裏金のルーツはやはり森元? コロナ前の不記載額ランキング

やっぱり森元?

郷原信郎弁護士が自民党裏金のルーツに迫っています。

【外部リンク】
Yahooニュース>「政治資金パーティー裏金問題の核心」に迫る~始まりは“マネロン”だった(2024/10/8)

私なりに咀嚼すると、次のような内容です。

裏金のルーツ?

A~Dの4議員がノルマ超過分600万を含む計2000万のパー券代を派閥に収めたとします。派閥がこの2000万を収支報告書に記載するのは当然です。派閥はノルマ超過分の600万を自民党に上納します。政治団体から政党への寄付ですから、これも収支報告書に記載します。

政党なら個人に政策活動費を渡すことができます(派閥は不可)。自民党の政策活動費は党幹部に支払われており、派閥均衡人事では各幹部は派閥代表の側面があります。

三塚派が森派に代替わりしたのは小渕内閣の1998年12月です。森氏は同年7月から自民党幹事長でした。ノルマ超過分600万をいったん自民党に上納して、幹事長の森氏がこの600万を政策活動費として受領すれば、この時点でマネーロンダリングは完成です。

森氏はこの600万のノルマ超過分を各議員に還流できるわけです。裏金作りはこうして始まり、いつの頃からか黄色の部分が省略されるようになったのではないかというのが郷原氏の推理です。大いにあり得ることだと思われます。

なお、郷原氏は裏金が森幹事長時代に始まったと特定しているわけではありません。森氏は野党時代の細川内閣当時も幹事長を務めており、村山内閣で入閣したときは三塚氏が後継幹事長でした。山本一太・群馬県知事は三塚派時代には還流はなかったと発言しています。

コロナ前の不記載額ランキング

ルーツより重要かもしれないのは、(A)裏金を得ようとする意図があった議員と、(B)コロナ禍でノルマ額が引き下げられたために結果的に裏金が舞い込んできた議員がいる、との指摘です。

そこで、自民アンケで不記載申告した85人について、2018年+2019年の不記載額順にソートしてみました。第3列が5年間の不記載額、第4列がコロナ以前の2年間の不記載額です。

議員名5年計18+19出馬予定選挙区など
橋本聖子20571768参・比例25改選
二階俊博35261758引退(3男が後継)
中根一幸18601426埼玉6区 非公認
三ッ林裕巳29541146埼玉14区 非公認
堀井学21961110略式起訴、議員辞職
山谷えり子2403884参・比例28改選
簗和生1746822栃木3区
萩生田光一2728776東京24区 非公認
武田良太1926754福岡11区
平沢勝栄1817737東京17区 非公認
世耕弘成1542706和歌山2区、離党
杉田水脈1564692比例中国 不出馬
菅家一郎1289611福島3区 非公認
宗清皇一1408554大阪13区
宮本周司1482508参・石川25改選
堀井巌876410参・奈良25改選
小田原潔1240396東京21区 非公認
柴山昌彦896340埼玉8区
中山泰秀908312大阪4区
関芳弘836312兵庫3区
丸川珠代822310東京7区
和田義明990280北海道5区
山田宏560278参・比例28改選
尾身朝子623256比例北関東 不出馬
吉野正芳660246引退
太田房江214198参・大阪25改選
松野博一1051186千葉3区
羽生田俊818184参・比例25改選
若林健太368184長野1区
石井正弘378180参・岡山25改選
岡田直樹774178参・石川28改選
西田昌司411177参・京都25改選
赤池誠章268170参・比例25改選
青山周平230158愛知12区
高木毅1019154福井2区 非公認
上野通子318130参・栃木28改選
大塚拓994120埼玉9区
森雅子282114参・福島25改選
衛藤征士郎1070100大分2区
林幹雄160896引退
木村次郎23692青森3区
細田健一56490新潟2区 非公認
佐藤啓30668参・奈良28改選
越智隆雄8466東京5区 不出馬
高鳥修一54460新潟5区
亀岡偉民34856福島1区
谷川とむ18854大阪19区
酒井庸行5854参・愛知25改選
山田美樹7642東京1区
江島潔28040参・山口28改選
塩谷立23438離党
長峯誠11638参・宮崎25改選
下村博文47636東京11区 非公認
西村康稔10030兵庫9区 非公認
根本幸典42024愛知15区
田畑裕明6824富山1区
上杉謙太郎30923比例東北 不出馬
山本順三5822参・愛媛28改選
北村経夫11820参・山口25改選
佐々木紀18418石川2区
宮内秀樹16116福岡4区
松川るい20410参・大阪28改選
井上義行1788参・比例28改選
鈴木淳司608愛知7区
義家弘介3696神奈川16区
野上浩太郎1004参・富山28改選
福田達夫984群馬4区
藤原崇144岩手3区
末松信介5842参・兵庫28改選
加田裕之6480参・兵庫25改選
西村明宏5540宮城3区
鈴木英敬2800三重4区
吉川有美2400参・三重25改選
今村洋史2200東京9区 非公認
稲田朋美1960福井1区
井原巧1680愛媛2区
宮沢博行1320静岡3区、離党
衛藤晟一800参・比例25改選
小森卓郎700石川1区
加納陽之助400大阪10区
石田昌宏260参・比例25改選
高橋はるみ220参・北海道25改選
宮下一郎120長野5区
加藤竜祥100長崎2区
山崎正昭40参・福井28改選
▲自民党アンケ85人を2018年+2019年の不記載額降順でソート

全員を非公認とすべしとの主張はさすがに無理があって、それではオーバーキルになってしまいかねません。

追加で非公認とされた6人の選挙情勢

9日朝に追加で非公認が決まったのは6人です。東京6区の越智氏はすでに不出馬表明しているのですから、わざわざ晒し者にしなくてもよかろうとさえ思われます。非公認の数を増やしたいだけかもしれません(都連の公認申請は取り下げられていないという理由のようです)。

03年05年09年12年14年17年21年
越智
中根
細田
小田原
菅家
今村◯比✕比
▲追加非公認6人の衆院選挙結果(◯小選挙区当選、★比例復活、✕落選)

埼玉6区の中根氏は金額も大きく3連続復活ですから厳しい評価になるはずです。今村氏の東京9区は元経産相の菅原一秀氏が出馬予定です。今村氏は2012年に維新の比例単独で当選したことがあるだけで、小選挙での当選はなく非公認対象になりやすい立場です。

不記載ではなく誤記載だと主張していた福島3区の菅家氏も劣勢に違いありません。東京21区の小田原氏と新潟2区の細田氏が公認をもらえないほどの劣勢なのだとすると、各地で同様の現象が起きているのかもしれません。とはいえ、当選の見込みがないことで今さら非公認とするのは本末転倒でしかありません。

これで公認・非公認問題では杉田水脈氏が焦点になります。もし杉田氏を公認すると、話が完全に振り出しに戻ってしまいます。右往左往しているドタバタ感だけが強調されて、カオスな状況は選挙後も続きそうです。

【2024/10/12追記】注目の杉田氏を始め、比例単独で出馬予定だった尾身氏と上杉氏についても出馬辞退で落ち着きました。

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