◆相関係数で遊んでみただけです。
たとえば、100人分の身長と体重、それに足のサイズの合わせて3種のデータがあるとしよう。一般的には身長が高ければ足のサイズも大きいだろうから、両者の間には強い相関関係が認められるはずだ。
だが、身長と体重の場合はそれほど強い相関関係にはないと思われる。まして、痩せているからといって足のサイズが小さいとは限らないだろう。
「身長と足のサイズ」、「身長と体重」、「体重と足のサイズ」のように、データ間の関係の強弱を比較したいときに用いられるのが、「相関係数」と呼ばれるものだ。私が01年までに見た女子軟式の47試合について、まず得点差と安打数の差の間の相関係数を求めてみたら、次のようになった。
【A】 「得点差」と「安打数の差」 0.595
打者が塁に生きるのは、必ずしも安打だけとは限らない。四球、死球、失策、野選、振り逃げ、妨害出塁などがある。そこで、理由を問わず塁に生きた打者の数の差を算出して、得点差との間の相関係数を求めてみた。
【B】 「得点差」と「塁に生きた打者の数の差」 0.801
当たり前のことだが、かなり「1」に近づいてきた。これをさらに「1」に近づけるには、どうすればいいだろうか。塁に生きた打者の数というのは、シングルヒットと三塁打を等しくカウントしていることにほかならない。ここは、やはり「塁打」の考え方が必要になる。
たとえば、内野ゴロ一塁悪送球でバッターが二塁に進んだ場合は「2」、シングルヒットなら「1」としてカウントし、対戦チーム間の差を算出したうえで、その差と得点差との相関係数を求めてみた。
【C】 「得点差」と「打者が得た塁の数の差」 0.844
盗塁が多い女子軟式の場合、もう「ひと押し」必要になる。上で算出した「打者が得た塁の数」に盗塁の数を加算して、両チームの差を求めよう。この値と得点差との間の相関係数は次のようになる。
【D】 「得点差」と「(打者が得た塁の数+盗塁の数)の差」 0.856
相関係数をより「1」に近づけたいなら、ボークやエラーその他による走者の進塁を加えればいい。本来は邪道だが、犠打や犠飛、あるいは進塁打を加算するという「奥の手」もある(修正値が必要)。だが、相関係数はけっして「1」にはならない。
四球2個のあとに三塁打が出れば2点入る。順序が入れ替わって、三塁打のあとに四球2個なら、それだけでは得点にならない。また、シングルヒット4本が1イニングに集中すれば、普通なら1点は入るはずだ。
▲理論上は「1イニング6安打で無得点」ということもあり得ます。(→「書庫・東雲」(監督)参照)
同じ4本のシングルヒットでも、それが4イニングに1本ずつ分散すれば、ほかの要素が絡まない限り得点にならない。したがって、相関係数は「1」にはならない。まあ、そのあたりが野球の面白さ(難しさ)でもある。
47試合の中には、次のような試合がある。
【ア】
先攻=3得点、5安打(単打3、二塁打1、三塁打1)
後攻=4得点、3安打(単打3)
【イ】
先攻=4得点、3安打(単打2、三塁打1)
後攻=3得点、7安打(単打4、三塁打3)
話としてはいたって単純だ。【ア】の試合では、先攻チームはヒット以外の走者が5人だったのに対して、後攻チームにはヒット以外の走者が11人いた。【イ】の試合では、ヒット以外の走者は先攻チームが11人、後攻チームが3人だった。
要するに、この2試合で勝ったチームは、単にヒットの数が少なかっただけで、実際には相手チームより多くの走者を出していた。つまり、勝つべくして勝ったのだ。結局は四球の数が勝敗を左右したことになる。まあ、別に珍しくはない。
【ウ】
先攻=4得点、8安打(単打5、二塁打2、三塁打1)、1四球、1死球
後攻=5得点、7安打(単打7)、1四球
【ウ】の試合では、両チームとも敵失による走者が3人ずついる。ともに、内野ゴロの一塁送球エラーが2つで、内野ゴロ捕球エラーが1つだった。ただし、その内容が異なる。一塁送球エラーのとき、負けた先攻チームは2人とも一塁止まりだったが、勝った後攻チームは2人とも二塁を奪った。
