陥れるためのニセ告発文書は経験の範囲内で書かれる説

収支報告書の不整合

2021年の兵庫知事選で、斎藤前知事を資金的にバックアップしていたのは西村康稔氏です。今回の知事選で自民党は独自候補を擁立できず三分裂しています。(1)自民県議の一部が稲村氏を、(2)明石市議団は斎藤氏を支援しています。

(3)神戸市議団は政策協定を結んだうえで維新を離党して出馬した清水氏の支持でしたが、一騎打ちの様相になりましたので清水氏から離散していくものと思われます。(2)の明石と言えば西村氏の選挙区です。

2021年当時の「自由民主党兵庫県第九選挙区支部」は西村氏が代表でした。まだ統一教会問題も、安倍派裏金問題も明らかになっていない平和な時代です。西村氏はコロナ担当大臣でした。

西村氏の選挙区支部から500万円
「自由民主党兵庫県第九選挙区支部」収支報告書(令和3年分)

同支部から斎藤氏が代表を務める2団体に計500万円の支出があります。両団体は所在地が同一であり、「兵庫を前に進める会」の収入の大半は「さいとう元彦後援会」からの寄付によるものです。

「~支部」からの300万は「さいとう元彦後援会」、200万は「兵庫を前に進める会」の収支報告書にそれぞれ記載がないと具合が悪いはずです。前者に500万の記載があり、後者には「~支部」からの寄付は記載されていません。

兵庫県公報>令和4年11月30日 第2号外(162ページ)

金額的には一致していますので不記載ではなく誤記載です。西村氏に合わせて斎藤氏が訂正するか、斎藤氏に合わせて西村氏が訂正すればいいだけの話です。

フィクションではない可能性

一部に妙な誤解があるようですが、兵庫県議会の百条委員会は当事者の証言を突き合わせている調査中の段階で結論は12月です。斎藤氏側が否定していても、6725人の回答があった職員アンケートなどと矛盾が生じているケースは多々あります。

告発文書は基本的には噂話で構成されたもののようです。この「噂話」はまったく根拠のないものではなく、これまで続いてきたことが斎藤県政でもあるはずだという視点で噂になったものではないかと思われます。

県職員による選挙活動や投票依頼・パー券の購入依頼は、かつてそれを担った側が自分のことは棚に上げて「噂」にしているように読むこともできます。贈答品疑惑も同様です。

告発文書にある「知事の自宅には贈答品が山のように積まれている」とは、かつて誰かが実際に目にした光景ではないかと妄想したくなります。完全なフィクションではなかろうという見方ができないわけではありません。

井戸知事は自宅住所を公開していたそうですが、斎藤知事は公開していません。知事宅に直接は送れないわけです。自宅に直接送られるものは、招かれない限り職員としては知りようがありません。

井戸知事時代は秘書課で分けていた贈答品が、斎藤知事になってからは知事が自分で持ち帰るようになったということです。斎藤氏の言い分としては「特定の課だけで分けるのはよくない」ということのようです。

社会儀礼の範囲内の贈答品が知事宛に届き、これまで分配されていたものが独り占めされるようになれば不満は出るものでしょう。

オウンゴールだったとしても…

今回の告発文書の事実関係が最終的に完全否定されるなら、告発者は斎藤氏を陥れようとしたことになります。こうした類の告発文書は、その人物の経験値の範囲内でしか書けないものだと私は考えます。

その経験は必ずしも実体験である必要はありませんが、見聞きした以上に膨らませるのは難しいでしょう。実際、それほど突飛な内容ではありません。あり得るだろう、あってもおかしくない、の枠内です。

補助金を増額してそのキックバックで寄付金を集めたという話も、似たようなことを実際にやってことがあるのではないかと思えてなりません。兵庫県庁では告発文書に記載されたのと同じようなことが、少なくともかつては行われていたと考えるのが自然です。

そのような意味では、今回の告発が仮に全否定されたとしても、それほど無駄なことではなかったかもしれません。より巧妙な細工が施されるだけかもしれませんけど…。

7項目のうちパワハラについては一部確認されており、斎藤氏は認めていないながらも職員アンケートで指摘されているものもあります。セーフ判定にはならないはずです。

斎藤氏が「嘘八百」と発言した3/27、斎藤氏側は警察に持ち込んだそうですが、文書には公益性があるので名誉毀損は難しいとの返答だったそうです。警察に委ねることができずに、内輪だけでの処分に突き進んでしまったようです。

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