個人プレーとティーム・プレー』には、次のような記述がある(243ページ)。

 記録員の共通の誤りの一つは、簡単にとれるファウル・フライの落球に対して、失策を記録しないことである。打者が一塁に生きなければ、失策を記録しなくてもよいという意見が一般にあるが、これは大きな誤りである。打者の打撃時間を延ばすプレーは、失策と記録すべきである。容易にとれるファウル・フライを落とすプレーは、明らかに打者の打撃時間を延ばすプレーであるから、失策と記録されなければならない。このような失策をつけ損じる記録員は、記録員としての役目を遂行しているとは言えない。

ファウルフライの落球に「失策」を記録しないと、投手の防御率計算で不利益が生じる可能性があるが、トーナメント主体の高校や社会人の場合、とくに防御率を求める機会はないだろうから、つけなくてもあまり関係はないということなのだろう。

捕れるはずのフライを捕れなかったときにエラーを記録しないなら、「お前にはそのフライは捕れなくて当然」と判断したことになり、当該選手に対してかえって失礼ではないかと思わなくもない…。


05/09/08更新(02/06/16作成)

◇サヨナラ・スクイズ

同点の9回裏一死三塁、投前スクイズを投手が本塁に送球し、セーフとなったケースは「犠打野選」ではないのか、とのメールを頂戴した。

たしかに通常のケースでは三塁走者を進塁(得点)させたことに対して「犠打」を、打者走者が一塁に生きたことに対しては「野選」を記録することになるだろうが、同点の9回裏一死三塁というケースでは守備側に選択の余地はないはずだ。

三塁走者生還でサヨナラになってしまうケースでは一塁で2アウト目をとっても意味がない。本塁でのプレイあるのみだろう。選択の余地がないのに「野手選択」を記録することは、論理的に矛盾するものと思われる。

また、一塁でアウトをとれるにしても、時間的にはサヨナラの走者が得点したあとになる。はたして有効にアウトが成立するのか、という疑問も生じてくる。もっとも、無駄を承知で一塁送球して、面倒見のいい一塁塁審がアウトを宣告したら、どうするのかという問題はありそうだ…。

通常は「安打」が記録されるはずだが、ルールブックにはその旨の規定はない。したがって、慣習法または内規の世界で対処されているものと思われる。個人的には、この処置は妥当と考える。

なお、『ベースボール・レコード・ブック』1999年版(ベースボール・マガジン社)の巻末付録には「サヨナラ・ゲーム」の一覧がある。同書によれば、1リーグ時代は9例、2リーグ分立後も1例(1956年3月28日のF対O戦)、「犠打野選」によるサヨナラがある。

おそらく、その当時の日本のプロ野球では、サヨナラ・スクイズに対して「犠打野選」が記録されていたのだろう。いつから変わったのかは定かではない。

高校野球でも「犠打野選」ではなく、安打を記録しているようだ。98年夏の2回戦、関大一高対尽誠学園高戦がサヨナラ・スクイズで決着している。見ていた人の記憶によれば、どうやら投手が本塁に送球したらしく、スコアボードにはしばらくしてから、「H」がついたそうだ。


通常のサヨナラのケース(9回または延長回)と、サヨナラコールドの場合では、試合終了の時期が異なるようだ。『公認野球規則』の規定は次のとおりだ。

07年版『公認野球規則』

4・11 正式試合においては、試合終了時の両チームの総得点をもって、その試合の勝敗を決する。
 (c) ホームチームの9回裏または延長回の裏の攻撃中に、勝ち越し点に当たる走者が得点すれば、そのときに試合は終了して、ホームチームの勝ちとなる。
 【付記1】 試合の最終回の裏、打者がプレイングフィールドの外へ本塁打を打った場合、打者および塁上の各走者は、正規に各塁を触れれば得点として認められ、打者が本塁に触れたときに試合は終了し打者および走者のあげた得点を加えて、ホームチームの勝ちとなる。
 【付記2】 <略>
 (d) 4・12(a)によりサスペンデッドゲームにならない限り、コールドゲームは、球審が打ち切りを命じたときに終了し、その勝敗はそのの両チームの総得点により決する。
 【注】 <略>

2・14 CALLED GAME 「コールドゲーム」――どのような理由にせよ、球審が打ち切りを命じた試合である。(4・10)

▲4・11(d)の冒頭「4・12(a)によりサスペンデッドゲームにならない限り」と同項【注】は、07年に追加されたものです。また、07年版から「及び」が「および」に、「さい」が「際」に改められています。

このようにコールドの場合には、「サヨナラコールドの走者が得点したとき」ではなく、「球審が打ち切りを命じたとき」に試合が終了することになっている。アマチュアの場合には、ホームプレートを挟んで整列し挨拶するのが慣例なので、この瞬間を試合終了と解するのが妥当だ。

そうすると、一塁でアウトが宣告された時点では、まだ試合は継続していると解釈することも可能だ。したがって、スクイズの打球を一塁に送球してアウトが宣告されれば、その打者には「犠打」を記録してもいいのかもしれない。

外部リンクを設定していました。
野球場へ行こう!2002.07.14 八王子市民 日大二−田無
 この試合では、サヨナラ犠打が記録されているようです。打球を処理した投手は一塁に送球し、塁審はアウトを宣告したそうです。わざわざ縮刷版のボックススコアと打者・投手の個人成績を照らし合わせていただきましたので、すくなくとも新聞上では「犠打」の成立を疑う余地はないようです。(03/02/17通知済、05/03/20リンク解除。URLは http://www1.ttcn.ne.jp/~relax/ballpark/20020714-3.html でした)