先攻チームは2人のうち1人しかホームに帰って来られなかったが、後攻チームは2人とも得点した。野球にエラーはつきものだとしても、同じ一塁送球エラーで、ファーストが処理できる範囲内だったかどうか、あるいはライトまたはキャッチャーのバックアップがあったかどうか、そういう部分が微妙に影を落としたことになる。
もっとも、直接的に【ウ】試合の勝敗を分けたのは、ディフェンスよりむしろ走塁の差だと思われる。まあ、逆説的には、盗塁を防ぐディフェンスの差だとも言えなくはない。
負けた先攻チームは盗塁ゼロで、勝った後攻チームは5盗塁だった。勝ったチームの5得点のうち、一塁送球エラーで二塁を得た走者が生還したのが2点、四球の走者が二盗を決め、三盗のときにキャッチャーの悪送球を誘ったのが1点、ほかの2点も盗塁絡みだ。
01年は、より象徴的に走塁(盗塁)が勝敗を分けたという試合があった。
【エ】
先攻=5得点、10安打(単打7、二塁打1、三塁打1)、5四球
後攻=8得点、6安打(単打6)、3四球
ほかに、敵失による走者が先攻チームには3人、後攻チームには2人いる。安打で「4」、塁打で「7」、塁に生きた走者の数でも「7」、打者が得た塁の数では「9」もの差がありながら、逆に3点差がついたのは、ひとえに盗塁に尽きる。18人の走者を出した先攻チームは盗塁ゼロだったが、後攻チームは11人の走者で実に12盗塁を決めた。
11人の走者(一塁走者が10人、二塁走者が1人)のうち、盗塁していないのは1人だけだ。そのときは、次打者の初球にエンドラン、内野ゴロがエラーを誘って一気に生還したので、実質的に盗塁の機会は奪われた。二塁が空いている状況で盗塁しなかった一塁走者は1人としていない。
01年までに見た47試合のなかで、ヒットの少なかったチームが勝った試合は10試合(サドンデス4試合を含む)あるのに、盗塁が少なかったチームが勝った試合は6試合(サドンデス1試合を含む)しかない。
しかも、その6試合とは決勝1試合、準決勝2試合、準々決勝2試合、2回戦1試合であり、1回戦では盗塁の少なかったチームが勝ったためしがない。
実は【エ】と同じような試合を高校野球の予選の1回戦で見たことがある。先攻チームは12安打(19塁打)、後攻チームは17安打(22塁打)だったが、12安打の先攻チームが3点差で勝った。
盗塁は先攻チームが10、後攻チームはゼロだった。盗塁を決めた8人の走者(二盗と三盗の連続盗塁が2人)のうち、6人が得点した。ちなみに、10盗塁のチームの攻撃中に牽制球は3球しか入らなかった。盗塁ゼロのチームの攻撃中には牽制球が13球ある。
このあたりのデータは、次のような形で示したほうがわかりやすいだろう。
| 1試合平均 | 打者 (打席) |
安打 | 塁打 | 四死球 | 失策その他 による出塁 |
盗塁 | 牽制球 | 得点 |
| 1回戦・2回戦で勝ったチーム(28試合) | 29.0 | 7.8 | 11.3 | 5.3 | 1.9 | 7.1 | 6.6 | 8.3 |
| 準々決勝以上で勝ったチーム(19試合) | 29.7 | 7.3 | 9.6 | 4.3 | 1.5 | 3.4 | 9.4 | 5.8 |
▲「失策その他による出塁」は、失策、野選、振り逃げ、打撃妨害により一塁に生きた打者の数です。
▲「牽制球」は、勝ったチームの攻撃中に投げられた牽制球の数を示します。キャッチャーから牽制球 や、悪送球になったものも含みます。なお、牽制球に関しては、98年以降の39試合(1・2回戦が24試合、準々決勝以降が15試合)分の平均値です。
これらの数字は裏から読んでいく必要がある。1回戦や2回戦で負けたチームは1試合平均7.8本のヒットを打たれた。準々決勝以上で負けたチームは7.3本のヒットを打たれている。あまり大差はない。
