秋田市のスーパーに50時間閉じ込められたクマ

いとく土崎みなと店

開店前のスーパー「いとく土崎みなと店」にツキノワグマが侵入して、惣菜売場付近で47歳男性従業員を襲ったのが11月30日(土)の午前6時20分頃ということです。

このクマは店内に閉じ込められて、12月2日未明に箱罠にかかり麻酔を打たれたあと、午前10時過ぎに檻ごと店から移送されています。次のストビューの左がスーパー、右手は秋田臨港警察署です。

いとく土崎みなと店

時系列です。

11/29 21時過ぎ、土崎みなと歴史伝承館前の交差点で車とクマの接触事故
11/30 6時20分頃、スーパー店内で男性店員が襲われ、頭に全治1週間のケガ
11/30 11時頃、クマを捕獲するための箱罠を風除室2か所に設置
12/01 17時半頃、警察がバックヤードにクマがいるのを確認し箱罠を移動
12/02 4時頃、捕獲用の箱罠が作動したと秋田県から警察に連絡
12/02 8時過ぎ、クマが箱罠に入っているのを警察が確認
12/02 10時過ぎ、クマの搬出

土崎駅は秋田駅から北に2つ目です。スーパーや警察署があるぐらいですから完全に市街地です。

土崎
クマの立てこもり(地理院タイルを加工)

前夜に車と接触事故を起こしたクマと同一個体だと思われます。この日の秋田市の日の出時刻は6時40分です。クマは一晩をどこで過ごしたのだろうという疑問があります。

直線距離で5キロ少々離れた秋田地方気象台では午前0時から午後5時までに9.5ミリの雨(みぞれ)が降っています。アメダス男鹿やアメダス五城目でも同時間帯に同程度の降水量があることから、ポートタワー周辺でも降っていたものと思われます。

どこに泊まったのか?

この近辺には体長1mのクマが雨風をしのげるような樹木帯がありません。雷も発生していたようですから、動物の本能としてどこかに身を隠すはずです。歴史伝承館から500mほど東の神社に隣接する土崎街区公園は候補になります。

土崎街区公園

奥にはSL(D51)が設置されている公園です。この公園で一夜を過ごし、再びスーパー付近に戻ったと考えるのはちょっと無理がありそうです。やはりスーパー近くで身を潜めていたのではないかと思われます。

クマが一晩過ごしたのは?

車と接触したなら五体満足ではなかったかもしれません。次のストビュー画像の雨樋に挟まれた隙間は体長1mのクマが雨を避けるには十分です。夜間は黄色のポール間にチェーンが張られているかもしれませんが、シャッターは付いていません。

この隙間が有力

いくら全身毛皮とはいえ、気温は氷点下近くです。せめて雨と風は防ぎたいはずです。

スーパーの搬入口

クマさんはこの隙間で一晩を過ごし、雨がやんだ夜明け前になって目覚めたのではないかと思われます。50mほど南に向かい、左折すればスーパーの車両搬入口です。

荷捌き

開店前ですので、物理的に開放されていたのはこの荷捌きだけだったはずです。鋭敏なクマの嗅覚が餌の匂いを嗅ぎつけて、店内に侵入したというストーリーで私の推理は完結します。

男性従業員は全治1週間の軽いケガということです。この場合の全治とは外科的な意味合いです。クマさんは顔を狙うようです。うつ伏せになって両手で首を隠せと言われますが、まさか開店前の惣菜売場でクマに襲われるとは想定外のさらに外に違いありません。

さて、本来のクマの生息地であっただろう出羽山地からスーパーまでの間は、秋田自動車道と奥羽本線が難所になります。高速と下道は立体交差ですのでこの関門さえ抜けてしまえば、奥羽本線のほうはクマが渡れそうな場所は結構あります。

なお、クマさんが籠城した「スーパーいとく」さんは大館に本社があり、秋田県内22店舗、青森県内5店舗のようです。今日(12/3)は4日ぶりに営業できそうです。

【2024/12/06追記】私は限定的に営業再開するのではないかと思っていましたが、「おかげさまで、皆さまからの温かい励ましのお声やご支援を受け、12月7日(土)午前9時より営業を再開する運びとなりました。再開を迎えるにあたり、被害箇所の商品入れ替え、徹底した消毒清掃を行ったうえ、オープンいたしますので是非足をお運びくださいませ」とのことです。これだけ時間をかけるなら、清掃中の画像も公開してほしかった気もしますけど…。

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