2019年ウラ優勝校は音戸の瀬戸から

第101回全国高校野球選手権大会のウラ優勝校は、広島県立音戸高校でした。広島のウラ優勝校は2014年の安芸府中以来7年ぶりで5校目となります。→「ウラ優勝校の一覧」

  • 履正社 5-3 星稜 9-0 中京学院大中京 6-3 作新学院 18-0 岡山学芸館 6-5 広島商
  • (広島予選)広島商 10-7 尾道 3-2 尾道商 7-2 広島新庄 12-10 高陽東 9-8 如水館 14-0 広島商船 12-1 音戸

「音戸(おんど)」の読みにかすかな記憶があります。何か少しだけ縁があったような気がしますが、なかなか思い出すことができません。Wikipediaには次のような記述がありました。

広島県立音戸高等学校(ひろしまけんりつ おんど こうとうがっこう)は、広島県呉市音戸町北隠渡に所在する公立の高等学校。音戸の瀬戸にかかる音戸大橋のそばにある。

Wikipedia「広島県立音戸高等学校」

私は今年3月に「瀬戸MAP」を作りました。「音戸の瀬戸」もMAPに入っています。音戸高校があるのは倉橋島です。倉橋島と本土との間の海峡が「音戸の瀬戸」です。

音戸の瀬戸(Google Earthプロ)

もっと広域にしないと、位置関係がわかりにくいかもしれません。倉橋島の西にあるのが江田島になります。

呉市付近(Google Earthプロ)

本州や北方領土を加えた日本の島の面積ランキングで倉橋島は36位です。2018年10月に国土地理院が発表した面積で30位台の島は次のとおりです。

  • 30位 93.65㎡ 沖永良部島(鹿児島県知名町、和泊町)
  • 31位 91.33㎡ 江田島・能美島(広島県江田島市)
  • 32位 90.73㎡ 伊豆大島(東京都大島町)
  • 33位 90.66㎡ 長島(鹿児島県長島町)
  • 34位 81.25㎡ 礼文島(北海道礼文町)
  • 35位 77.25㎡ 加計呂麻島(鹿児島県瀬戸内町)
  • 36位 69.46㎡ 倉橋島(広島県呉市)
  • 37位 69.11㎡ 八丈島(東京都八丈町)
  • 38位 65.56㎡ 下甑島(鹿児島県薩摩川内市)
  • 39位 64.58㎡ 大三島(愛媛県今治市)

知名度としては劣るかもしれませんが、音戸大橋は橋マニアには嬉しい橋のようです。航路を確保するために橋桁を上げざるを得ず、接続部はダブルアクセルの螺旋状です。埋め込んだのは2013年10月のストビューです。

天城山ではなく天城岳

佐渡島の1市8町1村は2004年に合併し全島が佐渡市となっています。面積では佐渡島の3分の1以下の徳之島には、いまだに3つの町が残っています。徳之島町、天城町、伊仙町の総人口は約2.2万人です。

長崎の離島や天草では比較的スムーズに合併が進みましたが、鹿児島の離島は、屋久島でこそ1島1自治体が成立したものの、種子島は不発で、沖永良部島も2町が残っています。2005年1月の住民投票は次のような結果だったそうです。

  • 徳之島町(賛成2054票、反対4119票)
  • 天城町(賛成2074票、反対1810票)
  • 伊仙町(賛成3225票、反対865票)

全島規模で考えると合併賛成が多数派ですが、徳之島町はダブルスコアで反対多数です。これでは破談はやむを得ません。この3町の合併なら、新名称は徳之島町のままでしょうし、庁舎が動くこともないと思われます。

2017年度の財政力指数は徳之島町が0.24、天城町が0.15、伊仙町が0.13です。将来負担比率は徳之島町31.2、天城町46.5、伊仙町86.2です。この財政状況が合併の賛否に直結したのではないかと推測されます。

徳之島(Google Earthプロ)

