神社に囲まれた丸森町の中心部

自衛隊への災害派遣要請が一番早かったのは12日20:30の丸森町です。丸森町の河川決壊箇所は3河川18か所に及びます。結局、鳥屋は決壊していなかったようです。アンダーラインは前日発表のものに対する追加箇所です。

内閣府「台風第19号に係る被害状況等について」(10/23)

内川の追加が「上林南」と「前川原」ですが、「上林西」と「上林東」はあっても「上林南」はなく、内川沿いにあるのは「前原」ではなく「前原」ですので、MAPでは「上林東」と「前河原」で反映しました。

丸森町中心部の河川と神社(Google Earthプロ)

赤が阿武隈川本流、緑が新川、ピンクが内川、水色が五福谷川、黄色が雉子尾川です。当初の報道では雉子尾川でも決壊があったと言われていました。

さて、川の左岸・右岸は、上流から見たときが基準になります。当初決壊したとされていた町役場のある鳥屋は緑の新川の左岸(北側)です。役場付近の浸水は越水によるものだったことになります。

訂正後の決壊箇所である愛宕田は新川の右岸(南側)です。田畑だけで住戸がないからかもしれませんが、ハザードマップでは白の地帯です。足利同様、こうした中小河川の氾濫はまだ考慮されていないのでしょう。

それはともかく、愛宕田という地名には反応せざるを得ません。本宮にも愛宕神社がありました。鳥居は水につかりましたが、石段の上の本殿はもちろん無事だったはずです。愛宕田があるなら丸森にも愛宕神社もあるはずです。

緑の新川がピンクの内川に合流する地点の東側に丸森町の愛宕神社はあります。神職が常駐する神社ではなく、祠だけの神社かもしれません。周辺の目についた神社にマーカーを打ってみました。

見事に市街地を囲む安全地帯に配置されていました。これはもう感動的ですらあります。これらの神社は、必然性があってそこに配置されたに違いありません。

川俣町から南相馬市へ向かう途中の飯舘村で

福島県飯舘村では河川や道路や家屋の被害はなかったことになっています。それはそうなのでしょうが、人的被害は出ています。こんなニュースがあります。

★12日夜、75歳男性が川俣町から勤務先の南相馬市に向かった
★13日朝、飯舘村で運転席まで水が浸かった無人の車が見つかった
★14日朝、近くの用水路で遺体が見つかった

新聞配達のアルバイトだそうです。釈然としないのは、川俣町が中通りに属し、南相馬市は沿岸の浜通りだということです。分水嶺は伊達郡川俣町と相馬郡飯舘村の町村境にあります。県道12号線の町村境の地名はズバリ「水境」です。

飯舘村付近(Google Earthプロ)

川俣町から南相馬市までルート検索すると47分です。隣接する福島市や二本松市なら33分です。わざわざ飯館村を越えて南相馬に通っているのは、震災で川俣町に引っ越したという事情があるからなのかもしれません。

普通のニュースなら、「飯舘村△△で遺体が見つかった」となるはずですが、あいにくこの件ではそこまで報道されませんでした。出発点が川俣町で目的地は南相馬市、事故現場は飯舘村というアバウトな情報しかありません。

飯舘村と南相馬市をつなぐ2車線道路は、県道286号線と12号線です。常識的に考えて、目的地は旧・原町市が有力です。出発地が川俣町なら12号線に限られるはずです。

車が水に浸かっているのですから、事故現場は道路と川が並行しているか交わっている地点です。等高線が入った地理院地図で12号線を辿ってみると、増水時にここは危険だと思われる箇所がありました。

で、このページを書き始めたわけですが、警報時刻を確認するために福島県Webサイトの「台風第19号による被害状況即報 (第10報)」を開いてみると、「深谷地区」との記載があるのを見つけました。

ビンゴです。12号線の深谷地区入口の標高は470mで、深谷地区出口となる駐在所手前は438mです。危険箇所はほぼ中間にあり、その標高は438mです。下った道路がフラットになっている地点です。

2014年9月撮影のストビューです。右前方に見える枯れ草部分が新田川です。丘を回り込むように流れています。トラックのあたりで、県道12号線と新田川はニアミスします。川は道路より急カーブですので、濁流は溢れてしまうでしょう。

大森堰付近(Google Earthプロ)

飯館の時間降水量は次のとおりです。朝刊が販売所に届くのが2時頃だとして、多少の余裕を見て0時前に出発したのかもしれません。雨のピークは過ぎていますが特別警報発令中です。

