高知地方気象台の露場は2km先

9月17日と18日の最高気温1位は高知でした。高知地方気象台は高知市本町3丁目の合同庁舎に入っています。この合同庁舎は耐震補強工事中で、2019年5月撮影のストリートビューに映っているお知らせ看板によれば10月完成予定とのことです。

合同庁舎の衛星写真を見てみます。西の緑の屋根は県民ホール、鉄塔のある東の建物はNTTビルです。敷地内には露場かもしれないスペースが北東の角と南西の角しかありません。

高地地方合同庁舎付近(Google Earthプロ)

ところが、北東角は正門脇の植栽であって観測機器は見当たりません。南西角に至っては、最新2019年5月のストビューでは2階建てのプレハブが設置されています。工事事務所と思われます。

露場の面積は広い方が望ましく,気象庁のアメダス観測所にお いては,おおむね70㎡以上の面積を確保している。また,気象庁では,気象測器の設置部分(7×5m程度)に人工芝を敷設した場合においても,気象観測への影響がないことを確認しており,雑草対策などに活用できる。

気象庁「気象観測の手引」

それに露場としてはやや狭く、70平米が確保されているとは思えません。また、高知の風向風速計の地上からの高さは15.5mと公表されています。耐震工事中の庁舎は5階建てです。

埋め込んだのは2018年6月撮影のストビューです。通用口側です。1フロア3mとすれば5階建ての屋上が15mになります。そんな風速計は北道路側にも南道路側にも見つかりません。

そもそもこのビル街で高さ15m程度の風速計では役に立たないはずです。ストビュー画像の右奥に見えるのは12階建てのホテルです。合同庁舎の斜向かいには15階建てのマンションもあります。

千葉ほどの高さは必要ないかもしれませんが、風速計に関してはある程度の高さが必要になるはずです。露場が見当たらないことを不思議に思っていたら、観測ポイントの所在地は「高知市比島町」になっていました。

露場(Google Earthプロ)

というわけで、改めてストビューで露場を探してみると、合同庁舎から約2km離れたところで見つかりました。約30m四方の土地がフェンスで囲われています。風速計も確認できますし、こんな看板も掲げられていました。

高知地方気象台 観測露場

ここでは、雨量、風向風速、気温、日照時間、気圧などを観測しています。観測されたデータは、高知市を代表するデータとして、天気予報や防災気象情報の発表に利用しています。
この中には無断で立ち入らないでください。

露場を囲むフェンスに掲げられた看板

松山では露場は気象台にあり風向風速計と日照計は別の場所に、徳島も日照計だけが少し離れたところに設置されています。高知のように丸ごと離れた場所で観測しているというパターンもあるわけです。

小岱山と有明海で岱明町

9月12日と13日の最高気温1位は熊本県玉名市の岱明(たいめい)でした。現・玉名市は2005年に1市3町で合併して成立しています。玉名市役所と旧・岱明町役場は直線距離で約4.5kmです。

もともと両者は密接な関係にあり、合併は自然な流れだったものと思われます。専大玉名高校の所在地は玉名市岱明町野口であり、県立玉名工業高校は玉名市岱明町下前原です。

玉名市付近(Google Earthプロ)

「岱明」の地名は、小岱山(しょうだいさん)の「岱」と有明海の「明」の合成地名ということです。標高501mの筒ヶ岳や473mの観音岳などを総称して小岱山と呼ばれているものと思われます。

「岱」の字を含む地名は北海道から北東北にかけて散見されますが、西日本では旧・岱明町以外にありません。「岱明」の観測地点は住宅と畑が混在する地区にある公共施設の敷地内です。

ストビューは2013年2月のものしかなく、葉が繁っている季節ではありません。多治見や中条のように高い数値が出そうな環境にあるわけではないと思われます。有明海と菊池川までそれぞれ約3kmの位置です。

さて、玉名市内でもコンビニエンスストアを見つけてしまいました。意外と各地にあるものなのかもしれません。埋め込んだのは2012年1月のストビューです。

天城山ではなく天城岳

佐渡島の1市8町1村は2004年に合併し全島が佐渡市となっています。面積では佐渡島の3分の1以下の徳之島には、いまだに3つの町が残っています。徳之島町、天城町、伊仙町の総人口は約2.2万人です。

長崎の離島や天草では比較的スムーズに合併が進みましたが、鹿児島の離島は、屋久島でこそ1島1自治体が成立したものの、種子島は不発で、沖永良部島も2町が残っています。2005年1月の住民投票は次のような結果だったそうです。

  • 徳之島町(賛成2054票、反対4119票)
  • 天城町(賛成2074票、反対1810票)
  • 伊仙町(賛成3225票、反対865票)

全島規模で考えると合併賛成が多数派ですが、徳之島町はダブルスコアで反対多数です。これでは破談はやむを得ません。この3町の合併なら、新名称は徳之島町のままでしょうし、庁舎が動くこともないと思われます。

