飯山線、100回の発進・停止に耐えた列車の屋根の遺体

愛知県阿久比町の42歳

5月15日に飯山線の列車の屋根から男性遺体が見つかった「事件」について進展があったようです。

●遺体の身元が判明、愛知県の阿久比町在住で無職42歳、家族によれば自殺前兆なし
●所持品はスマホのみ、財布などは発見されず、死亡推定時刻は引き続き調査中
●死因は多発外傷(感電ではない)、第三者の関与は薄い
●当該列車は16時26分発の越後川口行として十日町駅で待機中

阿久比町(あぐい-ちょう)は知多半島の根元です。発見された12時33分発の列車に乗るには、阿久比駅8時15分発の名鉄特急、9時ちょうど名古屋発の特急で11時59分長野着になります。

阿久比町
阿久比(地理院タイルを加工)

遺体発見が十日町駅であることから所轄は新潟県警十日町署です。世界有数の豪雪地帯ですから、当然のようにタテ型信号機です。

十日町警察署

看板の「妻有郷」は、Google日本語入力でもMS-IMEでも「つまりごう」で変換できません。十日町や津南を指す地域名です。妻有そばや最近では妻有ポークが有名です。ズバリ「妻有郷」という日本酒もあります。

防犯カメラは下向き

身元が報じられたのは23日ですが、スマホを持っていたのなら、もっと早く身元はわかっていたものと思われます。私はスマホは線路脇に落ちたのではないかと思っていました。いくら単線といえども、線路敷の両側を100キロ以上探すのは気の遠くなるような話です。

スマホだけ持って、阿久比町から200キロ以上離れた長野まで来るとは思えません。ほかの所持品はどこかの施設で落とし物や忘れ物として処理されているか、振り落とされて身につけていなかったものと思われます。

死亡推定時刻については推理小説やアニメのように簡単にはわからないもののようです。今のところ、発見前日の14日水曜日の長野発では屋根の上に乗っていたということが報道されているだけです。

これは14日正午過ぎの出発時には乗っていたけれども、13日の出発時は乗っていないという意味だと思われます。13日の長野到着時は夜で暗いためにわからないということなのでしょう。同じ車両が同じ編成で使われるという前提ですが…。

各種防犯カメラは建物の庇や天井から道路またを床を撮る画角が一般的です。カメラを上に向けることはあまり実用的ではありません。したがって、列車の屋根の上を捉えた映像は限られるはずです。生存しているかどうかは映像ではわからないものでしょう。

死因が多発外傷ということですから、他殺説がほぼ消えたことになります。誰かに突き落とされた可能性が排除できるわけではないにしても、息絶えた後に乗せられたわけではなく、転落死ということのようです。

(1)事故で転落したのか
(2)自分の意思で落ちたのか

それよりナゾなのは、なぜ振り落とされなかったかということです。単に服の一部が突起物か何かに引っかかっただけでは落ちてしまうはずです。越後川口駅まで行く列車なら長野駅を含めて35駅です。1.5往復ですから、約100回の発進と停止を繰り返しています。

営業キロ長野駅(2駅)
10.8豊野駅(6駅)
30.0飯山駅(10駅)
60.5森宮野原駅
63.3足滝駅(6駅)
86.1十日町駅(4駅)
107.5越後川口駅
▲飯山線

落ちない理由

遺体収容時の画像はもちろん撮影されているはずですが、公開は絶望的です。映画やアニメの世界では、走行中の列車の上に逃走し、それを追跡するシーンがないわけではありません。あくまでもフィクションの世界であり、現実にできることではありません。

屋根の上の機器に挟まってしまったとか、空洞のような部分に入り込んでしまったとかでなければ、振り落とされないほうが不思議です。

気動車の屋根
鉄道総合技術研究所>気動車の屋根上における排気流れの数値シミュレーション

この図で排気管と屋根上機器の間のスペースがサイズ感ぴったりという条件で、遺体がすっぽり収まったとするなら、落ちないことも考えられなくもありません。狙ってもなかなか成功しそうにはありませんが、何千回か試みればうまくいくこともあり得るのでしょう。

後頭部に傷を負ってもバウンド?加減で、うつ伏せ状態になることもあるのかもしれません。私は自分の意思で屋根に登ったのではないかと考えていました。

ニコ動実況中に富士山から滑落した事故は2019年10月28日に起きたものです。ライブ主は47歳男性でした。そのはるか以前から単線の気動車ならガラス越しでない前面展望が撮影可能ではないかという話はありました。

大半が無人駅ですし、すれ違う列車が少なく発見されるリスクも少なくなります。始発と終点と列車交換駅と車庫がネックになりますが、人員配置は薄いはずです。幸いにも、そういう話ではなさそうです。

なお、今では前面展望の動画は江ノ電や大井川鉄道など鉄道会社自身が公開しています。もちろん、車内から撮影したものです。

【2025/05/29追記】
●発見したのは跨線橋を通っていた高校生
●遺体があったのは2両編成2両目の後方(発見車両の運転手からは遠い)
●捜索願は出ていなかった

コメント

タイトルとURLをコピーしました