最大17人立候補可能な自民党総裁選、確実に出る林官房長官

計算上は最大17人

自民党総裁選の選挙管理委員会は11名で構成されています。367人から11を引くと356人です。これを21で割ると16.95になりますので、最大で16人まで立候補可能です。今のところ名前が出ているのは次の12人です。12人全員出られる可能性もないわけではありません。

麻生(8/18)
○林芳正(岸田派)
△上川陽子(岸田派)
○茂木敏充(茂木派)
河野太郎(麻生派)
小林鷹之(二階派)
齋藤健
△高市早苗
△野田聖子
青山繁晴
小泉進次郎
石破茂
△加藤勝信(茂木派)

▲総裁選出馬?

草刈り場にされたくない岸田派から林官房長官が出るのはまったく当然です。「解散」時に46人いたわけですから2人出せます。上川外相は高市氏や野田氏が出られないときのために女性候補も出しておこうという麻生氏の戦略なのか、本人の勘違いなのかまだ判断できかねます。

茂木派には2人出せる勢力はありません。加藤氏が出馬の意向を示したのは、茂木派を削るための菅氏の思惑なのでしょう。二階派の有力後継者だった武田良太氏は裏金議員として1回休みです。二階派全体を小林氏に持っていかれては困ります。

武田氏としては今回は加藤氏を担いで勢力を維持したいのでしょう。菅氏としては1位と2位を独占すれば決選投票になってもジタバタせずに済みます。石破氏は20人揃えられないかもしれません。加藤氏を3人目の候補にして非小泉の安倍派にも食い込みたいはずです。

一方、茂木氏は麻生派の支援が得られなくなったことで2位以内の展望が開けません。不出馬はダメージが大きく、決選投票で貸しをつくる戦略転換を迫られることになります。

麻生派は名実ともにまだ存続しています。麻生氏が河野氏の出馬を容認したのは、不利な情勢を多数擁立作戦で乗り切ろうということなのだと思われます。もし必要になれば他陣営に推薦人を回すことになるはずです。

こうなると辛いのは小泉氏以外の無派閥5人です。武田氏が加藤氏を担ぐ以上、石破氏には乗らないことを意味します。齋藤経産大臣が出るなら元石破派メンバーが戻ることもないでしょう。今まさに必死の攻防があちこちで繰り広げられているに違いありません。

旧・統一教会(統一協会)とは薄い接点

林芳正官房長官は1995年参議院山口選挙区で初当選、前回2021年総選挙で衆議院山口3区に転じました。高祖父の林平四郎氏が衆議院2期のあと貴族院議員、曽祖父を飛ばして祖父の林佳介氏が翼賛選挙で当選1回、先代の林義郎氏は衆議院当選11回です。

区割り変更に伴い、次回は新しい山口3区からの出馬予定です。安倍氏の選挙区だった旧4区の下関市が加わり、宇部市が外れることになります。

山口県の区割り変更
山口県>区割り変更地図

下関には参議院時代からの事務所があります。新下関ですが、参議院ならそのほうが便利だったのでしょう。

下関
下関(地理院タイルを加工)

下関家庭教会は下関ICに近い3階建てです。建物の規模感からして山口県の本部教会ではないはずです。

先代の林義郎氏は勝共推進議員ではありません。林官房長官も自民党点検では氏名公表されていません。報道されている接点は次の3点です。
(1)側近の古参県議が「日韓トンネル推進山口県民会議」の会長だったこと
(2)世界日報の取材を受けていたこと
(3)総選挙前の2021年9月に宇部市の事務所で世界平和連合の魚谷事務総長らと面会して推薦確認所の提示を受けたこと(署名せず、仲介は宇部市長)

