静岡、愛知、三重の雨量

静岡県内のアメダス観測地点で、10月12日の降水量が歴代10位の箇所は次のとおりです。観測史上最大雨量は8地点で記録されています。このうち三島は1930年、静岡は1940年が統計開始です。

▼順位、10/12の降水量、観測所名、従来の1位の降水量とその年月日、統計開始年を記載しました。

2位 238.5mm 磐田 252mm(1998/9/23)1978~
1位 307.5mm 掛川 302mm(1983/8/17)1976~
3位 243.0mm 三倉 316mm(1983/8/17)1982~
9位 294.0mm 川根本町 374.0mm(2011/9/21)1976~
3位 312.0mm 鍵穴 393mm(2001/9/10)1991~
1位 366.0mm 高根山 278.0mm(2012/6/19)2009~
1位 375.0mm 静岡空港 224.0mm(2017/6/21)2009~
2位 408.5mm 菊川牧之原 414mm(1982/9/12)1978~
2位 281.5mm 御前崎 360.0mm(2004/10/9)1932~
1位 401.0mm 静岡 368.0mm(2004/6/30)1940~
1位 597.5mm 梅ケ島 595mm(2001/9/10)1976~
2位 282.5mm 清水 297mm(2004/10/9)1978~
1位 529.0mm 御殿場 524mm(2007/9/6)1976~
1位 362.0mm 三島 316.0mm(1938/6/29)1930~
1位 689.5mm 湯ヶ島 595mm(2007/9/6)1976~
2位 339.0mm 土肥 351mm(2007/9/6)1990~
3位 519.0mm 天城山 627mm(1983/8/17)1976~
2位 284.0mm 松崎 299mm(1983/8/17)1976~

東部の観測点をマッピングしてみました。ピンクが1位地点、緑が2~3位、白はランク外です。富士の観測ポイントでは、10月12日の降水量は117mmと周囲の半分以下です。雨の降り方はあまり均一ではないようです。

静岡東部の降水量
静岡東部の降水量(Google Earthプロ)

愛知県でも観測史上1位の地点がありました。田原は渥美半島の太平洋側、一色は三河湾です。

2位 294.5mm 伊良湖 337.1mm(1962/7/2)1947~
1位 261.0mm 田原 230mm(1983/8/17)1976~
2位 207.5mm 豊橋 226.0mm(2008/8/28)2005~
2位 224.0mm 新城 224.0mm(2011/9/21)2002~
4位 199.0mm 蒲郡 237mm(1983/8/17)1979~
1位 169.0mm 一色 246mm(2001/9/10)1976~
7位 169.0mm 南知多 374mm(1976/9/12)1976~
4位 117.5mm セントレア 251.0(2017/10/22)2005~

三重県では志摩市の阿児(あご)が観測史上1位でした。

3位 206.5mm 名張 295mm(1982/8/1)1976~
5位 234.5mm 小俣 473.5mm(2017/10/22)1976~
6位 281.0mm 鳥羽 423mm(1982/8/3)1977~
1位 383.5mm 阿児 292.5mm(2017/10/22)1982~
5位 268.5mm 南伊勢 397mm(1982/8/3)1978~

普代水門の村で沢から濁流

台風19号で1時間雨量が80mmを超えたアメダス観測点は次の6地点です。

95.0mm(~10/13 01:54)普代(岩手県下閉伊郡普代村第13地割)
93.5mm(~10/13 01:55)小本(岩手県下閉伊郡岩泉町小本)
85.0mm(~10/12 19:21)箱根(神奈川県足柄下郡箱根町芦ノ湯)
84.5mm(~10/13 01:21)宮古(岩手県宮古市鍬ケ崎下町)
81.5mm(~10/12 19:52)丹沢湖(神奈川県足柄上郡山北町神尾田)
80.5mm(~10/12 20:30)丸森(宮城県伊具郡丸森町舘矢間舘山)

3時間雨量で200mm以上は次の6地点でした。3時間降水量は10分刻みでカウントされるようです。

236.5mm(~10/13 02:20)普代
224.0mm(~10/13 02:30)小本
211.5mm(~10/12 13:00)箱根
211.5mm(~10/12 20:40)筆甫(宮城県伊具郡丸森町筆甫)
211.5mm(~10/13 02:20)宮古

岩手県北部沿岸部の普代(ふだい)、小本(おもと)、宮古が上位を占めています。久慈と山田も1時間雨量は70mm超です。

時間降水量70mm以上
時間降水量70mm以上の5地点(Google Earthプロ)

水門で有名な普代の観測ポイントは村役場の近くです。「2冠」の普代村で何も起こっていないはずはありません。普代村の世帯数は10/31現在で1,126世帯です。被災住戸は136棟ということですから、全世帯の1割以上になります。

ポテチ減産が生じた2016年8月末の台風10号は岩手県大船渡に上陸した稀有な台風でしたが、普代村では普代川とその支流の茂市川が氾濫しているようです。今回は普代川が氾濫したわけではありません。

