公明離脱でも国民民主を取り込んで解散断行のシナリオ

もし公明党が連立を離脱しても…

衆参両院の会派構成は次のとおりです。

衆議院参議院
196自由民主党・無所属の会100自由民主党
148立憲民主党・無所属42立憲民主・社民・無所属
35日本維新の会19日本維新の会
27国民民主党・無所属クラブ25国民民主党・新緑風会
24公明党21公明党
9れいわ新選組6れいわ新選組
8日本共産党7日本共産党
4有志の会
3参政党15参政党
3改革の会(維新離党組)
2日本保守党2日本保守党
2沖縄の風
6無所属9無所属
465248
▲衆参両院の会派別議員数

次表2行目のように衆参両院で自公過半数割れしていますが、3行目は自公に国民民主が加わった場合です。

233過半数125過半数
220自+公121自+公
247自+国+公146自+国+公
223自+国125自+国
▲足し算

4行目は公明党が抜けて国民民主との連立組み替えが成立したケースです。参議院では無所属の望月良夫氏(和歌山)を足さなくても過半数に達します。衆議院は過半数に10議席足りませんが、衆議院は解散すればいいだけのことです。

「自公+国」の3党連立になれば公明党は与党第3党です。「自国公」の連立になります。公明が付録扱いされる恐れは濃厚です。もし公明党が連立離脱した場合、短期的には衆院解散へ、中期的には政界再編に発展する可能性が高まります。

「組み替え」vs「組み換え」

問題は公明党にどれだけ覚悟があるかです。自公連立を維持しながら解散できるかどうかが焦点になります。国民民主が乗ってくれば、自民党としては連立の組み替えを争点として解散が打てることになります。

いずれにせよ、15日の国会召集という今の日程は難しく、参院選から3か月の政治空白が生じることになりそうです。「どっちでもいいからさっさと決めろ」という批判が今度は公明や国民民主に向けられることになります。

さて、連立は「組み替え」るものなのか、それとも「組み換え」なのか使用例を調べてみました。

★Wikipedia>連立政権

2009年連邦議会選挙の結果、これまでの「黒赤」左右大連立から中道右派の「黒黄」連立へと与党の組み替えが行われた。

これはドイツのケースです。

★2024/04/23朝日>政権交代、連立組み替え……公明、維新投票層ににじむのは?

世論調査結果を報じるニュースで、公明離脱を前提とするものではありません。

★2025/05/23Yahooニュース・日テレ>岸田前首相、連立の組み替えに言及

岸田氏の「クミカエ」は連立拡大の意味です。一般的には「組み替え」だと思われますが、次の産経の記事では、本文が「組み替え」なのに見出しは「組み換え」です。

★2025/07/29産経>自民旧安倍派から離党の世耕氏、連立組み換えに言及 維新と国民民主は「親和性が高い」

連立組み替えの必要性も唱え、日本維新の会と国民民主党について「親和性が高い」と評価した。「国民民主と組む時には、首相に交代してもらうことが不可避になってくる」とも言及した。

世耕氏のこの発言は参院選後の萩生田光一氏や西村康稔氏との会食を受けてのものです。世耕氏は自民会派ですが、まだ復党には至っていません。ここでは公明党への言及はなく、おそらくこれも連立拡大の意味なのだろうと思われます。

自民側から「出て行くんならどうぞ」とは言えないことですが、今予定されている人事では公明党側がないがしろにされていると思うのは仕方がないと思われます。選挙における予想外の大逆転はハレーションを伴うものです。

新人事

今までのところ、高市氏はメローニ首相になれる可能性はありますが、麻生色が強すぎます。新聞辞令の範囲を含めて骨格人事は次のとおりです。

党役員人事ですから主流派で占めるのは当然だとしても、同一派閥から三役2人に前例があるのか調べたくなります(時間を取りすぎるので今日はひとまずやめましたが…)。

  • 副総裁 麻生太郎(麻生派)
  • 幹事長 鈴木俊一(麻生派)
  • 総務会長 有村治子(麻生派)
  • 政調会長 小林鷹之(旧二階派)
  • 選挙対策委員長 古屋圭司(無派閥)
  • 組織運動本部長 新藤義孝(旧茂木派)
  • 広報委員長 鈴木貴子(旧茂木派)
  • 国会対策委員長 梶山弘志(無派閥)
  • 幹事長代行 萩生田光一(旧安倍派)
  • 官房長官 木原稔(旧茂木派)
  • 外務大臣 茂木敏充(旧茂木派)

新幹事長が予定されている鈴木俊一氏は1953年生まれです。1945年生まれの森山幹事長の後任ですから、若返りではあります。鈴木善幸元首相の長男で、善幸氏の三女(俊一氏の姉)が麻生氏に嫁いでおり、俊一氏にとっての麻生氏は義兄という縁戚関係です。

初当選の1990年から6期連続当選、2009年の政権交代選挙で落選したものの以後は小選挙区で5連勝です。総務会長を2度経験していますので、そうした意味では幹事長有資格者でもあります。

選挙区の岩手2区は本州で面積最大の選挙区です。岩手1区はほぼ盛岡市、小沢一郎氏の岩手3区は花巻市・北上市・一関市・奥州市など内陸南部です。

鈴木俊一事務所

岩手2区は雫石や八幡平などの内陸北部プラス太平洋沿岸部すべてという途方もない広さです。

鈴木俊一事務所

盛岡市の西に隣接する滝沢市にあるのがメインの地元事務所です。

滝沢事務所

県北沿岸の久慈事務所です。

久慈事務所

宮古の事務所は理容店の建物の一部を間借りしているようです。

宮古事務所

大船渡市にあるのが気仙事務所です。海から150mほどです。

気仙沼市は宮城県です。岩手県には気仙郡があり、今は沼田町しか残っていませんが、陸前高田市や大船渡市は市制施行前に気仙郡でした(釜石市の一部も)。

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