備前♥日生大橋
ハートマークを含む正式名称「備前♥日生大橋」があるのに気づきました。「・」の代わりが「♥」ならそんなに目くじらを立てることもありませんが、ずいぶん大きめの「♥」です。

「♥」をなんと読むのだろうという疑問はあります。どうやら「♥」の読みは自由ということになっているようです。

開通式典と思われる屋内会場で備前市まちづくり部の部長さんがペーパーを読み上げながら「びぜんはーとひなせおおはし」と呼んでいる映像が確認できました。現地式典のアナウンスは「びぜんはーとまーくひなせおおはし」だったようです。
式典では「未来へ向かってハートを届けます」のアナウンスとともに、黄色い帽子の幼稚園児?らがハートマークの風船を飛ばしています。橋の名前は公募によるものだそうです。この橋は仮称「日生大橋」として着工、2015年に開通しています。
鹿久居島(かくいじま)と頭島
JR赤穂線は相生駅(あいおい-えき)から東岡山駅の区間を走る単線です。複線の山陽本線が山側ルートため、沿岸部を東西に結んでいます。海側ルートの赤穂線ですが、車窓から瀬戸内海を眺められるのは日生駅(ひなせ-えき)付近に限られます。

日生町は2005年3月に備前市・吉永町との合併で(新)備前市になっています。「あっぷる市」案があった青森県板柳町と鶴田町との間で設置されていた合併協議会が正式に解散するのは翌4月です。橋は本土と鹿久居島を結ぶものです。
2004年には鹿久居島と鹿久居島南東部の頭島(かしら-じま)とをつなぐ頭島大橋が開通しています(赤丸は後述)。地図でその大きさだけ見ると意外ですが、観光地化が進んでいる頭島の人口は350人程度、鹿久居島は開通当時から10人レベルです。
本土と離島を結ぶ架橋ではその離島の名前が橋の名前に使われるのが一般的です。当初の仮称が「鹿久居島大橋」ではなく本土側の「日生大橋」だったのは鹿久居島の人口の少なさに起因するのでしょう。ここに「♥」が割り込む余地があったわけです。
「~大橋」でなくてもという議論はできそうですが、約300mの頭島大橋が「~大橋」である限り、その倍以上の長さの橋が「~大橋」でないことは考えにくい話です。首都高の大橋JCTが「大橋」なのは、目黒川に架かる国道246号の橋がその由来です。せいぜい20mです。
鶴島と首切島
岡山県で最大の島が鹿久居島です。鹿久居島の人口が少ないのは、その名のとおり鹿の食害で開墾が進まなかっただけでなく、この島が江戸時代の流刑地だったからのようです。
小学生でも泳いで渡れそうなほど近く、しかも広い島は流刑地としては適さないような気もしますが、囚人の人権は考慮されない江戸時代の話です。きっと足かせ付きだったに違いありません。そうだとすれば開墾のためには広い島のほうが都合が良さそうです。

鹿久居島の南東側には鶴島という島があります。明治に入ってすぐ長崎で捉えられたキリシタン117名が送られ、信教の自由が認められるまでの3~4年間、改宗と開墾を強制された島として有名です。

なお、いわゆる首切島(見附島)は鹿久居島から200mもない位置の小さな島のことです。ここで処刑されたのは江戸時代の囚人であり、明治初期に鶴島に送られたキリシタンではありません。この両島は無人島です。
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