セットポジション野球場
縫い目の数だけ | 浅き夢見し | 富士に棲む魔物

浅き夢見し

02/05/10作成
13/12/15更新

◆02年4月に延長10回ノーヒットノーランを見ました。


◇エスカレーター

首都圏でエスカレーターに乗ると、右側が追い越し車?線になる。関西は逆だ。だから、「関西に来た」と実感するのは、まずエスカレーターだったりする。重い鞄を抱えて「さて、ひとやすみ」と思ったら、習慣で左側に乗っていて歩かされる羽目になるのだ。流れには逆らえない。

はたして東西の境目はどこにあるのか、今度名古屋に行ったときは、ぜひチェックしようと思っていた。02年4月、私は名古屋駅の複数のエスカレーターで懸案の観察を実行に移した。どうやら東京式であるらしい。次は岐阜か滋賀のあたりでチェックしよう。

▲03年8月某日に放映された某TV番組によれば、東海道線では岐阜県の垂井駅が境目になるそうです。関西方式が国際標準ということだそうですが…。

数年来の宿題を解決して乗り込んだのは瑞穂球場だ。アクセスは悪くない。名古屋駅から地下鉄桜通線で20分ほどだ。駅からも近い。駅の出口には、おあつらえ向きにコンビニもある。

瑞穂球場は95年以来7年ぶりになる。前回も同じ愛知大学リーグだった。チケットが500円、パンフが500円で、漱石を出したら、100円のおつりがきた。パンフには、チケット100円引の割引券が10枚ついている。したがって、両者を買えば、500+500−100=900という計算になるらしい。

7年前は、そういう扱いはされなかった。綴じ込みの割引券を見て、なにか損したような気分になったことを覚えている。きっと、誰かが2回目からしか使えないのはおかしいとねじ込んだのかもしれない。言ってみる価値はあるようだ。

▲関西六大学リーグでもパンフに割引券がついていますが、チケット売り場とパンフ売り場が別になっているため、愛知のような扱いはされませんでした(02年秋の西京極)。チケットが1200円、6校しか加盟していないのにパンフは700円です。一番高くつくリーグかもしれません。蛇足ながら、同パンフには「龍谷大、ベスト16入りを逃す」という記事がありますが(69ページ)、龍谷大は02年大学選手権で1勝してベスト16に入っているはずです。

開会式

スタンドに入って、ちょっと驚いた。グラウンドの様子が記憶と違うのだ。内野の芝がところどころはげているように見える。一見しただけでは天然芝のようだ。たしか、ここは全面人工芝だったはずだ。

確かめようと思って、スタンドの最前列まで降りてみた。やはり、内野も人工芝のようだ。念のために、ユニフォーム姿の選手にも聞いておいた。せっかくだから、天然芝にしてしまえばいいのに…。

それに、各塁のアンツーカーの部分が異様に広い。塁間の半分ぐらいがアンツーカーになっている。7年も来ないと、浦島太郎気分になれるもののようだ。まあ、私の記憶違いだったのかもしれないけれど…。

この日は、春季リーグ戦の開幕日だった。だから、開会式がある。大学野球を400試合以上見ている私だが、実は開会式に居合わせるのは初めてだ。入場行進から始まった。手を肩の高さまで上げるような見苦しい行進は、どのチームもしていなかった。

「あれがいい」という人もきっといるのだろうけれど、それならいっそのこと、バッキンガム宮殿の近衛兵とか北朝鮮の軍事パレードでも見に行ったほうがいいのではないかと思わなくもない。私はセレモニーには関心はない。ただ、1つだけ気になることがあったので双眼鏡を取り出した。

前日に見た近畿学生リーグの大阪大は、帽子のイニシャルが「H」だった。ならば、名古屋大は「M」なのだろうか。名駅(めいえき)がIME辞書にも入っている(住居表示にあるからだろう)くらいだから、「M」でも不思議ではない。

はっきりとは確認できかねたけれども、どうやら「N」のようだ。「M」なら横幅が必要だが、いくぶん縦長だったので、おそらく「N」であろうと思われる。やがて、型どおりの挨拶と選手宣誓が終わった。

