地方議会政倫審の審査対象議員から提出された意見書

高見ちさき・姫路市議

姫路市議会の政治倫理審査会は3月7日付「審査結果報告書」を議長に提出し、高見千咲市議を辞職勧告相当としました。政倫審には百条委員会のような強い調査権限は与えられていません。調査対象者が非協力的なら調査のしようがないというのが実態です。

「姫路市議会議員政治倫理条例」にも一応は協力義務の規定がありますが、違反しても罰則は「公表」です。

第11条 審査対象議員は、審査会から会議への出席又は調査に必要な資料の提出を求められたときは、これを拒んではならない。
2 議長は、審査対象議員が審査会の調査に協力しないとき、又は審査会に対し虚偽の報告をしたときは、その旨を公表するものとする。

民事裁判では第1回口頭弁論期日を欠席すると相手方の主張が全面的に認められます。いわゆる欠席裁判です。反論することは何もないとみなされてしまうわけです。高見氏は昨年11月末から議会を欠席しています。

アルコール片手の新年会に参加したり、祭りで太鼓を叩いたり、伊丹市長選で選挙カーの助手席に乗ったりはできるのに、市議会には出席できないという便利な病気に罹患した高見氏は3月19日付で「意見書」を議長に提出しています。

高見千咲市議提出の意見書
姫路市>高見千咲市議提出の意見書

「別紙」に記載されているのは、「倫理観にかけている」「地域を馬鹿にするような発信をするべきではない」など枝葉末節部分への反論です。高見氏が協力的でない以上、審査会はロクな調査ができません。報告書が議事録になってしまったのは同情の余地があります。

いわゆる不適切投稿のメインテーマは県警の通達と稲村候補の1000億庁舎建設推進です。どちらにも触れない「意見書」に何の価値があるのだろうと思わなくもありませんが、政倫審にかけられた他の議員はどのような意見書を提出しているのか調べてみました。

朝来市議と元・豊郷町長

藤本邦彦・朝来(あさご)市議は政倫審にかけられましたが、無罪放免となったようです。そのせいか「議会としての優秀さ、レベルの高さ、そして人権意識や倫理観の高さを世に知らしめるもの」と絶賛しています。

藤本邦彦市議提出の陳述書
朝来市>藤本邦彦市議の陳述書

滋賀県議会では手書きで「異存はない」とする意見書が提出されています。大野和三郎県議です。この名前にはうっすら記憶があります。

大野和三郎県議提出の意見書
滋賀県>大野和三郎県議の意見書

大野氏は1999年の豊郷町長選に立候補、旧・豊郷小学校校舎の解体問題でリコールが成立、リコール後の町長選で再選され校舎は保存されることになりました。アニメ第1期「けいおん!」は2009年4月放映開始です。

旧・豊郷小学校

2011年から県議に転じた大野氏ですが、昨年10月に政務活動費を巡る詐欺容疑で在宅起訴され、翌11月に議員辞職しています。上の意見書は2023年のパワハラ事案に関するものです。

ハンケツ?

2023年12月、松田正・鳥取県議は政務活動費の不適切処理などで県議会から辞職勧告決議を受けました。退席1人の全会一致(総員賛成)は高見市議と同じです。この時点では任意の聴取が始まっていたこともあって、「深く反省いたしております」としています。

松田正県議の意見書
鳥取県>松田正県議の意見書

松田氏は私的流用を認めて全額を返還、昨年5月に書類送検されましたが、7月に鳥取地検は起訴猶予処分としました。進退については、次期選挙には出馬しないとしただけで議員辞職はしていません。

なお、今年3月にようやく議員辞職した光本圭佑・尼崎市議は辞職勧告決議が3回可決されており、3回目の決議は政倫審の審査を受けてのものでしたが、光本氏は意見書を提出していないようです。提出は義務ではありません。

一昨日(4/21)、高見千咲・姫路市魏が市役所内で記者会見を開いて、不適切投稿とされるX投稿を削除する意思がないこと、議員辞職せず5月から議会に復帰することなどを述べました。子守氏も指摘していたように、次の発言は他の議員に対してあまりに失礼です。

●今回、1名を除く全員が可決しましたけれども、実際に全員議員が報告書を読んでいるとは正直思わないんです。(13:30)

報告書の内容は高見氏を断罪するものです。他の議員が報告書を読んでいないから辞職勧告が可決されたのだと主張すると話の辻褄が合わなくなります。ここは「報告書」ではなく高見氏が提出した「意見書」の意味だったのかもしれません。

記者との質疑応答に入る前の冒頭発言で高見氏は次のように述べています。こうした会見に臨むのは初めてでしょうから、気の毒な面はありますけど…。

●それをご覧になった市民の方々から頂く声として、これは報告書としてあまりに杜撰なので、議会の判決というのがやっぱり納得できないという声があまりに多いです。私自身もまったく納得ができていませんし、辞職勧告という重い処罰に至ったということに対して非常に残念に思っています。(6:15)

ハンケツ? 議会が判決を下すことはありませんので「判決」とは「議決」の言い間違いでしょう。高見氏自身の発言もずいぶん杜撰です。

※カッコ内の(分:秒)はABCのフル動画に合わせた時間です。動画は次回埋め込みます。

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