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連続出場・復活出場 | 商業高校 | 監督の出身大学

たそがれの商業高校

00/09/21作成
13/12/16更新


商業校占有率の推移

高校野球(中等野球)の歴史は商業校の歴史でもあった。商業校の初優勝は1924年第10回大会の広島商だが、その後1937年第23回大会まで、高松商、松本商(→松商学園)、中京商(→中京大中京)、松山商、岐阜商(→県岐阜商)が相次いで夏を制した。この間の14大会のうち12大会は「**商」が優勝しているのだ。

ちなみに、商業高校がもっとも多く出場したのは、1973年第55回大会の16校だ(江川のときの記念大会)。最高占有率は戦前最後の1940年第26回大会で、出場22校中13校が「**商」だったので、実に59.1%になる。

08年の選手権大会出場55校中、商業高校は市岐阜商、高岡商、福井商、倉敷商、佐賀商、宮崎商、浦添商の7校だった。占有率は12.7%だ。最近では西短が優勝した92年(県岐阜商、高岡商、倉敷商)、松坂のときの98年(富山商、宇部商、徳島商)、日大三が優勝した01年(福井商、宇部商、松山商)が3校で、これが最低ラインになっている。

とくに1990年代以降、「**商」は目立って少なくなっている。出場校に対する「**商」占有率の推移を、10回刻みで見ると次のようになる。

大会回数  年  出場校 商業校 占有率 
 1〜10 1915〜24  149   37  24.8%
11〜20 1925〜34  219   77  35.2%
21〜30 1935〜48  193   75  38.9%
31〜40 1949〜58  254   52  20.5%
41〜50 1959〜68  335   80  23.9%
51〜60 1969〜78  371  100  27.0%
61〜70 1979〜88  490  100  20.4%
71〜80 1989〜98  496   63  12.7%
81〜90 99〜2008  496   61  12.3%
          通算  3003  645  21.5%

▲集計に際しての商業校の範囲はこのページの下をご覧ください。たとえば、県岐阜商は06年で26回目の出場ですが、「長良」での出場が1回ありますので、25回分しかカウントしていません。

誤解を恐れずに言えば、野球とは関係なく商業高校という存在自体が、すでに歴史的役割を終えているのだ。これからの日本の産業構造が旧来型の商業高校を必要としていない。だから、私立の商業高校は相次いで校名変更して「商業」を外す。

柳川商は柳川に、京都商は京都学園に、藤沢商は藤沢翔陵に、福知山商は福知山成美に、米子商は米子松蔭に、岐阜の中京商も中京に、札幌商は北海学園札幌に、という具合だ。鶴岡商→鶴商学園→鶴岡東という事例すらある。

「いつまでも商業高校を名乗っていて生徒が集められるか」というのが、本音であり、冷酷な現実なのだ。公立の商業高校はそう簡単には校名変更はしない。悪く言えば「のんき」で「融通がきかない」のであり、よく言えば「伝統を重んじる」のだろう。もちろん、名前は変えなくても中身は変質せざるを得ない。

また、かつて常連だった公立の商業高校の多くは、野球に力を注ぐ私立高に太刀打ちできなくなっている。

▼数字は各校の選手権大会出場年です(西暦末尾2桁)。78年から1県1校制(73年は記念大会)です。

高崎商  7071----------77------------84------88--90------------------------------------
銚子商  7071--7374--76----------------85------------------95------------------05------
横浜商  ------------------79------83----8687----90------------------------------------
浜松商  ----------75--------80------84------88--90------------------00----------------
福井商  ------73------7778----81----84--86878889------93----96------0001--03--05060708
岡山東商 7071--73--7576--78------------------------91----------------------------------
広島商  70----73--75--77--79--81828384----8788------------------------------04--------
高松商  70----73----7677787980----83------------------------96------------------------
高知商  70--7273--------78--80--8283--8586--88--90----93--95--97----------------06----
鹿児島商 ----72----75--------------------89--88------------95--------------------------

なお、沖縄だけは全国的な傾向とはうらはらに、近年商業高校の進出が著しい。08年を含めて過去6回出た商業高校は、93年の浦添商が最初だ。

都道府県別の占有率

都道府県別の商業高校占有率を集計してみた。

▼『週刊ベースボール』00年7月2日増刊号の「全出場校一覧表」をベースに集計したものです。
▼「出場」は都道府県別の出場回数、「商業」は商業校の出場回数、「%」は商業校の占有率、「最後の商業校」は最後に出た商業校、「年」はその年、です。