▲02年大学選手権で見た北海道大は、「K」ではなく「H」でした。

加盟校数は全国最多

第1試合は、前季6位の東海学園大が先攻、前季優勝の愛知学院大が後攻だ。その前に愛知大学リーグについて、おさらいしておく必要があるだろう。

愛知リーグの加盟校は02年春の時点で26校だ。豊橋技術科学大は01年秋から棄権しているようだが、おそらく部員不足によるものと思われる。いずれにしても、26校あるいは25校という加盟校は、大学野球26連盟の中では一番多い。

▲03年春には星城大と人間環境大が加わり、加盟校はさらに増えました。05年に硬式野球部を発足させた中京女子大も06年春にオープン参加しています。

首都圏には6つ、関西には5つのリーグがあるのに、東海では愛知リーグのほかに、東海地区リーグがあるだけだ。しかも、この東海地区リーグは、静岡、岐阜、三重の各県ごとにリーグ戦をおこなっているため、愛知県内の大学が新たに硬式野球部を創設した場合、その受け入れ先は愛知リーグ以外にない。

大学野球連盟は「愛知六大学」を認めなかったけれど、首都圏や関西では都府県境に縛られない複数のリーグの共存を容認しているのだ。東海だけは県ごとにやれというのは明らかな矛盾であろうと思われる。

ましてや、九州六大学と福岡六大学の例を見れば、愛知リーグの関係者の中で2つに分けたいという思惑が出てくるのも無理からぬことだろう。N大を交えて入れ替え戦のない「愛知六大学」を、とのよからぬ妄想が首をもたげてくるのもやむを得ない面がある。

99年から00年にかけての分裂騒動には、そのような背景もあっただろう。それを「愛知六大学」構想に持っていったところが、私に言わせれば「周回遅れ」の発想だとしても、そろそろ限界なのかもしれない。

94年秋から04年春の順位

愛知リーグの順位は次のとおりだ。「分裂」騒動によりいったんは脱退した5校のうち、名古屋大を除く4校が1部に揃ったのは04年春だ。私が見に行った02年春は、中京大が2部に復帰しただけの段階だった。

▼『大学野球』誌(ベースボール・マガジン社)から作成しましたが、95年秋号では95年春の4部の順位が掲載漏れになっていましたので、当時の連盟パンフを所蔵しているH氏の協力を仰ぎました。いつもありがとうございます。
▼愛知=愛知大、愛院=愛知学院大、学泉=愛知学泉大、愛教=愛知教育大、愛工=愛知工業大、愛産=愛知産業大、淑徳=愛知淑徳大、愛文=愛知文教大、大同=大同工業大、中京=中京大、中部=中部大、東海=東海学園大、東邦=東邦学園大、豊橋=豊橋技術科学大、同朋=同朋大、名大=名古屋大、名外=名古屋外国語大、名院=名古屋学院大、名経=名古屋経済大、名工=名古屋工業大、名産=名古屋産業大、名商=名古屋商科大、市立=名古屋市立大、南山=南山大、福祉=日本福祉大、環境=人間環境大、名城=名城大です。字は新規加入の大学です。

愛知大学リーグの各部順位(94秋〜03春)
94秋 95春 95秋 96春 96秋 97春 97秋 98春 98秋 99春 99秋 00春 00秋 01春 01秋 02春 02秋 03春 03秋 04春

名城
愛知
名商
愛院
愛工
中部
名城
愛院
愛工
愛知
名商
中部
愛院
愛知
名商
中京
名城
愛工
愛工
愛院
名城
愛知
中京
名商
愛工
愛知
名城
中京
愛院
名商
愛院
愛工
名城
愛知
同朋
中京
中京
愛院
愛工
愛知
名城
同朋
愛院
中京
愛工
名商
名城
愛知
愛院
名城
愛知
中京
名商
愛工
愛院
名城
愛工
名商
愛知
中京
愛工
愛院
名商
名城
中京
愛知
愛院
名商
同朋
名院
中部
名経
愛院
中部
名院
東海
名商
同朋
愛院
中部
名院
名商
東海
学泉
愛院
中部
名商
名院
同朋
東海
愛院
中部
名院
東海
名商
同朋
愛院
中部
名商
名院
東海
中京
愛知
中部
愛院
愛工
名商
名院
中京
愛工
愛院
愛知
中部
名院
中京
愛知
愛院
名城
中部
愛工

