斎藤知事の残り任期は1年
内部告発者の自殺と副知事の辞任ですっかり追い込まれた感のある斎藤元彦・兵庫県知事の残り任期は約1年です。前回知事選は2021年7月18日が投開票でした。
斎藤知事には維新のイメージがありますが、自民党本部と維新の推薦で当選しています。選挙では当時現職大臣だった西村康稔氏や高市早苗氏が応援に入っています。分裂選挙だった自民会派は今では一本化されており、公明党も実質与党です。

百条委員会の設置は自民と県民連合(立憲系)が共同提案して、維新と公明が反対しました。維新は所属議員や首長の不祥事対応が素早く党へのダメージを最小限に抑えてきましたが、斎藤知事は党員ではありません。維新本部には直接的に鈴をつける権限がありません。
今回の件は3月から始まっています。
3/中 | 西播磨県民局長の告発文が各所に送付される |
3/27 | 知事が「嘘八百」「公務員として失格」と告発内容を否定 |
5/07 | 内部告発は知事への誹謗中傷だとして局長が停職3か月 |
5/中 | 別の職員も知事のパワハラを告発 |
6/13 | 県議会が百条委員会を設置 |
7/07 | 告発者が自殺 |
7/10 | 県職員労組が事実上の知事辞職を要求 |
7/12 | 副知事が辞職会見 |
不自然な副知事辞任
いったんは完全否定で告発者の懲戒処分まで出たものの、急に雲行きが怪しくなり、一部は事実だと言われ始めます。ということは、最初の内部調査が不十分だったわけです。知事は告発された当事者ですから、内部調査の責任者は外形的には副知事です。
第三者委員会ではなく内部調査だったことについて、副知事にも相応の責任があるはずです。自民党会派が百条委員会設置に動いたとき、副知事は自身の辞職と引き換えに百条委員会設置を見送るように働きかけています。
7月末で退職すると会見した副知事はただ単に職務を放り出しただけのようにも見えてしまいます。副知事は知事個人の初期対応に疑問を呈し「嘘八百」は県の調査報告にないとしていますが、内部調査にしたこと自体が判断ミスかもしれないわけです。副知事は人事課長経験者です。

話の優先順位としては「疑惑解明>知事の進退」です。何があったのかなかったのか、もはや百条委員会に任せればよく、ここで知事が辞任したら選挙に切り替えられて話がウヤムヤになるだけです。
ウヤムヤにさせたいからこそ、知事の辞職を求めているようにしか見えません。あまり報道されていませんが、告発文書には副知事の名前も複数回出てきます。ただ、この告発文書は前知事陣営サイドに寄っているように読むこともできます。
【2024/07/18追記】告発文書に記載されているのは次の7項目です。
(1)五百旗頭真先生ご逝去に至る経緯
(2)知事選挙に際しての違法行為
(3)選挙投票依頼行脚
(4)贈答品の山
(5)政治資金パーティ関係
(6)優勝パレードの陰で
(7)パワーハラスメント
このうち、現時点で事実であろうとされているのは、(7)20m歩かされて激怒した、(4)倉庫にあった6万円の高級コーヒーメーカーを返却した、(4)ワインを欲しがっているように解釈できる音声データがある、という程度です。
私には、より肝心な(2)(3)(5)(6)を隠したい勢力が総力を挙げて辞めさせようとしている構図にしか見えません。知事に辞めてほしいだけなら、粛々と不信任やリコールの手続きを踏めばいいだけのことです。
さいとう元彦後援会の収支報告書
知事選があった2021年の「さいとう元彦後援会」の収支報告書要旨です。

自民党「兵庫県明石市第一支部」から200万の借入があります。で、「兵庫県明石市第一支部」の要旨には「兵庫県第九選挙区支部」からの200万の借入があります。

兵庫9区と言えば党員資格停止中の西村康稔氏の選挙区です。一種の迂回融資かもしれません。
「さいとう元彦後援会」への個人寄付です。

谷公一氏は兵庫5区、盛山正仁氏は兵庫1区、松本剛明氏は兵庫11区選出の大臣経験者です。杉本達治氏は福井県知事です。
西村氏から総額1000万?
政治団体からの寄付は自民党が圧倒的です。明石市第一支部から300万、兵庫県第九選挙区支部から500万ありますので、先の借入200万を足すと西村氏関係から1000万になります。維新からは約300万に過ぎません。維新イメージとは裏腹に資金的には自民依存です。

西村氏は兵庫9区で7連勝中です(泉房穂氏は兵庫2区で復活1回)。維新は次期衆院選に対立候補の擁立を決めています。
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