アメダス八幡の郡上市は中濃なのに飛騨扱いされがち

郡上八幡城の威光

岐阜県郡上郡の7町村が合併して面積1000k㎡超の郡上市(ぐじょう-し)が発足したのは2004年3月です。合併前7町村の難読度は高めです。

A八幡町はちまん-ちょう1954合併(八幡町・川合村・口明方村・相生村・西和良村)
B大和町やまと-ちょう1955合併(西川村・弥富村・山田村)
A白鳥町とり-ちょう1956合併(白鳥町・牛道村・北濃村)
S高鷲村たか-むら
C美並村みなみ-むら1954合併(下川村・嵩田村)
C明宝村めいほう-むら1992改称、←明方村(みょうがた-むら)
B和良村わら-むら

美並明宝はいいとしても、和良はちょっと不安です。大和は「だいわ」読みが宮城で現存しており、広島にもあったことから確信を持てるものではありません。

八幡には「はちまん」「やはた」「やわた」の3通り読みがあります。蓋を開けるまでわかりません。白鳥は「そっちかぁ」ですし、高鷲に至ってはむしろ「なぜ?」の部類です。

郡上八幡駅は1929年の開業当初よりその名称です。1889年開業の東海道本線・八幡駅(はちまん-)が近江八幡駅に改称されたのは1919年、鹿児島本線・八幡駅(やはた-)の開業は1902年です。旧国名ではなく郡名が冠せられたのは、やはり1559年築城の郡上八幡城によるものと思われます。

同じ長良川鉄道には郡上大和駅もありますが、こちらは1932年開業時は美濃弥富駅であり、越美南線(えつみなんせん)が長良川鉄道へ第三セクター転換された1986年に改称しています。

長良川鉄道
長良川鉄道(地理院タイルを加工)

長良川鉄道はJR九頭竜線(越美北線)と連結される計画でした。越美南線終着の北濃駅開業は1934年、越美北線終着の九頭竜湖駅開業は1972年です。鉄道としても全通しなかった路線ですが、今でも高速道路は九頭竜ダム区間の10数キロがつながっていません。

警告しても禁止せず(川ガキ)

長良川に吉田川が合流するのが郡上八幡です。夏の風物詩的に扱われる吉田川への飛び込みは新橋かその上流の学校橋で行われるようです。水面からの高さは新橋が12m、八幡小学校脇の学校橋が10mだそうです。新橋の看板は「警告」しているだけで「禁止」はしていません。

新橋の警告看板

さて、前述の合併によって郡上市の面積は全国の基礎自治体中27位にランクされることになりました。気温観測を伴うアメダス観測所は市内に標高271mの八幡と430mの長滝があります。Wiki「郡上市」のページには次のような記述があります(2025/04/17閲覧)。

地域によって中央高地式気候・日本海側気候・太平洋側気候に分かれている。旧美並村・旧和良村以外は豪雪地帯であり、天気予報では岐阜県飛騨地方を参照することとなる。

気象庁的には郡上市は美濃地方の中濃に区分されています。

岐阜県の気象区分
岐阜地方気象台>特別警報・警報・注意報、天気予報の発表区域

飛騨扱いされることはさほど珍しくありませんが、郡上市は美濃、下呂市は飛騨が正解です。

アメダス八幡

Wikiの記述はあまり正確ではないはずです。アメダス長滝については飛騨のほうが妥当とも言えますが、アメダス八幡ではやはり美濃地方の予報を尊重すべきです(とりわけ夏)。

アメダス八幡
アメダス八幡(地理院タイルを加工)

一般的にアメダスが設置されているのは公有地ですが、アメダス八幡は自動車学校の脇です。郡上八幡城からは1.5キロほど離れています。

アメダス八幡

気になるのが雨量計です。50センチほどの高さはありそうですが、今年の2月8日にはアメダス長滝の積雪が186センチでした。郡上八幡城は2月5日〜21日の期間、登山道が通行止めになり臨時休城しています。

このニュースはおそらく2月5日のものと思われます。この日の長滝の最大積雪深は129センチです。山内一豊夫妻の像がある城山公園は標高250mほどです。高さ50センチなら辛うじてセーフとは思われますが際どいラインです。アメダス八幡には積雪観測がありません。

年平均気温、最高気温、夏日など

アメダス八幡は移転していません。年平均気温は次のように推移しており、2024年に初めて14℃台に達しました。

八幡の年平均気温の推移
気象庁>八幡(岐阜県) 年ごとの値 詳細(気温・蒸気圧・湿度)

アメダス八幡の最高気温は2007年8月16日と2018年7月22日に観測された39.8℃です。前者は熊谷多治見で40.9℃、後者は多治見では40.7℃、美濃で40.6℃を観測した日になります。実績的には40℃予備軍の一角を占めています。

猛暑日の最多は同年の28日でしたが、昨年はこれに並びました。真夏日は2023年と2024年が83日です。夏日は去年が143日でした。熱帯夜は滅多になく、通算でも7日に過ぎませんが、去年は2日ありました。

八幡の夏日、真夏日、猛暑日

最低気温は1981年2月28日のマイナス14.1℃、直近のマイナス2桁は2012年2月3日のマイナス10.5℃になります。冬日は7年連続で100日を割り込んでいます。真冬日は2017年に7日ありましたが、去年は1日だけでした。

八幡の冬日と真冬日

2022~2024年の観測値

2022年から2024年の観測値は次のとおりです。降水量は年3000ミリ台も珍しくありません。反面、日照が限られますので美濃より飛騨という印象が残るのかもしれません。

年降水量2499.0ミリ183位/1285地点
年平均気温13.2℃505位/916地点
年最高気温39.1℃18位/916地点
年最低気温-8.4℃539位/916地点
年較差47.5℃185位/916地点
年平均風速0.4m/s913位/915地点
年日照時間2024.2時間282位/842地点
▲八幡の2022年観測値(順位はすべて降順)
年降水量2813.5ミリ93位/1286地点
年平均気温13.8℃518位/917地点
年最高気温39.1℃31位/917地点
年最低気温-8.0℃446位/917地点
年較差47.1℃290位/917地点
年平均風速0.4m/s915位/916地点
年日照時間2188.9時間209位/844地点
▲八幡の2023年観測値
年降水量3213.0ミリ87位/1285地点
年平均気温14.4℃503位/916地点
年最高気温38.1℃129位/916地点
年最低気温-5.3℃413位/916地点
年較差43.4℃336位/916地点
年平均風速0.4m/s914位/915地点
年日照時間2031.6時間285位/843地点
▲八幡の2024年観測値

年平均風速は弱いほうから全国2位が指定席です。最大瞬間風速は2021年8月17日の22.1m/sで、20m/sオーバーはこの日だけです。とくに台風が通過した日というわけではありません。

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