04年8月末、次のようなメールが届いた。
送りバントの成功率とは何%が合格点なのか? <略>一野球ファンの興味として、管理人様でお調べ願えるようでしたら是非お願い致します。
これは、私のストライクゾーンのど真ん中に投げられたものだ。ただ、処理はきわめて難しい。成功率は「成功/(成功+失敗)」で算出することになる。分子がバント成功、分母がバント企図数だ。この分子と分母をどのように定義すればいいのだろうか。
「バント成功率」をWeb上で検索すれば100件以上、「犠打成功率」なら400件以上ヒットする(04/09/06現在、Googleによる検索結果)が、「バント成功」や「バント企図数」を明確に定義づけたページなど存在しない(はずだ)。公的なものはもちろん、私的な定義さえないのだ。微妙なケースはたくさんある。私が返信で例示したのは次のとおりだ。
| 無死一塁で初球バント、アウトのタイミングだった1−6の 送球をショートが落球して、無死一・二塁。 |
記録上は「犠打」にならないので、本来は「失敗」。 走者が進塁していることに着目するなら「成功」。 |
| 2球目までバントファウル、3球目ヒッティングで安打。 | 結果的にはバントしていないので「ノーカウント」か? 走者を進めたのだから「成功」か? バント自体は2度ミスったのだから「失敗」か? |
| 打者がバントの構えをしているとき、暴投や捕逸で走者が 進塁した。あるいは、打者はバントの構えをしているのに、 ストライクが入らずストレートの四球だった。 |
実際にはバントしていないので「ノーカウント」か? バントの姿勢を見せたことが暴投等を誘発したと 考えて「成功」か? |
宇佐美徹也『プロ野球データブック』(講談社文庫)には次のような記述がある。(617〜618ページ)
川相以前では阪急の弓岡がうまい。安打を含んで51度成功させた60年は8月16日の西武戦でフライとなり送れなかったのが唯一の失敗で成功率98.1%、走者を前で死なせないうまさにかけてはむしろ川相以上だ。
以前、パリーグにいたとき、33〜35年にかけて犠打の成功率を出したことがある。これによるとその5年間のリーグ平均成功率は74.9%→78.0%→70.3%→70.3%→62.9%というもの。
▲ここに言う「60年」とは昭和60年(1985年)です。「33〜35年」は1958〜1960年のことです。
成功率の算出に際して何らかの線引きがなされているに違いないのだが、同書にも「バント成功」や「バント失敗」は定義されていない。宇佐美氏の言う「犠打成功率」とは、おおむね次のようなものではないかと想像される。
次のWebページの中にある表を参照してほしい。
細部についての疑問は残る。先の返信では示さなかったが、たとえばスクイズ空振りで三塁走者アウトの場合はどうなのだろうか。無死一塁でバント、一塁走者は二塁封殺、一塁転送が悪送球となって打者走者が二進したようなケースも扱いは分かれるかもしれない。
無死一塁フルカウントでバントエンドラン、打者がバントの見逃しで三振のとき、走者が二盗に成功したケースをどう処理しているかという問題もある。この場合、送りバントとしては明らかに「失敗」だが、走者の進塁という送りバントの目的は立派に果たしているからだ。
とはいえ、御託を並べて「算出不能」とするより、とりあえずやってみることには価値がありそうだ。放置されているテーマなら心は動く。誰も手をつけず(出せず)にいるのなら、チャレンジしてみたい。そのうえで、こんな疑問があると示しておけば、何か(誰か)の参考にはなるだろう。
まずは「犠打」がどのような場合に記録されるのか確認しておこう。無死一塁でゴロが転がった場合を想定すると、次のようなケースが考えられる。
| 事例 | 走者 | 打者 | その記録 |
|---|---|---|---|
| 1塁送球でアウト | 2塁 | アウト | 「犠打」として打数を免除する。 |
| 2塁送球でアウト | アウト | 1塁 | 「犠打」にならないので、打数をカウントする。 |
| 2塁送球でアウト、1塁転送アウト | アウト | アウト | 併殺打と打数。 |
| 1塁送球でセーフ | 2塁 | 1塁 | 「安打」と打数。 |
| 2塁送球でセーフ (1塁アウトのタイミング) |
2塁 | 1塁 | 「犠打」で打数を免除、打者の出塁は野選。 |
| 1塁送球が悪送球セーフ (アウトのタイミング) |
2塁 | 1塁 | 悪送球がなくても走者は進塁できたので 「犠打」となる。打者の1塁は「失策」。 |
| 2塁送球が悪送球セーフ (アウトのタイミング) |
