全員安打・全員得点・全員打点

社会人 00/11/09作成
13/12/19更新
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◆96年都市対抗1回戦で神戸製鋼が全員安打・全員得点・全員打点を記録しました。


96/08/24 (東京ドーム) 都市対抗1回戦 2日目第3試合
プリンスホテル  

 

 

 

 

 

= 0

  ●小林−谷田部(東ガス)
−小柳津(N東京)−土肥
神戸製鋼

= 13

○谷中(小西)
      数得安点  
(8) 中尾   三振 四球   二ゴ     中本*   三振 4111
(D) 鈴木 三振 三振 左飛 中本* 二ゴ 5111
(5) 下原 三ゴ 右安 中本* 四球   3321
(2) 和田   三振 左2 四球 中2* 3121
(9) 杉本(広畑) 中本* 三ゴ 四球 右飛 3111
(7) 綾木 中安 中安* 遊ゴ / 右安 4331
(4) スコット 三振 中2** 三ゴ 右安 4122
(3) 今村(広畑) 左安* 左安* / 左飛 左安* 4133
(6) 塩崎(広畑) 左本** 投ゴ 三振 一邪 4112
  34131613

赤字は安打、  は得点、*は打点を示します。

5回裏、1番の中尾周作がソロホームランを打ってコールド点差になったとき、次の鈴木英之がヒットを打てば全員安打になることに気づいた。鈴木もソロアーチを続けて、得点を示すを書き入れながら、全員安打だけでなく全員得点でもあることに気づいた。

3番・下原孝雄の打席の間、私はスコアカードを見ながら、あることをチェックしていた。2回には5番・杉本拓也、8番・今村寿浩、9番・塩崎真に打点がついている。3回には6番・綾木進一と7番・スコットにも打点がついた。4回は3番・下原がホームランを打っている。

5回に1番・中尾と2番・鈴木が連続アーチだから、これで打点がないのは4番の和田一浩だけだ…ということが判明したとき、3番・下原は四球を選んで一塁に歩いた。2アウトだから、長打が出れば下原は本塁を突いてくるはずだ。

和田はボールが2つ続いたあとの3球目をセンター右後方に運んだ。点差も開いている。いまさら一塁走者の下原が自重する必要などない。下原は三塁を回った。無事にタイムリー二塁打となったので、和田にも打点が記録された。

全員打点の罠

これで、全員安打・全員得点・全員打点だ。しかし、油断はできない。たとえば「全員安打」は、選手交代があって、しかも守備固めで、その選手が打席に入る機会がないと、たちまちにして「先発全員安打」に格下げになるというやっかいな性格を備えている(だから、あまり騒ぐほどの価値はないと本当は思っている)。

あとは選手交代がないことを祈るだけだ。それにしても、全員安打や全員得点はよく聞くけれども、全員打点というのはかなり珍しいのではないか。そう思って隣のT氏が持っていたパンフの大会記録のページを開いてみた。全員安打は載っているが、全員得点や全員打点の項目はない。

記載がないのは、そもそも前例がないのかもしれないし、そんなことは調べていないということかもしれない。その後、7回コールドで何ごともなく試合は終わった。神鋼の選手交代はなかった。この試合は第3試合だった。第4試合はない。

立ち上がって帰り支度を始めようとした私に、公式記録員の「神戸製鋼は大会通算*回目の全員安打です」というのんきな放送が聞こえた。私は、「違うよ。全員安打、全員得点、全員打点だよ」と言い放った。別にそちらに顔を向けていたつもりはなかったけれども、ちょうど運悪く都市対抗特有の応援の喧噪は静まっていた。

私と彼との距離は2mとなかったのだ。驚いて顔を向ける姿が目の端に映った。私は気づいていないふりをして、そそくさと席を立った。申し訳ないと思っている。彼の責任でないことはよくわかっている。別に彼を責めたつもりはない。

翌日、主催新聞社のスポーツ面には「全員安打、全員得点、全員打点」という見出しが踊っていた。私が言わなければ、この見出しはなかったかもしれない。だとすれば、少しだけ紙面づくりに貢献したのだ。それに免じて許してやっておくれ。

なお、01年スポニチ大会決勝では先発全員安打・先発全員得点・先発全員打点が成立したらしい。詳しい中身は新聞だけではわからないが、コールド規定が適用されたなら「先発」はいらなかったのかもしれない(スポニチ大会の決勝では得点差によるコールドはない)。

惜しかった試合

全員打点は全員得点よりはるかに難しい。なぜなら、暴投や捕逸、盗塁、ボーク、併殺打、それにツーアウト後の失策のように、得点が入っても打点がつかないケースがあるからだ。つまり、打点は得点を上回ることは絶対にないわけだ。

それに、たとえば満塁ホームランの場合には、打者と3人の走者にそれぞれ得点1が記録されるが、打点はホームランを打った打者にまとめて「4」が与えられる。打点は得点のように分散せず、特定の選手に集中することになる。

たぶん上の試合以外には見たことがないと思うけれども、念のために調べてみた。全員打点である以上、少なくとも9点が必要だ。スコアブックをめっていく作業はスイスイ進む。手間はそれほどかからない。結局、先発全員打点さえ見つからなかった(9イニング硬式の試合)。いちばん惜しかったのは次の試合だ。

