メキシコの新型コロナ用「警戒信号」

小池都知事は5月15日の金曜日定例会見で「東京ロードマップ」を公表しました。その際、読売の記者からの質問に「もう50まで行っちゃったときは逆戻りコースで、東京アラートがキンコンカンと鳴りますよ」と答えていたのでした。

東京キンコンカンは6月12日の解除とともに鳴らないことになってしまいましたが、メキシコが次のような「警戒信号」を発表したのは、今も生きているのかどうかよくわからない「東京ロードマップ」より少し早い5月13日でした。

オレンジ
経済活動OKOK制限不可欠のみ
屋内の公共施設OK制限NGNG
屋外の公共施設OKOK制限NG
高齢者一定の配慮相応の配慮厳格な配慮NG
教育機関OKNGNGNG
▲メキシコの「社会・経済活動警戒信号」

より具体的な内容は在メキシコ日本国大使館WebサイトのPDF「信号情報 色別の活動再開例」に示されています。州単位で週ごとに更新されるものです。メキシコは31州あり、メキシコ市は州と同格のようです。主たる指標としては病床使用率が使われています。きわめて現実的な選択です。

東京アラートは次の7項目を指標としていました。新規感染者が増えても(医療体制にはまだ余裕があるから)「自衛」!でお願いしますと言うのなら、最初から4と5を重視する設定にすればよかっただけのことです。

  1. 新規陽性者数
  2. 新規陽性者における接触不明率
  3. 週単位の陽性者増加比
  4. 重症患者数
  5. 入院患者数
  6. PCR検査の陽性者率
  7. 受診相談窓口における相談件数

メキシコの信号は6月1日スタートです。全32州(メキシコ市含む)のうち31州が「赤」から始まり、6月5日には32州が「赤」、6月12日には半数の16州が「オレンジ」に、6月19日には17州が「オレンジ」となりました。

メキシコ等の新規感染者数の推移

累積感染者数12~15位の4か国について、1週間ごとの新規感染者数をグラフ化しました。メキシコ全体としては依然として右肩上がりを維持しており、けっしてピークを過ぎたわけではありませんが、ピークアウトしている州もあるのかもしれません。

メキシコでは2月末にイタリアからの帰国者が初症例として確認され、3月14日に3月23日からの学校の休校を発表しました。国としての経済活動の制限は3月23日に始まり、3月30日に緊急事態宣言を発出しています。

感染者死亡者回復者致死率人口比
カナダ103,7678,51266,1368.2%2.275
アメリカ2,348,956121,279647,5485.2%3.686
メキシコ191,41023,377143,64612.2%1.832
グアテマラ14,5405822,8974.0%0.331
▲北中米4か国の感染者数等(6/24)

表の致死率は「死亡者/感染者」で求めています。メキシコの場合、際立って高い致死率が憂慮されるところです。おそらく陽性率も高いのだろうと思われます。ピークアウト前ですので、まだ上がっていく可能性が高いわけです。

メキシコの人口は日本より少しだけ多い1億2800万人です。表の人口比は人口1万人当たりの死亡者数ですが、拡大局面から脱していないため、1か月後はアメリカ並みになっているかもしれません。1か月前は0.5人台でした。

鉄条網の手前がアメリカ側で緩衝地帯の先の茶色の塀の向こう側がメキシコになります。2019年5月撮影のストビューを埋め込みました

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