2塁 | 1塁 | 送球がよければ走者は進塁できなかったので 「犠打」とならない。「失策」による進塁。 |
| 1塁送球を落球 (アウトのタイミング) |
2塁 | 1塁 | 「犠打」となる。捕球していれば打者はアウト なので、打者の1塁は「失策」。 |
| 2塁送球を落球 (アウトのタイミング) |
2塁 | 1塁 | 捕球していれば走者はアウトなので、「犠打」と ならない。打者の1塁も「失策」。 |
複数走者の場合には、いくぶん話がややこしくなる。
| ア | 1死1・3塁でバント、1塁走者は2塁に進んだが、 3塁走者はそのままだった。 |
10.09(a)は塁上の全走者の進塁を犠打成立の 要件としていないので「犠打」となる。 |
| イ | 無死1・2塁でバント、2塁走者は3塁に進んだが、 1塁走者は2塁に封殺された。 |
10.09(c)は走者の1人がアウトになれば、 「犠打」を記録しないと定めている。 |
『公認野球規則』の規定は次のとおりだ。
07年版 『公認野球規則』
10・09 犠牲バントおよび犠牲フライの記録
(a)無死または一死で、打者のバントで1人または数人の走者が進塁し、打者は一塁でアウトになるか、または失策がなければ一塁でアウトになったと思われる場合は、犠牲バントを記録する。
(b)無死または一死で、バントを扱った野手が、次塁で走者をアウトにしようと試みて、無失策にもかかわらず、その走者を生かしたときは、次の〔例外〕を除いて犠牲バントを記録する。
【例外】失策のない守備をもってしても、とうてい打者を一塁でアウトにすることは不可能であると記録員が認めたとき、バントの打球を扱った野手が、先行走者をアウト(タッグアウト、フォースアウトの区別なく)にしようとして不成功に終わった場合には、打者には単打を記録して、犠牲バントとは記録しない。
【注】<略>
(c)打者のバントの打球で次塁に進もうとする走者のうち1人でもアウト(フォースアウト、タッグアウトの区別なく)にされたときには、打者に打数を記録するだけで、犠牲バントとは記録しない。
【注1】【注2】<略>
▲10・09(d)項は、「トレーバー」のページで引用済です。
先行走者(本塁に近い走者)を基準に考えるなら、アは三塁走者が進塁していないので「バント失敗」であり、イは二塁走者が進塁しているので「バント成功」となる。悩ましいところだ。まあ、レアケースには違いないわけで成功率の算出に際しては無視するのも考え方だ。
「バント成功」も「バント失敗」もできるだけ広く解して集計してみよう。スコアカードから「バント成功」あるいは「バント失敗」のケースを拾い上げることになるが、きっかけのメールが高校野球についての質問だったので、集計対象として選んだのも高校野球だ。
96年センバツ10試合、同年選手権8試合、97年センバツ3試合、同年選手権10試合の計31試合を対象とした。31試合なら、センバツの1大会分に等しい。サンプル数としては十分ではないかもしれないが、バントが多用される高校野球だから、それなりの数は揃う。
次のような前提条件で抽出した。
まず、バントがインプレイの打球となったケースを抽出した。31試合で152例あり、そのうち走者を進めたのは123例だ。成功率は80.9%となる。
| 類型 | 結果 | 件数 | スクイズ | |
|---|---|---|---|---|
| 成 功 |
S1 | 犠打(走者進塁、打者アウト) | 99 | (9) |
| S2 | 犠打野選(走者は犠打で進塁、打者は野選で出塁) | 5 | (1) | |
| S3 | 犠打エラー(走者は犠打で進塁、打者は失策で1塁へ) | 7 | (0) | |
| S4 | バント安打(走者進塁、打者も出塁) | 13 | (0) | |
| 失 敗 |
F1 | ゴロ(走者アウト、打者は1塁へ) | 14 | (1) |
| F2 | ゴロ(走者そのまま、打者アウト) | 2 | (1) | |
| F3 | ゴロ併殺打(走者アウト、打者もアウト) | 3 | (0) | |
| F4 | ゴロ守備妨害(走者そのまま、打者アウト) | 1 | (0) | |
| F5 | フライ(走者そのまま、打者アウト) | 7 | (1) | |
| F6 | フライ併殺(走者戻れずアウト、打者もアウト) | 2 | (1) |
「S1」については改めて記す必要もないだろうから、「S2」以下をリストアップしよう。
▼「点差」と「状況」は、その打者が打席に入った時点のものです。
▼「投球」欄のSは見逃しストライク、Kは空振り、Fはファウル、Hはインプレイの打球で、赤字はバント(の構え)、青字はバスターです。+は進塁またはアウトに絡んだ牽制球です。*