中京
名院
同朋
学泉
名大
名工
中京
名院
同朋
学泉
名大
名工
中部
名院
同朋
福祉
学泉
名大
同朋
名院
福祉
中部
学泉
名大
同朋
名院
福祉
中部
名経
学泉
名商
中部
福祉
名院
名大
名経
名商
中部
学泉
名院
名大
福祉
中部
同朋
名院
名大
学泉
名経
同朋
中部
名院
東海
学泉
名大
中部
名院
東海
同朋
学泉
名大
名院
同朋
中部
名経
東海
学泉
東海
愛教
福祉
学泉
市大
名工
学泉
名経
福祉
愛教
名工
市大
同朋
名経
福祉
愛教
大同
名工
福祉
名経
学泉
愛教
南山
大同
中京
学泉
名経
愛教
福祉
愛産
愛知
愛工
名経
同朋
愛教
学泉
名城
中京
同朋
東海
名大
名経
名城
名商
同朋
東海
名大
愛産
東海
同朋
名院
名商
名経
名大

市大
愛教
福祉
南山
福祉
名経
市大
愛教
名経
名工
市大
愛教
名経
愛教
名工
南山
市大
名大
東海
愛教
名工
南山
学泉
愛教
東海
名工
南山
名経
東海
南山
名工
愛教
東海
名工
愛教
福祉
南山
福祉
名経
名工
愛教
南山
名経
福祉
名工
南山
愛教
愛教
名大
福祉
名工
市大
南山
大同
淑徳
名外
豊橋
大同
南山
名外
愛産
豊橋
淑徳
南山
愛産
市大
名外
淑徳
豊橋
中京
愛産
名外
市大
名工
淑徳
愛知
愛工
南山
名外
大同
市大
名城
名大
福祉
南山
愛産
名外
愛産
福祉
愛教
学泉
南山
東邦
名経
学泉
愛教
福祉
名外
大同
福祉
愛産
星城
学泉
愛教
東邦

名経
大同
豊橋
名外
大同
南山
豊橋
名外
南山
豊橋
大同
名外
東海
大同
豊橋
名外
豊橋
市大
大同
淑徳
名外
大同
豊橋
市大
淑徳
名外
大同
豊橋
市大
淑徳
名外
大同
淑徳
市大
名外
豊橋
市大
豊橋
大同
名外
淑徳
市大
大同
淑徳
名外
豊橋
大同
南山
名外
淑徳
豊橋
中京
愛工
名城
愛知
名大
愛文
愛知
愛工
名城
名大
東邦
愛文
名産
名城
名大
東邦
愛文
名工
名産
東邦
名工
大同
淑徳
市大
愛文
名産
大同
名外
淑徳
名工
市大
愛文
星城
東邦
名工
南山
市大
淑徳
南山
名工
大同
淑徳
市大
名外


中京
名城
愛工
愛知
名大
愛工
名城
愛知
中京
名大

星城
環境

名産
環境
名産
愛文
名産
愛文
環境

この数年の愛知リーグは、分裂騒動のほかには女子選手や女性審判が話題になるだけで、影が薄かった。01年の神宮大会で愛院大がベスト4に残り、ようやく存在感を示したところだ。

全投球

そろそろ試合に入ろう。リーグ戦4連覇中の愛院大は、4年生の加島が「開幕投手」だった。別にもったいぶることもないだろうから、結果から先に言おう。延長10回でノーヒットノーランだった。

▼「s」…見逃しストライク、「k」…空振り、「f」…ファウル、「b」…ボール、「h」…インプレイの打球、「d」…死球、「1」…一塁への牽制球、「2」…二塁への牽制球、字はバント(の構え)です。

