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いやな予感がする | パーフェクト・スチール | 最多ファウルは11本

パーフェクト・スチール

01/02/12作成
13/12/14更新

◆申し訳ありませんが、集計値は02年末現在です。パーフェクト・スチールにはなりませんが、タイガースの赤星は大学時代に四球で出たあと、次打者の初球に二盗、2球目に三盗を決め、3球目のスクイズで生還したことがあります。


◇「ベーススチール・スウィーピング」

97年秋、今しかチャンスはないと思って、平和台球場に行ってきた。九州共立大の先発投手は、当時まだ1年生だった山村路直(のちにホークス)だった。そのとき買った福岡六大学の連盟パンフに「連盟記録一覧」というページがある。

それ自体は別に珍しくないが、「パーフェクト・スチール」という耳慣れない項目が載っていた。何を意味するのか、だいたいのところは想像できるのだが、やはりこれは和製英語だろうと思われる。「記録のことは神様に聞け」というわけで、『プロ野球データブック』をひもといてみた。

宇佐美徹也『プロ野球データブック』(講談社文庫、593ページ)

1イニングに1人で二塁、三塁、本塁を続けて盗む芸当は、そう簡単にできるものではない。あちらではベーススチール・スウィーピングなどという、しゃれた名前で呼ばれている。

たぶん福岡六大学の連盟パンフが言う「パーフェクト・スチール」とは、宇佐美氏が紹介している「ベーススチール・スウィーピング」と同義だろうと思われるが、次のような疑問も生じる。

【1】初回に二塁打を打って三盗、3回に四球を得て二盗、8回に三塁打を打って本盗を決めた場合は「パーフェクト・スチール」になるのだろうか?

【2】同一イニングに2度打席が回り、最初の打席で出塁して二盗と三盗、打者一巡後の2度目の打席にも出塁して本盗を決めた場合、「パーフェクト・スチール」となるのだろうか?

【3】逆に厳しい見方をすると、真の「パーフェクト」とは、一塁に出たあと、初球に二盗、2球目に三盗、3球目に本盗を決めることではないだろうか?

まあ、常識的には「パーフェクト・スチール」=「ベーススチール・スウィーピング」と理解していいだろう。つまり、【1】は該当しないが、【3】である必要はないということだろう。【2】は、はたしてどうなるのか、宇佐美氏の記述ではよくわからない。表意だけではOKのように解釈できるが、真意としては不可とも思える。

この「ベーススチール・スウィーピング」は、「サイクル・スチール」と呼ぶこともあるようだ。【2】を含むのかどうか、絶対的な定義はないらしい。まあ、野球用語ではありがちなことだ。

◇三文の得

私は、この「ベーススチール・スウィーピング」もしくは「パーフェクト・スチール」あるいは「サイクル・スチール」を1度だけ見たことがある。幸いなことに【2】のケースではなかった。

97/05/11(川崎) 首都大学リーグ2部 第7節 2回戦
玉川大 144 402 600 =21 ○#14−#22−#15−#18−#11
成城大 000 000 310 =4 ●#24−#17−#20−#41

川崎球場が健在だった頃の首都大学リーグでは、12:00からの1部リーグ2試合の前座として、9:00から2部リーグ1試合のカードが組み込まれるという魅力的な日があった。

4回表だった。玉川大の6番・鳥居孝弘はセンター前ヒットで出塁した。7番打者の初球に二盗、3球目に三盗を決めて、8番打者の初球に四球で歩いた一塁走者との重盗に成功した。私が見たのはこの1度きりだから、たまには早起きもしてみるものだ。

7番 1死1塁   初球  ボール(バントの構えでバットを引く)鳥居が二盗成功
   1死2塁   2球目 ボール(バントの構えでバットを引く)
   1死2塁   3球目 ボール               鳥居が三盗成功
   1死3塁   4球目 ボール=四球
8番 1死1・3塁 初球  ボール               鳥居が本盗成功(一塁走者との重盗)

二盗と三盗の連続盗塁

鳥居を含めて、同一イニングでの二盗と三盗の連続盗塁を、私は02年までに125回見ている(9イニング制硬式の試合限定。シニアや女子軟式は含まない)。1人で2度記録している選手が、次のように4人いるので、実数では121人になる。

二盗・三盗の連続盗塁を2度見たことのある選手(02年末現在)
選手 所属 年月日 球場 点差 二盗 三盗 得点の有無 相手
長辺敏彦 岳南クラブ 94/06/03 浜松 1ウ A3 B2 ○Cの二塁打 エースコンクラブ
5ウ −1 A2 A4 ○Bの犠飛
笠尾幸広 法政大 92/10/18 神宮 5ウ −2 A1 C3 × 慶応大
王子製紙米子 97/05/04 徳山 1表 A2 B2 × 防府クラブ
小田英哉 新日鉄君津 96/05/10 北九州 4ウ +6 A4 B1 ○Cの二塁打 JR九州
96/08/05 札幌 5ウ +5 A2 A3 × NTT北海道
赤星憲広 亜細亜大 96/11/16 神宮 2ウ A4* A4 × 東亜大
97/04/24 神宮 7ウ +6 A1 A2 ○Aのスクイズ 専修大

