「常総」とは旧・下総国のうち現・茨城県の区域ではないか?

関東鉄道常総線

関東鉄道の常総線は1913年(大正2年)11月に取手駅-下館駅間で開業しています。今と同じ区間です。当時の名称は「常総鉄道」であり、鹿島参宮鉄道と合併して関東鉄道に商号変更したのは1965年です(1979年に鹿島鉄道を分社)。

常総地域
常総(地理院タイルを加工)

取手は市川に国府があり香取神宮を一宮とする旧・下総国に属していました。江戸時代の下妻藩は旧・常陸国です。たしかに陸と下で合成地名「常総」が成立しますが、ほとんどは下総です。

常総バイパスは国道294号(柏-会津若松)のバイパスです。栃木県境の現・筑西市から現・つくばみらい市の区間が全線開通したのは1995年です。筑西は常陸で、つくばみらいは下総ですが、これまた大半は下総です。

バイパス着工より早く1970年代に開発されたのが常総ニュータウンです。今の取手市、守谷市、つくばみらい市、常総市に点在しています。同じ下総でも、龍ケ崎市は竜ヶ崎ニュータウンの名称です。

法人検索で「常総」の文字列を検索すると、茨城県では124件ですが、千葉県では22件です。これらから考えると、「常総」と呼ばれる地域は「常陸+下総」なのではなく、
(1)「旧・下総国」のうち「現・茨城県」の地域
(2)常磐線以東は含まず、下総と接する常陸を含む
と解するのが妥当なのではないかと感じます。足し算ではなく、部分集合というのが私の理解です。

常総市が発足したのは2006年で、水海道市(みつかいどう-し)が石下町(いしげ-まち)を吸収合併して即日改称したものです。

土浦市の常総学院

私の説を否定するのは土浦市にある常総学院の存在です。土浦は常陸国です。常総学院中の創立は1905年(明治38年)です。新義真言宗の常福寺境内で開校しています。「~学院」ですがミッション系ではありません。仏教系の「~学院」としてはかなり早期だと思われます。

常総学院
常総学院(地理院タイルを加工)

野球部(甲子園)と吹奏楽部(全日本吹奏楽コンクール)の成績は次のとおりです。

選抜選手権吹奏楽
1987◯◯◯◯◯●
1988◯●
1989
1990
1991
1992
1993◯●◯◯◯◯●
1994◯◯◯◯●
1995
1996
1997
1998◯●◯◯●
1999
2000
2001◯◯◯◯◯◯●
2002◯◯●
2003◯◯◯◯◯◯
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012◯●
2013◯◯◯●
2014
2015◯◯●
2016◯◯◯●
2017
2018
2019
2020
2021◯●
2022
2023
2024◯●
▲野球部と吹奏楽部

常総市より全国的知名度のある学校ですが、同校(法人)のWebサイトには校名の由来について触れられておらず、「常総学院」の常が「常福寺」だとしても「常陸国」だとしても、総が「下総」の総だと決めつけるには根拠に欠けます。

「常総」の法人分布

先の法人検索で得られた124件の本店所在地を地図に落とし込んでみました。もう合併から20年近く経過していますので、常総市内の「常総なんとか」が最多の32件です。最北は水戸市で、なぜか神栖市にも3件あります。

「常総」の分布

土浦は4年間だけ存在した新治県(にいはり-けん)の県庁所在地です。茨城県内の土浦以南で土浦以西が「常総」地域だと理解するのがもっとも適当なのかもしれません。なお、「常総」がどこを指すのか厳密な定義はないそうです。

それにしても、古河市と五霞町がやっぱりゼロでした。常はもちろん、総にも違和感があるのかもしれません。古河は栃木で五霞町は埼玉のほうが私にはしっくり来ます。

13日の枯草?火災

火事が起きた常総市坂手町は旧・水海道市で、旧・相馬郡ですので、旧・下総国です。周辺5アメダスの毎正時の平均風速です。

2月13日毎正時の平均風速
気象庁>久喜(埼玉県)2025年2月13日(1時間ごとの値)など

強風は8時台に始まっています。火災発生の通報は14時前ということです。一時は2000人に避難指示が出ました。5地点の湿度は次のように変化しています。

2月13日毎正時の相対湿度

風が湿度を奪ったところに飛び火していくありがちなパターンだったようです。

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