2004年台風22号と2019年台風19号

◆2019年10月11日付「台風の上陸地MAP」と題していた投稿ページをアップデートします(前稿削除)。同日、気象庁は1958年の狩野川台風(伊豆半島だけで死者・行方不明者1000人超)との類似性を指摘した会見を行い警戒を呼びかけました。狩野川台風のデータが揃いませんでしたので、私は2004年台風22号と比較しました。

2004年台風22号

2004年台風22号は10月9日16時頃に伊豆半島に上陸、17時過ぎには三浦半島を通過して、18時過ぎに東京湾最深部の千葉市付近に再上陸、鹿島灘に抜けた台風です。人的被害と住戸被害は次のとおりです。

死者7名、行方不明者2名、負傷者170名
住家全壊136棟、半壊299棟、一部損壊5,081棟
床上浸水2,121棟、床下浸水6,189棟

2019年台風19号では信濃川や阿武隈川などが氾濫しました。10月12日の19時頃、伊豆半島に上陸した「東日本台風」です。被害は次のとおりでした。

死者105名、行方不明者3名、負傷者375名
住家全壊3,229棟、半壊28,107棟、一部損壊40,212棟
床上浸水7,524棟、床下浸水21,549棟

両者の進路や速度はほぼ同一です。赤が2004年台風22号、青が2019年東日本台風の3時間ごとの位置になります。

2つの台風の進路(地理院タイルを加工)

コースとしては、青の東日本台風のほうが内陸をえぐっており東京都心が右半円に入りました。決定的な違いはその規模です。

広い暴風域を保ったまま上陸

中心気圧と暴風域(単位はキロ)は次のとおりです。上陸は2004年22号が16時、2019年19号が19時です。上陸1時間前の中心気圧は950hPaと955hPaですので、2019年のほうが弱かったわけです。ところが、暴風域半径は3~4倍です。

2004-222019-19
日時気圧暴風域日時気圧暴風域
7日3時965hPa9010日3時915hPa240
8日0時925hPa15011日3時925hPa370-280
9日0時930hPa130-11012日3時935hPa370-280
9日3時935hPa130-11012日6時935hPa370-280
9日6時940hPa110-9012日9時945hPa370-280
9日9時945hPa110-7012時12時945hPa370-280
9日12時950hPa110-7012日15時945hPa330-260
9日15時950hPa110-6012日18時955hPa330-260
9日18時980hPa90-4012日21時960hPa330-260
9日21時985hPa70-4013日0時970hPa260
▲中心気圧と暴風域

私は次のように記述していました。

11日21:50発表の暴風域は東側370kmで西側280kmです。上陸時には250-200kmぐらいに狭まるのでしょうが、それでも2004年台風22号の倍です。面積では4倍になります。

もう1つの懸念は大潮と重なっていることです。幸いにも満潮には重なりませんが、23区東部で浸水被害が発生すると100万人規模の孤立が発生する可能性があります。もちろん、この全員を収容する施設などありません。

勢力こそ接近に伴って多少は弱まりましたが、暴風域は維持したままです。午後9時は多摩川を通過した時刻ですが、西に260キロなら名古屋まで暴風域内に入っています。

氾濫危険水位超過河川と土砂災害

2004年台風22号では危険水位を超えた河川は狩野川と利根川水系中川の2つでしたが、2019年東日本台風では40河川で氾濫危険水位を超過しました(相模川水系や鶴見川水系は警戒水位)。堤防決壊は140か所です。

水系河川
鳴瀬川鳴瀬川、吉田川、竹林川、善川
阿武隈川阿武隈川、荒川、釈迦堂川
久慈川久慈川、里川
那珂川那珂川、涸沼川、桜川、藤井川
利根川利根川、鬼怒川、中川、綾瀬川、思川、烏川、碓氷川、秋山川、矢場川
荒川荒川、入間川、小畦川、都幾川、高麗川
多摩川多摩川、浅川、大栗川
狩野川狩野川、黄瀬川
菊川菊川、牛渕川
関川関川
信濃川信濃川、千曲川、魚野川
阿賀野川阿賀野川
最上川最上川
▲2019年東日本台風で氾濫危険水位を超えた河川

土砂災害は、2004年台風22号では11都県83か所でしたが、2019年東日本台風では20都県953か所に及んでいます。

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