だが、塁打で見るとやや差がつく。四死球は1個違うし、失策その他により打者を生かしたケースも、1・2回戦で負けたチームのほうが多い。
極端に差がつくのが盗塁だ。1・2回戦で負けたチームは平均7.1個の盗塁を許したのに対して、準々決勝以降で負けたチームは3.4個の盗塁しか許さなかった。
盗塁に対して一定の抑止効果(頁末◆2参照)を持つはずの牽制球は、1・2回戦で負けたチームが6.6個投げているが、準々決勝以降で負けたチームは9.4個投げている。
このように、とくに1・2回戦では、盗塁(の阻止)がかなり大きな問題になる。そこで、98年から01年に見た39試合78チームについて、最初に出たランナーをめぐる攻防を抜き出してみた。
▼上段が勝ちチーム、下段が負けチームです。最初に出た一塁走者(または二塁走者)の直後の打者の打席のみをピックアップしました。
▼行頭の数字は、ハイフンの前が盗塁の数、ハイフンの後ろが盗塁死プラス牽制死の数です。
▼カッコ内の符号は、スラッシュの前が投手の左右、スラッシュの後ろが打者の左右を示します。
▼「B」はボール、「S」は見逃しのストライク、「K」は空振り、「F」はファウル、「H」はインプレイの打球、「X」はピッチャーからの牽制球、「Y」はキャッチャーからの牽制球を示します。
[1回戦]
盗−死 回 アウト走者 打順(投/打) 投球 結果 8−0 1ウ 無死1塁 2番(R/L) BH 初球に二盗、遊ゴで三進 0−0 1表 1死1塁 3番(R/R) XBBH 二飛
3−0 1表 2死1塁 4番(R/R) BBBYH 中3
1−0 1ウ 無死1塁 2番(R/R) BBBSFFB 3球目暴投で二進、四球
7−0 1ウ 無死1塁 2番(R/R) XH 中飛 0−0 1表 無死1塁 2番(R/R) FXXH 三ギで二進
9−0 1ウ 2死1塁 4番(R/R) XXBH 初球に二盗、左飛
1−1 3表 1死1塁 9番(R/R) SKK 三振
13−0 1表 無死1塁 2番(R/R) BSFXXBYH 4球目キャッチャー牽制悪送球で三進、中安 2−0 1ウ 1死1塁 3番(R/R) BBBB 初球に二盗、四球
5−0 1ウ 1死2塁 3番(R/R) H 右安 3−2 1表 無死1塁 2番(R/R) BSBSH ?球目暴投で二進、中安
4−0 1ウ 無死1塁 2番(R/L) XBXBXBB 初球に二盗、四球 0−2 2表 1死1塁 6番(R/R) BFSFH 初球に二盗失敗、投ゴ
5−0 1表 無死1塁 2番(R/R) SH バスターエンドランが一ゴで二進 2−0 1ウ 2死1塁 4番(R/R) XSXBBYH 右2
5−0 1ウ 無死1塁 2番(R/L) SKH 2球目に二盗、中安
1−0 1表 無死1塁 2番(L/R) XXKSFBK 初球に二盗、三進
8−0 1ウ 無死1塁 2番(L/L) XSXBSF 2球目に二盗、左安 1−1 1表 2死1塁 4番(R/R) KFFBK 三振
5−0 1ウ 無死1塁 2番(R/L) SBBSBFK 5球目に二盗、三振
1−1 1表 1死1塁 3番(R/L) SXBH 2球目前に牽制死、投飛
3−3 1表 無死1塁 2番(R/R) BBFFH 初球に暴投で二進、左邪 3−1 1ウ 1死2塁 3番(R/R) BXBXBSFH 二飛
3−0 1表 無死1塁 2番(R/R) XSH 三飛 3−1 1ウ 無死1塁 2番(R/R) XSXXFBH 3球目に二盗、中飛
5−0 1ウ 無死1塁 2番(R/R) BH 初球に二盗、遊失
0−1 1表 無死1塁 2番(R/R) XKKH 三ゴで走者入れ替わり
8−1 1表 無死1塁 2番(R/R) BBBSB 2球目暴投で二進、四球 6−0 1ウ 1死1塁 3番(R/R) H ニゴで走者入れ替わり
17−1 1ウ 1死1塁 3番(R/R) H 左安 5−2 1表 無死1塁 2番(R/L) KFFK 4球目に二盗、三振
[2回戦]