は走者がスタート、*
は盗塁、暴投、捕逸、牽制悪送球、ボークにより走者が進塁したケースです。*
は盗塁失敗や牽制死です。
▼「成否」欄の「成功」には、犠打成立のほかに安打を含みます。
| 類 | NO. | 回 | 点差 | 状況 | 打順 | 投球 | 結果 | 成否 | 走者 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| S2 | 26-1 | 3表 | 0 | 無死1塁 | 8番 | H | 三ギ野選、失策も絡んで無死2・3塁 | 成功 | 進塁 |
| S2 | 29-1 | 2表 | 1 | 1死3塁 | 2番 | BBBSSH | 投ギ野選、1得点、1死1塁 | 成功 | 進塁 |
| S2 | 36-1 | 7表 | −3 | 無死1塁 | 9番 | H | 三ギ野選、無死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S2 | 36-2 | 3ウ | 0 | 無死1・2塁 | 3番 | SH | (無死1・3塁から)スクイズが野選 | 成功 | 進塁 |
| S2 | 90-1 | 5表 | 0 | 無死1塁 | 6番 | BH | 投ギ野選、無死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S3 | 27-1 | 1ウ | 0 | 無死1塁 | 2番 | SH | 投ギ、失策が絡んで無死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S3 | 40-1 | 5表 | −5 | 1死1塁 | 9番 | FH | 投ギ、失策が絡んで1死1・3塁 | 成功 | 進塁 |
| S3 | 74-1 | 5表 | −2 | 無死1塁 | 8番 | SH | 投ギ、失策が絡んで無死1・3塁 | 成功 | 進塁 |
| S3 | 90-2 | 9ウ | 0 | 1死1塁 | 7番 | H | 三ギ、失策が絡んで1死2・3塁 | 成功 | 進塁 |
| S3 | 92-1 | 7表 | −1 | 1死1塁 | 6番 | BSH | 一ギ、失策が絡んで1死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S3 | 95-1 | 8表 | 0 | 無死1塁 | 2番 | H | 投ギ、失策が絡んで無死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 21-1 | 7表 | −1 | 1死1塁 | 9番 | BSH | 捕安、1死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 22-1 | 7表 | 2 | 無死1・2塁 | 6番 | SBH | 投安、失策も絡んで1得点、無死2・3塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 26-2 | 4表 | 1 | 無死2塁 | 4番 | H | 三安、失策も絡んで1得点、無死2塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 27-2 | 3ウ | 2 | 無死1塁 | 2番 | BH | 一安、無死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 36-3 | 3ウ | 0 | 無死1塁 | 2番 | BSH | 投安、無死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 36-4 | 3ウ | 1 | 無死1・2塁 | 4番 | H | 投安、無死満塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 42-1 | 8表 | 10 | 無死1塁 | 2番 | SBBFH | 三安、無死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 72-1 | 7ウ | 0 | 無死2塁 | 9番 | BH | 三安、無死1・3塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 73-1 | 7表 | −2 | 1死1塁 | 2番 | H | 一安、1死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 74-2 | 4ウ | 1 | 1死2塁 | 9番 | BSH | 二安、失策も絡んで1得点、1死2塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 90-3 | 1ウ | 0 | 無死1塁 | 2番 | H | 投安、1死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 91-1 | 3ウ | 2 | 無死1塁 | 1番 | H | 投安、無死1・2塁 | 成功 | 進塁 |