02/04/06(瑞穂) 愛知大学リーグ第1週初日第1試合 10:29〜12:43
投球数→ 12 13/25 8/33 12/45 9/54 18/72 8/80 11/91 17/108 7/115 数安点球振
(3)R skbfh
二ゴ
bfh
二ゴ
d
死球
1h
二失
30010
(7)R h
二ゴ
ssk
三振
11f11h
投ギ
s2kh
一ゴ
30001
(4)R bssffh
投ゴ
ssbffh
遊ゴ
sbh
投ゴ
h
遊飛
40000
(5)L kfbffbffh
二飛
h
遊ゴ
b2h
二直
fbbfh
左邪
40000
(9)R h
三ゴ
bfh
中飛
skbfh
投ゴ
h
二飛
40000
(D)R ksk
三振
10001
HD L sbkbh
投ゴ
bbh
遊ゴ
h
二ゴ
30000
(2)R fss
三振
bkbsbfh
三ゴ
ssk
三振
30002
(6)L ssk
三振
fbh
左邪
fbfbfk
三振
30002
(8)L fh
三邪
skbfbbfs
三振
bbbssb
四球
20011
東海学園大 0 =0 300027
愛知学院大 1x=1

ノーヒットノーランは見たことがある。だから、私はもっと別のものを期待していた。スコアをつけている人にはわかってもらえるだろう。3者凡退が3回まで続けば、いやでも気になることがある。

5回表、代打に起用された左打者がピッチャーの右に高く弾むゴロを打った。打球は右投手の加島のグラブにおさまったが、一塁手も打球に反応していた。ベースが空いている。カバーがいないではないか。加島は自ら一塁ベースに駆け込んだ。なんとか無事に15人連続アウトとなった。

「ナイス、ピッチャー」と、迎えるベンチからの声が少し上ずっている(ように聞こえた)。とっくに気づいているのに口には出せない奇妙な連帯感が芽生えるのは、ちょうどこの辺りのイニングだ。風は打者に向かい風だ。両翼99.1m、中堅122mの表示が頼もしい。

金の斧と銀の斧

加島は5回までの打者15人に対して、3ボールが1度もなかった。2ボールさえ2人だけなのだ。5回までの4三振は、いずれも3球三振だった。6回表の先頭打者のとき、初めてフルカウントになった。

しょせんは他人事なのに、胃が痛くなる。「完全」と「ただのノーヒット」では、天と地の差ではないにしても、「金の斧」と「銀の斧」の違いぐらいはある。6球目はファウルだった。どうにも落ち着かない。16人目の打者は7球目を打った。サードゴロだった。やれやれ、ひと安心だ。

続く17人目の打者は、レフトのファウルフライに倒れた。この球場はファウル・グラウンドが広い。普通の球場ならフェンスが気になる打球だった。打者に向かい風という「天の利」に加えて、広いファウル・グラウンドという「地の利」もあるようだ。いやがうえでも期待は高まる。

加島は18人目の打者を2−0と追い込んだ。だが、ファウル1本を挟んで、ボールが3球続く。2度目のフルカウントだ。もし、O氏がこの球場にいて、東海学園大の応援に回っているなら、この場面こそ「意識しろ。ピッチャー、意識しろ」と言うのだろう。

そんなことを思いながら7球目を待つ。ファウルだ。ノーヒットノーランにせよ、完全試合にせよ、緊張の持続がそのゲームを鮮やかな記憶にとどめてくれる。むろん、四球でもいい「銀の斧」と、四球は不可の「金の斧」では、雲泥の差だ。8球目、見送りの三振だった。ふーっ。

7回表、19人目の打者が右打席に入る。加島が投じた73球目は、ホームベースではなく打者のほうに向かっていた。ため息の前にそう思った。死球となって、「金の斧」は消えた。まだ、「銀の斧」が残っているけれども、守っている野手は落胆ではなく安堵したのかもしれない。

