砂防ダムから取水、給水制限からそろそろ1か月の筑北村

東筑摩郡筑北村(ちくほく-むら)

2月11日に始まった長野県筑北村の「給水制限」はそろそろ1か月になろうとしています。

筑北村給水制限のお知らせ
筑北村>給水制限のお知らせ

「給水制限」という言葉が使われていますが、これが「時間断水」を意味するのかどうかは確認できませんでした。

筑北村は気象庁区分では長野県中部の松本地域に属します。松尾芭蕉の更科紀行は、大垣から中山道を分岐して松本から姨捨山を経由して善光寺に入ったものですが、そのルート上にあるのが今の筑北村です。

雪雲ブロック

西に標高3000mクラスの北アルプス、北は北信五岳があります。県境の山々は雪雲をブロックしてくれます。そのおかげで今年の最深積雪は長野が14センチ、松本が6センチ、軽井沢が8センチです。

4村合併の破談が仇に?

筑北村の発足は2005年です。2002年6月に本城村・坂北村(さかきた-むら)・麻績村(おみ-むら)・坂井村の4村で任意の合併協議会が設立されました。任意協議会が法定協議会へ移行したのが2003年10月です。

パラパラ地図>長野県

4村合併なら8000人の人口要件を満たして、町に「昇格」できます。法定協議会では新町役場を麻績村役場とすることが決まり、新町名は住民アンケートに委ねられました。結果、「筑北」の42.1%が「聖」の41.5%を上回りました。

合併調印式を翌月に控えた2004年9月、麻績村の村長が合併離脱を表明します。麻績村は聖高原の別荘地を抱えており、3村とは財政格差がありました。結局、残った3村で合併協議は続けられて、2005年3月に調印式、同年10月に筑北村が発足しています。

4村の村境になっていたのが山頂標高1387mの四阿屋山(あずやま-さん)です。旧・坂井村と旧・本城村の村境は四阿屋山が分水嶺になり、両者を行き来できる林道さえありません。つまり、麻績村の離脱によって、事実上の飛び地合併になったのでした。

筑北村(地理院タイルを加工)

筑北村の水源は村内8つの深井戸だそうです。水位低下が深刻なのは下流域の旧・坂北村ということです。で、どうやら砂防ダムの水を浄水して当座を凌ぎたいらしいのですが、その砂防ダムは中村ダムと報道されています。

中村ダムはどこ?

中村ダムがどこにあるのかわかりませんでした。永井ダムならGoogleマップの所在地が「筑北村坂井永井中村」となっていることから、可能性が高そうです。ところが、旧・坂井村の永井ダムからたとえば刈谷沢ダム付近に水を送るには四阿屋山が邪魔になります。

今からトンネルを掘って地下にパイプを敷設しても完成はいつのことやらという話にしかなりません。永井ダムは永井砂防ダムと名付けられており、利水施設ではなく治水施設として位置づけられています。ポンプもなければ浄水設備もありませんので給水車で運ぶのかもしれません。

長野県>永井砂防ダム

1971年竣工時のパンフにはバラ色の未来が過大に描かれていますが、何も実現した様子はありません。よくあることなのかもしれません。

砂防ダムとは言いながら、去年3月のストビューでは水を湛えていて私の知っている砂防ダムとは趣が異なるようです。

1976年から1978年まで設置されていたアメダス四阿屋山は標高が1378mということですので、山頂標高と同じです。冬季の観測はパスしていたようであまり参考になりません。

筑北村付近のアメダス(地理院タイルを加工)

近隣アメダスは青マーカーが雨量観測所、赤マーカーは4点観測所です。右の青線は千曲川本流、左が千曲川の支流・犀川です。

アメダス聖高原とアメダス鹿教湯

渇水の坂北駅の最寄りアメダスは標高985mのアメダス聖高原です。直線で8キロほどです。直近1年間の雨量は平年比84%ですので、少ないとはいえ、それほど渇水に振れているわけではありません。

気象庁>聖高原(長野県) 2025年(月ごとの値)主な要素 など

アメダス鹿教湯(かけゆ)は上田市の鹿教湯温泉です。坂北駅とは水平距離18キロほどです。標高は721mということです。ちなみに、坂北駅付近の標高は600m程度です。

アメダス鹿教湯は9か月連続平年未満ですが、直近1年の降水量平年比は82%です。半年では60%です。1993年の鹿教湯は年降水量が1401ミリでしたが、平成の大渇水が起きた翌1994年は782ミリでした。半年の平年比6割で逼迫するようでは脆弱かもしれせん。

筑北村(相当区域)の1995年国勢調査人口は6570人です。現状は4000人を割っています。人口が4割も減っているなら、当時より水の消費量が増えていることはないはずです。

厚生労働省>水道基盤強化計画策定に向けた水道施設の最適配置計画の検討業務(6ページ)

過剰な設備を整理してしまって立ち行かなくなったわけでもなさそうです。よくわからないのが、村の温泉施設を休止するという対応です。温泉は出るけれどもシャワーや水風呂や併設レストランは水道水だから営業を控えるということのようです。

高齢者単身世帯なら、家で風呂を使うより共同浴場的なところで済ませてもらったほうが全体的な節水にはなりそうです。温泉も地下水ですから、汲み上げるのが不安なのは理解できないわけではありませんけど…。

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