セットポジション殿堂
白井一幸・広瀬哲朗 | 岡林洋一 | 深瀬猛

岡林洋一

00/09/03作成
13/12/15更新


シリーズ3完投は4人目

92年の日本シリーズは、10月17日の第1戦と翌日の第2戦、10月25日の第6戦とその翌日の最終戦の合わせて4試合を見に行った。7試合のうち4試合が延長にもつれたシリーズだ。7回終了時点のスコアは同点が3試合、1点差が3試合、2点差が1試合だった。終盤に入ってもまだ試合の行方を読み切れない混沌としたゲームが続いた。

終盤までもつれた92年日本シリーズ
Rd 7回終了時のスコア 最終スコアと責任投手
第1戦 L3−3S(同点→) ●鹿取L3−7S○岡林(延長12回)
第2戦 L2−0S(2点差→) ○郭 L2−0S●荒木
第3戦 L2−1S(1点差→) ○石井L6−1S●石井
第4戦 L1−0S(1点差→) ○鹿取L1−0S●岡林
第5戦 L6−6S(同点→) ●潮崎L6−7S○伊東(延長10回)
第6戦 L6−7S(1点差→) ●潮崎L7−8S○伊東(延長10回)
第7戦 L1−1S(同点→) ○石井L2−1S○岡林(延長10回)

さて、岡林はこのシリーズで3試合に登板した。30イニング430球で、被安打は22、四球は3(1つは敬遠)、失点6の自責5だ。防御率なら1.50になる。

92年日本シリーズにおける岡林の登板試合
Rd 勝敗 回数 打者 球数 安打 三振 四球 死球 失点 自責
第1戦 完投○ 12 46 161 10
第4戦 完投● 27 109
第7戦 完投● 10 40 160 10

あいにく私が見たのは初戦と最終戦だけだが、その2試合はいずれも延長戦での完投だ。最終戦の延長10回表、一死三塁で打席には秋山幸二を迎えた。ボールが2球続いたあとの3球目は、ずいぶんタイミングの外れた空振りだった。

それが三味線だったとは言わないけれども、秋山は続く4球目をセンターに運んだ。犠牲フライで均衡は破れた。勝ち越し点を奪われた岡林は、427球目を投げるためにバックアップからマウンドに戻る。

その姿はけっして、うなだれたり、うつむいたりはしていなかった。判官びいきと言われようとも、「王者・西武」に挑んだ430球の熱投に対して、私は殿堂入りを認める。

日本シリーズで3試合以上完投した投手は、岡林以後にはいない。私が調べた限りでは、1964年のスタンカまでさかのぼらなければならなかった。

 年   投手  所属 日本シリーズにおける完投試合                     
1954 杉下 茂 D ○第1戦(9回)、●第4戦(8回)、○第5戦(9回)、○第7戦(9回)
1958 稲尾和久 L ●第3戦(9回)、○第4戦(9回)、○第6戦(9回)、○第7戦(9回)
1964 スタンカ H ○第1戦(9回)、○第6戦(9回)、○第7戦(9回)

四球の少ない投手

00年限りで引退した岡林の通算成績は登板175試合、53勝39敗12セーブ、防御率3.51だった。2001年版『ベースボール・レコード・ブック』で通算700イニング以上投げている投手をピックアップして、四球の割合を比較してみたら、もっともフォアボールの少ないピッチャーが岡林だった。

▼選手名は00年当時の登録名です。「与四球」には故意四球を含みますが、死球は含みません。「率」は、防御率と同様に計算した9イニング当たりの与四球率です。「割合」は、(与四球/打者)で求めた与四球の割合です。