▲「二盗」「三盗」の項の「A」は次打者、「B」はその次の打者…、「1」は初球、「2」は2球目…です。赤星の1回目「A4*」は、4球目前の二盗の意味です。

長辺は1試合で二度やった。笠尾は大学と社会人で見た。小田は九州と北海道で見ている。赤星(JR東日本を経てタイガース)の2回目は、イヤミったらしいことこのうえないものだった。次打者の初球に二盗を決め、2球目には三盗に成功し、3球目のスクイズで生還したのだ。次打者の2球目までに二盗と三盗を決めたのは、赤星のほかに4人いる。

02年には、珍しい連続盗塁を見た。高校生なので実名は控えるが(それに警戒されては本人の不利益になる)、2点リードの7回表に先頭打者として四球で出塁。次打者の2球目にキャッチャーからの一塁牽制をもらって二盗、4球目にはやはりキャッチャーから二塁牽制(カバーはショート)をもらって三盗を決めた。

分野別・得点差別

125例の連続盗塁を分野別、得点差別に集計したのが次の表だ。

連続盗塁の得点差別・分野別発生件数(02年末現在)
点差 リード 同点 ビハインド 合計
(T)
試合数
(G)
頻度
(T/G)
+5〜 +4 +3 +2 +1 −1 −2 −3 −4 −5〜
プロ 384 54.9
社会人 29 376 13.0
大学 12 11 51 479 9.4
高校 38 337 8.9
合計 27 13 15 26 12 125 1573 12.6

▲「頻度」は、連続盗塁が何試合に1回あるかを示します。サンプルの観戦試合については、「レコード対象ゲーム」をご参照ください。

分野別では、プロで少なく大学や高校で多い。盗塁を許すのは、ある意味では守備側のミスとも言えるわけで、戦力差が激しいほど連続盗塁の可能性は高いだろうから、まあ当然のことだ。同じ高校でも、全国大会レベルと地方予選の1、2回戦レベルでは異なる数値が出てくるものと思われる。

得点差別に見ると、1点差または同点のケースが125例のうち50例、5点以上の大差がついているときが39例だ。8回以降の1点差以内というシビアな状況で、連続盗塁を決めたケースは次のように4例ある。

8回以降1点差以内の連続盗塁(02年末現在)
年月日 球場 選手 所属 点差 二盗 三盗 得点の有無 相手チーム
92/08/11 甲子園 西*** 神港学園高 8表 +1 A5 B3 × 北海高
95/03/11 西武 吉田昭二 東芝府中 9表 −1 B2 B3 × 三菱自動車京都
95/07/23 東京ド 山田正浩 住友金属(NTT関西から補強) 8ウ B2 B4 ○Bの内野ゴロ JR東日本東北
00/11/05 西京極 樫原宏佳 大阪体育大 8ウ +1 A1 B2 × 近畿大

山田は四球で歩いたあと、盗塁2つで三塁に進み、ショートゴロで勝ち越しのホームを踏んだ。JR東日本東北のショートは小坂誠(のちにマリーンズ)が守っていた。バックホームを諦めて一塁でアウトをとった小坂は、続く9回表に同点アーチを放って、試合は延長にもつれた。

というわけで、終盤の僅差で連続盗塁を決めて、決定的な1点をもぎとったというケースはまだ見ていない。なお、初回の連続盗塁は長辺の1回目と笠尾の2回目を含めて12例ある。

◇半数以上が得点

111回の連続盗塁を打順別に見ると、やはり1番打者が多い。

打順 事例
1番 32
2番 20
3番 17
4番 10
5番  8
6番 11
7番  9
8番  2
9番  7
代打  6
代走  2
守備  1
合計125

また、得点の有無を出塁時のアウトカウント別に見ると、次のようになる。ツーアウト後に出塁して、二盗・三盗を決めた走者でも、4割以上が得点している。

アウト 得点 残塁 得点率
無死  33 14 70.2%
1死  26 23 53.1%
2死  13 16 44.8%
合計  72 53 57.6%

▲「得点率」は、二盗・三盗を連続して成功させた走者が「得点」した割合です。

トータルでは、125例のうち6割近い72例が得点につながっている。さらに興味深いのは得点の直接原因だ。安打は72例のうち半分に満たない33例に過ぎず、三盗のときにキャッチャーの悪送球を誘って一気に生還したケースが10例もあるのだ。ほかに、犠飛11例、暴投6例、内野の失策4例、内野ゴロ4例、スクイズ2例、本盗1例、死球押し出し1例となっている。

なるほど、三塁に走者がいると、いろんなことが起こるものだ。相手のバッテリー次第とはいえ、すくなくともアマチュアの場合、二盗と三盗の連続盗塁は試みる価値が十分にあるように思われる(…と、部外者は気楽にそそのかす)。


外部リンクです。
野球に関するよくある質問とその答えその他の記録
 「サイクルスチール」の項目がありますのでどうぞ。日本のプロ野球では79年の島田誠が最後で、過去16例記録されているようです。まあ、最近は盗塁自体が減っていますから…。(F未通知、06/04/14設定)

◆リンク先を探していたら、「振り逃げ→二盗→三盗→本盗」こそが「パーフェクト・スチール」ではないかという投稿が複数見つかりました。どうやら、真犯人はあだち充の『ナイン』のようです。ちなみに、振り逃げに際して打者に盗塁が記録されることは絶対に!ありません。
◆なお、1936年夏の甲子園で台湾代表・嘉義農林の呉波(ご・は)が初球に二盗、2球目に三盗、3球目に本盗を成功させているようです。2回戦の対育英商(→育英)戦で4回二死だったそうです。呉はのちにジャイアンツなどプロ3球団に在籍し、1943年に帰化して「昌征」の登録名を名乗った選手です。

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