| S4 | 95-2 | 1表 | 0 | 無死2塁 | 2番 | H | 投安、無死1・3塁 | 成功 | 進塁 |
| F1 | 20-1 | 6ウ | −5 | 無死1・2塁 | 7番 | BH | 投ゴ、1死1・2塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 20-2 | 6ウ | −1 | 1死2塁 | 6番 | B+H | (牽制悪送球で1死3塁から)投ゴ、2死1塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 22-2 | 3表 | 0 | 無死1塁 | 2番 | SSH | 捕ゴ、1死1塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 22-3 | 7表 | 3 | 1死満塁 | 9番 | SBH | 投ゴ、2死満塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 28-1 | 3表 | 0 | 無死2塁 | 9番 | H | 投ゴ、1死1塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 29-2 | 2表 | −3 | 無死1塁 | 6番 | H | 三ゴ、1死1塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 35-1 | 6ウ | 0 | 1死1塁 | 5番 | FH | 捕ゴ、2死1塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 39-1 | 1ウ | 0 | 無死1塁 | 2番 | SBBH | 投ゴ、1死1塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 72-2 | 2表 | 0 | 無死1塁 | 5番 | SH | 投ゴ、1死1塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 86-1 | 3表 | 0 | 1死1塁 | 2番 | BBBSFH | 捕ゴ、1死1塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 92-2 | 10表 | 0 | 無死1塁 | 8番 | FH | 投ゴ、1死1塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 92-3 | 10ウ | −4 | 無死1塁 | 1番 | BSH | 投ゴ、1死1塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 94-1 | 2表 | −1 | 無死1・2塁 | 9番 | BH | 投ゴ、1死1・2塁 | 失敗 | アウト |
| F1 | 94-2 | 5表 | −4 | 無死1塁 | 3番 | SH | 投ゴ、1死1塁 | 失敗 | アウト |
| F2 | 40-2 | 2ウ | 0 | 無死2塁 | 7番 | FFH | 投ゴ、1死2塁 | 失敗 | そのまま |
| F2 | 90-4 | 9ウ | 0 | 1死2・3塁 | 8番 | H | 投ゴ、2死2・3塁 | 失敗 | そのまま |
| F3 | 22-4 | 4ウ | −2 | 無死1・2塁 | 6番 | SH | 投併、2死2塁 | 失敗 | アウト |
| F3 | 85-1 | 4表 | 2 | 1死1塁 | 6番 | FBFH | 投併、チェンジ | 失敗 | アウト |
| F3 | 92-4 | 9表 | 0 | 1死1塁 | 6番 | KH | 投併、チェンジ | 失敗 | アウト |
| F4 | 88-1 | 2ウ | −4 | 無死2塁 | 9番 | SH | 守備妨害、1死2塁 | 失敗 | そのまま |
