OECD加盟38か国のコロナ死亡率
小池知事が発言していた「(コロナ死が)世界で2番目に低い」の分母はどうやらOECDのようです。下表は2023年3月時点のOECD加盟38か国の数値です。
第4列:「致死率」(死亡者数/感染者数)
第5列:「人口比」(人口1万人当たりの死亡者数)
第6列:「感染率」(感染者数/人口、単位は%)
国・地域 | 累積感染者 | 累積死亡者 | 致死率 | 人口比 | 感染率 |
ニュージーランド | 2,236,114 | 2,550 | 0.114% | 5.29 | 46.37 |
日本 | 33,329,551 | 73,046 | 0.219% | 5.78 | 26.35 |
韓国 | 30,615,522 | 34,093 | 0.111% | 6.65 | 59.72 |
オーストラリア | 11,401,996 | 19,578 | 0.172% | 7.68 | 44.71 |
アイスランド | 209,137 | 263 | 0.126% | 7.71 | 61.33 |
ノルウェー | 1,479,506 | 5,213 | 0.352% | 9.62 | 27.29 |
トルコ | 17,042,722 | 101,492 | 0.596% | 12.03 | 20.21 |
カナダ | 4,617,095 | 51,720 | 1.120% | 13.70 | 12.23 |
オランダ | 8,712,835 | 23,707 | 0.272% | 13.84 | 50.85 |
イスラエル | 4,804,188 | 12,329 | 0.257% | 14.24 | 55.50 |
デンマーク | 3,451,036 | 8,345 | 0.242% | 14.41 | 59.58 |
フィンランド | 1,463,644 | 8,967 | 0.613% | 16.18 | 26.41 |
スイス | 4,413,911 | 14,210 | 0.322% | 16.42 | 51.00 |
アイルランド | 1,704,502 | 8,708 | 0.511% | 17.63 | 34.52 |
コスタリカ | 1,209,725 | 9,245 | 0.764% | 18.15 | 23.75 |
ルクセンブルク | 317,367 | 1,220 | 0.384% | 19.49 | 50.70 |
ドイツ | 38,249,060 | 168,935 | 0.442% | 20.16 | 45.65 |
エストニア | 615,433 | 2,946 | 0.479% | 22.20 | 46.38 |
スウェーデン | 2,699,339 | 23,777 | 0.881% | 23.54 | 26.73 |
オーストリア | 5,961,143 | 21,970 | 0.369% | 24.39 | 66.19 |
フランス | 39,866,718 | 166,176 | 0.417% | 25.46 | 61.08 |
スペイン | 13,770,429 | 119,479 | 0.868% | 25.55 | 29.45 |
ポルトガル | 5,570,473 | 26,266 | 0.472% | 25.76 | 54.63 |
メキシコ | 7,483,444 | 333,188 | 4.452% | 25.84 | 5.80 |
コロンビア | 6,359,093 | 142,339 | 2.238% | 27.97 | 12.50 |
ベルギー | 4,739,365 | 33,814 | 0.713% | 29.18 | 40.89 |
イタリア | 25,603,510 | 188,322 | 0.736% | 31.15 | 42.35 |
ポーランド | 6,448,577 | 119,016 | 1.846% | 31.45 | 17.04 |
イギリス | 24,658,705 | 220,721 | 0.895% | 32.51 | 36.32 |
ラトビア | 976,267 | 6,269 | 0.642% | 33.24 | 51.76 |
ギリシャ | 5,548,487 | 34,779 | 0.627% | 33.37 | 53.23 |
チリ | 5,192,286 | 64,273 | 1.238% | 33.62 | 27.16 |
アメリカ | 103,804,263 | 1,123,836 | 1.083% | 33.95 | 31.36 |
スロベニア | 1,332,121 | 7,078 | 0.531% | 34.05 | 64.08 |
リトアニア | 1,308,131 | 9,598 | 0.734% | 35.26 | 48.06 |
スロバキア | 2,667,782 | 21,036 | 0.789% | 38.53 | 48.86 |
チェコ | 4,619,204 | 42,497 | 0.920% | 39.68 | 43.13 |
ハンガリー | 2,196,804 | 48,762 | 2.220% | 50.48 | 22.74 |
日本5.78、エジプトは2.42
コロナ死亡者数は大陸によって極端な差があります。
OECDはヨーロッパ27か国(トルコを含む)、アメリカ大陸6か国、アジア3か国(イスラエルを含む)、オセアニア2か国という偏った構成です。分母をOECDに求めて「世界で2番目に低い」と主張するロジックにはまったく同意できません。
日本より少ない国は少なくとも20か国以上あります。日本の人口当たりのコロナ死亡者数は、小池氏に縁もゆかりもあるエジプトの倍以上です。
国・地域 | 累積感染者 | 死亡者 | 致死率 | 人口比 | 感染率 |
タンザニア | 42,906 | 846 | 1.972% | 0.14 | 0.07 |
ウズベキスタン | 251,247 | 1,637 | 0.652% | 0.49 | 0.75 |