普代村中心部
普代村中心部(Google Earthプロ)

国道45号線の旧道は商店街です。西側の山の数か所の沢から粘土混じりの水が流れ出し、45号線が泥まみれにになったようです。村役場の被害は確認できませんが、今はふれあい交流センターになっている旧庁舎は被災しています。

普代川上流域では記録的な雨が降ったわけではありませんので、普代川は無事だったのでしょう。地域内の雨量があまりにも多量で、山の保水能力を上回ったものと思われます。

【外部リンク】
広報ふだい 2011.3(震災直後に発行された村の広報誌、普代水門の記述あり)

新潟県の被害状況

台風19号による新潟県の河川の決壊は2か所です。

内閣府「台風第19号に係る被害状況等について」(11/3)

矢代川は妙高市の茶臼山付近を源流として、上越市の高田付近で関川に合流します。決壊箇所の1つである上越市西田中は妙高市との市境付近です。下の地図では黄色が矢代川で赤が本流の関川となります。

矢代川
矢代川(Google Earthプロ)

10月12日の日降水量は、下流の高田では歴代8位ですが、上流の関山や沿岸部の能生では観測史上1位でした。新潟県の観測地点で10月12日の日降水量が10位以内だった地点は次のとおりです。

▼順位、10/12の降水量、観測所名、従来の1位の降水量とその年月日、統計開始年を記載しました。

5位 141.0mm 秋津 165mm(2004/8/18)2003~
10位 111.0mm 小国 240mm(2005/6/28)1977~
8位 145.5mm 高田 176.0mm(1985/7/8)1922~
2位 138.0mm 安塚 150mm(1995/7/11)1976~
2位 189.0mm 川谷 330mm(2005/6/28)1985~
4位 136.0mm 松代 252mm(2005/6/28)1977~
4位 175.5mm 糸魚川 226.0mm(2017/7/1)1976~
1位 252.5mm 能生 217.5mm(2017/7/1)1976~
1位 177.5mm 筒方 172.0mm(2017/10/23)1985~
6位 137.0mm 塩沢 192.0mm(2011/7/30)1983~
1位 231.0mm 関山 186mm(1982/9/12)1976~
1位 192.5mm 津南 174.5mm(2013/9/16)1976~
1位 221.0mm 湯沢 179mm(1981/8/23)1976~
9位 155.5mm 平岩 190.5mm(2013/9/16)1978~
1位 210.0mm 樽本 143.5mm(2017/10/23)1985~

10月13日午前5時前に矢代川が決壊した上越市西田中では、田畑への浸水だけで人家へ被害は出ていないようです。ストビューを見ると、宅地と浸水した田んぼには段差があります。2012年10月撮影のストビューです。

ハザードマップでは3~5mの浸水が想定されている地域ですが、観測史上1位の雨でも溢れた水は旧北国街道を越えていません。新潟県の住戸被害は、長岡市、上越市、阿賀町などで350棟ほどです。

茨城で全半壊家屋が多い理由

台風19号による住戸被害は10/25発表の数値で次のとおりです。茨城県は全半壊のほぼ半数を占めますが、床上・床下浸水は1%以下です。

  • 全壊453棟(茨城県133棟)
  • 半壊2,628棟(茨城県1,378棟)
  • 一部破壊4,150棟(茨城県692棟)
  • 床上浸水32,997棟(茨城県63棟)
  • 床下浸水33,941棟(茨城県263棟)

茨城県のアメダス観測地点は24か所です。10月12日に観測史上1位を記録したのはピンクの8か所、2位~9位が青の6か所、TOP10圏外が白の10か所でした。沿岸部については記録的というほどの降雨ではなかったわけです。

茨城県付近(Google Earthプロ)

▼順位、10/12の降水量、観測所名、従来の1位の降水量とその年月日、統計開始年を記載しました。

1位 455.5mm 花園 337mm(1989/8/27) 1976~
1位 269.5mm 大子 189.0mm(2011/9/21) 1976~
1位 334.0mm 徳田 205mm(1989/8/27) 1977~
1位 383.0mm 大能 306.0mm(2012/5/3) 1985~
1位 216.0mm 常陸大宮 169mm(1986/8/4) 1978~
3位 163.0mm 中野 203mm(1986/8/4) 1977~
1位 183.5mm 門井 183mm(2004/10/20) 1982~
3位 191.5mm 笠間 202.0mm(2011/9/21) 1976~
2位 181.0mm 古河 214.5mm(2015/9/9) 1976~
1位 184.0mm 下館 171mm(2004/10/20) 2001~
4位 182.5mm 柿岡 219mm(1986/8/4) 1976~
5位 158.0mm 下妻 203mm(1986/8/4) 1976~
1位 197.5mm 坂東 193mm(1986/8/4) 1976~
6位 135.0mm 土浦 197mm(1991/9/19) 1976~