| F5 | 20-3 | 6ウ | −5 | 1死1・2塁 | 8番 | SH | 捕邪、2死1・2塁 | 失敗 | そのまま |
| F5 | 23-1 | 8表 | −2 | 1死1塁 | 9番 | H | 捕邪、2死1塁 | 失敗 | そのまま |
| F5 | 28-2 | 6ウ | −2 | 無死1塁 | 3番 | H | 一邪、1死1塁 | 失敗 | そのまま |
| F5 | 86-2 | 3表 | 0 | 無死1塁 | 1番 | SBH | 捕飛、1死1塁 | 失敗 | そのまま |
| F5 | 88-2 | 3表 | 0 | 1死1塁 | 8番 | SH | (盗塁と失策で1死3塁から)投飛、2死3塁 | 失敗 | そのまま |
| F5 | 89-1 | 5ウ | −2 | 無死1塁 | 9番 | H | 投飛、1死1塁 | 失敗 | そのまま |
| F5 | 92-5 | 9表 | 0 | 無死1塁 | 5番 | H | 一邪、1死1塁 | 失敗 | そのまま |
| F6 | 41-1 | 3表 | 0 | 無死1塁 | 1番 | H | 三飛、走者戻れず併殺 | 失敗 | アウト |
| F6 | 92-6 | 1ウ | 1 | 1死3塁 | 4番 | BFH | 三飛、走者戻れず併殺 | 失敗 | アウト |
「犠打成功率」でGoogle検索していたら、次のページが見つかった。
今季の犠打はリーグトップの126を数えた。その一方で、飛球で打者がアウトになったり、走者が封殺になったりした失敗は32に及ぶ。成功率は7割9分7厘と8割を切る。スクイズの空振りや、スリーバント失敗などは数字に含まれてないため、実際の成功率はさらに下がる。何より、100%成功が求められる終盤での犠打失敗が目立った。
スクイズ空振りで三塁走者がアウトになったケースはまだしも、スリーバント失敗さえ含まれない「犠打成功率」ではあまり意味がないのではないだろうか。私としては、せめてこの2つは「成功率」の分母に加えたい。
集計対象とした31試合のなかには、3ストライク目がバントファウルとなり、打者がアウトになったケースが次のように6例ある。この6例を加算すると、123/158で成功率は77.8%となる。
▼「投球」欄のSは見逃しストライク、Kは空振り、Fはファウル、Hはインプレイの打球で、赤字はバント(の構え)、青字はバスターです。+は進塁またはアウトに絡んだ牽制球です。* は走者がスタート、* は盗塁、暴投、捕逸、牽制悪送球、ボークにより走者が進塁したケースです。* は盗塁失敗や牽制死です。
| 類 | NO. | 回 | 点差 | 状況 | 打順 | 投球 | 結果 | 成否 | 走者 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| B | 42-2 | 3ウ | −4 | 無死1塁 | 9番 | FFBF | 三振(スリーバント失敗)、1死1塁 | 失敗 | そのまま |
| B | 72-3 | 6表 | −2 | 無死2塁 | 2番 | SFF | 三振(スリーバント失敗)、1死2塁 | 失敗 | そのまま |
| B | 74-3 | 4ウ | 0 | 無死1・2塁 | 6番 | BFSBF | 三振(スリーバント失敗)、1死1・2塁 | 失敗 | そのまま |
| B | 85-2 | 1表 | 0 | 無死1塁 | 2番 | BFSF | 三振(スリーバント失敗)、1死1塁 | 失敗 | そのまま |
| B | 87-1 | 3表 | −2 | 無死1塁 | 2番 | FFF | 三振(スリーバント失敗)、1死1塁 | 失敗 | そのまま |
| B | 91-2 | 3ウ | 2 | 無死1・2塁 | 2番 | SKBBF | 三振(スリーバント失敗)、1死1・2塁 | 失敗 | そのまま |
さらに、スクイズ空振りで三塁走者がアウトになったケースが6例ある。これらを加算すると、123/164だから成功率は75.0%だ。
| 類 | NO. | 回 | 点差 | 状況 | 打順 | 投球 | 結果 | 成否 | 走者 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| C | 21-2 | 2ウ | 0 | 1死1・3塁 | 8番 | FKBH | (2球目スクイズ空振りで3塁走者アウト) | 失敗 | アウト |
| C | 26-3 | 4表 | 2 | 1死3塁 | 6番 | SBKBH | (3球目スクイズ空振りで三塁走者アウト) | 失敗 | アウト |