この宇部市の事務所というのが結構な敷地です。林氏の母親は宇部興産の創業者直系ということです。選挙区外となった今では引き払っているはずですが…。

宇部事務所

3年で2.1億の政治資金パーティー

資金管理団体「林芳正を支える会」が2020年から2022年の3年間に開いた政治資金パーティーは22回です。東京だけではありません。

2020/01/281 都市センターホテル12,520,000308
2020/03/022 グランドハイアット福岡910,000
2020/07/213 ホテルニューオータニ14,170,000370
2020/09/084 ホテルニューオータニ23,400,000499
2020/09/235 仙台ターミナルビル1,160,000
2020/10/126 福山ニューキャッスルホテル979,450
2020/10/197 ザ・リッツ・カールトン大阪1,960,000
2020/11/138 ホテルニューオータニ13,320,000327
2021/03/08グランドハイアット福岡490,000
2021/04/09ホテルニューオータニ2,580,00062
2021/03/081 グランドハイアット福岡580,000
2021/04/092 ホテルニューオータニ14,400,000278
2021/07/053 ザ・リッツ・カールトン大阪1,979,450
2021/07/194 福山ニューキャッスルホテル1,039,450
2021/10/085 ホテルニューオータニ16,280,000366
2021/12/206 ホテルニューオータニ20,899,230454
2021/12/20ホテルニューオータニ1,180,00018
2022/03/311 ホテルニューオータニ18,480,000378
2022/04/252 ホテルニューオータニ20,910,000476
2022/07/143 ホテルニューオータニ18,680,000394
2022/08/244 福山ニューキャッスルホテル1,000,000
2022/09/125 グランドハイアット福岡1,060,000
2022/10/056 ホテルニューオータニ17,080,000375
2022/12/267 ザ・リッツ・カールトン大阪2,300,000
2023/01/188 ホテルニューオータニ5,170,000139
▲林氏の政治資金パーティー

パーティー収入総額は約2億1000万です。総裁候補ならこんなもので、この資金力があれば推薦人が揃うかどうかという心配は不要でしょう。

3年間の人件費総額が1.8億円

「林芳正を支える会」の収支報告です。

支える会2020年2021年2022年
当年の収入額75,599,549172,378,89596,580,227
 パーティー収入等65,990,00055,178,13085,860,000
 党費294,000294,0000
支出総額85,056,339125,091,62390,140,744
 人件費503,41622,822,5881,590,612
 光熱水費0268,1030
 備品消耗品費833,5473,022,2222,188,547
 事務所費1,352,0834,999,6781,274,111
 組織活動費13,992,38813,307,06218,966,892
 選挙関係費013,000,0000
 機関紙等発行事業費13,710,52811,662,47316,104,440
 調査研究費1,306,355986,588664,742
 寄付・交付金53,010,00054,040,00049,034,500
 その他348,022982,909316,900
「林芳正を支える会」収支報告書(令和4年分)ほか

意外ではありませんが、古賀誠氏の団体からの寄付もあります。

古賀誠筑後誠山会
「林芳正を支える会」収支報告書(令和2年分)

2020年と2021年の「自由民主党山口県参議院選挙区第二支部」、2021年と2022年の「自由民主党山口県第三選挙区支部」の収支報告です。2021年は合算しました。

参2/第3支部2020年2021年2022年
当年の収入額82,978,764126,492,10077,122,996
 パーティー収入000
 党費1,087,450959,6501,056,100
支出総額85,040,231128,271,42073,300,498
 人件費60,818,71641,839,48449,833,843
 光熱水費303,631334,338453,686
 備品消耗品費5,802,1164,362,1674,768,465
 事務所費7,928,7777,549,3489,236,749
 組織活動費4,457,4713,114,1053,090,307
 選挙関係費000
 機関紙等発行事業費1,139,050158,3702,270,007
 調査研究費84,2006,40027,326
 寄付・交付金4,500,00070,893,7783,500,000
 その他6,27013,430120,115
「自由民主党山口県第三選挙区支部」収支報告書(令和4年分)ほか

資金管理団体から支部に3年間で1億5200万の移動があります。これを差し引いてグラフ化しました。

林芳正氏の政治資金支出内訳

3年間の人件費総額は約1億7700万ですので、10人以上の私設秘書を抱えているはずです。地元事務所は下関、山陽小野田、長門、萩の4か所です。

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