私は、2年前に見た試合のことを思い出していた。5回まで打者15人をパーフェクト、8三振を奪っていた東海大の久保(のちにG)は、6回裏先頭打者に死球を与えた。これをきっかけにして、さらに3死球と3長短打で5点を失い、KOされた。

00/05/06(平塚) 首都大学リーグ第5週初日第3試合 16:13〜18:46(点灯17:19)
東海大 000 000 000 =0 ●久保−江頭−塚田−亀井−船背
日本体育大 000 00 04X =9 ○佐藤

だが、杞憂だった。加島は後続を打ちとって、「銀の斧」の権利を残した。

8年前の記憶

ところで、スコアはまだ0対0だった。8回裏、愛院大は3番・前宮が逆風を突いてセンター左への三塁打を放った。愛院大は1回、4回、5回に得点圏走者を送ったが、いずれもツーアウトの二塁走者だった。今度はワンアウトだし、三塁走者だ。そのうえ、打順もいい。

もはや1点勝負は明白だ。よみがえってくるのは、8年前のあの試合だ。日大の2年生投手・戸部(東芝府中、東芝を経てM)は、9回を投げ切っていた。失点はゼロ、被安打もゼロだった。9回裏の日大の攻撃は、先頭打者がヒットで出塁した。

4番の北川(Tを経てBu)は、当時4年生であり、キャプテンでもあり、マスクもかぶっていた。送りバントかと思われた場面で、北川は初球を強引に引っ張った。ゲッツーを免れるのが精一杯のサードゴロだった。北川が一塁に残ってしまっては、あとの攻撃は限られてくる。ただ打つだけだ。

結局、日大はチャンスを広げられず、試合は延長に入った。10回表一死後、戸部は四球を与えて4人目の走者を出した。まだノーヒットの青学大は、29アウト目を自ら差し出した。高須(のちにBu)に送らせたのだ。この送りバントは、結果的には初安打につながった。それは決勝タイムリーでもあった。

愛院大の4番は、前季の首位打者・平山だった。スクイズの気配はなく、ピッチャーゴロに倒れた。続く5番もレフトファウルフライだった。8回を終了して、依然として0対0。延長は3時間で打ち切り、再試合になるとのアナウンスが流れた(9回終了時だったかもしれない)。大学野球では珍しい親切なアナウンスだ。

▲関西六大学では、9回裏終了時に「○時○分(試合開始から3時間)を超えて新しいイニングには入らない」旨のアナウンスがありました。

9回表、加島は四球とエラーで2人の走者を背負っていた。二死後、3番打者は初球にバットを出した。ちょこんと当てただけの打球だった。飛んだところはショートの頭上だ。9回ツーアウトで終わるなら明松だ。ショートがジャンプしておさえた。

30アウトをノーヒット

9回裏の愛院大も、10回表の東海学園大も、ともに3者凡退だった。これで、加島はノーヒットのまま30アウトをとったことになる。戸部の29アウトを8年ぶりに更新したわけだ。

「金の斧」なら即刻「殿堂」だが、「銀の斧」では「殿堂」は難しい。いったんはあきらめたが、このまま無得点が続くなら、延長13回まで入りそうだ。13回でノーヒットなら、たとえ引き分けでも「殿堂」を認めてもいい。

10回裏、愛院大は二死二塁で3番打者がショートゴロを打った。東海学園大のバッテリーにすれば、完全に打ち取った打球だった。だが、ショートが前にこぼしていた。次は4番・平山の打順だ。5打席目の平山は一・二塁間を破って三塁走者がサヨナラの生還、延長戦でのノーヒットノーランが成立した。

同時に、私にとっての東海学園大は、甲子園における木造高校となった。実は、一塁側の愛知学院大より三塁側の東海学園大のほうが応援に来ている家族の数は多かった。残念ながら、東海学園大は02年秋の入れ替え戦に敗れて、03年春から2部に降格した。

