【19:30追記】維新の処分は岸口氏が除名で増山氏は離党勧告として発表されましたが、会見翌日の報道は増山氏が除名で岸口氏が離党勧告でした。このページは増山氏除名を前提に記述しています。
町議リコールの住民投票
福岡県南西部・柳川の手前に大木町(おおき-まち)という小さな町があります。人口は1万3000人台、面積は18平方キロです。

平成の大合併では、三潴郡(みずま-ぐん)の3町で任意協議会を設置したものの煮詰まらず半年で解散、筑後市との合併案は町内で賛同を得られず、最後は大川市と合併協議会を発足させましたがこれも破談に終わり、単独町政を続けることになりました。

大木町では3月23日に町議会議員リコールの住民投票が行われることになっています。
維新は即日除名
複雑な話ではなく、単に酒気帯び運転のようです。「NetIB-News」の“福岡・大木町議が「酒気帯び運転容疑」で逮捕~所属する福岡維新は除名処分”(2024年6月24日)が次のように報じています。
23日午前6時20分ごろ、久留米市六ツ門町の路上で、進入禁止の道にウインカーを出さずに右折して入ろうとした不審な乗用車を、警ら中の警察官が発見。警察官は、車を停止させ、馬場容疑者の呼気を調べた結果、基準値の2倍を超えるアルコールが検出され、久留米署は、酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕した。
久留米は福岡・熊本間では最大の都市です。久留米の繁華街は西鉄駅東側の東町と、JR駅との中間に当たる日吉町付近です。六ツ門町(むつもんまち)はその両者に接しています。日吉町の文化街と並んで福岡南部では最大規模の歓楽街です。

誤って一方通行に逆進入しかけたのだとしても、ウインカーを出していればまだ救いはあったかもしれません。去年の6月23日は日曜日です。場所柄、日曜の早朝にたまたまパトロールに出たとも思えません。「基準値の2倍」なら免停90日の13点ではなく、免取の25点です。
増山氏リコールには14万筆が必要
時系列は次のとおりです。
- 2019/04/21 馬場高志氏が無投票で町議初当選
- 2023/01/29 町長選、馬場氏は4人中4位の234票で落選
- 2023/04/23 町議選、無投票で馬場氏2選
- 2024/06/23 馬場氏が酒気帯び運転で現行犯逮捕(略式命令で罰金30万)
- 2024/07/03 町議会が馬場氏に対する議員辞職勧告決議案を全会一致で可決
- 2024/09/02 町議会が議員辞職勧告決議案を再可決
- 2024/12/04 町議会議長を代表者とする解職請求委員会が解職請求へ
- 2025/01/14 解職請求委員会が5892人分の署名を町選管に提出
- 2025/02/03 町選管が有効署名5554人分として縦覧手続きへ
- 2025/03/23 住民投票予定(解職賛成過半数で失職)
いくつかのポイントがあります。
●問題の町議は選挙に3回立候補していますが、選挙時も議会でも無所属です(12人全員が無所属)。
●町議選は無投票であり、町議が必ずしも有権者の信託を受けているとは言えません。
●地方自治法では議会で除名することもできますが、他の11議員による解職請求委員会がリコールを請求しています。
●小規模自治体ですので3700人の署名で住民投票に持ち込めます。
馬場氏は維新公認で当選したわけではありませんので、「除名なら議員辞職」の誓約書は出していないものと思われます。誓約書を出していても増山氏が維新除名で議員辞職するとは思えません。議会がどう対応するかです。
いきなり除名を求めることはあり得ないでしょうし、除名まで進むとしても次かその次の定例議会以降となるはずです。辞職勧告で各会派の足並みが揃うことはまず間違いありません。また、すでに奥谷氏が相談しているという偽計業務妨害の告発も進展するでしょう。
増山氏に対する辞職勧告や告発に関して、白井氏と岸口氏がどういう態度を示すか注目です。岸口氏は守りたいものがあるようですが、白井孝明県議の対応は森健人市議や高見千咲市議の去就とともに見ものです。
なお、増山氏は西宮選挙区選出です。昨年知事選時点の西宮の有権者数は39万4186人でした。3分の1は13万1396人です。リコール署名としてはこの10%増しで14万5000筆を確保しなければなりません。あまり現実的ではないようです。
2013年に広島県議のリコールが成立しています。必要数4万1300筆に対して5万1219筆を集めて有効署名4万7671筆でした。無免許運転で辞職勧告決議が2度成立したあとのリコールです。議会での除名はやはりハードルが高いものがあります。
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