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下級生が入りやすいレギュラー・ポジションはあるのだろうか? もちろん、個々のチーム事情によるだろうが、全体として、一定の傾向があるのではないかと思われる。
そこで、選手権大会予選のパンフを使って、各ポジションの下級生比率を算出してみた。パンフに記載された背番号が一桁の選手をそのポジションのレギュラーとみなした。実際には「名誉一桁」のケースもあるだろうし、「大須賀」のような事例もあるが、個別の事情は一切斟酌していない。
私が予選のパンフを持っている6都県分の集計結果は次のとおりだ。
▼表の数値は、1・2年生の選手数とその割合です。赤は県ごとの最大値、青は最小値です。
| 96年 東京 (260校) |
97年 埼玉 (165校) |
97年 山形 (55校) |
98年 神奈川 (204校) |
01年 千葉 (174校) |
02年 山梨 (40校) |
計 (898校) |
||||||||
| 投手 捕手 一塁 二塁 三塁 遊撃 左翼 中堅 右翼 |
73 97 93 95 127 119 102 99 106 |
28.1% 37.3% 35.8% 36.5% 48.8% 45.8% 39.2% 38.1% 40.8% |
28 45 58 55 67 49 54 41 57 |
17.0% 27.3% 35.2% 33.3% 40.6% 29.7% 32.7% 24.8% 34.5% |
14 16 20 18 26 18 17 9 21 |
25.5% 29.1% 36.4% 32.7% 47.3% 32.7% 30.9% 16.4% 38.2% |
53 74 62 88 91 85 91 58 80 |
26.0% 36.3% 30.4% 43.1% 44.6% 41.7% 44.6% 28.4% 39.2% |
50 59 45 58 58 74 52 50 45 |
28.7% 33.9% 25.9% 33.3% 33.3% 42.5% 29.9% 28.7% 25.9% |
10 16 13 14 21 18 11 9 15 |
25.0% 40.0% 32.5% 35.0% 52.5% 45.0% 27.5% 22.5% 37.5% |
228 307 291 328 390 363 327 266 324 |
25.4% 34.2% 32.4% 36.5% 43.4% 40.4% 36.4% 29.6% 36.1% |
6都県のうち千葉を除く5都県で、サードが最大値を示していることからして、ある程度の普遍性があるものと思われる。また、サードの次に下級生比率が高いのはショートだ。
逆に下級生が少ないのは、やはりピッチャーだ。まあ、ピッチャーの場合は、10番でも11番でも登板機会はあるだろう。ピッチャーの次に少ないのはセンターだ。キャッチャーより少ないとは、ちょっと意外だった。
サードとショートは、下級生比率が高いという共通点があるけれども、質的には異なる。98年神奈川と97年山形について、一桁背番号の下級生が翌年何番をつけていたか集計してみた。
▼神奈川の例では、98年に背番号1だった下級生が53人いました。そのうち30人は、翌99年も背番号1でした。背番号2は1人、背番号3は2人です。青は2年続けて同一背番号の事例です。その比率は「同一比率」の項に示しました。「コンバート先」は、同一背番号以外でもっとも多い背番号のポジション(赤で示してあります)とその比率です。
▼「他」は10番以上の背番号だけでなく、登録されていないケースを含みます。退部だけでなく、ケガなどの事情もあるでしょう。
| 翌年→ | 投 | 捕 | 一 | 二 | 三 | 遊 | 左 | 中 | 右 | 他 | 計 | 同一比率 | コンバート先 | ||
| 98 年 神 奈 川 |
投 捕 一 二 三 遊 左 中 右 |
30 5 5 6 11 8 4 7 4 |
1 47 3 6 6 8 4 5 6 |
2 7 26 4 9 1 5 1 7 |
0 1 0 37 8 6 7 0 2 |
1 0 3 6 25 6 3 1 2 |