加島は、私が見た4人目のノーヒッターだ(9イニング制硬式のみ、コールド参考は含まず)。倉の21点差があるから、延長でフイにした戸部、9回二死で逃した明松を加えて、ノーヒットノーランに関してはほぼ見尽くしたことになる。欲を言えば、ノーヒットありランとか、無安打完投の敗戦投手とかが残ってはいるけれど…。

私が見たノーヒッター
年月日 種別・大会 球場 投手 所属チーム スコア 相手チーム 打者 許した走者
四球 死球 失策
91/08/05 イースタン公式戦 ロッテ浦和 今野 オリオンズ 1−0 ファイターズ 28
95/07/05 パシフィック公式戦 東京ドーム 西崎 ファイターズ 1−0 ライオンズ 28
96/06/19 東都大学リーグ入替戦 神宮 東洋大 21−0 国士舘大 29
02/04/06 愛知大学リーグ1部 瑞穂 加島 愛知学院大 1−0 東海学園大 33

ノーヒットノーランはもういい。見飽きたなどと贅沢なことは言わないけれども、やはり、次は「金の斧」が見たい。

5回終了まで完全は0.35%

そこで、02年までに私が見た全試合について、初めての走者を許したのが、何人目の打者だったのか集計してみた。サンプル数は3167だ。奇数になっているのは、途中から球場に入ったとき、すでにエラーの走者が出ていたため、何番打者だかわからないチームがあるからだ。

初走者は何人目か?(02年までの観戦試合)
打者 初めての走者 累積 累積% 個別% 分野別
安打 四球 死球 失策 振逃 合計 プロ 社会 大学 高校


716
383
286
392
218
134
43
38
24
48
27
33


1202
668
481
1202
1870
2351
37.95%
59.05%
74.23%
38.0%
34.0%
37.1%
281
173
111
307
168
116
325
192
160
289
135
94


204
104
71
69
37
29

11
10



292
161
114
2643
2804
2918
83.45%
88.54%
92.14%
35.8%
30.7%
31.4%
71
37
27
65
39
30
100
55
34
56
30
23


46
30
15
17
13
10






69
46
30
2987
3033
3063
94.32%
95.77%
96.72%
27.7%
25.6%
22.4%
16
10
13
10
11
30
16
13

10
11
12
26
11
11








37
17
17
3100
3117
3134
97.88%
98.42%
98.96%
35.6%
25.4%
34.0%
14



10



13
14
15










12

3146
3152
3156
99.34%
99.53%
99.65%
36.4%
28.6%
26.7%








16
17
18












3162
3164
3164
99.84%
99.91%
99.91%
54.5%
40.0%
0.0%








19
20
21












3165
3165
3165
99.94%
99.94%
99.94%
33.3%
0.0%
0.0%








22
23






3166
3167

100%

100%




▲プロアマ交流戦は両チームともプロ、社会人対大学の試合は両チームとも社会人でカウントしています。**は7回コールドです。

この表の左端の「打者」は、初回から通算して何人目の打者であるかを示している。「初めての走者」は原因別とそのトータルを示した。つまり、3167人の初回先頭打者のうち、716人はヒットで出塁した。四死球、失策、振り逃げを含めて、1202人が塁に生きている。

3番打者の「累積」は2351だが、これは「1202+668+481」の累計値だ。3167チームのうち2351チームは、初回に走者を出しているわけだ。「累積%」の73.99%は、「2857÷2114」で求めた。つまり、初回で74.23%のチームが「完全」を免れていることになる。

この数値は、2回(6番)で92.14%、3回(9番)で96.72%、4回(2巡目の3番)で98.96%、5回(2巡目の6番)で99.65%になる。なんとも切ない数字だ。完全試合がいかに困難きわまりないことなのか、よくわかるではないか。

「個別%」とは、適切な列見出しではないだろうが、次のような計算式で求めたものだ。

2番打者 668÷(3167−1202)×100=34.0%
3番打者 481÷(3167−1870)×100=37.1%

1番打者と2番打者がともに凡退したケースは、3167例中1297例ある(3167−1870)。このうち、3番打者が塁に生きた割合が何%になるかという数値だ。わざわざこんな数値を取り出したのは、16人目の打者で「完全」が途切れているケースが、ことのほか多いからだ。

鬼門は6回表先頭打者?

