震度3がない「不動」の礼文島、海水浴場もなかった

デジタル表示の地震計では震度は小数点1位まで表示され、震度0.5以上1.5未満が「震度1」になります。2011年の東日本大震災では、震源から遠く離れた父島、舳倉島、隠岐の島、壱岐でも震度1でした。赤マーカーが震度1、青マーカーは震度0です。

対馬、五島、種子島などとともに震度1に達しなかったのが礼文島（れぶん-とう）です。お隣の利尻島は震度2でした。2018年にブラックアウトを引き起こした胆振東部地震でも、利尻は震度2で礼文は震度0でした。気象庁データベース上で礼文町の震度3はありません。

昨日（8/10）12時29分頃、サハリン東方沖のオホーツク海南部で起きたM6.8の地震は函館や盛岡で震度3を観測しましたが、利尻では震度0です。震源の深さが490キロという異常震域とはいえ、礼文の「不動」ぶりは今回も実証されました。

さて、もし礼文島に海水浴場があれば日本最北かもしれないと思って調べてみました。砂浜がないわけではありませんが、さすがに海水浴場は設置されていませんでした。

日本最北の海水浴場は稚内市の「坂の下海水浴場」のようです。

礼文町の人口は今年4月末で2235人です。夏になると人口は若干増えます。1996年に4000人を切り、2011年に3000人を割りました。2000人を下回るのは5年後ぐらいというペースです。

1978年に開港した礼文空港は2003年に定期便運行を休止しました。「幌泊」の観測所名だった空港内の航空気象観測所も2009年に廃止されています。島へのアクセスは稚内か利尻からの航路に限られます。

雨量観測のみだった「礼文上泊崎」は2014年に廃止されています。「船泊」のアメダスは2003年に「礼文」へ移転しました。アメダス礼文は町役場から水平距離300ｍほどの富士見ヶ丘スキー場脇にあります。この場合の「富士」とは利尻富士に決まっています。

ストビュー画像の中央に風速計のプロペラがぼんやり見えます。標高は65ｍとされています。礼文で30℃を超えることはないわけではありません。

▲礼文島の最高気温

アメダス礼文の今年の最高気温は8月8日の28.1℃、昨日（8/10）は19.3℃です。19℃で泳ごうとは誰も思わないでしょうし、28℃でもまだ気分にはなれません。海水浴場の需要はかなり少ないものと思われます。

年平均気温は次のように推移しています。去年初めて8℃台に達しました。

7月末時点で、今年の平均気温は5.2℃です。2023年は5.8℃、2021年は5.9℃でしたので、2年連続の8℃台はとても無理というペースです。

夏日の最多は2021年の23日、今年は8月10日時点で5日です。真夏日は2回観測されています。

熱帯夜や猛暑日はありません。日最低気温がもっとも高かったのは2023年8月23日の24.1℃です。

冬日と真冬日は次のとおりです。統計期間が20年ですので前半と後半に分けると、冬日は前半10年の平均が131.8日、後半10年は121.7日になります。真冬日は2015年が少なかっただけで、そこまで顕著な差はありません。

2021年から2023年の観測値は次のとおりです。緯度では5番目に北にある観測所ですが、最低気温はそれほど下がりません。年較差も北海道では小さいほうです。

▲礼文の2021年観測値（順位はすべて降順）

▲礼文の2022年観測値