裏金560万なのに政倫審にも出ていない山田宏参議院議員

支出は計上済みというロジック

山田宏参議院議員は安倍氏銃撃事件が起きた2022年参院選比例区で改選されています。つまり、今年の夏の参院選では非改選です。裏金事件における不記載額は2018年から2022年までの5年間で計560万円です。

201896万
2019182万
2020100万
2021162万
202220万
5年計560万
▲堀井氏の不記載額

山田氏は公式サイトに2024年1月31日付で「ご報告とお詫び」を掲げています。

派閥の指示に従って処理を行った還付金に関し、私が代表を務める「自由民主党東京都参議院比例区第二十二支部」(政党支部)の政治資金収支報告書に記載漏れがあることが判明いたしました。このような不適切な処理を行ったことについて、代表者として心からお詫び申し上げる次第です。

「還付金」は派閥の指示だったことを強調したうえで、政党支部の代表者としてお詫びするということのようです。「私が何も知らなかったこととはいえ…」と主張できる余地を残しています。

記載漏れとなっていた還付金は、平成30年から令和4年までの5年間で合計560万円でした。当該還付金の使途につきましては、私の関係政治団体である「山田宏事務所」「山田宏よい国後援会」および政党支部の政治活動費・経常経費となっており、その多くがすでに政治資金収支報告書に計上されております。一部記載漏れとなっていた政党支部の支出21万871円につきましては、還付金とあわせて訂正いたします。

どういう意味なのか、即座に理解することができません。
(1)収入の560万は「記載漏れ」だった
(2)支出の多くは別団体で計上済みだ
(3)支部には支出の記載漏れもあった

収入が記載されていないのに支出は記載済みということなら、560万から約21万を引いた約539万の繰越額が増えなけれならないはずです。

不記載額は5年で560万円

「自由民主党東京都参議院比例区第二十二支部」の2022年収支報告書は2025年2月7日付で訂正されています。

支部訂正前訂正後増減
収入総額101,194,403104,034,4032,840,000
 前年からの繰越額26,428,03329,068,0332,640,000
 本年の収入額74,766,37074,966,370200,000
支出総額91,939,30292,150,173210,871
翌年への繰越額9,255,10111,884,2302,629,129
「自由民主党東京都参議院比例区第二十二支部」収支報告書(令和4年分)

「山田宏事務所」の2022年収支報告書も同日付で訂正されています。2018年の96万円は「~事務所」に流れていたということなのかもしれません。

事務所訂正前訂正後増減
収入総額18,010,59118,970,591960,000
 前年からの繰越額1,091,6982,051,698960,000
 本年の収入額16,918,89316,918,8930
支出総額16,592,80716,592,8070
翌年への繰越額1,417,7842,377,784960,000
「山田宏事務所」収支報告書(令和4年分)

「山田宏よい国後援会」の収支報告書も同日付の訂正です。前年までの繰越額が180万増えていますので、2019年の182万円は大半が「~後援会」に入っていたのかもしれませんが、すでに公開期限を過ぎていることから、この確認もできません。

後援会訂正前訂正後増減
収入総額45,128,34146,928,3411,800,000
 前年からの繰越額8,007,0249,807,0241,800,000
 本年の収入額37,121,31737,121,3170
支出総額42,426,93542,426,9350
翌年への繰越額2,701,4064,501,4061,800,000
「山田宏よい国後援会」収支報告書(令和4年分)

全額繰越で収支報告書を訂正

3団体を足し算してみました。繰越額は約539万増えていますので、公式サイトでの説明が破綻するわけではありません。

3団体計訂正前訂正後増減
収入総額164,333,335169,933,3355,600,000
 前年からの繰越額35,526,75540,926,7555,400,000
 本年の収入額128,806,580129,006,580200,000
支出総額150,959,044151,169,915210,871
翌年への繰越額13,374,29118,763,4205,389,129
▲3団体の合計

結局、5年間560万の収入不記載額のうち96万は「~事務所」に入り、180万は「~後援会」の収入になり、残りの284万は「~支部」の収入であり、2022年の支部については約21万の支出不記載が見つかったということしかわかりません。

支出が計上されていたのは、560万のうち96万+180万ですから、「その多くがすでに政治資金収支報告書に計上」との表現は適切ではありません。「多く」ではなく半分です。2025年参院選で非改選だった山田氏は政倫審出席を求められましたが、これを拒んでいます。

萩生田光一氏は記者会見に応じており政倫審にも出ています。選挙も無所属で当選してきました。山田氏はサイト上での一方的な説明だけで質疑には応じず、選挙も経ていません。バレなければ文字どおりの裏金になっていたことを自白しているに過ぎません。

「~事務所」の収支報告には次のような記載もあります。

「山田宏事務所」政治資金収支報告書(令和5年分)

「日本の尊厳と国益を護る会」とは山田氏や青山繁晴氏らが設立した団体ですが、永田町2-1-1-1205」とは山田氏の議員会館の部屋番号です。

杉並家庭教会

新自由クラブで都議を務めていた山田氏が国政に転じるのは1993年の衆院選です。山田氏が旧・統一教会(統一協会)と一切無関係だったはずはありませんが、安倍氏銃撃事件の半年前にはサンクチュアリ協会系の集会にメッセージを寄せています(東洋経済ONLINE>統一教会の過激分派「サンクチュアリ教会」の正体)。

2021年12月12日に都内で開催されたデモでは、日比谷図書館内のホールでの集会も開催された。ともに主催者は「北京五輪ボイコット推進集会・デモ実行委員会」。

サンクチュアリ教会単独ではなく、保守系の活動家や識者などとの寄り合い世帯。とは言え、実質的にそれまでトランプ支援デモなどを繰り返してきたサンクチュアリ教会の信者たちの運動がベースとなっており、彼らも壇上で挨拶をした。

この集会には、国会議員からの応援メッセージも寄せられ、壇上で主催者が代読した。送り主は、杉田水脈、三ッ林裕巳両衆議院議員、山田宏、和田政宗両参議院議員。いずれも自民党だ。

まだ銃撃犯の背後関係が明らかでなかった頃には、被告とサンクチュアリ協会との関係が取り沙汰されました。この集会の時点で、統一教会とサンクチュアリ協会は対立関係にあります。文鮮明氏7男を教祖とする分派です。

そういう意味で、上の記事に登場する香ばしい4氏は統一教会との関係を否定できる立場です。山田氏は1996年総選挙で石原伸晃氏に敗れて1999年から杉並区長を3期務めています。山田氏が区長を退任するのは2010年5月です。

杉並家庭教会

杉並家庭教会の建物は普通の分譲マンションのような外見ですが、2008年11月に入堂式が行われているようです。同区成田東からの移転です。

旧・統一教会(統一協会)の日本本部は、新宿区築地町の雄鶏舎(おんどりしゃ)に始まり、馬橋(杉並区高円寺北4丁目)→東北沢の立体文化センター(世田谷区北沢4丁目)→下北沢(世田谷区代沢5丁目)→岸信介邸の隣(渋谷区南平台町)と移転しています。

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