盗−死 回 アウト走者 打順(投/打) 投球 結果 15−2 1表 無死1塁 2番(R/L) XSH 初球に二盗、中安 1−0 1ウ 2死1塁 4番(R/R) BBSH 右飛
8−0 2ウ 無死1塁 5番(R/R) BSBH 2球目に二盗、三飛 2−0 1表 2死1塁 4番(R/R) SBBBB 3球目に二盗、四球
3−0 1ウ 無死1塁 2番(R/R) BSSBFH 左3
0−2 3表 1死2塁 9番(R/R) FXFBH 一ゴ
8−1 1表 無死1塁 2番(R/L) BSH 初球に二盗、二安 3−2 1ウ 1死1塁 3番(R/R) BBSBSH 初球に二盗失敗、遊飛
3−1 1表 1死1塁 3番(R/R) XBH 遊ゴで走者入れ替わり
0−0 2ウ 1死1塁 7番(R/L) BSH 右安
1−2 1ウ 2死1塁 4番(R/R) SKBH 左飛 0−1 1表 無死1塁 2番(R/R) SH 左安
5−0 1表 無死1塁 2番(R/R) BH 三ギで二進 2−1 1ウ 無死1塁 2番(R/L) XBXH 投ギで二進
12−0 1ウ 無死1塁 2番(R/R) BXFFXK 初球に二盗、三振 0−1 1表 無死1塁 2番(R/R) H 左飛
[準々決勝]
盗−死 回 アウト走者 打順(投/打) 投球 結果
1−0 1ウ 1死1塁 3番(R/R) FH 左安
1−0 3表 1死1塁 9番(R/L) SBFK 三振
0−0 1ウ 無死1塁 2番(R/R) XXSXFBFFK三振 5−2 1表 2死1塁 4番(R/R) SBBH 中失で三進
11−1 1ウ 1死1塁 3番(R/R) BBBB 初球に二盗、四球 5−4 2表 無死1塁 5番(R/R) XBSBXBSB 初球に二盗、4球目前に牽制死。四球
[準決勝]
盗−死 回 アウト走者 打順(投/打) 投球 結果 3−2 1ウ 無死1塁 2番(L/R) XSXSFBBK 2球目二盗失敗、三振 2−0 2表 無死1塁 5番(R/R) BKH 三ゴで二進
1−0 2表 2死1塁 7番(R/R) XBH ニゴ
6−0 1ウ 無死1塁 2番(R/R) BH 三ゴで走者入れ替わり
6−1 1表 無死1塁 2番(R/R) XSBXXBBH 2球目に二盗、三失で三進 2−1 2ウ 1死1塁 6番(R/R) XBSBH 遊ゴで走者入れ替わり
0−3 3表 無死1塁 8番(L/R) BH 投ゴで二進
3−0 1ウ 無死1塁 2番(R/R) XXH 投ギで二進
2−0 2表 2死1塁 7番(R/R) SH ニゴ
0−0 6ウ 1死1塁 9番(R/R) XH 一ギで二進
8−2 1表 無死2塁 2番(R/L) BBBSSB 初球に三盗失敗、四球 4−0 1ウ 1死1塁 3番(R/L) H ニゴで走者入れ替わり
4−0 1表 1死1塁 3番(R/R) SH 三ゴ
0−1 1ウ 無死1塁 2番(R/R) XSBFFH 一ゴで三振
5−0 1ウ 無死1塁 2番(R/R) BXSXXH 初球二盗、2球目三盗、左安 5−2 2表 1死1塁 6番(R/R) SSBFBFH 初球に二盗失敗、三飛
[決勝]
盗−死 回 アウト走者 打順(投/打) 投球 結果 5−1 2ウ 1死1塁 6番(R/R) XSH 右飛 0−1 1表 無死2塁 2番(R/L) BXKFBBB 四球
2−1 1表 1死1塁 4番(R/R) XXH エンドラン右安で三進
1−0 3ウ 無死1塁 8番(R/R) SBFBBH 4球目に二盗、一ゴで三進
1−1 1表 1死1塁 3番(R/R) XXD バントの構えも死球
2−0 1ウ 1死1塁 3番(R/L) SH 中安
5−2 1表 無死1塁 2番(R/R) XBXBSBH 4球目に二盗、三ギで三進 0−1 1ウ 無死1塁 2番(R/R) H 三安=バントヒット
1・2回戦で、最初の一塁走者が盗塁に成功したケースは16例ある。この16チームは11勝5敗だ。