2017年度の財政力指数は徳之島町が0.24、天城町が0.15、伊仙町が0.13です。将来負担比率は徳之島町31.2、天城町46.5、伊仙町86.2です。この財政状況が合併の賛否に直結したのではないかと推測されます。

徳之島(Google Earthプロ)

島の東側が徳之島町で、徳之島子宝空港のある西側が天城町、南は伊仙町です。島内のアメダスの観測ポイントは伊仙町面縄(おもなわ)の「伊仙」と空港内の「天城」です。天城は8月23日の最高気温1位で、最大瞬間風速1位も今年3回あります。

伊仙の観測点は標高44mで風向風速計の高さは6.5mだそうです。もっとも一般的な電柱は長さ12mで、地中に2m埋まっており地上から高さは10mです。電柱より低い風向風速計は100m以上離れたストリートビューでは確認できません。

さて、地理院地図で天城を検索すると53件ヒットします。静岡と長野に天城山が、沖縄県伊是名村には標高102mの天城(山)があります。神戸市灘区天城通1~8丁目、倉敷市天城台1~4丁目、 上天草市に天城橋、そして徳之島の天城町です。

徳之島の天城岳は標高が533mです。山頂は微妙に(今の)徳之島町側にあります。歴史的には、1916年に天城村から東天城村が分割され、太平洋戦争と本土復帰を経た1958年に亀津町が東天城村と合併して徳之島町が成立しています。つまり、天城岳の山頂は東天城村の村域だったわけです。

埋め込んだのは2012年4月のストリートビューです。天城岳の麓を一周する徳之島北部の県道は、高橋尚子がシドニー五輪代表選考レース前に強化合宿をおこなったトレーニングコースで、「尚子ロード」と名付けられています。

胎内市中条で40.7℃

8月15日の最高気温1位は新潟県胎内市の中条でした。40.7℃は今年の1位でもあります。この観測ポイントは7月27日も37.2℃で最高気温1位であり、去年の8月23日には40.8℃を記録しています。

胎内市は2005年に北蒲原郡中条町と黒川村が合併して成立しています。このギョッとするような市名は、標高1331.5mの藤十郎山を源流とする胎内川に由来します。胎内川の名称は、必ずしもアイヌ起源というわけではなさそうです。

中条(Google Earthプロ)

中条の観測ポイントは市役所の近くです。ストリートビューを見ると、露場に隣接して倉庫や民家があり、舗装された駐車場には車が停まっています。多治見と同様に熱がこもりそうな雰囲気は漂います。

地理院地図で「中条」を検索したところ、最北端と最東端が岩手県一関市、最西端が山口県山口市、最南端は愛媛県久万高原町でした。北海道や九州には「中条」の地名は存在しないようです。

胎内市には、かつて「探偵ナイトスクープ」で小枝探偵が訪れた施設があります。西方の湯です。「西方」は「にしかた」ではなく「さいほう」と読みます。2011年5月放映の「真っ黒でウンコ臭い温泉に置物だらけの待合室」です。

埋め込んだのは2014年10月撮影のストビューです。クチコミ評価は意外に高く、どうやら泉質は放映当時とは変わっているようですが、独特の存在感は堅持しているものと思われます。

2019年初の40℃台は上越市大手町の高田

今年はないだろうとも言われていた40℃オーバーが新潟県上越市の高田で記録されました。8月14日12時54分に記録されたのは40.3℃です。高田の観測ポイントは1922年観測開始で、従来の記録は1994年8月12日の39.5℃でした。

地名としての「高田」は埼玉を除く46都道府県に存在しているようですが、現存する自治体で「高田」を含むのは、陸前高田市、大和高田市、安芸高田市、豊後高田市の4つです。上越市の高田は旧・高田市になります。

△△高田市(Google Earthプロ)
  • 高田市(1911年に高田町が市制施行)→上越市(1971年に直江津市と合併)
  • 豊後高田市(1941年に高田町が市制施行)
  • 豊後高田市(1954年に豊後高田町が市制施行、2005年の合併で2代目・豊後高田市)
  • 陸前高田市(1955年に高田町など3町5村が合併)
  • 安芸高田市(2004年に高田郡の6町が合併)

このうち陸前と安芸は清音の「たか」です。元祖・高田市が消滅したあとに発足した安芸高田市は、郡名を新市名に用いて律令国名を冠しています。高田町や高田村は現存しませんので、△△高田市がこれ以上増えることはまず期待できません。

上越市高田の観測地点は高田城(公園)の東側にあり、標高は13mです。完全な市街地で周囲は民家です。8月14日の最高気温2位は同じ上越市内の大潟で39.7℃でしたが、こちらは旧・直江津市の区域で露場は小学校の校庭脇です。

「高田」は地名でも人名でも別に珍しいわけではありません。試しに地理院地図で「低田」を検索してみましたが、ヒットしません。どうやら地名の「低田」はないものと思われます。姓としての「低田」は香川県に数軒あるようです。