93/07/18(神宮) 高校選手権 東東京予選 2回戦
麻布高

= 1

早稲田実高

= 13

数得安点
(6)前* 右飛 中安 中安* 左飛 4121
(8)加* 右安 中安** 右安 右3 4242
(9)井* 右犠* 三振 四球 四球 1001
(3)杉* 捕邪 右飛 中安** 四球 3112
(7)岡* 中安 左安 左安* 4331
(1)小* 三振 中2* 四球 2111
(2)西* 左2* 左飛 左安* 3122
(5)村* 左安 四球 三ゴ 2210
(4)神* 二失 中安* 三振 3211
26131511

このように8番だけ打点がなかった。8番打者の第1打席(2回)は一死二塁でレフト前ヒットだったが、あいにく二塁走者は三塁で止まったので打点はつかなかった。第2打席(3回)は一死二塁のフルカウントからフォアボールだ。第3打席(3回)では二死一・二塁でサードゴロに倒れた。

早実は後攻だったので、5回コールドが成立して、8番打者に第4打席は回ってこなかった。安打と得点は3番打者を除いて全員が記録している。あと1人というところで、全員安打にも全員得点にも全員打点にもならなかった。

◇1人で全6打点

全員打点を探しているうちに、面白い試合を見つけた。

93/05/03(東京ドーム) セントラルリーグ G対C3回戦 18:00〜21:32

カープ

001 040 001 =6

佐々岡−小早川幸−○望月−S大野

ジャイアンツ

040 001 000 =5

宮本−橋本−●水野

当時カープの江藤智は3回に追撃のソロ、5回には逆転満塁弾を放ち、同点で迎えた9回には決勝タイムリーを打っている。チーム6点をたった1人だけで叩き出したことになる。

9回は一死一塁で打席に入った。初球空振りのとき、一塁走者の正田が二盗、2−1と追い込まれたあとの5球目がワイルドピッチで正田は三進した。江藤は7球目をライト前に運んだ。

1試合6打点はそれほど珍しくない(とくに金属バット時代の社会人)けれども、1人で全打点となると、私が見た中ではこれが最高だ。

1試合7打点以上の打者

これまでに私が見た試合で、7打点以上の打者は次のとおり10人いる(02年末現在、9イニング制硬式のみ)。

▼記録は私のジャッジによります。[02]の増津については、翌日付『毎日新聞』東京版に掲載されたボックススコアでは打点「7」でしたが、野選では打点がつくはずですので、私は「8」にしています。

No. 年月日
(球場)
種別・大会
打者
(打点)
所属 スコア 対戦相手 備考
[01] 91/05/28
(西武)
イースタン
垣内
(7)
ライオンズ 13○2 オリオンズ 1ウ1死2塁で単打(1打点)
2ウ2死2塁で2塁打(1打点)
4ウ1死2塁で本塁打(2打点)
5ウ1死1・3塁で本塁打(3打点)
[02] 94/06/01
(府中)
社会人都市対抗
 東京1次予選
増津
(8)
明治生命 19○2 熊球クラブ 1ウ2死2塁で本塁打(2打点)
3ウ2死3塁で本塁打(2打点)
5ウ1死3塁で内野ゴロ野選(1打点)
6ウ1死2・3塁で本塁打(3打点)
[03] 96/04/21
(日立)
社会人日立市長杯
小坂
(7)
松下電器 19○5 いすゞ自動車 1表無死満塁で単打(2打点)
4表1死1・2塁で本塁打(3打点)
5表1死2・3塁で2塁打(2打点)
[04] 96/08/05
(札幌)
社会人北海道大会
山田
(7)
三菱自動車川崎 23○7 NTT関西 4表1死1・3塁で2塁打(1打点)
8表2死1塁で本塁打(2打点)
9表1死満塁で本塁打(4打点)
[05] 97/04/16
(神宮)
セントラル
稲葉
(7)
スワローズ 14○8 ベイスターズ 2ウ1死1・3塁で単打(1打点)
3ウ2死満塁で本塁打(4打点)
5ウ1死1塁で本塁打(2打点)
[06] 97/05/11
(川崎)
首都大学リーグ2部
鈴木
(7)
玉川大 21○4 成城大 3表2死満塁で3塁打(3打点)
7表1死満塁で本塁打(4打点)
[07] 97/06/21
(山形県営)
社会人都市対抗
 東北2次予選
原野
(7)
JT 24○3 水沢駒形  
 野球倶楽部
1ウ無死3塁で2塁打(1打点)
3ウ無死1・2塁で本塁打(3打点)
3ウ1死満塁で2塁打(3打点)
[08] 00/08/01
(東京ド)
社会人都市対抗
西郷
(7)
三菱自動車川崎 20○6 住友金属鹿島 1表1死1・3塁で内野ゴロ(1打点)
4表1死満塁で本塁打(4打点)
6表2死満塁で単打(2打点)
[09] 01/07/22
(東京ド)
社会人都市対抗
井上
(7)
松下電器 14○6 三菱自動車水島 2表2死1・2塁で2塁打(2打点)
6表1死1塁で3塁打(1打点)
7表1死2・3塁で本塁打(3打点)
9表1死2塁で単打(1打点)
[10] 02/11/15
(神宮)
大学神宮大会
岡本
(7)
大阪体育大 14○12 中央学院大 3ウ1死2・3塁でスクイズ(2打点)
7ウ1死2・3塁で本塁打(3打点)
8ウ2死満塁で単打(2打点)

[07]の原野は1イニングで6打点だ。あいにく、大差がついた5回裏の一死満塁で代打を出されて試合から退いた。


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