実は01年に1チーム17盗塁の試合を見たけれども、この試合に関して、私は今でも釈然としない思いにとらわれている。無死一・二塁の場面で、一塁走者が打球に触れた際、一死一・三塁でプレイが再開されたように私は記憶しているのだ。
走者が打球に触れた場合の取り扱いについて、『公認野球規則』は5・09(f)でボールデッドとなる旨を規定しているほか、次のように定めている。
▼7・08(f)は「ソフトボールのルール(1)」のページに移しました。なお、7・09(k)は06年までの(m)です。また、補則は第7章の末尾に掲載されています。この補則は『OFFICIAL BASEBALL RULES』にはありませんので【注】に相当するものなのでしょう。
『公認野球規則』 07年版7・09 次の場合は、打者または走者によるインターフェアとなる。
(k) 野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で走者に触れた場合。
ただし、走者がフェアボールに触れても、
(1) いったん内野手(投手を含む)に触れたフェアボールに触れた場合。
(2) 一内野手(投手を除く)に触れないでその股間または側方を通過したフェアボールに、すぐその後方で触れても、この打球に対して、他のいずれの内野手も守備する機会がない場合。
には、審判員は走者が打球に触れたという理由でアウトを宣告してはならない。
<略>
インターフェアに対するペナルティ 走者はアウトとなり、ボールデッドとなる。6・08 打者は、次の場合走者となり、アウトにされるおそれなく、安全に一塁が与えられる。(ただし、打者が一塁に進んで、これに触れることを条件とする)
(d) 野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で審判員または走者に触れた場合。
ただし、内野手(投手を除く)をいったん通過するか、または野手(投手を含む)に触れたフェアボールが審判員に触れた場合にはボールインプレイである。10・05 次の場合には安打が記録される。
(e) 野手に触れていないフェアボールが、走者、審判員の身体または着衣にフェア地域で触れた場合。
【付記】 走者がインフィールドフライに触れてアウトを宣告されたときには、安打は与えられない。補則 ボールデッドの際の走者の帰塁に関する処置(再録)
(A) 投手の投球当時に占有していた塁に帰らせる場合。
(e) 打球を守備しようとする野手を妨げた場合。
(2) フェアボールが、内野手(投手を含む)に触れる前、または内野手(投手を除く)を通過する前に、フェア地域で走者または審判員に触れた場合。
要するに、打球に触れた走者は守備妨害によってアウトになる。打者は記録上のヒットで一塁への安全進塁権が与えられる。ここまでは簡単な話だ。
問題はそのほかの走者だ。たとえば、無死一・二塁で二塁走者が打球に触れれば、当たった二塁走者がアウトになるが、打者には一塁が与えられるので、一塁走者はトコロテン式に二塁に進塁することができる。
しかし、17盗塁の試合では、一・二塁の一塁走者が打球に触れた。当たった一塁走者はアウトになり、打者には一塁が与えられる。この場合の二塁走者は、一塁走者が打球に触れたときに占有していた塁に戻されることになると私は解釈していた。
▲実際には、妨害発生時点の占有塁ではなく、投手の投球時の占有塁に戻されることになります。一・三塁で再開されることはあり得ません。
つまり、一塁走者が打球に触れたときに、二塁走者が三塁に達していたら三塁への進塁は認められるが、三塁の手前だったら二塁に戻されなければならないと思っていた。私には妨害発生時点で二塁走者が三塁ベースに達していたとは思えなかった。
まあ、そこはアンパイアのジャッジに委ねられる性質の問題であって、すでに三塁に達していたという判断があるなら、一・三塁で再開されても別におかしくはない。試合が終わったあと(その日の最後の試合だった)、ちょうど審判氏の横を通りかかったので聞いてみたら、「(二塁に)戻しましたよ」という意外な答えが返ってきた。
