湊川神社の楠公武者行列に公務で参列した斎藤元彦知事

皇居前広場の楠木正成像

昨日(28日)、兵庫県人事課所管の第三者委員会が調査結果に関する記者会見を行い、「E氏の漏えい行為は、知事及び元副知事の指示のもとに行われた可能性が高い」と結論づけています。E氏とは昨年7月から情報漏洩が指摘されていた元・総務部長のことです。

元・総務部長は停職3か月の処分を受けることになりました。これによって、斎藤氏はますます窮地に追い詰められたわけですが、今日は湊川神社です。皇居前広場で颯爽と馬にまたがっている武将が楠木正成です。

皇居間広場の楠木正成像

東京三大銅像の1つだそうですが、日本三大騎馬像というのはないようです。個人的には霞城公園の最上義光像や仙台城跡の伊達政宗像よりランクは上です。二重橋駅B6出口から5分もかかりません。100m先には「楠公レストハウス」もあります。

楠公レストハウス

環境庁直営ではないのでしょうが(外苑の所有は環境省)、喫茶・レストランの営業は10時~15時半です。金箔特選宇治抹茶ソフトは別にして、ランチは食べてみる価値があります。菊の御紋入りのグッズも販売中です。たぶんツアー客で溢れているでしょうけど…。

誰が聞いた? 七生滅賊

楠木正成は紙幣にも使われたことがあります。1944年に発行された「い五銭」券です。日本銀行券としては額面がもっとも少額ですが、太平洋戦争末期の金属不足から硬貨との併用でした。このときのデザインも皇居前広場像が採用されています。

湊川神社に祀られている楠木正成の出自には諸説あり非御家人説もありますが、奈良府県境に近い大阪の赤坂千早村に「楠公誕生地」の碑があります。

楠公誕生地

鎌倉幕府が倒れたのは隠岐島を脱出した醍醐天皇が船上山(せんじょうさん)に籠城していた1933年です。このとき、倒幕側=後醍醐側として足利尊氏、新田義貞、楠木正成は同じ陣営です。

  • 1318 後醍醐天皇即位
  • 1324 正中の変、後醍醐天皇が倒幕運動を疑われる
  • 1331 元弘の乱、後醍醐天皇が隠岐島に流される(楠木:倒幕側)
  • 1333 足利尊氏による六波羅探題陥落、新田義貞による鎌倉陥落(楠木:倒幕側)
  • 1935 足利尊氏が九州に敗走(楠木:後醍醐側)
  • 1936 足利尊氏が東進、楠木正成&新田義貞が湊川の戦いで惨敗(楠木:後醍醐側)

1935年末から足利尊氏vs新田義貞&後醍醐天皇の確執が表面化、楠木正成は後醍醐天皇に足利尊氏との講和を進言しますが、これを退けられて負けを覚悟の湊川の戦いに臨むことになります。「太平記」によれば、楠木正成は弟の正季(まさすえ)と刺し違えて自害したそうです。

正季は「七生マデ只同ジ人間ニ生レテ、朝敵ヲ滅サバヤトコソ存候へ」と言ったとされており、これが「七生滅賊」(太平洋戦争時は「七生滅国」)の大元です。フィクションに決まっています。全軍壊滅である以上、誰も聞いていないはずですから…。

楠木正成は天皇に対する忠臣との評価を受け、明治期の教科書にも登場します。湊川神社の創建は1872年(明治5年)ですが、政府の資金で賄われています。皇居前広場に銅像が建立されたのは1897年です。

公務で神事に

斎藤氏が参加した「楠公武者行列」は楠木正成の命日(5月25日)に合わせて行われるようです。隠岐島から帰還した後醍醐天皇を楠木正成が出迎え、京都まで先導したことにちなむものです。

後醍醐天皇が隠岐島を脱出したのは1933年2月、足利尊氏が六波羅探題を滅亡させたのは5月、後醍醐天皇の凱旋入洛は1933年6月です。楠木正成は兵庫で出迎えたようですが、この兵庫が湊川かどうかは確認できませんでした。

行列は1874年(明治7年)に始まったとされていますが、明治4年説もあります。明治4年なら神社は工事中ですが、命日には湊川で「楠中将霊祭」が行われていますので、小規模な行列があったのかもしれません。

1960年代半ばまでは毎年開催されていたようです。前回は2018年、前々回は2012年です。前回も前々回も当時の井戸敏三知事は参加していますが、あくまでも私人としての参加のようです。前回は河内長野市長も参加しています。ほかにも、あおい輝彦や元・阪神の下柳剛などが参列したことがあるようです。

斎藤氏の場合、公務だそうです。知事車のアルファードも目撃されています。7年ぶりということで、前回のスタッフが不在だったのかもしれません。

足利尊氏は亀岡市の篠村八幡宮から挙兵して六波羅探題を陥落させました。もともとは西国の討幕勢力対策で幕府が派遣したものです。出発時点では足利尊氏は幕府側でしたが、船上山の後醍醐天皇に密使を送っていたようです。

後醍醐天皇の凱旋
脱出→凱旋(地理院タイルを加工)

後醍醐天皇は瀬戸内海ルートで京都凱旋を果たしたということのようです。

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