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一塁フォースアウト?

14/01/26分割
14/02/11更新

◆再稼働にあたり「外来語のカタカナ表記等について」のページ(01/06/21作成)に収めていた「一塁封殺(フォースアウト)」の項目(01/10/19追加)を分割しました。「です・ます」体を「である」体に改めたほか、ソフトボールのルールとの比較や外部リンク等を加えたものです。


◇メール

たとえば、次のような記述に違和感があるだろうか。

http://ja.wikipedia.org/wiki/デーブ・ジョンソン(14/01/26)

王貞治が通算715号を記録した1976年10月11日対阪神23回戦(後楽園)では、2回一死二塁に東田正義の場面で池辺巌の中前の飛球を裁きダブルプレイ、7回二死二塁に藤田平の場面で片岡新之介の一二塁間のヒット性のゴロを一塁封殺にするなど好プレイでピンチを救い、堀内恒夫の151球完投とチームのスコア9対3での勝利に貢献した。

http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20110916-835881.html(14/01/26)

阪神新井貴浩内野手(34)が、先制点を献上した4回の一塁守備を悔やんだ。0−0の4回1死一、三塁の守りで、4番ブランコの放ったゴロを捕球。ブランコは全力疾走しておらず、(1)3−6−3の併殺を狙うか、(2)まず本塁に送球して三塁走者をタッチアウトにしてから一塁封殺のダブルプレーを狙うかの選択肢があった。だが新井はまず一塁ベースを踏み、踏むと同時に本塁に転送。間に合わないタイミングで、送球がブランコに当たるおまけつき。結局、三塁走者の生還を許した。

ともに、ゴロを打った打者の一塁アウトを「封殺」と表現している。これらはさほど珍しい使用例というわけではなく、探せばいくらでも転がっている。必ずしも誤りだとは言い切れない。

2001年秋、「セットポジション」内の複数の記述について、メールで指摘を受けた。当時の「セットポジション」には、「あまり野球に詳しくない方のためのページ」(05/03/23に「…詳しくない方のために」と改題)に、内野ゴロを打った打者が一塁でアウトになれば、フォースアウトである旨の記述があった。

また、「スコアの記入法」において、内野ゴロ一塁送球が本塁寄りにそれて、送球を受けた一塁手が打者走者にタッチした場合(A)、見かけ上はタッチアウトであっても、ルール上はフォースアウトである旨の記述があった。

ルール上の定義

実務上、打者の一塁アウトをフォースアウトだと解することに、とくに不都合が生じることはない。むしろ、フォースアウトと同義だと理解するほうが、誤解を生む要素を排除できる。ただし、『公認野球規則』における「フォースプレイ」の定義は次のようになっている。

2007年版『公認野球規則』

2・30 FORCE PLAY「フォースプレイ」――打者が走者となったために、塁上の走者が、規則によって、その塁の占有権を失ったことが原因となって生じるプレイである。(7・08e)
【注】 次の原注に述べられているフォースプレイによるアウト、すなわちフォースアウト(封殺)と得点との関係は、4・09に明示されている。<略>

4・09 得点の記録
(a) <略>
【付記】 第3アウトが次のような場合には、そのアウトにいたるプレイ中に、走者(1、2にあたる場合は全走者、3にあたる場合は後位の走者)が本塁に進んでも、得点は記録されない。
(1) 打者走者が一塁に触れる前にアウトにされたとき。(6・05、6・06参照)
(2) 走者がフォースアウトされたとき。(7・08e参照)
(3) 前位の走者が塁に触れ損ねてアウトにされたとき。(7・10a、b、7・12参照)

2・30の主語は、あくまでも「塁上の走者」であって、「打者走者」は含まれていない。また、きわめて重要な関連条項である4・09においても、(1)打者走者の一塁に達する前のアウトと、(2)走者のフォースアウトとは、別項目になっている。

これらの条文から解する限り、前記プレイを「フォースアウト」と呼ぶことは、いささか無理がある。たとえ、送球を受けた一塁手が触塁して打者走者がアウトになったとしても、厳密には「一塁封殺」あるいは「一塁フォースアウト」とは言えないと解するのが、この規則書の解釈としては妥当であろうと思われる。

すくなくとも「ルール上フォースアウトである」旨の記述は明らかに誤りだ。サイト内を検索してみると、「一塁封殺(フォースアウト)」、「一塁で封殺」、「一塁に封殺」を用いていたのが10ページほどあった。「一塁フォースアウト」と言う実況アナウンサーや、「一塁はフォースプレイですから」などと言う解説者もいないわけではない。

実際、私に前記プレイ(A)が「タッチアウトに見えるフォースアウト」だと教えてくれたのは、某在京キー局の「知性派」解説者だった。スコアをつけ始めて29試合目、1991年夏の西武第二球場で直接聞いた(まあ、確認せずに受け売りした私が悪いけれども…)。私は何の疑いもしなかった。なるほど、と記憶に刷り込まれた。

▲若くして現役を退いたこの解説者さんは、選手時代に在籍していたチームではない球団の監督になっています。

矛盾?

