やけに涼しいとフィーチャーされがちなアメダス勝浦

勝浦の最高気温は1924年8月23日に観測された34.9℃です。猛暑日はまだありません。そんなこともあってか、近年やけにフィーチャーされがちです。

各地の8月平均気温、日最高と日最低の8月平均、8月の夏日・真夏日・猛暑日・熱帯夜の日数の平年値（1991～2020年）を比較してみました。

▲各地の平年値（平均・最高・最低は8月の日平均）

8月の日最低気温の平年値は勝浦と東京ではイーブンです。石廊崎では最高気温の観測史上1位が33.9℃、三宅島は33.1℃です。海風が入るなら最高気温はそれほど上がりません。単に涼を求めるだけなら標高の高い避暑地に行くのが「正解」です。

東京駅から特急で1時間半という手頃な距離感ですから、冬は温暖で夏はそれほど暑くないという気候は観光需要の惹起や移住促進にはアピールポイントになります。1958年市制施行時の勝浦市の人口は約3.1万人、今年7月末時点では15,363人です。4年制大学を抱えていてこの人口です。

勝浦と銚子の年平均気温を比較してみました。緯度の関係で勝浦のほうが暑いはずですが、ちょっと様子がおかしいように見えます。

両者の差を求めてみました（今年の数値は9月6日時点です）。勝浦から銚子を引いていますので、プラスは勝浦が暑かった年、マイナスは勝浦が寒かった年です。

この3～4年は銚子がぐいぐい気温を上げており、去年は夏日も真夏日も熱帯夜も銚子のほうが多くなっています。相対的に勝浦が千葉の納涼スポットとして着目されるようになったのかもしれません。

なお、銚子地方気象台は1986年が最後の移転、勝浦測候所は1902年開設で2007年に無人化されましたが移転はしていないはずです。少なくとも戦後間もなく発行された地形図では現在地に「T」マークがあります。ウィンドプロファイラが設置された2001年など敷地内での露場移設はあったようです。

アメダス勝浦はJR勝浦駅から徒歩3～4分です。駅から素直に海水浴場方向に向かうと左手に風速計が見えます（有名な守谷海水浴場は上総興津駅が最寄りです）。

元測候所は高台設置です。最新2024年3月のストビューでも風速計はプロペラ式です。標高は11.9ｍ、風速計の高さは15.2ｍとされています。

去年は初めて年平均気温が17℃台に達しました。今年はそれ以上のペースです。勝浦も暑くなっているわけです。

夏日の最多は112日、真夏日は48日です。いずれも去年観測されたものです。

千葉県観光物産協会のWebサイトは次のように述べています。勝浦の真夏日が数日だったのは2014年が最後です（6日）。

千葉県随一ではあるかもしれませんが、「関東随一の避暑地」には同意しかねます。アメダス草津の過去最高気温は32.0℃で、今年の真夏日は2日です。

勝浦の熱帯夜は次のとおりです。今年も9月8日時点で29日です。

ちなみに、アメダス草津は1977年12月の統計開始で熱帯夜が観測されたことはありません。

2021年から2023年の観測値は次のとおりです。2023年の年較差は少ないほうから全国57位で、本州の観測所では石廊崎、潮岬、銚子、御前崎に次ぐ5位です。

▲勝浦の2021年観測値（順位はすべて降順）

▲勝浦の2022年観測値