田中会長が示した19例
11月7日の会見の質疑応答で、朝日新聞記者の質問に対して田中会長は次のように教団に対する人権侵害の実例を列挙しました。
(1)メディアで報道された写真の中に写っていたために会社を辞めさせられた
(2)教団関連の韓国の大学を出た学生が内定を取り消された
(3)社会科の授業で教師が家庭連合の批判をしたため、子供がストレスを溜めて学校に行けなくなった
(4)家庭連合を誹謗する結論になるようなテスト問題が出た
(5)メディアの報道によって過度のストレスを受けた青年が自殺未遂をし、自殺者も出た
(6)夫から教会を辞めるか離婚するか迫られて、実際に離婚した
(7)所持品を親族から処分された
(8)家庭連合職員が住んでいたマンションの契約を打ち切られて、新しい住居も探せず困惑している
(9)病院で保険証に家庭連合と書かれているのを見られて受診を断られた
(10)現場の教会や信徒が経営する企業が不動産契約を断られた
(11)公共施設の使用を断られた
(12)銀行取引が止められた
(13)式典で使う生花や仕出し弁当を断られた
(14)有名ブランドの自動車会社が教団への販売禁止を通達している
(15)教会施設に落書きされた
(16)礼拝時間に街宣車で妨害される
(17)嫌がらせ・脅迫電話、殺人予告が2万件
(18)刃物や不審物を送られた
(19)花壇づくり運動を行政から打ち切られて、植えた花を持って帰れと言われた
東京新聞では(17)と(18)をワンセットにして計18個とカウントしています。
【外部リンク】
■東京新聞>「信者は2級市民のような扱い」 旧統一教会の田中会長、18個の「被害」とうとうと 1年ぶり会見 2023年11月7日
このうち赤字で示した5例は、「信者の人権を守る二世の会」Webサイトにも掲げられている被害事例です。
漠然とした話だけで語る順序もおかしい
(1)の報道写真に映り込んでいたから会社を辞めさせられたというケースは、もう辞めたわけですから会社名を出してもさほど問題はなかろうと思われます。一方的な言い分ではなく、辞めさせた側の言い分も聞きたいと誰しもが思うはずです。
本当にそれが理由なのか、思い込みではないのか(あるいは創作ではないのか、写真を撮らせない抑止効果を期待していないか)という疑問は当然に生じます。優秀な顧問弁護士を抱えているのですから、勝ち目の薄い裁判を提起するより、こういう場面で活用したほうがいいのではないかと思われます。
(2)は鮮文大の卒業生かと思われます。内定を取り消すときに「◯◯大だから」と露骨には言わないものです。業績悪化などの無難な理由でお引取り願うのが普通です。
「いつ」「どこで」など具体的な要素は語られないので、信憑性に欠ける話としか受け取れないわけです。その点、(13)の生花や仕出し弁当はやけにリアルです。
(14)は初耳でしたが、企業としてのリスク管理上あり得る反応です。私はコカ・コーラ社が事件前からこの姿勢を取っていたのではないかと疑っていました。暴力団事務所に設置された自販機がコカ・コーラ→他社→撤去と変遷した事例を知っているからです。考え過ぎでしたけど…。
(5)に関して、田中会長は「メディアの報道によって過度のストレスを受けた青年が自殺未遂をし、また自殺者も出ました」と語っています。既遂より未遂が先なのは順序としておかしいだろうと思わなくもありません。その重大性に鑑みて5番目に語ることではなく、真っ先に強調してこその会長職というものです。
自殺未遂と自殺の事例
田中会長が言う自殺未遂は去年8月のようです。
8月21日に当法人より【異常な過熱報道に対する注意喚起】と題したリリースを配信したばかりでしたが、ついに当法人信徒(20代後半・女性)による自殺未遂事件が起こってしまいました。
世界平和統一家庭連合>異常な過熱報道に対する注意喚起(2)2022.08.25
このような事態は、特定の報道機関による過激な偏向報道が原因であるとみられ、被害者家族および親族は困惑し、極めて深刻な状況です。
8/21プレスリリースの直後に「ほ~ら、言わんこっちゃない」とばかりに自殺未遂事件が起きたようです。「過激な偏向報道が原因」と決めつける根拠は示されていません。
自殺の事例は、今年7月30日に開かれた「二世の会」による「国民7割が願う『解散請求』について」と題する公開シンポジウムで語られています。
私の中で衝撃的だった一通がありまして、そこに私たちと同じぐらいの世代のお母さん世代の方からメールがあって、長文だったんですけども、実はこの元々悩み易い娘が、私たちと同じ世代の娘がいまして、テレビを見ながら泣いてたんですと、その次の日に自殺してしまいましたというメールだったんですよね。私の娘は君たちみたいに強く雄々しく生きられなかったですけど、無念にも亡くなってしまったけど、同世代なので娘の代わりに強く頑張ってほしいと、そういうメールが届いて
信者の人権を守る二世の会>【全文】第3回シンポジウム_ディスカッション① 3ページの赤字部分
このメールに返信したのかorしなかったのかなどは語られていません。これ以上の情報がありません。鈴木エイト氏は「差別の現状をしっかり語ってほしい」と質問し、これに対して発言した小嶌氏は「実際被害にあった方に聞いてみると、いろいろ詳細を出したくない声もあった」と答えています。
自殺未遂や自殺の事例が実際にあったのだとしても、その原因は簡単に決めつけていいものではないと思われます。
自殺は単一の要因または単一の出来事から生じた結果ではない。人を自殺へ追い込む要因は多様かつ複雑であることが多く、単純化して報道すべきではない。
厚生労働省>自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識>自殺に関する迷信(myth)と事実(fact)
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