5回終了まで「完全」を保ち、6回以降に初めての走者を許した投手を、私はこれまで11人見ている。

初走者が6回以降の11投手(02年までの観戦試合)
年月日 種別・大会 球場 投手 所属チーム 初走者 スコア 相手チーム
92/04/26
92/06/28
93/05/02
94/04/13
95/11/04
96/07/17
97/07/20
00/05/06
01/04/21
02/04/06
02/04/18
セントラル公式戦
パシフィック公式戦
東京六大学リーグ
パシフィック公式戦
大学・神宮大会
高校・選手権千葉予選
高校・選手権埼玉予選
首都大学リーグ1部
千葉県大学リーグ1部
愛知大学リーグ1部
社会人・関東選抜リーグ
神宮
西武
神宮
東京ド
神宮
千葉公園
朝霞
平塚
千葉
瑞穂
西武ド
伊東
石井丈
滝口
白井康
高井
町*
小*
久保
秋山
加島
宗政
スワローズ
ライオンズ
早稲田大
ファイターズ
関東学院大
東海大望洋高
飯能高
東海大
中央学院大
愛知学院大
東京ガス
6表1死
8表1死
6表無死
6表無死
7回コールド
6表無死
6表無死
6ウ無死
6ウ1死
7表無死
6表無死
3○2
8○0
3○1
4●7
7○0
6○0
7○0
0●9
4○0
1○0
1△1
カープ
ブルーウェーブ
東京大
ブルーウェーブ
愛知学院大
茂原北陵高
狭山経済高
日本体育大
城西国際大
東海学園大
いすゞ自動車

11人のうち5人が6回表先頭打者でつまずいている。おおむね、5回裏終了時にはグラウンド整備がある。手際が悪いと5分以上かかることさえある。投手のゲームへの集中力が途切れてしまうからではないのか、と思えなくもない。

まあ、サンプル自体が少ないので、この仮説?が正しいかどうかは、6回表先頭打者と6回裏先頭打者の出塁状況を検証する必要があるだろう。とても今は手に負えない話なので、宿題にするしかない。

さて、上の11例の中には、7回コールドという嬉しくない試合がある。高井は「完全」のまま7回を完投した。コールド規定が7回7点差だからだ。しかも、よりによって、7点目はスクイズによるものだった。

このとき、「記録より勝敗」とクサイ正論を吐いた某氏が大いにヒンシュクを買ったのは言うまでもない。この某氏は、完全試合を2度も見ている。どうやらあまり仲間を増やしたくないらしい。まあ、その気持ちはとてもよくわかる。槙原の完全試合のとき、野球観戦は初めてという人もいたに違いないのだ。こっちは1700試合見ているというのに…。

ちなみに、関東学院大の監督は、翌日の新聞で「リーグ戦でのコールド規定が10点差だから」と言い訳していた。初出場ならまだしも、大会規定ぐらいは読んでおけ! タイムリーで入った7点目ならあきらめもつく…、かもしれないのだ。


◆04年大学選手権で明大の一場(のちにイーグルス)が広島経済大を相手に完全試合を達成しました。日曜日だったこともあって、私の仲間内では多くの人が見ていたようです。が、別に私は悔しくはありません。どうせなら、加島や明松のときのようにひとり占めしたいからです(負け惜しみ?)。

◆このページの最終更新はナビゲーションリンクの変更によるものです。事実誤認、数値の誤り、変換ミス、リンク切れ等にお気づきの際は、お手数ですが「メールのページ」からご一報いただけると幸いです。このページに対応するブログ「んだ」のエントリーは(今のところ)ありません。

★07/03/10校正チェック済(漢45%、ひ40%、カ11%、A02%)、ケなし、プなし、順OK
★07/03/11HTML文法チェック済(thタグabbr属性につき無指定)
★ブリーフケース>無死満塁>初走者



検索リンクポリシー野球場|次へ:富士に棲む魔物|作成順:『公認野球規則』