富士山頂
日本郵政のWebサイトには次のような記述があるのに気づきました(「日本一高い場所にある富士山頂郵便局。過酷な環境でも働く理由とは?」)。
郵便局が設置されている山頂の標高は3,776メートル。酸素濃度は、普段、日常生活をおこなっている場所の3分の2程度。平均気温も20度以上低いといわれています。
富士山山頂の標高は3776mですが、郵便局は本当の山頂より50m以上低い位置にあります。各登山口の合流地点にあるのが浅間大社奥宮で、奥宮の施設を間借りしているのが山頂郵便局です。最高標高の剣ヶ峰まで、まだ水平距離で400mほど歩かなければなりません。
引用したセンテンスは間違いではないとしても厳密さには欠けます。文鮮明氏は10月に富士山に登ったと言っているだけで山頂まで登ったとは言っていません。日本郵政さんは山頂(付近)に郵便局があることを言っているだけです。

富士山の8合目より上は浅間大社の所有です。寺院と異なり神社は開放空間が建前です。神社は原則として門を設けず、日光東照宮や厳島神社などを一部例外を除き拝観料も取らない準公共空間です。私有地ですが誰もが自由に立ち入って構わないという建付けです。
県境はないが、市町村境はある?
所有者が浅間大社であることは最高裁で確定していますが、県域となると次元は異なります。同一所有者の土地に県境があってもいいわけです。宗教法人ですから、どのみち固定資産税は非課税です。
静岡県と山梨県は山頂付近の境界未確定地域については、互いに領有権?争いをしないということで知事間の合意が成立しています。必ずしも成文化されたものではないようです。

富士山山頂付近の関係市町村は時計回りに12時から次の6市町村です。
(1)山梨県富士吉田市
(2)静岡県小山町
(3)静岡県御殿場市
(4)静岡県富士市
(5)静岡県富士宮市
(6)山梨県鳴沢村
地理院地図を見ると、たしかに県境の太線は途切れていますが、両県内の市町村境は細い線で描かれています。

境界がないのは、山梨県鳴沢村&静岡県富士宮市の間と、山梨県富士吉田市&静岡県小山町の間だけです。青マーカーの浅間大社奥宮は6市町村境界の可能性を残しますが、最高峰地点の剣ヶ峰は鳴沢村か富士宮市のどちらかです。
5町村境界の羊蹄山
北海道の羊蹄山は5町村境界です。さながら北米大陸の国境のように直線の境界線が示されています。倶知安(くっちゃん)町、京極町、喜茂別(きもべつ)村、真狩(まっかり)村、ニセコ町の境界点です。

羊蹄山の最高標高は1898mです。5町村境界があるのは火口内で、その標高は1700m程度です。この火口内に5町村境界標が埋め込まれているのか、それとも単に緯度経度で指定されているだけなのか、羊蹄山の最後の噴火は約2500年前とも約1000年前とも言われています。

境界点は火口内最深地点というわけでもなさそうです。最深部はマーカー右の黒い部分で雨が溜まります。境界地点はもともとは1901年の狩太(かりぶと)村の分村時にできたもののようです。
- 1893 倶知安村が成立、1916町制施行
- 1897 虻田村から真狩村が分離(この真狩村は今の留寿都村)
- 1901 真狩村から狩太村が分離、1950町制施行、1964ニセコ町
- 1910 倶知安村から東倶知安村が分離、1940に京極村に改称
- 1917 真狩村から喜茂別村が分離
- 1922 真狩村から真狩別村が分離、1925真狩村が留寿都村に改称、1941真狩別村が真狩村に改称
まだ活火山認定されていなかった時代ですので、境界標がないとも言い切れません。





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