中国 | 4,903,524 | 101,056 | 2.061% | 0.70 | 0.34 |
パキスタン | 1,577,411 | 30,644 | 1.943% | 1.39 | 0.71 |
サモア | 16,607 | 29 | 0.175% | 1.46 | 8.39 |
バングラデシュ | 2,037,871 | 29,445 | 1.445% | 1.79 | 1.24 |
アフガニスタン | 209,484 | 7,896 | 3.769% | 2.03 | 0.54 |
ザンビア | 343,135 | 4,057 | 1.182% | 2.21 | 1.87 |
アラブ首長国連邦 | 1,053,213 | 2,349 | 0.223% | 2.38 | 10.65 |
カタール | 495,090 | 688 | 0.139% | 2.39 | 17.18 |
エジプト | 515,759 | 24,812 | 4.811% | 2.42 | 0.50 |
サウジアラビア | 830,127 | 9,618 | 1.159% | 2.76 | 2.38 |
シンガポール | 2,235,294 | 1722 | 0.077% | 2.94 | 38.21 |
ミャンマー | 633,950 | 19,490 | 3.074% | 3.58 | 1.17 |
ジンバブエ | 264,276 | 5,671 | 2.146% | 3.82 | 1.78 |
インド | 44,690,738 | 530,779 | 1.188% | 3.85 | 3.24 |
ネパール | 1,001,154 | 12,020 | 1.201% | 4.13 | 3.44 |
ベトナム | 11,526,994 | 43,186 | 0.375% | 4.44 | 11.84 |
タイ | 4,728,182 | 33,918 | 0.717% | 4.86 | 6.77 |
ブルネイ | 279,661 | 225 | 0.080% | 5.15 | 64.00 |
これらの国の数値をすべて信用できるのかという問題はあります。北朝鮮はコロナ死6人ですし、トルクメニスタンは感染者ゼロです。エジプトが信頼できる国なのかどうかの判断は、それこそさまざまにありそうです。
菅義偉前首相が「OECDで2位」を語るならまだ許せますが、都道府県別で26位だった東京都の知事が「世界で2番目に低い」を誇らしげに繰り返すのは滑稽ですらあります。
3件の刑事告発
蓮舫氏が出馬表明で掲げた「反自民党政権・非小池都政」を聞いたとき、私は逆(反小池・非自民)ではないかと思ったものです。自民票にも一定程度は食い込まないと勝てない選挙で「反自民」を声高に掲げるのは、自民票は要らないと言っていることと同じです。
2022年参院選では共産党の山添拓氏が68万票、蓮舫氏は67万票でした(ほかに立民2人目の候補者が37万票)。今回の蓮舫氏は128万票ですので、2年前の票すら固められていません。
私は1999年の都知事選で不本意ながら鳩山邦夫氏に投票しました。3位以下の候補者に投票しても仕方がないという判断です。これと同じような投票行動は今回も一定数は起きていたに違いありません。
さて、当選した小池氏は、少なくとも3件の刑事告発を抱えています。
【1】学歴詐称(虚偽公表)
【2】市区町村長による出馬要請(公務員の地位利用)
【3】定例会見での選挙運動(公務員の地位利用)
現職首長が再選を目指す場合、公私混同にならないように職務代行者を立てるのが通常のパターンです。「公務優先」の小池氏は公務に組み入れた視察に記者を引き連れることで、現職以外の候補者にはできない選挙運動めいたものを続けました。
定例会見も続けていました。
【知事】フジさん。あ、違うの、手上げていない。じゃあテレ朝さんどうぞ。
東京都>記者会見(令和6年6月28日)
【記者】テレビ朝日です。島田です。先ほど知事、今、街宣車で昨日回られた手応えがあったということですけれども、昨日ゲリラ的に回られて、どういった手応え。
【知事】ゲリラじゃないですけど、正当の選挙戦だと思います。
【記者】どのような手応えがあったのか、どういった方が手を振り返してくれたのか、また、知事の公約の部分を訴えかけて、どういったところ、集中的に街宣車で訴えたいか、そういったところあれば教えてください。
【知事】この間ですね、昨日で申し上げると、各地、区部を回らせていただきました。いや、とても反応は良かったことを実感いたしました。新橋の仕事を終えたビジネスマンに向かっても訴えて、クールビズなどはまさに楽で、実感していただいているのかなと言ったら、「そうだ」という声が返ってきたり。あとそうですね、やはり子育て中の方々については、非常に子育てと教育でお金がかからない東京というのは非常に伝わっているなということを感じました。
吉村知事は2か月会見せず
このやりとりが新橋の街頭で行われていたら単なる選挙活動の取材ですが、これは都庁の定例会見です。定例会見は公務であり、会見場所も都庁であり、ライブでないにしても都の費用で動画として配信されます(ミヤネ屋やゴゴスマで生中継されることはよくあります)。
公選法の考え方の根底にあるのは公平性です。知事会見は現職以外の候補者はできません。去年の大阪府知事選の投開票は4月9日でした。現職の吉村知事が再選されましたが、吉村氏の定例会見は2月15日のあとが当選後の4月10日です。この節度が小池氏にはありません。
選挙期間中の定例会見はしないのが一般的なのです。公務を語るだけならいいとしても、選挙を語るのはアウトです。あの島田記者はそのことを知らなかったのでしょう。
普通は都の事務方が止めるはずですが、暴走する構造になってしまっているものと思われます。仮にこの3件の刑事告発を小池氏が華麗に切り抜けたとしても、次の都知事選は4年後より早いのかもしれません。
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