最大瞬間風速80m/s以上は5回中4回が1960年代

突風率

風速には最大風速と最大瞬間風速があります。前者は10分間の平均風速の最大値、後者は3秒間の平均風速の最大値です。現在の風速計は1秒間に4回計測しているということなので、3秒間といえども12回の平均値ということになります。

一般的なアメダス観測所が最大瞬間風速に対応するようになった2008年から2009年にかけてです。1秒4回の観測値を記憶させる装置が必要になるわけですので、そんなものなのでしょう。最大瞬間風速を観測できる風速計が昔からあったはずはありません。

気象庁サイトの歴代全国ランキングのページには「最大風速」と「最大瞬間風速」のTOP20が掲載されています。最大風速1位は富士山の72.5m/s、最大瞬間風速1位はやはり富士山の91.0m/sです。最大瞬間風速を最大風速で除した値が「突風率」で、一般的には1.5~2.0とされています。

気象庁ランキング掲載の計40例(重複5例)を日付昇順に並べ替えて、突風率の算出を試みたのが次表です。第3列「平均」は当該日の日平均風速、第4列「最大」は最大風速(10分間)、第5列「瞬間」は瞬間最大風速(3秒間)、第6列「率」が突風率です。

観測所起年月日平均最大瞬間備考
静岡)富士山1942/04/0572.5低気圧
長崎)雲仙岳1942/08/2760.0周防灘台風
千葉)銚子1948/09/1618.448.0アイオン台風
沖縄)那覇1949/06/2049.5デラ台風
後志)寿都1952/04/1549.8だし風
沖縄)那覇1956/09/0824.943.573.61.691956年12号
静岡)石廊崎1959/08/1448.81969年7号
愛知)伊良湖1959/09/2645.4伊勢湾台風
高知)室戸岬1961/09/1631.566.784.51.27第2室戸台風
滋賀)伊吹山1961/09/1631.756.7第2室戸台風
沖縄)南大東1961/10/0225.739.865.41.641961年23号
鹿児島)屋久島1964/09/2423.450.268.51.361964年20号
愛媛)宇和島1964/09/256.732.772.32.211964年20号
徳島)徳島1965/09/1010.535.867.01.871965年23号
高知)室戸岬1965/09/1024.869.877.11.101965年23号
沖縄)宮古島1966/09/0536.960.885.31.40第2宮古島台風
静岡)富士山1966/09/2544.891.01966年26号
鹿児島)名瀬1970/08/1312.732.778.92.411970年9号
徳島)剣山1970/08/2124.838.769.01.781970年10号
東京)八丈島1975/10/059.235.567.81.911975年13号
沖縄)石垣島1977/07/3121.453.070.21.321977年5号
熊本)牛深1999/09/248.727.766.22.391999年18号
徳島)剣山2001/01/0719.055.0低気圧
沖縄)下地島2003/09/1128.1492003年13号
静岡)石廊崎2004/10/097.930.267.62.242004年22号
長崎)雲仙岳2004/10/2022.733.563.71.902004年23号
沖縄)西表島2006/09/1623.439.169.91.792006年13号
長崎)野母崎2006/09/1712.7462006年13号
沖縄)志多阿原2010/09/1917.248.963.81.302010年13号
沖縄)石垣島2015/08/2321.447.971.01.482015年15号
沖縄)守山2015/08/2318.744.967.41.502015年15号
沖縄)与那国島2015/09/2825.354.681.11.492015年18号
沖縄)所野2015/09/2819.642.663.81.502015年18号
沖縄)北原2016/10/0415.148.159.71.242016年18号
大阪)関空島2018/09/0410.046.558.11.252018年21号
▲最大風速TOP20と最大瞬間風速TOP20の突風率

富士山と剣山のナゾ

時期の偏りが気になります。ある程度、均等に出現するものではないかと思ったりもしますが、そうではないようで1980年代は一切ありません。アメダスが整備されて観測地点が飛躍的に増えた時期なのに、1980年代がありません。

富士山の最大風速TOP10は1940年代に7回、1950年代に3回記録されています。統計期間が1932年7月~2004年8月なのに、です。1960年代以降の富士山では強烈な風が吹かなくなったのかもしれませんし、風速計の性能差を反映したものかもしれません。

気象庁>富士山 観測史上1~10位の値(年間を通じての値)

富士山の最大瞬間風速の統計期間は1965年からですが、TOP10のうち9回が1966~1971年に集中しています。この期間の富士山頂では強風が吹き荒れたのかもしれません。

徳島県の剣山測候所は2001年3月末で廃止されていますが、日最大風速が40m/s台に達したのは都合9回です。9回のうち1位と2位と6位が最終年度です。2回しかない50m/s台はともに2001年1月に観測されています。

剣山の最大風速と最大瞬間風速
気象庁>剣山 観測史上1~10位の値(年間を通じての値)

剣山における最大瞬間風速の統計期間は1990年8月が終期です。最大瞬間風速1位の1970年8月21日の最大風速は38.7m/sに過ぎません。

剣山の月平均風速
気象庁>剣山(徳島県) 平均風速の月平均値(m/s)

2001年1月の月平均風速は剣山の月平均としては最大値となる11.6m/sです。閉店セールで大盤振る舞い状態だったのかもしれません。

室戸岬・那覇・与那国島の年平均風速

室戸岬の年平均風速は次のとおりです。赤破線が付されているところで色分けしてみました。風速計の交換なり、高さの変更なり、設置箇所の移転なりがあったタイミングと思われます。1948年は4.9m/s、1963年は8.9m/sです。年平均風速がそんな数値になるものでしょうか。

室戸岬の年平均風速
気象庁>室戸岬(高知県) 年ごとの値 詳細(風)

欠測が少ない那覇は次のとおりです。その時代その時代で最先端の風速計を採用していたのだとしても、風速計に個体差があることを疑わざるを得ません。

那覇の年平均風速

与那国島では年平均が低かった2015年に最大瞬間風速81.1m/sを観測しています。さすがにこれはガチの数値であろうと思われます。

与那国島の年平均風速

最大瞬間風速80m/sは過去5回観測されています(富士山では1969年台風7号による86.0m/sの日本歴代2位の記録がありますが、富士山1位ではありませんので冒頭の表からは外れてしまいます)。5回のうち与那国島を除く4回は1960年代です。

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