| C | 86-3 | 2ウ | 0 | 1死1・3塁 | 8番 | SBFFK | 三振(スリーバントスクイズ失敗)、併殺 | 失敗 | アウト |
| C | 89-2 | 4表 | 1 | 1死1・3塁 | 5番 | SBBKFK | (4球目スクイズ空振りで三塁走者アウト) | 失敗 | アウト |
| C | 90-5 | 5表 | 0 | 1死1・3塁 | 8番 | KBBKBH | (初球スクイズ空振りで三塁走者アウト) | 失敗 | アウト |
| C | 90-6 | 7表 | 1 | 1死1・3塁 | 8番 | BSKBK | (3球目スクイズ空振りで三塁走者アウト) | 失敗 | アウト |
私は、ひとまず「バント成功率」をここまでで考えたい。打者がバントの構えで見送って、結果的に一塁走者または二塁走者が盗塁死あるいは牽制死となった次のような事例は、バントの意思があったのかバントの構えは盗塁援護の目的だったのか判別しかねるからだ。
| 類 | NO. | 回 | 点差 | 状況 | 打順 | 投球 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| D | 21-3 | 8表 | −1 | 無死1塁 | 3番 | BBSBH | バントの構えで見送った4球目に盗塁失敗 |
| D | 88-3 | 1表 | 0 | 1死1塁 | 9番 | BFBBFB | バントの構えで見送った4球目に盗塁失敗 |
| D | 36-5 | 1ウ | −1 | 無死1塁 | 2番 | BBSSBFFB | バントの構えで見送った4球目に盗塁失敗 |
四死球は出塁率計算における分子および分母にカウントされる。ならば、バント成功率を求める際にも、打者がバントの構えをしていたときの四死球を算入するという考え方はあっていい。そんな指標があってもいいのだ。
すでに述べたことだが、打者のバントの構えによって投手が制球を乱したとすれば、四球も一種のバント(という作戦の)成功だと言えなくもない。打者が3球以上バントの構えをしており、結果として四球となったケースは、集計対象31試合に11例もある。
▼「投球」欄のSは見逃しストライク、Kは空振り、Fはファウル、Hはインプレイの打球で、赤字はバント(の構え)、青字はバスターです。+は進塁またはアウトに絡んだ牽制球です。* は走者がスタート、* は盗塁、暴投、捕逸、牽制悪送球、ボークにより走者が進塁したケースです。* は盗塁失敗や牽制死です。
| 類 | NO. | 回 | 点差 | 状況 | 打順 | 投球 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| E1 | 20-4 | 1表 | 0 | 無死1塁 | 2番 | BBBB | 四球、無死1・2塁 |
| E1 | 22-5 | 7表 | 2 | 無死1塁 | 5番 | BBBB | 四球、無死1・2塁 |
| E1 | 22-6 | 4ウ | −2 | 無死1塁 | 5番 | BBSBB | 四球、無死1・2塁 |
| E1 | 23-2 | 2表 | 0 | 無死1・2塁 | 6番 | BBBB | 四球、無死満塁 |
| E1 | 23-3 | 6表 | 0 | 無死1・2塁 | 6番 | BBBSB | 四球、無死満塁 |
| E1 | 27-3 | 1ウ | 0 | 無死1・2塁 | 3番 | FBBBB | 四球、無死満塁 |
| E1 | 42-3 | 3表 | 0 | 無死1塁 | 1番 | BBBB | 四球、無死1・2塁 |
| E1 | 73-2 | 1表 | 0 | 無死1塁 | 2番 | BBBB | 四球、無死1・2塁 |
| E1 | 74-4 | 4ウ | 1 | 1死満塁 | 9番 | BBBSSB | 四球、1得点、1死満塁 |
| E1 | 88-4 | 1表 | 0 | 無死1塁 | 2番 | BBBSB | 四球、無死1・2塁 |
この11例を(バントという作戦の)「成功」だと考えるなら、成功率は134/175で76.6%になる。まあ、「3球以上」の線引きが適切かどうかはわからないが、「2球以上」とすると、送りバントとしては不純なケースがかなり多く含まれてしまうのだ。2例だけあげよう。どちらもバントの意思はなかったと思われる。
| 類 | NO. | 回 | 点差 | 状況 | 打順 | 投球 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| E2 | 24-1 | 6表 | −1 | 1死1塁 | 3番 | BBBSB | 2球目までバントの構え、四球 |
