疑惑払拭より知事会の「公務」優先、偽証罪をスカしたい?

都道府県会館ビル

地下鉄5路線が集中する永田町に都道府県会館ビルがあります。広島と高知を除く45都道府県の東京事務所が入居しており(北海道など4道県は分室、東京は東京都事務室)、地下3階地上15階建てです。地図の青マーカーになります。

都道府県会館
都道府県会館(地理院タイルを加工)

都道府県会館ビルの北にある文マークは千代田区立麹町中学校です。ピンクのマーカーは都市センターホテル、赤のマーカーはホテルルポール麹町で、ともに政治資金パーティーのメッカです。

地下1階にはお手頃価格の蕎麦屋が入居しており、地下階通路には各県の観光パンフが置いてあります。1999年に建て替えられた3代目の会館です。128台収容の地下駐車場があるらしいのですが、どこが入口なのかストビューでは判断しかねます。

駐車場出口

進入禁止マーグがあることから屋根付きスロープは出口専用です。右のフラットコースはビルの裏口に付けられるようで配送車両の出入りがあります。その奥に下りスロープがあるのかどうか確認できません。ひょっとすると、一見では敷地外に見える左のPから入るのかもしれません。

斎藤氏の全国知事会の出席率は50%

都道府県開会の3階には約388㎡の特別会議室があります。1日の利用料金は税込44万円ということです。1階にある大会議室は約252㎡で1日27.5万円です。全国知事会は3F特別会議室で開催され、次回は11月25日です。

一昨日(11/19)は公開されていなかった出席者リストが昨日(11/20)になって公開されています。再選された斎藤兵庫県知事を含めて知事本人の出席は21名の予定ということです。小池氏や吉村氏や大村氏は副知事を代理出席させるようです。

斎藤知事初当選(2021年7月)後の出欠状況は次のとおりです。ついでに他知事も調べました。

兵庫東京群馬愛知大阪石川沖縄
2021/08/30東京渉外東京東京東京東京東京
2021/11/26知事副知事東京副知事知事副知事東京
2022/07/28知事知事知事知事知事知事副知事
2022/07/29総合渉外戦略調整広報知事統括
2022/11/07副知事副知事戦略知事東京知事東京
2023/07/25知事知事知事知事知事知事知事
2023/07/26次長渉外企画知事副理知事知事
2023/08/24東京渉外東京東京知事東京東京
2023/11/13東京副知事戦略知事知事知事副知事
2024/08/01知事知事知事知事知事知事知事
2024/08/02次長渉外戦略政策次長知事知事
2024/11/25知事副知事東京副知事副知事知事知事

「東京」東京事務所長、「総合」総合企画局長、「次長」企画部次長または政策企画部次長、「渉外」政策企画局渉外担当部長、「戦略」知事戦略部長、「企画」知事戦略部戦略企画課長、「調整」企画調整部長、「政策」政策企画局長、「広報」広報調整室長、「副理」政策企画部企画室副理事、「統括」企画調整統括監

斎藤知事は過去8回の全国知事会に4回出席していです(日数でカウントすると11分の4)。そのうち3回は2日開催のときの初日です。1日開催のケースは今回が6回目で、出席は2回目です。

全国知事会>全国知事会議次第

今回の会議は2時間弱です。挨拶や報告もありますので、何が何でも出席しなければならない「公務」なのかどうかという判断になります。東京駅-新神戸駅間の「のぞみ」の所要時間は2時間40分台です。往復5~6時間かけて2時間弱の会議に出席する価値があるかです。

全国知事会>23/08/24出席者

今の時代ですから、どうしても出たいならリモート参加という手立てもあるわけです。庁内でWeb参加すれば15時には体が開いて百条委員会に出席可能です。

知事は昨日(11/20)の囲み取材で「防災対応とかそういったものを政府にお伝えしたり…」と語っています。今回の知事会の議題に防災関連のものはありませんので、知事会に出席するついでに政府とコンタクトを取るということなのでしょう。

2時間弱の会議だけで往復するわけではなさそうです。それにしても、相手方もあるのに17日に当選が決まっていつアポを取ったのでしょう? 普段は出席しない知事会だからこそ、百条委員会の事務局(県職員)は25日の設定に異論を挟まなかったのではないかと思われます。

【2024/11/22追記】全国知事会主催の「全国知事会議」とは別に、政府主催の「全国都道府県知事会議」があり、今回11/25は両者同日開催で斎藤氏は両方に出席予定とのことです。後者の斎藤氏の出欠状況は2021年から◯✕◯で、昨年は知事会主催を欠席して夕方の政府主催に出席しているようです(百条委員会に呼ばれているのは夕方です)。
 昨年の議事録を読んでみましたが、発言機会は1回だけです。20人規模ならそんなものでしょう。選挙戦中の斎藤氏は防災対応についてそれほど積極的に語っていたわけではありません。いずれにしても、疑惑の払拭より優先すべき「公務」だと判断したことに変わりはありません。

偽証罪のジレンマ

地方自治法第100条第8項は不出頭や偽証に対して、議会が告発義務を負うことを定めています。

議会は、選挙人その他の関係人が、第三項又は第七項の罪を犯したものと認めるときは、告発しなければならない。但し、虚偽の陳述をした選挙人その他の関係人が、議会の調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、告発しないことができる。

第3項とは「正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金」、第7項とは「宣誓した選挙人その他の関係人が虚偽の陳述をしたときは、これを三箇月以上五年以下の禁錮」です。

禁錮以上の実刑なら知事は失職です。25日の欠席自体は「正当な理由」があるのでしょう。問題は、(A)これまでの百条委員会における証言内容と(B)選挙演説中の発言との整合性です。

●Aが間違っていたのなら今のうちに「自白」すればいいわけですが、なぜ虚偽の証言をしたのか問われることなります。
●もしBが虚偽だとすると、有権者を欺いて当選したことになります。そこで示された「民意」とは何だったのかという話に発展します。

どっちに転んでも、せっかく積み上げてきたストーリーは崩れてしまいます。土台を抜いて積み重ねるジェンガのようなものだったからです。当面は百条委員会から逃げて時間を稼ぎ、厳しい質問や告発をしないように議会を懐柔していく以外に逃げ切る道がありません。

そのように考えると、よその知事が他県の百条委員会の解散に言及しているのも納得できます。それはそれとして、未だに疑問として残るのは、知事が第三者委員会設置に乗ったあとで自民会派が百条委員会設置に前のめりになった理由です。

ボタンの掛け違いなのだとは思われますが、自民がうんと言わない限り百条委員会は設置できなかったわけです。解散も自民党がうんと言えばそうなります。けっして報道されることはないだろう水面下の駆け引きが興味深いところです。

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