私としては一・三塁で再開されたことを前提に、妨害発生時に二塁走者が三塁に達していたかどうかを確認したかっただけだ。「戻した」ということは、一・三塁ではなく一・二塁で再開されたことになる。急いでいたし、別に当事者でもないので、あまり深く考えずにその場を離れた。
▲当時の私が誤解していただけです。繰り返しますが、投手の投球時の占有塁に戻されることになります。
翌日、守備側の選手に聞いてみたら、「なんで三塁にいるの、と思った」と言っていたので、やはり一・三塁で再開されたのではないかと思われる。私のスコアブックでは、その直後の打者の初球に一塁走者が二盗に成功している(これが17個目の盗塁)。審判氏の「戻しましたよ」が事実だとすれば、そのときは一・二塁だったはずだ。
一・二塁でのダブルスチールと、一・三塁からの一塁走者のスチールを見間違うものだろうか。一・二塁からの重盗は普通のプレイだが、一・三塁から一塁走者がスタートした場合は、複数の走者に対する挟殺プレイに発展する可能性があるから、スコアをつけている身としては「要警戒」のプレイになる。
ネット裏のほぼ正面で見ているのに、二塁走者のスタートを見逃して、一塁走者のスタートにだけ気づくということがあるだろうか(まあ、一・三塁だと思い込んでいれば、そういうこともあるかもしれない)。私のスコアブックでは、そのとき、キャッチャーは送球をしていない。
私は一・三塁からの一塁走者の盗塁だと理解しているのだから、キャッチャーが二塁への送球をためらった時点で三塁走者を見るはずだ。かりに、私がぼんやりしていても、キャッチャー自身が三塁を向くだろう。
それに、一・二塁からの重盗だったとすれば、キャッチャーは距離の短い三塁に投げようとするはずだ。三塁をうかがうだろうし、ボールを持っているキャッチャーが三塁を向けば、当然のように私も三塁を見ることになるはずだ。
一・三塁であれ一・二塁であれ、2人の走者がいて、その一方あるいは両者が盗塁を試みたからには、本塁に近い走者を無視するということはまずあり得ない。だとすれば、やはり私は三塁を見ているはずだし、三塁を見ていれば、その走者が三塁に達したばかりなのかどうかの判別はできると思われる。
うつらうつらしながら見ていることもあるけれども、そういう場合はだいたい字も眠っているから、あとで見てもわかる。すくなくとも、そのときはそういうコンディションではなかったと断言できる。なぜなら、私は「二塁に戻さなければならないはずなのに…」という疑問を抱いていたからだ。
私にとって前代未聞の出来事が起こっている以上、何ひとつ見逃すまいと思っているはずだ。まあ、私が勘違いしていたのかもしれない。スコアブック上では三塁に進塁していることになっているから、そこはもう解決済みだと思って、修正しなかったという可能性も否定できなくはない。
守備側の選手にしても、私に突然聞かれたので、とりあえず肯定的な返事をしてしまったのかもしれない。ただ、もし、重盗だとすれば、あの試合の盗塁数は「17」ではなく「18」でなければならない。
この大会では、以前にも一死一・二塁でショート後方のフライに、球審が右手を上げたのを見たことがある。インプレイの状態で、ストレッチのために右手だけを上げる審判はいないだろうから、インフィールドフライを宣告したかったのだろうと思われるが、「インフィールドフライ」の発声はされなかった。
悪い予感が走ったのかもしれないし、塁審との連携がとれなかったせいかもしれない。結局、その打球はショートとセンターが譲り合うような形になって、ワンバウンドでセンターが処理したあと、二塁走者が三塁で封殺された。
どちらのチームからも球審に対する確認はなく、なにごともなかったかのように試合は二死一・二塁で再開された。打球の飛んだ位置からして、一塁側の攻撃チームも、三塁側の守備チームも、打球を追った塁審(審判は2人制)も、球審が右手を上げたことにはおそらく気づかなかったのだろう。