2 0 3 15 10 47 3 4 1 |
0 3 1 0 2 0 24 3 8 |
6 2 2 1 6 1 18 30 13 |
2 1 4 0 1 0 6 1 21 |
9 8 15 13 13 8 17 6 16 |
53 74 61 88 91 85 91 58 80 |
56.6% 63.5% 41.9% 42.0% 27.5% 55.3% 26.4% 51.7% 26.3% |
中 一 投 遊 投 投捕 中 投 中 |
11.3% 9.5% 12.2% 17.0% 12.1% 9.4% 19.8% 12.1% 16.3% |
| 翌年→ | 投 | 捕 | 一 | 二 | 三 | 遊 | 左 | 中 | 右 | 他 | 計 | 同一比率 | コンバート先 | ||
| 97 年 山 形 |
投 捕 一 二 三 遊 左 中 右 |
9 0 2 0 2 2 0 1 3 |
1 10 0 0 2 0 1 0 2 |
0 1 8 0 0 0 1 0 2 |
0 0 0 4 5 3 0 0 1 |
1 1 2 3 9 0 2 0 1 |
1 1 0 6 4 12 0 1 0 |
0 1 0 1 0 0 5 2 0 |
0 1 1 1 2 0 5 4 6 |
1 0 2 0 1 0 0 0 4 |
1 1 5 3 1 1 3 1 2 |
14 16 20 18 26 18 17 9 21 |
64.3% 62.5% 40.0% 22.2% 34.6% 66.7% 29.4% 44.4% 19.0% |
/ / / 遊 二 二 中 / 中 |
/ / / 33.3% 19.2% 16.7% 29.4% / 28.6% |
サードの「同一比率」は、神奈川で27.5%、山形で34.6%だ。ショートは、神奈川で55.3%、山形では66.7%に達する。つまり、下級生でサードを守った選手は翌年もサードを守るとは限らないが、ショートの選手は翌年も同じショートのポジションを守ることが多いわけだ。
投手、捕手、遊撃手の3つのポジションは、両県ともに「同一比率」が高い。セカンドからショートに回った選手は、両県で21人いるが、その逆は9人だ。
また、センターから両翼に移ったケースは両県で6人しかいない。これに対して、レフトからセンターに移った選手は23人、ライトからセンターに移った選手は19人に及ぶ。
さて、上の集計は予選参加校を対象にしたものだ。3年生が9人いないチームも少なくはない。トップクラスのチームなら、話は変わってくるかもしれない。本大会出場チームを対象にして調べてみる必要があるだろう。
▼週刊朝日増刊『甲子園』記載分をもとに集計しました。あくまでも背番号による集計値ですし、同誌の発売以降の登録変更にも対応していないことをお断りします。赤はその年度の最大値、青は最小値です。98年は記念大会で55校出場していますので、10年間で496校になります。
| 93年 | 94年 | 95年 | 96年 | 97年 | 98年 | 99年 | 00年 | 01年 | 02年 | 期間計 (496校) |
||
| 投 捕 一 二 三 遊 左 中 右 |
11 8 12 7 13 9 11 6 6 |
6 5 9 9 17 14 8 6 7 |
9 9 14 11 12 11 8 9 8 |
6 6 10 9 11 12 12 9 8 |
7 6 11 12 11 19 16 8 15 |
7 10 12 14 20 14 14 10 10 |
4 12 12 13 14 15 13 4 10 |
4 13 11 8 11 19 10 8 15 |
6 13 14 10 9 10 4 7 15 |
12 6 12 12 13 14 12 9 10 |
72 88 117 105 131 137 108 76 104 |
14.5% 17.7% 23.6% 21.2% 26.4% 27.6% 21.8% 15.3% 21.0% |
さすがにこのクラスのチームになると、部員の数も多くなるはずだ。そう簡単に下級生が割り込めるものでもないだろう。総体として「下級生比率」が圧縮されている。
