海から100mのアメダス江差、90mの熊石、内陸の鶉(うずら)

鶉小学校

野鳥としてのウズラは分類としては渡り鳥なのだそうです。とは言っても、ツバメやハクチョウのように盛大に海を渡るのではなく、北海道や東北のウズラが本州で越冬する程度のようです(朝鮮半島から九州に渡るウズラはいるそうです)。

福井県の鶉村は1889年の町村制施行によって発足、1955年の合併で川西村となり、1967年に福井市に編入されました。今でも福井市立鶉小学校が現存しますが、小学生が常用漢字でもない「鶉」を読んだり書いたりできるのかという疑問はあります。

福井市の鶉郵便局

岐阜市にも鶉小学校や鶉郵便局があります。岐阜県の鶉村は1950年に岐阜市に編入されています。鶉田神社(うずらた-じんじゃ)や鶉公民館、鶉駐在所もあります。

岐阜市の鶉駐在所

北海道の上砂川町には上砂川鶉郵便局や滝川署鶉駐在所、鶉神社などがあります。この鶉は岐阜県鶉村からの移民によって開拓されたということです。北広島市や新十津川村のパターンです。

上砂川町の鶉本町生活館

アメダス鶉とアメダス江差

道南の厚沢部町(あっさぶ-ちょう)には、鶉川・鶉ダム・鶉小学校・鶉郵便局・鶉駐在所などがあります。これらはアイヌ語「ウツラ」または「ウッナイ」起源とされています。厚沢部町の鶉町にあるのがアメダス鶉です。雨量計も気温計もそれなりの高さのように見えます。

アメダス鶉

アメダス鶉は1992年10月に今の鶉駐在所付近から移転しています。

檜山地方の振興局所在地は江差町です。奥尻島への唯一のフェリー航路があります(せたな便は休止)。アメダス江差は1940年に文部省所管の江差観測所として江差町役場内に創立され、同年のうちに橋本町の高台(標高約40m)に移転しています。

江差測候所への名称変更は戦後の1946年、埋立地にある合同庁舎に移転したのが1979年、無人化されて江差特別地域気象観測所になったのは2007年です。移転前の測候所庁舎跡は今のNTT近辺と思われます。

アメダス江差

露場は奥尻行きのフェリーの乗車口から約100mです。この露場には風速計が見当たりませんので、庁舎屋上にあるのが風速計だと思われます。

「エサシ」読みの地名は、ほかに奥州市の江刺(旧・江刺市)とオホーツク海側の枝幸(枝幸町)がありますが、3か所とも字が異なるためあまり混乱しません。

アメダス熊石

檜山管内に属していた熊石町は2005年に渡島管内の八雲町と合併しました。この越境合併の結果、新・八雲町は渡島所属となり、檜山支庁(→振興局)は南北に分断された飛地になっています。同時に、太平洋(噴火湾)と日本海に面する唯一の自治体になりました。

国道228号の郵便局前から見たアメダス熊石のストビュー画像です。東側の防波堤からは約90mで、海とは至近距離です。

アメダス熊石

3地点の比較

江差
江差(地理院タイルを加工)

この3地点を比較してみたいのですが、気象庁が公表している基礎データに疑問を感じないわけでもありません。

所在標高気温計風速計
熊石八雲町熊石根崎町12m1.5m10.0m
厚沢部町鶉町53m1.5m9.9m
江差江差町姥神町4m19.5m
▲標高など

アメダス熊石は2009年9月におそらく熊石消防署から移転しています。現アメダスの付近はもともとは海です。埋め立てられたのは1980年代後半か1990年代と思われます。熊石の標高は12mになっていますが、埋立地の標高が12mというのはちょっと考えにくい話です。

熊石
熊石(地理院タイルを加工)

近くの国道229号の水準点は標高8.2mです。この国道の標高は5m台から8m台であり、ハザードマップの想定浸水深を調べてみても、とても12mの標高があるようには思えません。沿岸国道より埋立地の標高が高いのは相当にイレギュラーです。

もう1つ、アメダス鶉の気温計1.5mも疑問です。ストビュー画像の風速計の左が気温計だとすれば、風速計の高さからして気温計は3m近くありそうです。少なくとも2.5mはあるはずだと思われます。

3地点の年平均気温は次のように推移しています。1990年の檜山はかなり異様です。

熊石・鶉・江差の年平均気温
気象庁>江差(檜山地方) 年ごとの値 詳細(気温・蒸気圧・湿度)など

月別平均気温等

対馬暖流効果と思われますが、月平均気温では江差の完勝です。6月と7月の平均気温は熊石と鶉に大差がありません。

熊石。鶉・江差の月平均気温

道南はめったに猛暑日にはなりません。

最高気温起年月日25猛暑日統計開始
熊石33.5℃1978/8/030日1977/10
35.0℃2023/8/100日1977/10
江差34.6℃2013/8/110日1941/01
▲最高気温と猛暑日

内陸の鶉では最低気温が著しく低くなっています。

最低気温起年月日24熱帯夜25熱帯夜
熊石-13.7℃2001/2/031日0日
-24.8℃2012/1/291日0日
江差-12.7℃1966/1/202日7日
▲最低気温と熱帯夜

2016年台風10号は岩手県大船渡市に上陸した台風です。1954年9月は洞爺丸台風になります。

最大瞬間起年月日平年降水量最大積雪深
熊石30.9m/s2016/8/301383.3ミリ95センチ
28.5m/s2016/8/301357.8ミリ161センチ
江差45.0m/s1954/9/261230.7ミリ194センチ
▲最大瞬間風速など

熊石の積雪が比較的低いのは奥尻ブロックなのかもしれません、鶉の最大積雪深は2018年2月の161センチです。もし、気温計の設置高さが本当に1.5mなのだとしたら、気温計は雪に埋もれていたことになります。

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