NHK党が自公与党入りするという悪魔的合体のストーリー

3人足りないなら…

自公47議席で過半数に3人足りないと言っても、和歌山選挙区で当選したのは自民党系の望月良男氏です。後ろ盾となる世耕氏は衆院会派「自民党・無所属の会」に属していますので、会派としては自民党と組めるものと思われます。これで48人です。

「チームみらい」の1議席は与党側にいてこそより生かされるものですから、自公側についたとしても別に支持者は逃げないはずです。デジタル大臣とかというポストの問題ではなく何を任されるかの話でしょうから、与党入りにさほど障害はないはずです。

どう使うかはむしろ任命側の能力の問題です。もし与党入りしてたいして成果を出せなかったとしても、1回目は許容されるのではないかと思われます。私も一口乗った者として、その事情は理解しています。これで49人です。

今回、当選した議員でほかに与党入りが考えられそうなのは鹿児島選挙区の尾辻朋実氏でしょうが、さすがにそれはないはずです。当確後に本人は自民復党がないことを明言しています。ここでブレると失うものが大きすぎます。

そうすると、非改選議員を1人以上一本釣りするのが現実的です。比例区議員がターゲットになるはずです。立憲、共産、れいわ、社民から寝返ることはまずありません。国民民主の比例非改選3人は出身労組の関係で身動きできない立場です。

一本釣りの対象になり得るのは、維新の8人とNHK党1人の計9人です。

維新1参2衆1石井 章2009衆院選初当選時は民主
維新2参2石井 苗子2016参院選初当選から維新
維新3参1松野 明美熊本市議時代は自民と同一会派
維新4参1中条きよし政治歴なし
維新5参1猪瀬 直樹2012都知事選は公明と維新が支持、自民支援
維新6参1金子 道仁兵庫維新の会代表(片山大輔氏の後任)
維新7参1衆1串田 誠一2003神奈川県議選は民主公認で立候補
維新8参1青島 健太2019埼玉知事選に自公推薦で立候補
NHK4参1斉藤 健一郎ガーシー氏の議員除名で操上当選
▲維新とN党の2022比例区議員

働きかけそうなのはNHK党

維新の8人については自分から売り込むことはないのでしょうが、自民党から一本釣りの対象として見られているのは間違いないでしょう。これに対して、NHK党なら自分たちから働きかけることがありそうです。

完封負けして今後の展望が示せなくなったNHK党が、是が非でももう1人欲しい自民党の足元を見て接近を図ることはあり得ますが、自民党側はこの悪魔的合体に二の足を踏むものと思われます。一旦は合意が成立しても容易に掌を返して要求がエスカレートしそうだからです。

いくらなんでもN党と組むのは、党内にも公明党にも抵抗があるはずです。森山幹事長が留任する以上、多数派工作は幹事長の役割です。望月氏と安野氏を引っ張り込むのはそれほど難しくはなさそうです。この2人とは普通の交渉です。

自民党にNHK党とのパイプがあるとは思えず、交渉相手は斉藤氏との直接交渉ではなく立花氏との交渉になりそうです。自民党がエサをちらつかせて接触することはないのでしょうが、自民党がN党の首根っこを押さえて締め上げるというケースならあり得そうです。

このパターンでも暴露という裏切りに合う可能性があります。この暴露を封じ込めるには、1980年生まれで40代半ばの斉藤氏が突然死するクラスの穏やかならぬ脅しが必要です。その場合、2022年N党比例5位の久保田学氏が繰り上げ当選することになります。

今回、久保田氏は愛知選挙区から通称の横山緑として立候補して15人中14位でした。とはいえ、斉藤氏が急死したらそれはあまりに不自然です。一度は襲われた実績のある立花氏が再び命を狙われてしまうというストーリーのほうが少しは現実味があります。

まあ、そこまで非合法手段を駆使して自民党側からN党に手を出すとは思えません。そんなことをするぐらいなら、維新から一本釣りするほうがよほど現実的です。

維新の8人の中には、かつて自公の推薦や支援を受けて立候補したり、自民と同一会派を組んだことのある議員が3人います。政治歴のない中条氏もターゲットにはなり得るものと思われます。年齢的にも再選はなく、コントロールのしやすさなら最良のターゲットなのかもしれません。

統一教会系の2人

統一教会系「日本の家庭を守る会」の2候補はともに最下位落選でした。

16/16千葉小笠原 裕8,652(0.3%)
14/14愛知石原 悟15,034(0.4%)
▲統一教会系2候補

世界日報は次のように報じています(2025/07/21、「やれることをやりきった」 家庭連合信者の小笠原裕氏 参院千葉選挙区

演説では家庭連合信者であることを積極的に公表し、文部科学省が教団に出した解散命令請求や拉致監禁を伴った信者に対する強制棄教を批判。妻の薫さん(61)と共に県内を巡りながら、信教の自由と家庭を守ることの重要性を訴えた。安倍晋三元首相の暗殺された7月8日には、街頭で追悼演説会を開いて黙とうを捧げた。

選挙ポスターに「朝鮮人」「バカ」と落書きされることもあったが、非信者の若者から関心を持たれ、話しかけられたことも印象に残ったという。

「日本人ファースト」に感化された向きが「韓国人ファースト」に共感できる理由はまったくありません。一方で「日本人ファースト」に警戒感を覚える層は、国籍でファーストやセカンドは決まらないという立場ですから、どちらにも支持は広げられなかったわけです。

どちらかと言えば同情を示したがる傾向があるのは後者なのに、彼らの主要敵はそこですから、総スカンになるのは当たり前です。解散命令後のたしか毎日の世論調査では解散命令を「妥当だと思わない」が3%いたはずですが、今回の得票率は0.3%と0.4%です。

この選挙結果で、高裁の裁判官は安心して一審支持の判決を下せることになります。

コメント

  1. 通りすがり より:

    静岡の平山佐知子さんはどうでしょうか?

    民主・民進在籍歴はあるものの、現在は立憲・国民両党と距離を置いていますし、昨年の静岡県知事選挙でも立憲・国民が推薦し当選した鈴木知事ではなく、自民が推薦(公明は意外にも自主投票)するも落選した大村慎一さんを応援していました

    因みに他の非改選無所属を見ると、埼玉の上田前知事および茨城の堂込麻紀子さんは国民系無所属、広島の三上絵里さんは立憲系無所属、沖縄の伊波洋一さんはオール沖縄系無所属であるため、安易に自公に擦り寄りづらいと考えられます

    • 沌惑村 より:

      ●引き抜きする側の立場で考えると、3年後には引退する議員を幹事長の機密費で転ばせるのが一番手っ取り早いように思われます。選挙区選出で3年後も出るつもりの議員には手を出しづらいかなと思います。
      ●平山氏は立憲が対立候補を出せばその時点で3選が危うくなる立場ですし、可能なら国民民主との関係も良好に保ちたいところです。リベラル色もあることから、平山氏的には小泉氏ならOKできても高市氏には乗れないだろうと私は見ています。後継が決まらない(続投が決まらない)うちは感触を探る程度かな、と。

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