茨城県の住戸被害は次の4自治体に集中しています。

  • 水戸市(全壊42棟、半壊344棟、一部227棟、床上0,床下0)
  • 常陸太田市(全壊10棟、半壊201棟、一部101棟、床上0,床下0)
  • 常陸大宮市(全壊46棟、半壊349棟、一部66棟、床上0,床下0)
  • 大子町(全壊32棟、半壊396棟、一部129棟、床上0,床下0)

この4自治体の住戸の被害は次のとおりです。

  • 水戸市(全壊117棟、半壊630棟、一部41棟、床上0、床下0)
  • 常陸太田市(全壊0、半壊0、一部0、床上220棟、床下1棟)
  • 常陸大宮市(全壊0、半壊0、一部0、床上31棟、床下0)
  • 大子町(全壊0、半壊0、一部0、床上0、床下0)

不自然な数字の並び方ですが、どうやら茨城では住戸について床下浸水を一部破壊、床上浸水を半壊とし、外壁等に損傷があることを条件に床から1.8m以上の浸水の場合には全壊扱いとしているようです。

川俣町から南相馬市へ向かう途中の飯舘村で

福島県飯舘村では河川や道路や家屋の被害はなかったことになっています。それはそうなのでしょうが、人的被害は出ています。こんなニュースがあります。

★12日夜、75歳男性が川俣町から勤務先の南相馬市に向かった
★13日朝、飯舘村で運転席まで水が浸かった無人の車が見つかった
★14日朝、近くの用水路で遺体が見つかった

新聞配達のアルバイトだそうです。釈然としないのは、川俣町が中通りに属し、南相馬市は沿岸の浜通りだということです。分水嶺は伊達郡川俣町と相馬郡飯舘村の町村境にあります。県道12号線の町村境の地名はズバリ「水境」です。

飯舘村付近(Google Earthプロ)

川俣町から南相馬市までルート検索すると47分です。隣接する福島市や二本松市なら33分です。わざわざ飯館村を越えて南相馬に通っているのは、震災で川俣町に引っ越したという事情があるからなのかもしれません。

普通のニュースなら、「飯舘村△△で遺体が見つかった」となるはずですが、あいにくこの件ではそこまで報道されませんでした。出発点が川俣町で目的地は南相馬市、事故現場は飯舘村というアバウトな情報しかありません。

飯舘村と南相馬市をつなぐ2車線道路は、県道286号線と12号線です。常識的に考えて、目的地は旧・原町市が有力です。出発地が川俣町なら12号線に限られるはずです。

車が水に浸かっているのですから、事故現場は道路と川が並行しているか交わっている地点です。等高線が入った地理院地図で12号線を辿ってみると、増水時にここは危険だと思われる箇所がありました。

で、このページを書き始めたわけですが、警報時刻を確認するために福島県Webサイトの「台風第19号による被害状況即報 (第10報)」を開いてみると、「深谷地区」との記載があるのを見つけました。

ビンゴです。12号線の深谷地区入口の標高は470mで、深谷地区出口となる駐在所手前は438mです。危険箇所はほぼ中間にあり、その標高は438mです。下った道路がフラットになっている地点です。

2014年9月撮影のストビューです。右前方に見える枯れ草部分が新田川です。丘を回り込むように流れています。トラックのあたりで、県道12号線と新田川はニアミスします。川は道路より急カーブですので、濁流は溢れてしまうでしょう。

大森堰付近(Google Earthプロ)

飯館の時間降水量は次のとおりです。朝刊が販売所に届くのが2時頃だとして、多少の余裕を見て0時前に出発したのかもしれません。雨のピークは過ぎていますが特別警報発令中です。

12日10:00  1.5mm
12日11:00  6.0mm
12日12:00 16.5mm
12日13:00  6.0mm
12日14:00  6.5mm(14:09 飯館村に大雨警報と暴風警報)
12日15:00 16.5mm(15:05 飯舘村に土砂災害警戒情報)
12日16:00 19.5mm(15:48 飯舘村に洪水警報)
12日17:00 25.0mm
12日18:00 34.5mm
12日19:00 29.0mm
12日20:00 32.5mm(19:50 飯舘村に大雨特別警報)
12日21:00 38.0mm
12日22:00 36.5mm
12日23:00 20.5mm
12日24:00 17.5mm
13日01:00 14.0mm
13日02:00  4.5mm

車が発見された13日朝は、遺体のあった用水路はまだ濁っていたに違いありません。水が引いた14日に遺体が見つかったものと思われます。

飯舘村の人口は1950年代をピークに減少を続けています。原発事故当時の風向きの関係で「計画的避難区域」に指定されていましたので(2017/03/31解除)、低地に新しい住宅地が供給されることもなかったわけです。

実際のところ、浸水したのは農地だけなのでしょう。浸水区域に住戸が存在しなければ、浸水による住戸被害も起きないことになります。この現場付近のハザードマップは白です。