ところで、困ったことにルールブックには次のような記載もある。

08年版『公認野球規則』

2・23 DOUBLE PLAY「ダブルプレイ」(併殺)――守備側プレーヤーが連続した動作で、2人の攻撃側プレーヤーをプットアウトにするプレイであるが、この2つのプットアウトの間に失策が介在したものはダブルプレイとみなされない。(10・12)
(a) フォースダブルプレイは、フォースアウトの連続によるダブルプレイである。
(b) リバース・フォースダブルプレイは、その第1アウトがフォースプレイで行なわれ、第2アウトがフォースアウトされるはずの走者に対して行なわれたダブルプレイである。
 例 一死走者一塁、打者が一塁手にゴロを打ち、打球をつかんだ一塁手が一塁に触れ(二死)、続いて二塁手または遊撃手に送球して走者をアウト(タッグプレイ)にした場合。<略>

10・02<略>
(i)<略>
【注1】 たとえば、走者一塁のとき、一塁手が打者のゴロを捕って3−6−3のダブルプレイを行なえば、フォースダブルプレイとなり、アウトをとる順序を変えて、3−3−6のダブルプレイを行なえば、リバースフォースダブルプレイとなる。<略>

2・23(a)と10・02(i)【注1】を合わせて読めば、3−6−3のときの一塁でのプレイは、「フォースアウト」であるという解釈に疑問の余地はない。6から3の送球がそれて、打者走者が一塁手前でタッチアウトになっても、「フォースダブルプレイ」として認められるはずだ(そうでなければ困るのだ)。

また、2・23(b)に例示されている第1アウト(二死目)は、一塁で打者走者がアウトになったプレイだ。これは「フォースプレイ」として例示されているものなのだ。つまり、2・30を尊重するなら、2・23の(a)と(b)の定義は、ともに不十分と言わねばならない。

ルールブックの不備をあげつらうことが目的ではない。私は「一塁封殺(フォースアウト)」との記述を「セットポジション」から抹消した。意味は通じるだろうが(通じていたはずだ)、このサイトではふさわしくないからだ。

タッチアウトでも封殺

一方、次の使用例は誤りとしか言えない。

http://www.giants.jp/G/gstream/xml/inning_201304041.xml(14/01/26)

マウンドには2番手の左腕・高木京。 石川は遊撃ゴロ。内村は四球。一死一塁。モーガンは二塁ライナー。飛び出した内村が戻れず一塁封殺。7対4。

打者が打ち上げた飛球が野手に捕らえられ、飛び出した走者が進塁の起点となる塁に戻ろうとするとき、タッチプレイを伴わなくてもアウトになるが、これはルール上の「封殺」ではない。おそらく、守備側が触塁すればフォースアウト、走者に触球すればタッチアウトとの認識しかないのだろう。私もスコアをつけ始めたごく初期にはそのように理解していた。

この認識しかない者が審判を務めると、次のような悲劇が起こりかねない。

http://members3.jcom.home.ne.jp/kimirensinpanbu/kolamu/kihonru-ru/tokuten.html(14/01/26、頁末リンク参照)

あるローカル大会にて、2アウト3塁での1塁ゴロ。
ぼてぼてのゴロのため、一塁手が捕って本、1間?にて、ランダウンプレイが始まりました。
その間に、3塁走者、本塁到達後、打者走者が、タッグアウト(タッチアウト)になりました。
「今のプレーは、タイムプレイなので、得点認められます」との審判団説明。
当然攻撃側から、抗議がありましたが、審判団協議で、覆りませんでした。
理由は、「1塁フォースアウトではなく、走者へのタッグアウト(タッチアウト)である為、タイムプレイである。」との返答です。
私が監督でしたら、野球規則を持ち出し読んでいただきますが、そのチームの監督は、そのままベンチに戻られたとの事です。(もちろん、ルール把握していて、得点にならないのは知ってのことですが、これ以上抗議しても駄目だと思われたみたいです。)

見かけ上はたしかにタッチアウトだが、打者のアウトは「フォースアウト」に準ずるアウトなのであって、4・09【付記】(1)に該当するため、このケースでの三塁走者の得点は認められない。わざわざ協議したのに得点が認められてしまうとは、いかにも少年野球らしい。

私は引き下がった監督の気持ちがわからなくもない。元はといえば、打球を処理した一塁手がベースを踏めばよかっただけのことだからだ。審判に誤解をさせた原因は、自分のチームが一塁と本塁の間の挟殺プレイに持ち込んだことにある。ボールを持ったまま一塁ベースに入れば、誤解の余地はなかったのだ。いわば身から出た錆だから、そう強くも出られない。

ソフトボールのルール

それでは、ソフトボールのルールではどうなっているだろうか。

08年版 『オフィシャル・ソフトボール・ルール』

1−28項 フォース アウト FORCE OUT とは、打者が打者走者となり、その打者走者、または後位の走者がアウトになる前に、前位の走者がその塁の占有権を失いアウトにされることをいう。

『公認野球規則』が「フォースプレイ」を定義しているのに対して、『オフィシャル・ソフトボール・ルール』は「フォースアウト」を定義している。このため、話は非常にわかりやすくなっている。この定義なら、フォースアウトとは塁が詰まっているときの先行走者に対してだけ起こり得るものだという理解がしやすい。打者が一塁でフォースアウトになることはない。

ちなみに、ソフトのルールブックでは「フォースダブルプレイ」とか「リバース・フォースダブルプレイ」などを一切説明していない。そもそもソフトには「併殺打」という記録がルールブック上は存在しないので、説明する必要もない。したがって、何の矛盾も抱えることなく、いたって合理的に話が終わることになる。


◆私はスコアをつけ始めた91年から10年にわたって、打者走者の一塁アウトは「フォースアウト」であると認識していたわけです。野球という競技を知ったのはおそらく小学校の頃でしょうから、あの1通のメールによって、さかのぼれば数10年にもおよぶ蒙を啓いていただいたことになります。

外部リンクです。
千葉県君津市少年野球連盟審判部のホームページ審判を行うための講座基本ルール得点 4.09
 おそらく某掲示板において接点があった方なのでしょうが、ちょうど私が記述しようとしていたケースが例示されていましたのでリンクします。(14/01/26設定)

◆事実誤認、変換ミス、リンク切れ等にお気づきの際は、「4代目んだ」(一塁封殺)または「メールのページ」からご一報いただけると幸いです。

★14/02/08HTML文法チェック(エラーなし)



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