歴代代表校に占める商業高校の割合
都道
府県
出場 商業 最後の
商業校
出場経験のある商業校とその回数
北海道
青森
岩手
秋田
山形
宮城
福島
134
49
67
63
48
56
47
11
2
6
16
1
3
10
8.2
4.1
9.0
25.4
2.1
5.4
21.3
札幌商
三沢商
久慈商
秋田商
山形商
仙台商
福島商
1980
1986
1993
2005
1962
1983
2000
札幌商(8)、函館商(1)、旭川商(1)、釧路商(1)
青森商(1)、三沢商(1)
盛岡商(3)、花巻商(1)、花北商(1)、久慈商(1)
秋田商(15)、能代商(1)
山形商(1)
仙台商(3)
福島商(8)、安積商(2)
茨城
栃木
群馬
埼玉
千葉
東京
神奈川
山梨
56
52
61
52
67
124
69
44
10
1
15
8
19
0
9
4
17.9
1.9
24.6
15.4
28.4
0.0
13.0
9.1
水戸商
宇都宮商
前橋商
川越商
銚子商
(なし)
横浜商
甲府商
2000
1923
2007
1989
2005

1990
2007
水戸商(10)
宇都宮商(1)
高崎商(10)、前橋商(4)、桐生市商(1)
熊谷商(3)、所沢商(3)、深谷商(1)、川越商(1)
銚子商(12)、千葉商(7)

横浜商(7)、藤沢商(1)、横浜一商(1)
甲府商(3)、塩山商(1)
新潟
長野
静岡
愛知
岐阜
三重
富山
石川
福井
50
86
74
87
56
47
49
50
64
10
18
22
27
38
5
31
2
30
20.0
20.9
31.1
31.0
67.9
10.6
63.3
4.0
46.9
高田商
長野商
静岡商
中京商
市岐阜商
宇治山田商
高岡商
金沢商
福井商
1976
1983
2006
1963
2008
2007
2008
1966
2008
新潟商(7)、長岡商(1)、高田商(1)
長野商(8)、松本商(8)、須坂商(1)、飯田商(1)
浜松商(9)、静岡商(9)、島田商(4)、清水市商(1)
中京商(14)、愛知商(6)、享栄商(3)、東邦商(2)、豊橋商(1)、名古屋商(1)
県岐阜商(25)、中京商(4)、市岐阜商(4)、大垣商(3)、土岐商(2)
宇治山田商(3)、松阪商(2)
高岡商(16)、富山商(15)
金沢商(2)
福井商(18)、敦賀商(11)
滋賀
京都
大阪
兵庫
奈良
和歌山
39
85
90
91
49
76
5
16
17
10
1
7
15.4
18.8
18.9
11.0
2.0
9.3
八幡商
福知山商
浪華商
市神戸商
高田商
市和歌山商
2006
1999
1958
1955
1963
2004
八幡商(6)
京都商(11)、西京商(3)、京都二商(1)、福知山商(1)
浪華商(10)、京阪商(3)、明星商(3)、日新商(1)
第一神港商(5)、育英商(2)、北神商(1)、神戸商(1)、市神戸商(1)
高田商(1)
県和歌山商(4)、市和歌山商(3)
岡山
広島
鳥取
島根
山口
香川
徳島
愛媛
高知
53
73
63
52
61
59
47
64
52
19
24
3
6
28
31
22
27
23
35.8
32.9
4.8
11.5
45.9
52.5
46.8
42.2
44.2
倉敷商
広島商
鳥取商
出雲商
宇部商
高松商
徳島商
松山商
高知商
2008
2004
2004
1989
2005
1996
2007
2001
2006
岡山東商(10)、倉敷商(7)、玉島商(2)
広島商(22)、盈進商(1)、尾道商(1)
米子商(2)、鳥取商(1)
松江商(3)、浜田商(2)、出雲商(1)
宇部商(12)、下関商(8)、岩国商(3)、防府商(2)、柳井商(2)、萩商(1)
高松商(19)、坂出商(7)、志度商(3)、丸亀商(2)
徳島商(21)、鴨島商(1)
松山商(25)、新居浜商(2)
高知商(22)、伊野商(1)
福岡
佐賀
長崎
熊本
大分
宮崎
鹿児島
沖縄
78
50
53
51
60
50
57
41
9
20
6
3
13
7
14
6
11.5
40.0
11.3
5.9
21.7
14.0
24.6
14.6
久留米商
佐賀商
長崎商
熊本商
大分商
宮崎商
鹿児島商
浦添商
1985
2008
1987
1960
1997
2008
1995
2008
久留米商(4)、柳川商(3)、飯塚商(2)
佐賀商(15)、唐津商(3)、鳥栖商(2)
長崎商(6)
熊本商(3)
大分商(12)、別府商(1)
宮崎商(4)、延岡商(2)、都城商(1)
鹿児島商(13)、出水商(1)
浦添商(3)、中部商(2)、那覇商(1)
満州
朝鮮
台湾
20
20
18
15
9
4
75.0
45.0
22.2
大連商(12)、天津商(2)、奉天商(1)
仁川商(3)、京城商(2)、釜山商(1)、大邱商(1)、善隣商(1)、新義州商(1)
台北商(4)
合計 3003 645 21.5

