風連鍾乳洞
国道10号線と日豊本線は九州東岸を門司または小倉から鹿児島まで南北に結んでいる性質上、ほぼ並走することになります。日豊本線が大分から臼杵と津久見を経て佐伯に至るのに対して、国道10号は大分市街から南下し内陸を通って佐伯市街に抜けます。
国道10号線の案内板です。大分県臼杵市野津町(のつ-まち)にある風連鍾乳洞は、国の天然記念物指定としては「風連洞窟」の名称です。
北海道ではそれほど珍しいわけでもない「風連」の地名は本州や四国にはないはずですが、なぜか大分にあります。どういう理由で「風連」と名付けられたのかわかりませんでした。
佐伯市の小半(おながら)鍾乳洞や狩生(かりう)鍾乳洞は地名です。野津町は2005年に臼杵市と合併しており、洞窟所在地を含めて旧町内に「風連」の地名は見当たりません。2層の鍾乳洞があることから、風穴の連なりで「風連」なのかもしれません。
道北の旧・風連町と道東の風蓮湖
基礎自治体としての「風連」は、北海道上川郡に風連町(ふうれん-ちょう)がありました。2006年に名寄市と合併しています。風連村から分村した多寄村(第二次)は1954年の合併で士別市です。
道立の風連高校は2010年3月をもって閉校となり、今は名寄市立風連中学の校舎として利用されています。Wikiには2010年3月閉校で、そのまま4月から中学になったかのように記載されています。
高校の校舎を中学に転用するなら一定の施設改修が必要なはずだと思って調べてみたところ、実際に移転したのは同年12月半ばのようです。
道東の別海町には上風連中や上風連小がありますが、下風連中や下風連小はありません。下風連という地名そのものがなく、下風連に該当するのは風蓮湖ではないかと思われます(風連湖と風蓮川)。
ピンクの★印が上風連小、赤マーカーが町内の他の小学校です。汽水湖の風蓮湖は国内13位の面積です。
「歩行者横断多し」標識
上風連小学校から400~500m離れた道道449号線に「歩行者横断多し」の標識がありました。ちょうど下り坂に入る地点ですので、速度抑制の注意喚起ではあるはずです。
道道449号線は南北に走る道路です。たしかに小学校のある東側には郵便局や商店もあり、小規模ながら集落を形成しています。この道路を歩行者が横断することはありそうです。西側にある木下牧場に小中学生がいれば、登校日はその人数だけ往復することになります。
上風連小学校の児童数は2023年度で26人、中学校の生徒数は16人だそうです。いったい1日に何人がこの道路を横断するものなのか、それが「歩行者横断多し」のレベルに達するものなのかどうか、問い詰めたくなります。
アイヌ語「フーレ・ペツ」は赤い川
北海道の地名ですので、「風連(風蓮)」もアイヌ語由来ということです。「フーレ・ペツ」で「赤い川」の意味だそうです。「フー(フウ)」に当てはまる漢字としては「封」や近頃人気の「楓」もありますが、やはり「風」が一般的です。
「レ」はレイ読みの「礼」「令」「冷」「伶」「玲」「例」「零」「霊」か、レン読みの「連」「蓮」「恋」「簾」「練」を代用するしかありません。北海道に確認できる「フーレ・ペツ」はすべて「風連(風蓮)」が採用されています。
今は釧路市となった旧・音別町には風連別川があります。
留萌管内の初山別村にも風連別川があり、同じ山から遠別川支流の風連越沢川が東に流れています。ひょっとすると山頂付近に鉄鉱石が期待できるのかもしれません。
ほかにもありそうですが、確認できた「風連(風蓮)」はこれだけです。
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