セットポジション殿堂
内*** | 石川雅規 | 野村克也

石川雅規

00/11/18作成
13/12/15更新

◆青山学院大2年生のとき、235球で延長18回を完投しました。


99年神宮大会の初日、第4試合は16:58に始まった。試合時間は4時間を超えたけれども、時間の経過を楽しめる試合だった。主役は青学大の先発投手・石川だ。石川は創価大の打者66人に対して延長18回を1人で投げ抜いた。

◇延長18回完投

▼「S」は見逃しストライク、「K」は空振り、「F」はファウル、「B」はボール、「1」「2」「3」は各塁への牽制球、「H」はインプレイの打球です。キャッチャーからの牽制球、バント、バスター、エンドランなどは反映させていません。

[1表]打者3/3、投球数6/6、被安打/1、奪三振0/0、与四球0/0、失点0/0
(8)柳田 L 無死走者なし H          二ゴ
(6)高橋 R 1死走者なし SH         左安
(9)小島 R 1死1塁   BH      遊併

[2表]打者3/6、投球数9/15、被安打0/1、奪三振/2、与四球0/0、失点0/0
(7)永田 L 無死走者なし KSK        三振
(3)大山 R 1死走者なし BKSS       三振
(5)小谷野R 2死走者なし SH         二ゴ

[3表]打者5/11、投球数16/31、被安打/3、奪三振/4、与四球0/0、失点/1
(2)福井 R 無死走者なし SH         左2
(4)古屋 R 無死2塁   SK22H      二安
(1)持田 R 無死1・3塁 BKK     三振
(8)柳田 L 1死1・3塁 KK11FBK    三振→三振のとき捕逸。三走が生還、一走は二進
(6)高橋 R 2死2塁   FH         二ゴ

[4表]打者3/14、投球数7/38、被安打0/3、奪三振0/4、与四球0/0、失点0/1
(9)小島 R 無死走者なし BBH        二ゴ
(7)永田 L 1死走者なし SH         遊飛
(3)大山 R 2死走者なし BH         捕邪

[5表]打者3/17、投球数13/51、被安打0/3、奪三振/6、与四球0/0、失点0/1
(5)小谷野R 無死走者なし FBH        左飛
(2)福井 R 1死走者なし BSSK       三振
(4)古屋 R 2死走者なし BBBSKK     三振

[6表]打者3/20、投球数22/73、被安打/4、奪三振/8、与四球0/0、失点0/1
(1)持田 R 無死走者なし BKBSBS     三振
(8)柳田 L 1死走者なし SBKBK      三振
(6)高橋 R 2死走者なし BSKFBBH    中安
(9)小島 R 2死1塁   SBFB         →4球目二盗失敗

[7表]打者5/25、投球数17/90、被安打/5、奪三振/9、与四球/1、失点0/1
(9)小島 R 無死走者なし SSH        左安
(7)永田 L 無死1塁   H          捕ギ
(3)大山 R 1死2塁   SBH        二ゴ
(5)小谷野R 2死2塁   BBBB       四球
(2)福井 R 2死1・2塁 BBBKSK     三振

[8表]打者3/28、投球数11/101、被安打0/5、奪三振/10、与四球0/1、失点0/1
(4)古屋 R 無死走者なし BBSH       中飛
(1)持田 R 1死走者なし FBBFK      三振
(8)柳田 L 2死走者なし FH         二ゴ

[9表]打者4/32、投球数19/120、被安打0/5、奪三振/11、与四球0/1、失点0/1
(6)高橋 R 無死走者なし BBH        二失
(9)小島 R 無死1塁   BBFH      投ギ
 H 大口 R 1死2塁   BKKS       三振
(3)大山 R 2死2塁   SBFFBBFH 二飛

[10表]打者5/37、投球数12/132、被安打/6、奪三振0/11、与四球0/1、失点0/1
(5)小谷野R 無死走者なし FH         左安
(2)福井 R 無死1塁   FH      ギ失
(4)古屋 R 無死1・2塁 H          捕邪
(1)持田 R 1死1・2塁 SFH        投ギ
(8)柳田 L 2死2・3塁 FSH        遊直

[11表]打者3/40、投球数10/142、被安打0/6、奪三振0/11、与四球/2、失点0/1
(6)高橋 R 無死走者なし FBBBB      四球
(9)小島 R 無死1塁   SH         三併
 7 本田 L 2死走者なし BSH        投ゴ

[12表]打者5/45、投球数17/159、被安打/7、奪三振0/11、与四球/3、失点0/1
(3)大山 R 無死走者なし BBSBSH     遊ゴ
(5)小谷野R 1死走者なし KH         右2
(2)福井 R 1死2塁   KH         遊ゴ
(4)古屋 R 2死2塁   BBBB       敬遠
 H 蒲生原R 2死1・2塁 BFH        右飛

[13表]打者3/48、投球数13/172、被安打0/7、奪三振0/11、与四球0/3、失点0/1
(8)柳田 L 無死走者なし SSFBH      右飛
(6)高橋 R 1死走者なし SH         二ゴ
(9)小島 R 2死走者なし SBFBBH     右飛

[14表]打者5/53、投球数16/188、被安打/9、奪三振/12、与四球0/3、失点0/1
 7 本田 L 無死走者なし H          捕ゴ
(3)大山 R 1死走者なし KBH        中安
(5)小谷野R 1死1塁   BS1111H   左安
(2)福井 R 1死1・2塁 SKBK       三振
(4)古屋 R 2死1・2塁 FBKH       二飛