上の2つの表では、「**商業」に限定してカウントした。「○○商工」等はノーカウントとし、校名変更がある場合は個別に斟酌した。「浪華商」は「浪華商業高校」と思われるが、「浪商」は単に「浪商高校」だろう。

ノーカウント扱いの高校

校名変更に伴う算入(☆)と除外(★)

まだ残っている私立の商業高校(おそらく3校)

全国学校データ研究所・編『全国学校総覧02年版』(原書房・刊)から私立の商業高校を拾ったところ、全国に8校しかなかった。今でも「商業」を名乗る私立高校は3校しかない。

外部リンクです。
学校法人長島学園城南静岡高等学校沿革
 静岡女子商が校名変更しているというメールをいただきました。ありがとうございます。北海学園札幌は03年のうちに当該校のWebサイトで校名変更を確認できました。商業高校ではありませんが、飛龍(←沼津学園)、木更津総合(←木更津中央)、正智深谷(←埼玉工大深谷)などもそうです。京北学園白山や巣鴨学園のWebサイトにも、こういう沿革のページがほしいところです。(P未通知、04/05/09設定) 

◇商業高校が消滅した京都

京都では、02年度限りで公私立ともに商業高校が完全に姿を消した。最後に残っていた2校は03年度から次のように校名を変えている。都道府県単位で商業高校が完全消滅するのは、京都が初めてだと思われる。

京都新聞社のWebサイトで確認したところ、純粋な「商業科」で03年度の募集をしている京都の公立高校は、乙訓高校の80人と西舞鶴高校の30人だけだった。西京高校の03年度募集定員はエンタープライジング科で200人、京都すばる高校は情報科学科、会計科、企画科で各80人になっている(いずれも全日制の定員)。

02年現在、鳥取の商業高校は鳥取商のみだ。鳥取県庁のWebサイトによれば、鳥取商は英語科併設で、02年度の募集定員が英語科80人、商業科の商業コースが120人、情報管理コースが80人、国際経済コースが40人だ。実質的にはすでに脱商業高校化していると言えるだろう。

02年選手権大会出場校の沖縄・中部商には生涯スポーツ科があるようだ。ちょっと反則っぽい気もしなくはないが、やはり従来の商業高校とは一味違うということにしかならない。山口・宇部商も情報管理科を併設しており、名前はともかく中身の変質を余儀なくされているのは厳然たる事実だ。岩手では、花北商が学科再編に伴い03年度から「花北青雲」に、久慈商が久慈工と久慈農林との統合により04年度から「久慈東」になっている。

また、山口の柳井商は柳井工と統合されて、08年から「柳井商工」に戻る。徳山商と萩商も同じように統合されて「○○商工」となるので、山口で残った商業高校は宇部商、岩国商、防府商、下関商(市立)の4校だ。このうち岩国商には総合ビジネス科と国際情報科しかなく、すでに商業科はない。


改めて、お断り(03/06/28)

◆当ページは「選手権大会に出場する商業高校が減っていること」を数値で示したものです。現実に減っている以上、たとえ独善的であれ、その背景に触れるのは当然のことです。別に商業高校を蔑視しているつもりはありませんし、商業高校およびその卒業生・教職員・関係者の方々が地域社会に対して果たしてきた(いる)役割を否定するものではなく、ましてや在学中のみなさんを貶めるつもりもありません。
◆作成当初は、予防線のつもりでこのようなお断りを掲げていたのですが、1年か2年ぐらいで削除しました。この件に関して、直接ご意見を承ったことはありませんが、○ちゃんねる掲示板において、もちろん匿名の方より「差別主義者」とのご指摘をたまわっていたようですので、改めて「商業高校差別」の意図を持つものではないことをお断りする次第です。
◆かりに私の中に自覚のない「差別」が潜んでいるのだとしても、商業高校という存在は絶対数でも相対的にも減り続けるでしょう。その事実は事実として、遅かれ早かれ受け入れていただくしかないわけです。どちらかと言うと、なごり惜しんでいるつもりだったのですが、そう受けとってもらえないのだとすれば、それは私の不徳の致すところなのでしょう。
◆脱「商業」化は、大学も同じです。熊本商科大→熊本学園大、福岡商科大→福岡大、松山商科大→松山大、広島商科大→広島修道大、高千穂商科大→高千穂大という事例があります。学校とは、学生・生徒のためのものであって、OBのために存続しなければならないものではありません。卒業生として学校名に愛着があるのは当然のことですが、それとこれとは別の話です。


◆京都の商業高校完全消滅や古川商と札幌商の校名変更はメールでご教示いただきました。その節はありがとうございました。都道府県別商業高校占有率の表に関しては、もともと表計算を用いていますが、転記ミスが生じているかもしれません。数値や固有名詞の誤り、リンク切れ等にお気づきの際は、「3代目んだ」(商業高校は7校/08年)または「メールのページ」からご一報いただけると幸いです。

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