島の東側が徳之島町で、徳之島子宝空港のある西側が天城町、南は伊仙町です。島内のアメダスの観測ポイントは伊仙町面縄(おもなわ)の「伊仙」と空港内の「天城」です。天城は8月23日の最高気温1位で、最大瞬間風速1位も今年3回あります。

伊仙の観測点は標高44mで風向風速計の高さは6.5mだそうです。もっとも一般的な電柱は長さ12mで、地中に2m埋まっており地上から高さは10mです。電柱より低い風向風速計は100m以上離れたストリートビューでは確認できません。

さて、地理院地図で天城を検索すると53件ヒットします。静岡と長野に天城山が、沖縄県伊是名村には標高102mの天城(山)があります。神戸市灘区天城通1~8丁目、倉敷市天城台1~4丁目、 上天草市に天城橋、そして徳之島の天城町です。

徳之島の天城岳は標高が533mです。山頂は微妙に(今の)徳之島町側にあります。歴史的には、1916年に天城村から東天城村が分割され、太平洋戦争と本土復帰を経た1958年に亀津町が東天城村と合併して徳之島町が成立しています。つまり、天城岳の山頂は東天城村の村域だったわけです。

埋め込んだのは2012年4月のストリートビューです。天城岳の麓を一周する徳之島北部の県道は、高橋尚子がシドニー五輪代表選考レース前に強化合宿をおこなったトレーニングコースで、「尚子ロード」と名付けられています。

隠岐の島の西郷

地理院地図で「西郷」を検索すると167件ヒットします。地域的には偏在しており、まず北海道、青森、秋田にはありません。新潟、富山、石川、群馬、埼玉、神奈川、山梨、長野もなく、四国4県や沖縄も空白地帯です。

▲1901年まで新潟には中頸城郡西郷村が存在していました。

8月22日の最大瞬間風速1位は島根県の「西郷」です。3月12日の最大瞬間風速1位は「西郷岬」の観測地点でした。後者は隠岐空港(隠岐世界ジオパーク空港)で、前者は西郷港近くの高台にあり露場の標高は27mということです。

ストリートビューは標高1~3mの道路だけで、肝心の寿坂には通っていませんので、測候所跡の観測ポイントを確認することができません。両者の位置関係は次のようになります。直線では3kmに満たない距離です。

隠岐の島・島後(Google Earthプロ)

島後(どうご)は隠岐の島の本島です。西ノ島・中ノ島・知夫里島などで構成される東の島前(どうぜん)には観測ポイントはありません。西郷町(さいごうちょう)を含む島後の2町2村は2004年に合併して、今は丸ごと隠岐の島町です。

西郷町や西郷村を名乗っていた自治体は10以上を数えますが、現存するのは福島県西白河郡西郷村(にしごうむら)のみです。さて、西郷があるからには東郷もあるはずです。かつては西郷町東郷だったようです。

地理院地図では青ヶ島にも西郷の地名があります。残念ながら青ヶ島には東郷はなく、西郷地区の東にあるのは休戸郷(やすんどごう)です。なお、青ヶ島のアメダス観測点は雨量のみの計測です。

青ヶ島(Google Earthプロ)

宮古島と下地島

今年の最大瞬間風速は1月16日に宗谷岬で記録された42.5m/sでしたが、8月8日の下地は43.2m/s、翌9日の宮古島は46.6m/sで、連日更新されました。台風9号は宮古島の西を北上し、その後は中国沿岸部に被害をもたらしました。

宮古島のアメダス観測点は宮古島地方気象台です。「~気象台」の名称が付く施設は全国に61か所あり、広域の北海道が7で沖縄が4、主要空港を抱える東京、千葉、愛知、大阪、福岡が2、残り40府県は各1の配置です。

埋め込んだのは2015年12月のストビューです。気象台の標高は40mで周囲は住宅地です。この角度ではちょうど木の枝に隠れて見えませんが、風速風向計は屋上に設置されています。最新2018年8月のストビューでは枝は剪定されています。