ネット裏で見ていた者だけは球審が右腕を上げたのを知っている。もし、インフィールドフライが成立していれば、三塁はタッチプレイになるわけだから、話は俄然ややこしくなる。なぜなら、塁審はフォースプレイによるアウトを宣告してしまっているからだ。
これとは別に、二死一・二塁でインフィールドフライを宣告した球審もいた(申し訳ないけれども、私には明瞭に聞こえた)。普段は間近で見ないけれども、近くで見ていると、いろんなことが起こっているということがわかる。
リトルシニアを含めて硬式野球ではあまり見かけないのに、この大会で頻繁に見受けられる事例がある。自打球を受けて(たぶん)、フェアグラウンドに転がったボールに対してフェア打球の判定をされて、打者がアウトになってしまうというケースだ。
私がメモを残しているだけで、47試合中5例ある。打者は当たったという自覚があるのだろうから、バットを持ったまま打席から動かない。守備側はボールがフェアグラウンドに転がっている以上、一塁に送球する。
死球をボールだと判定されてもアウトにはならないから、まだ救いがある。自打球をフェアと判定されると、打者にとってはそれこそ痛いに違いない。自打球に当たったときは、痛がったほうがいいのではないだろうか。
▲自打球だと思われるのにフェアとジャッジされた事例を02年都市対抗予選で見ました。初回裏、押し出しで先取点が入った直後の一死満塁でした。 マウンド方向にゆるく転がった打球を投手がためらいがちに本塁に送球して三塁走者が封殺、一塁へ転送されて打者もアウトになりました。
▲一塁塁審は球審による本塁アウトのジャッジのあと、ワンテンポ遅れて一塁アウトのジャッジをしていました。むろん、攻撃側からの確認があり、4人の審判で協議しましたが、判定が覆ることはありませんでした。周囲の状況を総合すれば、真実はやはり自打球(ファウル)だったと思われます。
▲結局、そのチームは逆転負けしました。初回に追加点があれば別の展開になったかもしれないと思いたくなるジャッジでした。自打球は球審の死角に入ることもあるわけで、不利益な判定をされないためには、やはり痛がるしかないようです。
誤審(だと決めつけるわけではないけれども…)は、イレギュラーと同じで「スパイス」の一種だと私は理解している。ただし、「スパイス」も効きすぎると素材の味を損なうことになりかねない。
▲一・二塁の一塁走者に打球が当たって、一・三塁でプレイが再開されようとした場合は、規則適用の誤りであって、もはや「スパイス」の問題ではありません。したがって、守備側の監督には当該審判に対するアピールの権利が認められています。→『公認野球規則』9・02(b)
◆2高畑好秀『野球のメンタルトレーニング』(池田書店)で、スワローズの宮本慎也が次のような発言をしています。つまり、牽制球が盗塁の抑止効果ではなく逆効果になることもあるわけです。宮本は、これに続けて「このタイプを見分けるコツ」にも触れていますが、それは直接お読みください。
1球のけん制で、「マークされたから走るのをやめよう」と考えるランナーは僕みたいなタイプです(笑)。でも「1球来たから、もうないぞ。よっし思い切りいこう」と考えるランナーのタイプもいるんですよ。それが横浜の石井選手や波留選手なんです(笑)。
◆事実誤認、数値の誤り、変換ミス、リンク切れ等にお気づきの際は、お手数ですが「メールのページ」からご一報いただけると幸いです。なお、ナビゲーションリンクの変更にあたり一部項目を「書庫・東雲」に移しましたが、このページはいずれ分割します。
★07/11/22校正チェック済、ケなし、順OK
★08/01/05HTML文法チェック済(エラーなし)
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