| E2 | 74-5 | 4ウ | 0 | 1死満塁 | 8番 | BBBB | 3球目以降バントの構え、四球 |
もともとはバントの意思があったのに、2ストライクと追い込まれた結果、強攻策に切り替えられることは少なくない。2ストライク直後から強攻策に転じた事例を抽出してみた。さすがに追い込まれているだけに、集計対象とした31試合では安打のケースは絶無だった。
▼「投球」欄のSは見逃しストライク、Kは空振り、Fはファウル、Hはインプレイの打球で、赤字はバント(の構え)、青字はバスターです。+は進塁またはアウトに絡んだ牽制球です。*
は走者がスタート、*
は盗塁や暴投または捕逸もしくは牽制悪送球により走者が進塁したケースです。*
は盗塁失敗です。
▼「成否」欄の○は切り替え後の作戦(強攻または盗塁)により走者が進塁した事例、●は切り替え後の作戦により走者が進塁できなかった事例です。
| 類 | NO. | 回 | 点差 | 状況 | 打順 | 投球 | 切り替え | 成否 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| G1 | 20-5 | 1ウ | −5 | 無死1塁 | 2番 | BFFBH | 2ストライク直後から強攻、遊失で無死1・3塁 | ○ |
| G1 | 22-7 | 2ウ | 0 | 無死1塁 | 5番 | BBSFFBH | 2ストライク直後から強攻、エンドランで左飛 | ● |
| G1 | 25-1 | 2表 | 2 | 1死1塁 | 9番 | SBSS | 2ストライク直後から強攻(2球目盗塁成功)、三振 | ● |
| G1 | 25-2 | 5表 | 2 | 1死1塁 | 2番 | SBSBK | 2ストライク直後から強攻(5球目盗塁成功)、三振 | ○ |
| G1 | 27-4 | 5ウ | 3 | 無死1塁 | 3番 | SSBBH | 2ストライク直後から強攻(4球目盗塁成功)、捕邪 | ○ |
| G1 | 27-5 | 8ウ | 2 | 1死2塁 | 9番 | SBSFFBFFBH | 2ストライク直後から強攻、遊ゴ(走者アウト)で2死1塁 | ● |
| G1 | 36-6 | 1表 | 0 | 無死2塁 | 2番 | BSSBBB | 2ストライク直後から強攻(3球目盗塁成功)、四球 | ● |
| G1 | 40-3 | 6表 | −5 | 無死1塁 | 5番 | BSFBH | 2ストライク直後から強攻、二ゴ(二封で走者入れ替わり) | ● |
| G1 | 42-4 | 5ウ | −8 | 1死3塁 | 7番 | FFFK | 2ストライク直後から強攻、三振 | ● |
| G1 | 73-3 | 7表 | −2 | 無死1塁 | 1番 | FSS | 2ストライク直後から強攻、三振 | ● |
| G1 | 86-4 | 8ウ | 4 | 無死1塁 | 1番 | BBSSBFFH | 2ストライク直後から強攻(4球目盗塁成功)、一邪 | ● |
| G1 | 87-2 | 3ウ | 2 | 無死1塁 | 5番 | SBFBH | 2ストライク直後から強攻、遊失で無死1・3塁 | ○ |
| G1 | 88-1 | 3ウ | 0 | 1死1・2塁 | 2番 | BFFBFBB | 2ストライク直後から強攻、四球 | ○ |
| G1 | 92-7 | 7ウ | 0 | 無死1塁 | 6番 | BSFBFBFH | 2ストライク直後から強攻、中飛 | ● |
| G1 | 94-3 | 6表 | 2 | 1死満塁 | 2番 | BSFH | 2ストライク直後から強攻、二併 | ● |
この15例を加算すると、(バントという作戦の)成功率は139/190で73.2%に下がってしまう。2ストライク直後以外でバントから他の作戦へ切り替えられた主な事例は次のとおりだ。「バント成功率」あるいは「犠打成功率」と言う場合、ここらあたりを無視するのか、何らかの線引きを施して算入するのかと考え始めると、話は複雑になってくる。
| 類 | NO. | 回 | 点差 | 状況 | 打順 | 投球 | 切り替え | 成否 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| G2 | 24-2 | 10表 | 0 | 無死1塁 | 3番 | SSBH | バント→ヒットエンドランで三ゴ(走者進塁) | ○ |
| G2 | 24-3 | 11表 | 0 | 無死1塁 | 9番 | SBFBBH | バント(盗塁成功)→強攻で右安 | ○ |
| G2 | 28-3 | 7ウ | −3 | 無死1塁 | 6番 | BSSBK | バント→強攻で三振 | ● |