12日10:00  1.5mm
12日11:00  6.0mm
12日12:00 16.5mm
12日13:00  6.0mm
12日14:00  6.5mm(14:09 飯館村に大雨警報と暴風警報)
12日15:00 16.5mm(15:05 飯舘村に土砂災害警戒情報)
12日16:00 19.5mm(15:48 飯舘村に洪水警報)
12日17:00 25.0mm
12日18:00 34.5mm
12日19:00 29.0mm
12日20:00 32.5mm(19:50 飯舘村に大雨特別警報)
12日21:00 38.0mm
12日22:00 36.5mm
12日23:00 20.5mm
12日24:00 17.5mm
13日01:00 14.0mm
13日02:00  4.5mm

車が発見された13日朝は、遺体のあった用水路はまだ濁っていたに違いありません。水が引いた14日に遺体が見つかったものと思われます。

飯舘村の人口は1950年代をピークに減少を続けています。原発事故当時の風向きの関係で「計画的避難区域」に指定されていましたので(2017/03/31解除)、低地に新しい住宅地が供給されることもなかったわけです。

実際のところ、浸水したのは農地だけなのでしょう。浸水区域に住戸が存在しなければ、浸水による住戸被害も起きないことになります。この現場付近のハザードマップは白です。

避難途中に車が水没

パトロール中の消防団が栃木県足利市寺岡町の冠水した道路で立往生している乗用車を見つけたのは13日午前3時頃だそうです。救助された3人のうち、助手席に乗っていた85歳の母親が搬送された病院で亡くなったということです。

足利市寺岡町は佐野市と接しています。足利市のハザードマップを調べてみました。二点鎖線が足利市と佐野市の市境です。寺岡町ならさほど深刻な事態に見舞われることはないはずです。

足利市ハザードマップの寺岡町付近

寺岡町は何度もTV中継された佐野市秋山川の決壊現場から西に2.5kmほどです。秋山川が氾濫した海陸橋付近の標高は27mです。秋山川の水が2km以上先まで流れてきたとは思えませんが、念のため寺岡町の標高を調べてみました。

佐野市・足利市の境界付近(Google Earthプロ)

周辺ではほかに4台の車が立往生していて6人が救出されたということでした。いずれも避難の途中だったものと思われます。おそらく223号線を北上していたのでしょう。佐野市から寺岡町に入ったところで標高26mです。

標高28mの地点まであと200mです。そこまで来ればハザードマップ的にも安全圏です。秋山川は県道67号線付近ても氾濫したと言われていますが、やはり2km以上の距離があります。

ハザードマップに示されている寺岡町を流れる川は旗川です。秋山川とともに渡良瀬川に合流します。旗川に関しては氾濫したとの確たる報道はありませんが、状況的には旗川でも氾濫が起きていたのではないかと思われます。


【2019/10/17追記】

私の推理はまったくの的外れでした。85歳の女性は浸水した車に6時間閉じ込められ、低体温症で亡くなったそうです。今朝のテレ朝「モーニングショー」で、この車が別の流された車のドライブレコーダーに映っていました。

足利市の出流川(Google Earthプロ)

ドライブレコーダーを回していた車の持ち主の住居は旗川沿いと思われます。避難所に指定されているのは標高31mの富田中です。旗川から遠ざかるように車は西進しますが、進行方向の出流川(いずるがわ)も氾濫していたようです。

上流から浸水したため傾斜に従って水が北から南に流れてきます。道路は冠水し、車は脱輪して田んぼに落ちます。ドアを蹴り上げて車外に出たドラレコの夫婦は、いくぶん高いところにある県道に逃げたそうです。

この夫婦が脱出したあともドライブレコーダーは回っており、助手席に85歳女性が乗った車が寄り添うように押し流されてきたのでした。ちなみに、車が流された現場付近のハザードマップは白です。


【2019/10/18追記】

ANNニュースに地図が出ていました。昨日の地図は正解です。新しい情報は3つあります。(1)時刻は20:40頃、(2)旗川も出流川も溢れていた、(3)胸まで濁流に浸かりながら歩いて避難した、です。

外部リンク
カメラがとらえた緊迫の瞬間  そこから学ぶもの(19/10/16)


【2019/10/23追記】

旗川や出流川はハザードマップ浸水想定域の設定対象河川ではなかったということで、足利市のハザードマップは見直しされるようです。