  投手    投球回数 打者数 与四球  率   割合 
岡林 洋一  766    3190  166  1.95  5.20%
野村 弘樹 1453.2  6097  362  2.24  5.94%
斎藤 雅樹 2334    9362  577  2.22  6.16%
小宮山 悟 1878    7910  507  2.43  6.41%
山 本 昌 2029    8333  539  2.39  6.47%
桑田 真澄 2341    9677  627  2.41  6.48%
ガルベス   751    3106  203  2.43  6.54%
薮  恵一 1244    5225  343  2.48  6.56%
佐々岡真司 1609.1  6656  437  2.44  6.57%
若田部健一 1021    4379  289  2.55  6.60%
川尻 哲郎  816    3426  228  2.51  6.65%
今中 慎二 1384.1  5763  400  2.60  6.94%
潮崎 哲也 1069.2  4386  305  2.57  6.95%
香田 勲夫 1063    4502  313  2.65  6.95%
斎藤  隆 1148.2  4774  338  2.65  7.08%
石井  貴  730.2  3123  227  2.80  7.27%
新谷  博  896    3752  275  2.76  7.33%
武田 一浩 1442.1  6139  450  2.81  7.33%
加藤 伸一 1459.1  6279  464  2.86  7.39%
槙原 寛己 2484.2 10334  773  2.80  7.48%
中込  伸  898.2  3809  291  2.91  7.64%
紀藤 真琴 1215.2  5153  395  2.92  7.67%
阿波野秀幸 1260    5316  410  2.93  7.71%
伊藤 敦規  957    4082  314  2.95  7.69%
川崎憲次郎 1409    5904  472  3.01  7.99%
  投手    投球回数 打者数 与四球  率   割合 
木村 恵二  709    3040  244  3.10  8.03%
三浦 大輔 1029.2  4318  347  3.03  8.04%
中山 裕章  954.1  4064  327  3.08  8.05%
木田 優夫 1016.1  4288  349  3.09  8.14%
野田 浩司 1614.1  6786  561  3.13  8.27%
星野 伸之 2602.1 10944  915  3.16  8.36%
西口 文也  969.1  4010  339  3.15  8.45%
西村 龍次 1226.2  5234  451  3.31  8.62%
黒木 知宏 1026    4281  374  3.28  8.74%
赤堀 元之  729    3034  267  3.29  8.80%
工藤 公康 2522.2 10410  926  3.30  8.90%
前田 幸長 1230    5269  476  3.48  9.03%
岩本ツトム  978    4188  382  3.52  9.12%
長富 浩志 1339    5681  526  3.54  9.26%
高村  祐 1103.1  4796  452  3.69  9.42%
吉田 豊彦 1363.1  5977  568  3.75  9.50%
野口 茂樹  856.1  3711  354  3.72  9.54%
湯舟 敏郎 1148.2  4985  479  3.75  9.61%
山崎慎太郎 1442    6291  607  3.79  9.65%
西崎 幸広 1973    8212  797  3.64  9.71%
河野 博文 1249.1  5353  593  4.27 11.08%
下柳  剛  705.2  3051  355  4.53 11.64%
小池 秀郎  807    3502  411  4.58 11.74%
石井 一久 1009.1  4290  530  4.73 12.35%

観戦試合投手成績(所属はすべてスワローズ)

 年月日   球場  種 相手  勝敗 投球回  打 球数 安 振 四 死 失 責
91/06/16 横浜 C W  中継○  4   17  64  3  0 3 0 3 3
91/07/07 神宮 C D  完了○  5.1 21  76 4  5 1 1 2 2
92/03/06 神宮 O F  先発   4   16  66 4  3 1 0 2 2
92/04/05 神宮 O T  先発   9   36 129 12 3 1 0 3 3
92/05/04 神宮 C W  完投○  9   31 104 6  6 0 0 1 1
92/06/14 東京ドC G  先発●  4   24 106 9  2 3 0 6 6
92/08/06 神宮 C T  先発   3   17  64 8  2 1 0 5 5
92/10/17 神宮 J L  完投○ 12   46 161 10 3 1 0 3 3
92/10/26 神宮 J L  完投● 10   40 160 8 10 1 0 2 1
93/03/20 神宮 O Bu 完了△  2    9  28 2  2 0 1 2 2
93/04/04 東京ドO G  先発   5   21  74 7  3 0 0 3 3
93/04/11 神宮 C C  先発●  7   27  90 3  4 3 0 2 0
93/09/26 神宮 C D  先発●  5.2 24  74 6  2 2 0 6 6
94/04/30 横浜 C YB 先発   7   29  98 9  4 0 0 2 2
94/06/11 神宮 C C  先発   5.1 25  85 10 3 0 0 5 5
94/07/03 神宮 C G  先発   7   29  83 8  2 1 1 3 3
95/08/27 神宮 C D  先発○  8   31  99 6  4 1 0 3 3

◆岡林のプロ入りは91年でした。私がスコアをつけ始めたのと同じ年です。初年度は12勝12セーブでしたが、新人王の投票では10勝17セーブの森田幸一が118票、岡林は43票と意外な大差がつきました(「新人王になれない男たち」参照)。結局、タイトルには縁がありませんでした。

◆岡林は3完投した92年日本シリーズで敢闘賞を受賞しました。本人は投げませんでしたが、同年第6戦は「究極のシーソー・ゲーム」に詳述しました。また、当サイトにはその名も「日本シリーズの投手起用」というページもあります。

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