宮古島と下地島(Google Earthプロ)

一方、8月8日の最大瞬間風速1位・下地(しもじ)の観測ポイントは下地空港内です。3000m滑走路を備えた訓練用飛行場として建設された下地空港は1979年の供用開始ですが、すでにJALもANAも徹底しています。

軍事転用の話がなかったわけではありませんが、今年3月からジェットスターによる定期便(8月1日現在では成田便と関空便が1日1往復)が、7月には香港エクスプレスによる週3便の国際線も就航しています。

さて、下地空港があるのは下地島です。伊良部島と下地島の間の海峡には6本の橋が架けられています。両者は陸続きではありません。下地空港前の2012年2月のストビューです。

宮古島と伊良部島は全長3.5kmの伊良部大橋で結ばれています。かつては伊良部島と下地島で伊良部町でしたが、2005年に宮古島の平良市などと合併して今は宮古島市です。

ちなみに、宮古空港にもアメダスの観測地点がありますが、「鏡原」の名称で呼ばれています。宮古島にはもう1か所、東海岸に城辺(ぐすくべ)の観測ポイントがあります。

猿はいない猿島、鹿がいる友ヶ島

5月27日に最大瞬間風速1位を記録したのは和歌山県の友ヶ島でした。紀淡海峡に蓋をするかのように連なる友ヶ島は、地ノ島、虎島、沖ノ島、神島の総称です。4島で最大の島は定期船の船着き場がある沖ノ島です。

沖ノ島=友ヶ島という理解でも、あまり差し障りはないようです。定期船は5月27日と翌28日には全便欠航となっています。アメダスの観測点は沖ノ島西端の友ヶ島灯台付近にあります。対岸の西4km先には淡路島が構えています。

明治初期に築造された友ヶ島灯台は全国23基の保存灯台の1つです。灯台から観測露場まで100m足らずです。灯台と露場の間には東経135度の子午線が通過しています。「日本標準時子午線 日本最南端の地」の安っぽい標柱が建っています。

友ヶ島にはキャンプ場もあり、宿泊施設もあります。この宿泊施設は定期船第1便の到着より早い時間帯に朝食を提供しています。通年の居住者がいるわけではないにせよ、それで無人島と言えるのか疑問に思わなくもありません。

同じく砲台跡がラピュタ感を醸し出す横須賀沖の猿島では、キャンプは禁止されており、宿泊施設もありません。私の感覚では、猿島は白か黒かで言えば無人島の部類であり、友ヶ島は限りなく有人島に近い存在です。

猿島の沖合に(上陸できない)海堡があるように、砲台跡は当然ながら淡路島側にも残っていますが、紀伊半島側にも砲台跡があります。ラピュタの香りは船に乗らなくても味わえるわけです。

砲台の遺構は函館や対馬など各地に存在します。猿島と友ヶ島は東京湾と大阪湾への侵入を防ぐいわば最後の砦です。ただし、海岸砲台は空からの攻撃や潜水艦に対してはほぼ無力です。

キャンプだけでなくコスプレや花火やドローンが禁止されている猿島とは異なり、猿ヶ島では(今のところ)そのような制限はないようです。猿島にサルはいませんが、友ヶ島にはシカやリスやクジャクがいます。

管理されたラピュタが猿島で、シカの糞がキャンプ場のそこら中に転がっていても手を加えないのが友ヶ島です。そういう意味では、猿島のほうが有人島的であり、友ヶ島では無人島の雰囲気に浸ることが可能です。

無人島・有人島についても日本標準時子午線のように複数の考え方がありそうです。なお、虎島は沖ノ島の陸繋島ですが、沖ノ島西端から虎島西端まで3kmほどあります。海岸線延長1.6kmの猿島とはそもそも規模が違います。

友ヶ島の一般的な表記は「友島」ですが、気象庁Webサイトでは「友島」を用いていますので、あちらのページではそのまま「友ケ島」としています。