[15表]打者3/56、投球数9/197、被安打0/9、奪三振/13、与四球0/3、失点0/1
 1 清水 L 無死走者なし FKBH       捕邪
(8)柳田 L 1死走者なし FBFS       三振
(6)高橋 R 2死走者なし H          二飛

[16表]打者4/60、投球数15/212、被安打/10、奪三振0/13、与四球0/3、失点0/1
(9)小島 R 無死走者なし SFBH       投安
 7 本田 L 無死1塁   H          投ギ
(3)大山 R 1死2塁   BSFFBBH    一直
(5)小谷野R 2死2塁   SKH        二ゴ

[17表]打者3/63、投球数14/226、被安打0/10、奪三振/15、与四球0/3、失点0/1
(2)福井 R 無死走者なし BBBSFK     三振
(4)古屋 R 1死走者なし FBSH       投ゴ
 1 清水 L 2死走者なし BSSS       三振

[18表]打者3/66、投球数9/235、被安打0/10、奪三振0/15、与四球0/3、失点0/1
(8)柳田 L 無死走者なし H          三ゴ
(6)高橋 R 1死走者なし BBBSSH     遊ゴ
(9)小島 R 2死走者なし SH         遊ゴ

まだまだ石川、あくまで石川、とことん石川

3回にパスボールで先制された青学が同点に追いついたのは8回だった。試合の詳細は別のページに譲るが(頁末リンク参照)、翌日の新聞で本人も語っていたように、石川の調子はあまりよくなかった。そういうこともあって、石川に打席が回るたびに「今度は代打だ」「今度こそ代わるだろう」という具合にイニングを重ねていった。

とくに14回裏は石川が先頭打者だった。14回表の一死一・二塁のピンチを切り抜けたばかりだ。投球数はすでに188球に達していた。いくらなんでも、これでもう「お役ごめん」だろう。相手のピッチャーも左に代わっていた。石川は左打ちだし、もともとリーグ戦はDH制だから、普段は打席に立たない。

今度こそ「よく投げた、ご苦労さん」と右の代打が起用されるだろうと私は思っていた。ところが、バッターボックスに向かうのは小柄な選手だ(石川は169cm)。しかも、左打席に入るではないか。背番号を確認すると15だ。すると、石川だ。まだ投げるというのか!

石川が最後に打席に入ったのは17回だった。このときも先頭打者だった。もう私たちは、代打ではなく石川が打席に立つことを期待していた。日野のT氏が延長規定は18回だと取材してきた。残りは1イニング、ここまで来たら最後まで投げてもらうしかない。

17回裏、石川が先頭打者として打席に入るシーンこそ、一般受けする見せ場の少なかったこの試合のクライマックスだった。ピッチャーが代打で起用されることは大学野球ならたまにある。当然、スタンドはざわつく。

石川は先発投手であり、ただ打順に従って打席に入っただけだ。それだけでスタンドがどよめき、誰が音頭をとったわけでもないのに拍手まで起こるのだから、その意味は重い。

たとえ、最後の18回に力尽きたとしても、私は石川の「殿堂」入りを覆すことはなかっただろう。勝っても負けても、どのような結末に彩られようとも、この試合の主役は石川以外には考えられなかった。

ファウル

なぜなら、打席の石川はヒットこそ打てなかったけれども、塁に出ようという意欲が伝わってきたからだ。すくなくとも簡単にはアウトにならないという姿勢が見えた。青学の各打者のファウルの数は次のとおりだ。

四之宮1111002=6
諸麦 1310030=8
荒金 0301100=5
渡辺 0130021=7
志田 0110000=2
松田 1100010=3
川島 00・・・・・=0
本多 ・・1・・・・=1
小坂 ・・・1100=2
大久保0000000=0
石川 121141・=10

青学の打者の中で、ファウルの数がもっとも多かったのは、打席数が1つ少ない投手の石川だったのだ(創価大の打者を含めても石川が一番多い)。6打数ノーヒットだったが、内野ゴロエラーで2度塁に出た。11回裏の4打席目は無死一塁だった。2球目のバント見送りのとき一塁走者がキャッチャーの牽制球に刺された。

3球目ファウル。4球目を打ってサードゴロ。これが送球エラーを誘って石川は一塁に出た。塁上の石川は控え選手が持ってきたウインドブレーカーを拒否した。この日はあまり寒くなかった。神宮大会にしては「寒くない」という意味だ。11月も半ば、夜の7時過ぎで冷えないわけがない。

バント見逃しで一塁走者をアウトにしてしまったという自分への腹立ちが、こうした態度になったのではないかと思わせる場面だった。

「こいつ、ひょっとしたら走るんじゃないか」…私はそう思って、普通の野手のつもりで一塁走者の石川を見ていた。盗塁に成功すれば、一死二塁だ。バントで送ったのと同じ形になる。創価大のバッテリーも気配を感じたのかもしれない。四之宮への2球目前に牽制球が入っている。


◆この試合の詳細は「26イニング目の日没コールド」でどうぞ。

◆石川は02年セリーグの新人王です。→「新人王になれない男たち」

◆石川の身長は選手名鑑では169cmです。→「大人になるということ」

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