2%前哨戦、NHK党関西初議席の尼崎で市議選告示

淀川は府県境の川ではない

新宿から橋本方面に向かう京王相模原線の電車に初めて乗ったとき、不思議な感覚がありました。多摩川に架かる鉄橋を渡って神奈川に入ったはずなのに、すぐに東京に戻ってしまうのです。

多摩川
多摩川(地理院タイルを加工)

マーカーが調布以西の相模原線の駅、赤は東京都、青マーカーは神奈川県の駅です。そこは「多摩川=都県境の河川」の方程式が通用しない迷宮でした。

東の多摩川に対して西の淀川は大阪府と兵庫県の「府県境の河川」と誤解されがちですが、まったくの誤りです。大阪と尼崎の市境の川は神崎川(かんざき-がわ)です。JR尼崎駅は1874年に神崎駅として開業しており、尼崎駅に改称したのは戦後の1947年です。

淀川と神崎川
淀川と神崎川(地理院タイルを加工)

尼崎市が神崎駅のある小田村を編入したのは1936年です。このため、狭義の尼崎とは尼崎城に近い阪神尼崎駅付近のみを指します。尼崎町が周辺の立花村・小田村・大庄村・武庫村・園田村を順次編入した結果、今の尼崎市が成立しています。

尼崎市
尼崎市(地理院タイルを加工)

2022年参院選の尼崎票

2022年参院選兵庫選挙区の総得票数と尼崎市内の得票数は次のとおりです。尼崎は伝統的に公明と共産が強いエリアです。

党派A得票数B尼崎市B/A
片山大介維新/現652,38451,9518.0%
末松信介自民/現562,85329,0675.2%
伊藤孝江公明/現454,96251,99611.4%
相崎佐和子立民/新260,49615,0425.8%
小村潤共産/新150,04019,68513.1%
西村しのぶ参政/新88,2316,8317.7%
黒田秀高新風/新33,8701,6324.8%
山崎藍子N党/新27,0573,08711.4%
木原功仁哉無/新25,1132,50310.0%
中曽千鶴子N党/新16,3241,4368.8%
速水肇N党/新14,3231,0937.6%
稲垣秀哉くに/新8,9897978.9%
里村英一幸福/新7,2635217.2%
▲2022年参議院兵庫選挙区の得票数

NHK党から立候補した3人のうち2人が昨日8日に告示された尼崎市議選にも出馬しています。市議選の当選ラインは2100票前後です。

やまさきあいこ氏2022参院選の選挙公報
速水はじめ氏2022年参院選の選挙公報

この2人は諸派党構想に乗っかったようで、当時の選挙公報ではNHK党を称していませんが、選管的にも報道的にもしっかりNHK党候補者としてカウントされています。

すべては2%のため

中曽ちづ子氏2022年参院選の選挙公報

「NHK党」公認を前面に出した中曽氏の公報には次のように記載されています。

1票が約250円、つまり、選挙区と比例区の2票で約500円の政党助成金が交付されます。

比例票の掘り起こしだけでなく選挙区2%をクリアするために、勝てない候補者をかき集めたのが「諸派党構想」です。中曽氏は参院選立候補前は現職の川西市議でした。2018年10月の市議選で初当選しています。

残り任期が3か月ですので、中曽氏は参院選出馬にあまり障害がなかったのでしょう(2022年市議選は落選)。任期が1年以上残っていた上尾市議の佐藤恵理子(えりい)氏は、出馬要請を断ってN党を離党しています。もちろん、N党からは裏切り者扱いされていますけど…。

さて、NHK党は2015年4月に船橋市議選で立花氏が当選、同年12月の朝霞市議選、2016年4月に志木市議選で議席を得ています。2017年に尼崎市で武原正二氏が当選しており、尼崎はNHK党の関西初議席の地です。

武原氏は1期限りで引退し、どうやらN党からは離れているようです。「武原正二」で検索すると、2021年12月に人命救助で西宮署から表彰されている記事がヒットします。43歳「会社員」とのことです。2017年6月の市議選は39歳ですから年齢的には一致します。

前回2021年の市議選では、武原氏の後継として2019年参議院兵庫選挙区で5万4000票を得た原博義氏の出馬が予定されていたようですが、結果的には立候補せずN党は不戦敗でした。今回はN党公認で今年2度目の市議選に挑む候補が立候補しています。

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