疑惑の本丸、補助金増額で優勝パレード協賛金キックバック

パレード協賛金キックバック疑惑

元県民局長による告発文書7項目のうち、もっとも注目されていたのが優勝パレードの件です。告発文書の記載は次のとおりです。

 令和5年11月23日実施のプロ野球阪神・オリックスの優勝パレードは県費をかけないという方針の下で実施することとなり、必要経費についてクラウドファンディングや企業から寄附を募ったが、結果は必要額を大きく下回った。
 そこで、信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った。幹事社は但陽信用金庫。具体の司令塔は片山副知事、実行者は産業労働部地域経済課。

もしこの告発が事実だとしても、刑事事件化するには少なくとも一方の当事者の証言が必要です。両者に否定されたら録音でも出てこない限り追及できません。通常、この種のやりとりは密室で行われるでしょうから、録音が出回る可能性は薄いものと思われます。

バレたら両方がアウトという案件でほかに証拠がないとき、片方が口を割るのは両者の関係が悪化して一方が刺し違えてもいいと思い込んだときだけです(あっ、あと信じられないほど無邪気な場合も…)。民間にとって役所との対立は得策ではありません。

逆に疑われた側からすると、疑われた事実がないことを証明するのは絶望的に困難です。面談の録音があり、そこでは何も語られていなかったとしても、別の電話や面会で済む話です。疑われないように行動するしかありません。

シロであることの証明はできないものでしょうし、わざわざクロであることを自白することもなかろうと思われます。疑惑は疑惑のままで終わりそうです。

「中小企業経営改善・成長力強化支援事業」は、金融機関がいわゆるゼロゼロ融資(無利子・無担保融資)を受けた中小事業者を支援した際、1件当たり最高10万円を金融機関に支給するというものです。コロナ禍の2021年から始まり、2023年が3年目でした。

11/14財政課長査定では「1億円」
11/16産業労働部事業計画で「3億7500万円」
11/21知事査定で「4億円」
11/21片山副知事が但陽信金を訪問し理事長と面会
11/23優勝パレード

11信金で計2000万の寄付

予算が1億から4億に増額されたタイミングで副知事が「幹事社」を訪れています。パレード前々日です。

但陽信用金庫本店

結果として、協賛金は11信金から計2000万円集まります。うち1950万はパレード後の寄付です。

信金本店店舗数預金残高パレ前パレ後
但陽加古川市349355億50万250万
神戸神戸市265150億200万
姫路姫路市465437億300万
播州姫路市687469億50万
兵庫姫路市403155億200万
尼崎尼崎市902753億300万
日新明石市368125億300万
淡路洲本市276200億100万
但馬豊岡市264819億50万
西兵庫宍粟市275274億100万
中兵庫丹波市295701億100万
11信金計50万1950万

片山氏は2021年3月末で県庁を退職し、4月から信用保証協会の理事長に天下っていました。同年8月に斎藤氏が知事に就任し、9月に副知事として迎え入れられています。

10月25日の片山氏の証人尋問です。

●寄付の取りまとめは依頼したが、キックバックは依頼していない
●パレードの直前だったので、従来から知己のある但陽信金に行った
●金額は提示していない。目安としては1信金100万から200万の間とは言った
●財源が確保できたので補助金は増額した、12月補正予算だったのでタイミングが一致した
●パレード後に行った財団には2000万と言った

公開されていませんが、前日24日に但陽信金の理事長が証人尋問に応じています。その内容と矛盾するものではないのだろうと推測されます。論理的な破綻はありません。

ただ、訪問前日にアポをとったということです。補助金の話を別ルートから事前に知らせておいて訪問すれば、その場でとくに言わなくても「阿吽の呼吸」ということはあり得る話です。

告発文書では「幹事社」を但陽信用金庫、「司令塔」を片山氏と名指ししています。両者ともにパレード前の面会そのものについては認めており、外形的には疑われても仕方がない要素はあったと言えそうです。

片山氏の暴走

証人尋問は、会派の所属議員数に応じて自民→維新→公明→県民連合(立憲系)→共産→無所属の順番で行われます。片山氏が暴走し奥谷委員長がその発言を制止したのは、増山誠県議の質問に答えている場面でした。

維新の順番で中断しましたので、公明以下は質問の機会を失っています。(1)制止されなければ暴露、(2)制止されて打ち切られれば野党の追及を避けられる、というどっちに転んでもOKという作戦だったのではないかと疑いたくなります。

増山氏の質問はこうです(2:34:33から)

 片山元副知事は元西播磨県民局長の告発文は不正な目的があるので公益通報には当たらないと主張されていますけれども、クーデターすなわち選挙で選ばれた知事をその補助機関である地方公務員が排除しようという目的であったと考えていると理解しているんですが
 しかしながら、委員長が元西播磨県民局長のメールを確認したところ、以下のように報告がありました。引用しますけれども、「メール本文にクーデター、革命といった文言は確かに記載されているものがありました。しかし、内容は文言だけで具体性のある内容ではなく、また記載されたメールは誰か他者に送付したものではなく、自分の携帯から自分の職場のパソコンに送付したものでありました。以上を踏まえて、このメール等の文書は思いついたことを書き記した文書の一連に含まれており、何ら具体性がなくクーデターや革命の計画をしたと思えるものとは到底考えられませんでした」と結論付けたため、クーデターなどと記載したメールの資料請求は行われず、公開もされていないという状況がございます。
 でも、元副知事と委員長、同じ文書を見て、まったく逆の結論に達しているように思うんですけど、これは片山副知事の証言との食い違い、どのように考えたらよろしいんでしょうか。

これに対して、片山氏は斎藤県政を転覆させる資料は公用PCに2種類あると述べ、
(1)メールは言葉の羅列で委員長のおっしゃるとおり
(2)転覆計画を実行に移そうとした資料(中傷ビラ2種)は委員長はご覧になっていない
として、この流れで聞かれていない問題の場面に突き進みます。

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