| G2 | 30-1 | 2ウ | 2 | 1死1塁 | 2番 | KBFBK | (盗塁成功)バント→強攻で三振 | ● |
| G2 | 36-8 | 5ウ | 3 | 1死2・3塁 | 8番 | SFK | 2球目スクイズがファウル→強攻で三振 | ● |
| G2 | 89-3 | 5表 | 1 | 1死1・2塁 | 9番 | SKBK | バント→バスターで三振 | ● |
| G3 | 40-4 | 3表 | 0 | 1死1塁 | 1番 | BBFF+FH | バント→バスターがファウル→牽制球に誘い出されて盗塁死 | ● |
| G3 | 23-4 | 3表 | 1 | 無死1塁 | 3番 | SBH | バント→バスターエンドランで左安 | ○ |
| G3 | 23-5 | 6ウ | −3 | 無死1・2塁 | 5番 | BBSBH | バント(暴投で2塁走者進塁)→強攻で一邪 | ● |
| G3 | 36-7 | 9表 | −1 | 無死1塁 | 9番 | BSBKK | バント→盗塁失敗(エンドランの空振り?) | ● |
| G3 | 40-5 | 7表 | −5 | 無死1塁 | 8番 | BSBH | バント→バスターで二併 | ● |
| G3 | 88-2 | 7ウ | 11 | 無死1塁 | 2番 | BSBH | バント→ヒットエンドランで中飛 | ● |
| G3 | 92-8 | 10表 | 0 | 1死1塁 | 9番 | BBFH | バント→バスターエンドランで一安 | ○ |
| G3 | 94-4 | 5ウ | 4 | 無死2塁 | 4番 | BSBH | バント→強攻で中飛(走者はタッチアップで進塁) | ○ |
| G3 | 95-3 | 8ウ | 0 | 1死1塁 | 3番 | FH | バント→ヒットエンドランで右安 | ○ |
たとえ独自のものであっても、きちんと線引きしたうえで求めた特定の選手と別の選手の「バント成功率」を比較することは意味がある。せめて平均値が示されるなら、特定の選手(チーム)のバント成功率は高い(低い)と言えるだろう。
だが、成功率の分子と分母の定義を示さずに「ある選手(チーム)のバント成功率は○割だ。これは高い(低い)」とは言えないはずだ。冒頭に掲げたメールは、その曖昧さを鋭く突いたものだったのかもしれない。線引きが異なるA選手の犠打成功率とB選手のバント成功率を比較することは有害ですらある。
◆当サイトは「セットポジション」です。送りバントのとき、投手はほぼ例外なくセットポジションから投げます。私のスコアの記入法は、バントだけでなく、エンドラン、ピッチドアウト、牽制球などに対応しています。「ストライクゾーンのど真ん中」に放られた以上、それを私が打ち返そうとするのは義務でさえあります。見送りはできないのです。
◆集計対象がわずか31試合分ですので、ボールカウント別の成功率を出すことは諦めました。クリーンヒットにはならなかったでしょうが、ボテボテが幸いしての進塁打ぐらいにはなったかもしれません。まあ、空振りだけはしなかったのかな、と。
◆高校野球で送りバントが多用されるのは、「負けたら終わり」のトーナメントだからという理由だけではなく、インプレイの打球を転がすことで相手のエラーや野選を誘うという狙いがあるものと思われます。それを実証的に示すには、たとえばプロ野球でのバントの場面をこのページと同様に抽出する作業が必要になるでしょう。「結果的に走者が進塁できたかどうか」という基準で(バントという作戦の)成功率を求めることには、そうした意義があります。おそらく高校のほうが安打の比率も高いはずです。
◆UPまもないうちに「いたずらに話を複雑にする」メールを頂戴しました。無死一・三塁で初球をスクイズ空振り(三塁走者アウト、一塁走者は二塁進塁)、2球目にバント成功(二塁走者進塁)の場合はどうするのかというものです。私なら、成功・失敗各1で企図数2とします。送る目的の走者が異なるからです。
◆当サイトには「盗塁阻止率」や「出塁率」に関するページもあります。おもちゃ箱みたいなもので、どこに何が紛れこんでいるか自分でもわからなくなることがあります…。事実誤認、数値の誤り、変換ミス、リンク切れ等にお気づきの際は、お手数ですが「メールのページ」からご一報いただけると幸いです。このページに関連するブログ「んだ」のエントリーは今のところありません。
★07/06/30校正チェック済、ケなし、プなし、順OK
★07/06/30HTML文法チェック済(thタグabbr属性につき無指定、Googleキャッシュ)