まあ、サヨナラコールドの場合には守備側の選手が得点差を把握していないケースもよくある。審判にしても同様だ。2アウトだと勘違いして、一塁に送球することもあり得るだろう。条文上もコールドの場合は「犠打」の成立を認める余地がありそうだ。


ただ、この論法には重大な欠陥がある。

7回7点差のコールド規定があったとする。攻撃側6点リードの7回裏一死二・三塁で左中間を破るヒット、三塁走者だけでなく二塁走者も本塁を駆け抜け、打者が二塁ベースに達した場合、得点の記録が認められるのは7点差目の走者(三塁走者)までだ。

打者の塁打については、次の規定の適用を受けることになるので、とくに問題はない。

07年版『公認野球規則』

10・07
 (f) 10・07(g)の場合を除いて、最終回に安打を放って勝ち越し点をあげた場合、打者には勝ち越し点をあげた走者がその安打で進んだ塁と同じ数だけの塁打しか記録されない。しかもその数だけの塁を触れることが必要である。
 【原注】 <略>
 【注】 <略>
 (g) 最終回、打者がフェンス越えの本塁打を放って試合を決した場合は、打者および走者があげた得点の全部を記録する。

▲こちらの条項の「および」は、私が持っている最古の92年版から「および」です。はい。

「最終回」だから、コールドの場合も含まれるはずだ。しかしながら、得点については規定がない。コールド規定は、たとえば「7回以降7点差」でコールドとなる旨の簡潔な表現にとどまるの常であり、8点差目の得点が認められないことは、明示的には規定されていない。

つまり、慣例として4・11(c)を準用しているだけだと思われる。一方では7点差目以降の得点は認めない、他方では7点差目以降のアウトを認める、というのは論理的には苦しいものがある。

結局、「得点差によるコールドゲーム」というローカルルールの適用に対応する記録上の処理の問題は、棚上げされているのが実情ではないのだろうか。したがって、7点差目の走者が得点したあとに一塁でアウトが宣告されても、そのアウトは認められないと突っ張ることも可能だと思われる。

まあ、9回や延長回の場合なら、まず得点差やアウトカウントを勘違いすることはないだろう。それでも野手が一塁に送球して、なおかつ審判がアウトを宣告し、しかもそれはサヨナラの走者が得点したあとだったとしたら…。あまり出くわしたくない場面だが、そのとき話がすべてクリアになるのかもしれない。

▲05年8月30日のH対M戦は、ホークスが松中のサヨナラ安打で勝ちしました。9回裏一死三塁で松中の打球は高く弾んだ一塁ゴロ、打球を処理したファーストの福浦は一塁ベースに入りました。福浦が体勢を崩して捕球したのを見た川崎は本塁に走りましたが、福浦はベースに入る際に二塁手と接触して、川崎の本塁突入に気づかなかったようです。
 順序としては福浦のベースタッチが川崎のホームインより早く、一塁塁審は松中のアウトを宣告しています。つまり、サヨナラ以前にアウトが有効に成立したにもかかわらず、そのアウトを認めずに松中に安打が記録されたわけです。
 アウトの成立がサヨナラの得点のあとであれば、サヨナラの時点で試合が終了しているわけですから、もはやアウトの成立を認める理由はないという理屈が成り立ちます。したがって、この場合には安打を記録してもよさそうですが、松中のケースで安打というのは釈然としません。
 安打かどうかより、アウトの成立を認めるかどうかは投球イニングに関わってくる問題です。防御率のタイトル争いなら、規定投球回数の関係で「3分の1」はあまり大きな問題になりませんが、センバツの「希望枠」はたった4試合分ですから、「3分の1」のウエイトは高くなります。
 まあ、プロ野球のようにちゃんとした内規があるなら、たとえ不合理なものであっても、それはそれでルールどおりということになりますが、はたして高野連様には「ちゃんとした内規」があるのでしょうか。よそ様のこととはいえ、とても心配になります。
 ちなみに、私が松中のケースに遭遇した場合は、アウトの成立を認めたいと考えています。おそらく、プロ野球の場合は、アウトの成立とサヨナラの得点の先後が微妙なケースを想定して(審判にはその先後をジャッジする義務がないことから)、一律に「安打」とする内規を設けているのでしょう。


【参考:サヨナラ野選の実例】

88/04/30(広島) セントラルリーグ C対G 5回戦
ジャイアンツ 001 000 000  =1 加藤−●斎藤−鹿取
カープ 000 000 002x =2 大野−川端−○清川

9回裏二死後、高橋慶の中前打と小早川の四球で走者一・二塁。長島が中前打して高橋が同点の生還、走者一・三塁という場面で、片岡のサードゴロをサードの原が二塁に送球、セカンド篠塚とのタイミングが合わずに悪送球というケースだ。

一塁でも3アウト目をとれるわけだから、野選が記録されたのだろう。まあ、サードゴロだから、ショートはサードのバックアップに入るし、篠塚は原が一塁に投げると思ってカバーが遅れたに違いない。原の心理としては、一塁より近い二塁に投げたかったものと思われる。

▲ページ再編に伴い、プロ野球におけるサヨナラ犠牲バントの実例は「四球で二塁へ、記録は?」のページに移してあります。


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