第三者委がパワハラ認定しなかった6項目はシロでもない

ビワイチ、アワイチ、サドイチ

俗にビワイチと呼ばれる琵琶湖一周コースは約200キロです。自転車で一周するには時速20キロで10時間ですから、あくまでも走破主体の中級者以上でなければ1日ではまず無理です。観光を織り交ぜながらの初心者なら2泊3日コースが無難です。

琵琶湖
琵琶湖(地理院タイルを加工)

淡路島一周は約150キロです。湖の周回コースではありませんので、ショートカットでコース変更できることが琵琶湖との決定的な違いです。琵琶湖では進むか戻るかの選択しかありません。

淡路島
淡路島(地理院タイルを加工)

岩屋港スタートで時計回りに洲本から西海岸に入って岩屋港に戻るコースなら、初心者でも1日で対応可能です。体調や天候次第では手前の淡路から西海岸に入るコースに短縮することができます。

サドイチは約210キロです。当日のコース変更は可能ですが、どのみち船で渡らないとスタート地点に立てません。気軽に行ける場所ではありません。

佐渡島
佐渡島(地理院タイルを加工)

第三者委員会の報告書

報告書で初めて知りましたが、アワイチ絡みのパワハラが指摘されていたようです。(調査報告書 公表版 第9章~第12章 84~85ページ)

(1)アワイチ報道とその後の淡路県民局長への対応
ア 淡路島は、周囲が約150キロで、自転車であれば1日で一周するこができる。そのため、淡路島を自転車で一周するコースは、アワイチと呼ばれてサイクリング愛好者に人気がある。
イ 淡路島一周のサイクリングをするサイクリストは、岩屋港を起終点とすることが多い。そこで、兵庫県では、土木事務所が中心となり、岩屋港にスタートとゴールの様子を撮影するためのモニュメントを建築した。そして、その除幕式を令和5年3月3日の金曜日に行うこととした。
ウ NHKは、数日前に除幕式が行われることを知り、インタビューを行うので淡路県民局長からのコメントがほしいと申し入れた。局長は、自分が出るより担当した若手職員が対応した方が職員のモチベーションアップにつながる等と考え、インタビューには若手職員に答えてもらうことにした。そして、土木事務所に上記の対応方針を齋藤知事に伝えてもらうよう依頼した。
エ 3月3日、NHKは、若手職員へのインタビューを交え、除幕式の模様を報道した。齋藤知事は、これを視聴し、自分が聞いていない出来事がテレビで報道されたと問題視した。
オ 翌3月4日(土曜日)、齋藤知事は所要で淡路を訪れた。しかし、県民局長とは出迎えと見送りの際に挨拶を交わしたほか、会話をしなかった。県民局長は、何があったのかと不安になったが、翌週になり、自分の聞いていないことについて報道があったと齋藤知事が立腹している旨が伝わり、その理由を理解した。
カ 淡路県民局長は、自分の判断ミスであるとして、別の行事で齋藤知事が淡路を来訪した際に謝罪した。これに対し、齋藤知事は、「サイクリングは知事マターだから」とのみ答えた。局長は、サイクリングが知事マターであると聞いたことはなかったが、齋藤知事がサイクリングに関心があるとは聞いていたので、更に深く自分の判断ミスとして当該事象を受け止めた。
キ 淡路島では、毎年秋に自転車で島を一周するロングライド150というイベントが開かれる。淡路県民局長は、令和5年4月11日、知事協議を行った際、前年の除幕式のことがあり、「サイクリングは知事マターである」とも言われていたので、イベントの準備状況を報告した。しかし、齋藤知事は、説明に対し、多忙な中、この時期に齋藤知事がその問題について報告を聞く必要があるのかと、突き放した対応をした。
ク なお、齋藤知事は、除幕式の報道の件も、ロングライド150の説明の件も記憶にないと述べる。しかし、多くの職員が供述し、その内容が一致していること等に鑑み、本調査委員会は、その事実があったと認定する。
ケ 当時の淡路県民局長をめぐっては、その他として、複数の職員(幹部職員や知事の近くで仕事をする職員の一部を含む。)が、周りから見ていて、当時の淡路県民局長は齋藤知事から遠ざけられている、知事は県民局長との協議の際不機嫌な態度で対応することが多いと感じたと語っている。
 ただし、齋藤知事は、当時の淡路県民局長に冷淡に接したことはないと述べている

残念な出来事

第三者委員会ではこの案件をパワハラ認定していません。パワハラ認定しなかっただけで「残念な出来事」と総括されています。(調査報告書 公表版 第9章~第12章 106ページ)

(2)アワイチ報道とその後の淡路県民局長への対応について
ア 齋藤知事は、アワイチのモニュメント除幕式について、当時の淡路県民局長を直接に叱責したものではない。他の職員を通じてその旨を伝えさせたという資料も損していない、局長に対して冷淡であったとか、協議の場で不機嫌な態度で望むというのは、周囲の者や会議に同席した者の感想であるが、局長本人はそのような意識は有していなかった。
イ その意味で、本調査委員会は、淡路県民局長への対応そのものをパワハラと認定することはしない。
ウ しかし、この件をきっかけとして、自分の知らない出来事が報道されると齋藤知事の怒りの対象となるという噂は庁内の一定範囲に広まった。その噂は、齋藤知事の了解なしに報道に出るべきでないとの雰囲気を醸成する一助となったことは事実である。
エ 組織が活性化するためには、職員の積極的な行動が求められる。トップである齋藤知事は、できるだけ寛大な態度で職員の行動を受け止め、積極性を阻害せず、むしろ後押しするべき立場にある。本件は齋藤知事の言動が職員の積極性を阻害する方向に働いた点で残念な出来事である。

16件中パワハラ認定されたのが10件で、認定されなかったのは他に5件あります。

  • 本調査委員会は、片山元副知事との関係で付箋を投げた行為は、パワハラに当たるとは断定しないが、パワハラの疑いが残ることは指摘しておく(111ページ)
  • 本件については、齋藤知事による感想の伝え方、C氏からの職員への伝達の仕方に配慮が欠けていた点があることは否めない(112ページ)
  • 具体的な事象が明らかでないので、その発言をパワハラでるとはしないが、上記イの職員らからの情報に鑑みれば、実際に適切を欠く場面が存在した可能性もあったと判断したことを指摘しておく(114ページ)
  • 多数の者が不公平と感じる人事は、パワハラに当たるか否かは別として、なるべく避けるべきである(118ページ)
  • 例年に比し約140万円もの高額の費用が支出されたことは、県民にとっても不利益な、必要性のない支出であり、問題であると思料する(118ページ)

問題があるから記述されるのでしょうが、パワハラ認定されなかったことはシロ判定を意味するものではないようです。

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