サードとショートが逆転したけれども、三遊間でワン・ツーを占めることには変わりがないので、一般的には、この2つが下級生向きのポジションであると結論づけても差し支えないと思われる。また、「下級生比率」の少ないほうでは、ピッチャー、センター、キャッチャーの順のまま変動は見られない。
93年から01年の間に選手権大会の本大会に出場したチームは447チームだ。あいにく、全部のチームをフォローすることはできない。本大会連続出場のチームについてのみ、一桁背番号の下級生が翌年は何番だったか調べてみた。連続出場するようなチームなら、「3年計画」のチームとは違うだろう。
▼上から2つ目の表と同じように読んでください。青は同一背番号で、その比率を「同一比率」の項に示しました。「コンバート先」は、同一背番号以外でもっとも多い背番号のポジション(赤で示してあります)とその比率です。
| 翌年→ | 投 | 捕 | 一 | 二 | 三 | 遊 | 左 | 中 | 右 | 他 | 計 | 同一比率 | コンバート先 | ||
| 下 級 生 時 |
投 捕 一 二 三 遊 左 中 右 |
17 0 0 1 1 0 0 0 1 |
0 17 3 0 0 1 0 0 1 |
0 1 16 0 3 0 0 1 1 |
0 0 2 13 4 2 0 0 0 |
1 0 3 2 15 1 0 0 0 |
0 1 0 6 4 23 2 0 0 |
0 0 0 0 1 0 9 0 2 |
0 0 0 0 0 0 6 9 10 |
0 0 0 0 1 0 1 0 10 |
3 1 1 0 3 1 1 0 1 |
21 20 25 22 32 28 19 10 26 |
81.0% 85.0% 64.0% 59.1% 46.9% 82.1% 47.4% 90.0% 38.5% |
/ / 捕三 遊 二遊 / 中 / 中 |
/ / 12.0% 27.3% 12.5% / 31.6% / 38.5% |
サンプル数が十分とは言えないけれども、「同一比率」は例外なく高くなっている。たとえば、96年から00年にかけて5年連続出場した智弁和歌山の場合、96年から99年の間に下級生で一桁背番号をつけていた選手は延べ14人いるが、ポジション変更はセカンドからショートに移った1人だけだ。
とはいえ、とくに傾向の変化は見られない。サードとショートに着目するなら、下級生のショートはそのまま固定されるが、下級生のサードはかなり分散する。両翼からセンターへという流れも変わらない。
結局、選手の入れ替わりの激しい高校野球の場合は、「欠員補充」によりサードやセカンドからショートへ、レフトやライトからセンターへと、ある種のステップアップを果たすことになるのだろう。
◆当ページは、「コンバートの不可逆性」や「ショートというポジション」をご覧いただいた方より、高校生の場合はどうなのかとのメールを頂戴したことがきっかけで作成しました。今後とも示唆に富むメールをお願いする次第です。
◆背番号に基づく集計であることを重ねてお断りします。1回戦のスタメンで集計したほうがいいのかもしれませんが、手間がかかりすぎます。
◆今回の集計では、センターの下級生比率の低さが目立ちました。「26イニング目の日没コールド」のページには、試合途中で交代した選手の割合をポジション別に集計した数値があります(大学野球です)。また、外野フライのポジション別割合は「女子軟式に関するいくつかのデータ」のページに示してあります(プロ、社会人、大学、高校、リトルシニア、女子軟式を比較したものです)。
◆「打順とポジションの親和力」のページでは、各ポジションの選手は何番を打つことが多いかというデータを示してあります(社会人野球です)。
◆上に示した6都県予選のパンフのうち、東京と千葉は抽選番号順で掲載されています。まあ、40校とか50校なら抽選番号順でもいいのでしょうが、100校とか200校の世界になると、目的のチームを探すのに一苦労です。その点、神奈川や埼玉は地区別あるいは50音順ですから比較的探しやすくなります。もちろん、地区や読み方がわからないことも多かったりするのですが…。
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