地味に本州最東端のアメダス宮古は明治16年の創設

いつ移転したのか?

アメダス観測所網で本州最東端となるのは、岩手県のアメダス宮古(宮古特別地域気象観測所)です。東北では青森地方気象台、秋田地方気象台に次ぐ古参の観測所になります。盛岡地方気象台のWebサイトで宮古測候所は1936年12月に移転したことになっています。

宮古測候所の移転時期
盛岡地方気象台>沿革・業務内容 (↑この赤色実線は私が施したものです)

一方、近藤純正氏のWebサイトには「宮古測候所は、1939年1月からは標高42.5mの現在地に移転した」との記述があります(近藤純正ホームページ>宮古測候所と周辺アメダス)。どちらに義理立てすればいいのか困ってしまいます。

近藤氏は「移転前の旧露場と移転後の新露場(新露場は現在も同じ露場) で2年4ヶ月(28ヶ月間)にわたり同時観測が行われ」とも記載しています(K18.宮古と岩手内陸の温暖化量)。

気象庁サイト「過去の気象データ検索」では1938年と1939年の間に赤点線が引かれていますので、1939年1月1日から新露場の数値が採用されるようになったものと解釈することにしました。

アメダス宮古の統計断絶
気象庁>宮古(岩手県) 年ごとの値 詳細(気温・蒸気圧・湿度)

移転前の「鏡岩の砲台跡」とは港のすぐ近くの高台のようです。今は宮古漁港のビルとなっている手前の公園が「鏡石公園」です。海軍の砲台や測候所はこの丘にあったのではないかと思われます。

宮古漁協

近藤氏は標高29mと記述していますが、地理院地図では標高19m程度です。

アメダス宮古
旧・宮古測候所(地理院タイルを加工)

移転は1936年12月

宮古測候所は1939年に標高42.5mに移転しています。画像中央の白い球体がウインドプロファイラ、半円形のフェンス内が観測露場になります。

アメダス宮古

風速計の高さは地上20mとされています。ウインドプロファイラは頂上部でせいぜい5m程度でしょうから、風速計は露場ではなく屋上設置のようです。

アメダス宮古

宮古測候所が無人化されたのは2007年10月です。宮古の年平均気温は次のように推移しています。これまで12℃台はありませんでしたが、去年は12.8℃でした。

宮古の年平均気温の推移
気象庁>宮古(岩手県) 年ごとの値 詳細(気温・蒸気圧・湿度)

熱帯夜、猛暑日、真夏日、夏日

今年の月平均気温累積値は9月まで去年と0.2℃差でしたが、10月で1.7℃差に広がりました。11月はその差を吐き出しかねません。年平均気温としては去年並みで2年連続18℃台後半に落ち着きそうです。

宮古の月平均気温
気象庁>宮古(岩手県) 日平均気温の月平均値(℃)など

熱帯夜と猛暑日の日数は次のように推移しています。熱帯夜の最多は2023年の3日、猛暑日も去年の6日です。今年の熱帯夜は2年ぶりに0日で、猛暑日も2日しかありませんでした。肝心の8月に気温が上がらなかったからでしょう。

今年の夏日は96日で去年の90日を越えましたが、真夏日については去年の44日から今年は22日に半減しました。

宮古の夏日と真夏日

2021年~2023年の観測値

2021年から2023年の宮古の観測値は次のとおりです。最高気温は37℃台が2回ありますが、2回とも移転前です。21世紀最高気温は2020年8月11日の36.6℃になります。

年降水量1415.0ミリ936位/1284地点
年平均気温11.7℃601位/915地点
年最高気温35.2℃466位/915地点
年最低気温-11.7℃636位/915地点
年較差46.9℃260位/915地点
年平均風速2.2m/s438位/914地点
▲宮古の2021年観測値(順位はすべて降順)
年降水量1202.0ミリ976位/1285地点
年平均気温11.5℃606位/916地点
年最高気温34.7℃515位/916地点
年最低気温-8.9℃560位/916地点
年較差43.6℃392位/916地点
年平均風速2.2m/s420位/915地点
年日照時間1935時間369位/842地点
▲宮古の2022年観測値
年降水量1183.5ミリ994位/1286地点
年平均気温12.8℃588位/919地点
年最高気温36.2℃407位/919地点
年最低気温-9.5℃536位/919地点
年較差45.7℃379位/919地点
年平均風速2.1m/s473位/918地点
年日照時間2056時間332位/847地点
▲宮古の2023年観測値

最大積雪深は1944年3月の101センチですが、21世紀以降に限れば今年2月27日の67センチです。東北の太平洋側ですので雨はかなり少なめです。震災時は停電により観測が中断しています。

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